《【書籍化&コミカライズ】創魔法の再現者 ~『魔法が使えない』と実家を追放された天才年、魔の弟子となり正しい方法で全ての魔法を極めます。貴方の魔法は、こうやって使うんですよ?~》140話 破滅の序章
區切りの都合でやや短めです、すみません!
「功だな、ボス」
詠唱を終え、魔法を起し。
戻ってきたクロノを、まずラプラスが喜びの聲で出迎える。
魔法を起したクロノの様子を改めて見やる。
外見及びラプラスが知できる範囲で、大きく変わったのは三つ。
一つ目は、魔力。纏う魔力の量がこれまでとは段違いだし、質的な意味でも一線を畫す──膨大でありながら靜謐で、それこそ以前エルメスたちが対峙したカルマの最終狀態に近しいものをじる。今自分達が居る場所とは一つ次元が違うような、無條件で畏れを抱くような、まさしく神威とも呼べる魔力。
殘り二つは、外見的な分かりやすい変化。古代魔道(アーティファクト)エスティアマグナ、詠唱によって側から開いたそれが、文字の羅列とともに分解されクロノの左腕の周りを飛び回っている。
そして三つ目、何より目を見張るのが──クロノの背後。
何かが、居る。
數は左右に二つ。その姿を強引に形容するのであれば、翼の生えた鎧のようなものを纏った細の兵士──辺りだろうか。けれどそれすら一時的なもの、一定周期で不定形に形を変化させる以上どのような形容も役に立たない。
明らかに、異質な存在。
「──で。それ、何だ?」
故に、ラプラスも真っ先にそれについて問いかけた。
「魔力のじ的に、ボスの魔法で生み出されたものだよな。まさか生きてんの? 新しい生とか? 世界を創った魔法ってんならそれくらいでも驚きゃしないが」
「ご期待に添えなくて申し訳ないけど、し違うかな。魔法のスケールに対する認識自はその通りだが、専門が違う。『生命』に関することは第三創世魔法(アルス・カルマ)の領分だ、あくまでこれは七分の一だし、できないことは當然ある」
そんなもんか、と頷くラプラスに、クロノは続けて。
「第六創世魔法は、『力』を司る魔法。文字通りの『おおいなるもの(マグナ)』であり、この子たちはその力の塊のようなものだよ」
言葉に合わせて、背後の存在が積極的に姿を変える。その関係を見るに、背後の存在は完全にクロノの統制下にあるのだろう。
「この魔法は、他の創世魔法のように一目で『人間の領域を超えている』と分かるような特別な効果は持っていない」
「──なのに(・・・)世界を(・・・)創った(・・・)魔法に(・・・)っている(・・・・・)。裏を返せば、代わりにその『力』が及ぶ範囲では人間に可能な大抵のことが極限まで出來る、だろ。耳にタコができるほど聞いたが、実際それが出來そうなら何よりだ」
そう。
第六創世魔法は、他の創世魔法と違って明らかに『神の業』と呼べるようなものは扱えない。
にも拘わらず、彼らがそれを起できた瞬間勝ちだと確信できたのは、そんなことなど関係がないほどに『創世魔法』が他の魔法と一線を畫すからであり。
そして──起してからの『破滅』のプランも、彼らの中では確とある。
その、プランに違わず。
「つーわけで、出番だトラーキア」
ラプラスが、笑顔のまま背後に目を向け、獰猛な聲で。
「あんたを勧した意義を果たす時だぜ。ボスの魔法とあんたの魔法、二つを組み合わせれば最高の破滅が実現できる。だから予定通り、あんたの魔法で──」
ラプラスと、クロノの計畫。
『最高の破滅』はどのようなものか、二十年間追い求め続けた彼らの集大。
その最後のピースとなった魔法の使い手に向かって、こう告げた。
「──この王都の(・・・・・)、過去全ての(・・・・・)死者を(・・・)怨霊として(・・・・・)復活させろ(・・・・・)。
手始めにここを、死霊の王國にしてやろう」
ユースティア王國ほど過去差別が激しかった場所の『死者』を復活させたらどうなるのか。
次回、お楽しみに!
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