《親のり人形は自らその糸を切ろうとしている》俺達が辿り著いた通事故の真実 ③

そうか。律のお父さんはお母さんにバレないように二人に口止め料を払ってたのか。

山岳の件も事故とは言え、真意は示されていなかったし、律のお父さんにとっては不運な事故だったと思う。

「お母さんにバレた理由はなんだったんですか?」

『詳しくはわからないが、誰かが口外したのだろう』

まぁ、口外するなら考えられるのはあいつか山下さんしかいないがもう一人考えられる人がいる。

「ありがとう。また連絡頂戴」

スマホを切ると、律は考え込んでいた。

「どうした?」

「いや……あの二人に口外するメリットってなんだろうって思って。お父さんからある程度お金も貰ってたし、生活には不自由はなかったはずでしょ?」

「それを知ってるのは図書館司書しかいないんじゃない?二人と仲良さそうだし」

と言ってまたあの人のところに行くのは勇気がいる。俺達もまた會いたいとは思わない。

「なぁ、もう一回日記を読み直そうぜ。こんな分厚いならなにかしら書いてるかもしれないし」

……

日記は3年前から綴られていた。

きっかけは山岳部の事故。あれを思い出して書いた……と。

なにかきっかけがあったのか、何故いきなり思い出したのかは書いてなかった。

そして、ところどころ何ページか破られていた。

……

でも何回読んでもやっぱり普通の日記だった。

「やっぱりなんもないか」

「こんだけ分厚いのにね」

「破れたページになんか書いてあったのかも」

日記帳を持ち上げ、上下左右にかしてみた。

すると

カランカラン

と微かに音がする。

日記帳からあり得ない音が響いた。

俺は日記帳に耳を當て、振ってみた。

カランカラン

確かに音がする。

どこからこんな音がするんだ?

もう一度日記帳を見たが、そんな音がするようなものはなくただの日記帳だ。

「貸して」

律が手をばしてきて俺の持っていた日記帳を持った。律も振ってみる。

やっぱり同じ音がする。

ペラペラとめくるとあることに気づいた。

見返し部分に薄く切れ込みがある。

「ちょっと待って」

俺はカッターナイフを取り出し、律に渡した。

「切れ込みに沿って切ってみて」

「でも」

「大丈夫」

律の手元を見ると、カッターを持つ手が震えていた。

もしかすると中は何もないかもしれない。

でも、もしかすると……

「駿……」

「大丈夫。俺を信じて」

カッターナイフが刺さる鈍い音が聞こえる

ゆっくり切れ込みに沿って切っていった。

全部を切って開けてみる。

「あ……」

中には録音機と紙が何枚かっていた

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