《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺達の好きな人 ②

「ところで白咲さん」

兄さんは律の前まで來て、しゃがんで律を見つめた。

「ずっと言いたかったんだけど、律君って呼んでいいかな?」

「は?」

話が逸しすぎていて、俺は兄さんの話す言葉に被さるように疑問詞を投げかけた。

それ今この雰囲気で聞くことか!?

「いやー、ずっと律君って呼びたくていつ言おうか悩んでいたんだよー。駿だけなんか仲良さそうに呼び合ってるのが羨ましくて。俺のことも翔でいいよ」

「いや、さすがにそれは……」

「まー待って待って!」

して苦笑いしている律が不憫すぎて、俺は手を橫に振って兄さんの話を止めた。

「律はダメ!律は……」

「呼び名ぐらいはいーよねー?ねー?」

「まぁ、名前ぐらいは……」

「ということで、駿も律君ももしなにかあったら俺からも連絡するね」

今絶対“律君”を強調した……絶対した。

別に呼び名はどんなんでもいい、でもその勝ち誇った顔がすげぇ腹立つ。

「なぁ、さっきまでおじいちゃんの止まっている車に何故律の両親がぶつかったのかって話してたよね……?」

「まぁ、でも今沢山考えてもなにも答えなんて出てこないよね?一回休憩をしよう」

遊んでるようで意外に正論を言っている兄さんにぐうの音も出なかった。

「お壽司食べれる?今日は俺の奢りでみんなでお壽司を食べようか」

兄さんの奢りでテイクアウトのお壽司が目の前に並んだ。

……なぁ……

普通お壽司のテイクアウトって、プラスチックの容っているもんじゃないのか?

木箱にったお壽司なんて初めてだけど……。

中も開けたらウニやイクラや……なんというか高級品ばっかり。

相変わらずすごいよな。俺、前にすき焼きのお買うのも結構勇気いったのに。こういうのが兄さんは普通なんだろう。

「律君はワイン飲める?」

「いや……俺お酒は」

「まぁ、たまには……ね?」

「はぁ……」

「律、斷っていいから」

なんかわかんないけど、名前呼びになっただけで変な距離になってる気がする。

斷れないから、何杯も飲んでるし。

しかも……

「ちょっと眠い」

ほら、明らかお酒に弱そうな律が目をってるし。

「ベッドでし橫になる?」

兄さんは律の顔を覗き、車椅子をかそうとした。

「ま、待って!俺が行く!前の部屋だよな」

兄さんの手首を摑み、俺は必死に止めた。それを見て兄さんはニヤッと笑い

「そうそう」

と言って手を離した。兄さんは何を考えてるかさっぱりわからないが、俺はとりあえず律をベッドまで運んだ。

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