《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺達の好きな人 ③

律はベッドでスヤスヤ寢ていたので、俺はいったんリビングに帰った。

兄さんはお酒を飲み直していて、俺は兄さんにわかるようにワザとドカッと椅子に座った。

「なんだ、その座り方は」

「うっせーよ」

兄さんは俺の態度にくすくす笑った。

「駿は律君が好きなの?」

「好きだよ」

としてだよ?」

「……それはない」

「なんで?」

兄さんの容赦ない質問攻めにちょっとイラっとした。一なにが聞きたいんだ。

「俺が律君の車椅子を持った時の駿の顔が嫉妬心丸出しだなぁと思って」

「俺は男だから」

「だから、男を好きになれないの?」

「そう」

「世の中、男が男を好き。を好き普通にあることだけど。俺はおかしくないと思うよ。むしろ、それを公にしてる人達を尊敬するし、俺なら出來ないと思う」

「俺は律をそんな対象に見てない」

兄さんはまるで俺の心の中を読んでいるようで恥ずかしかった。

「お前は人を好きになったことないからわからないんじゃないのか?」

そうだ。たぶんそう。

今までされたこともないし、人に無関心だったから好きと言うがわからない。さっきの行は小さい子供が大切にしてたおもちゃが取られないように守る。そんなに似てるかもしれない。

「もし今後、お前が彼を作って結婚してもいい。もし律君が大切な人になってももちろん構わない。どちらにせよ、人を好きになってその人を守る。その気持ちを誇りに思えよ。自分の気持ちに蓋をせず、周りも気にするな。俺は嬉しいよ、お前がそんな人に関心を持つなんて。」

俺の気持ちは今どうなのかは、自分のことなのにわからない。

でも、小さい頃になかった誰かを大切にしたいその気持ち。そして心の暖かみや穏やかな気持ちは持てるようになった。

「あと話は変わるが……さっきの通事故の話。律君がいてたから言いにくかったんだが

ふと周りの空気が変わり、兄さんの聲のトーンも低くなった。

「律君のお父さんはワザと俺達のおじいちゃんの車にぶつかったことは警察の検証で証明されているんだ。ただ何故ワザとぶつかったのかは本人が亡くなったから事実がわからない。そこがわかればもしかすると……」

通事故の真相が見えてくるかもしれない?」

「と思うのだが……」

兄さんが次に言いたい言葉はわかる。

もし、その真実が律にとって辛く悲しいものにならなければいいのだが……そう思ってくれてるのだろう。

今までもそうだった。そんな綺麗事で済まされるような問題ではないのだ。

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