《ひねくれ領主の幸福譚 格が悪くても辺境開拓できますうぅ!【書籍化】》彼らの時代
本編完結に際して、たくさんの想やお祝い、労いのお言葉をいただきました。
全て大切に読ませていただきました。本當にありがとうございます。
今回はこのお禮と、書籍版『ひねくれ領主の幸福譚』3巻続刊のお知らせをさせていただくのに併せて、後日談とはし違うかもしれませんがおまけ的なコンテンツを更新いたしました。
書籍のお知らせについては後書きの方に詳しく記載させていただいております。
〇ノエイン・アールクヴィスト
初代アールクヴィスト大公。アールクヴィスト大公國建國の祖。
キヴィレフト伯爵家の生まれだが、父親であるマクシミリアン・キヴィレフトの庶子の立場である。生家での立場や家族との関係は極めて悪く、子供時代の後半は伯爵家の屋敷の片隅で監されるようにして暮らしていたとノエイン本人によって語られている。
ただし、異母弟であるジュリアン・キヴィレフト伯爵とは人後に和解しており、以降は兄弟として良好な関係を築いている。このことが、現在のアールクヴィスト大公國公都ノエイナとキヴィレフト州州都ラーデンの姉妹都市関係にも繋がっていると言われている。
十五歳で生家から放逐され、アールクヴィスト領(當時は士爵領)の領主となってからは、その知識と魔法の才を活かし、才能ある人材を見出して重用し、ロードベルク王國の貴族社會でも頭角を現す。
戦場においても戦面で獨特の発想から功績を挙げており、ロードベルク=ランセル戦爭での複數の戦功を経て子爵まで陞爵。その後に第一次ベトゥミア戦爭での活躍が認められ、ロードベルク王國より獨立してアールクヴィスト大公國を興した。
ノエイン自が戦場に立ったのは第二次ベトゥミア戦爭が最後だが、ノエインの考案したゴーレムによる集団戦や、アールクヴィスト大公國で再発見されたクロスボウ、バリスタなどの兵を用いる戦は、その後もアドレオン大陸南部を中心に近世まで使用された(攻撃用魔道技の再発見と改良、魔導自車などの発明により、現在ではいずれの戦も廃れた。ゴーレムが武として用いられるのも、暴徒鎮圧や施設警備など一部の場面に限られる)。
為政者としての評価は極めて高く、民の庇護を最重要視し、臣下に対しても極めて優しい人であったと數々の文獻に記されている。ノエインの発言の記録においても、「臣下と民の幸福」「臣下と民への」などの言葉が度々出てくる。
確かな報酬を示し、為政者自らく姿勢を示すことで人々の心を摑む手法は現代においても評価されており、自己啓発書などにノエインの名を冠したものが數多く存在するほか、政治家や起業家などが尊敬する人として名前が挙がることも多い。
また、獣人や奴隷分の者に対しても公平な扱いをするなど、先進的な倫理観・人権意識を持っていたことでも知られている。
ただし、その人格面においては賛否両論が殘されており、自の庇護下にある者以外にはどちらかというと冷淡だったとも言われている。
第一次ベトゥミア戦爭では、勝利のためにやむを得なかったから、という理由で數千人に及ぶ他領の民を殺害したという記録もあり、こうした事実の結果としてロードベルク王國の一部地域にはノエインを「ベゼルの悪魔」などと呼ぶ風習も未だ殘っている(ノルトリンゲン州の知事が公の場で、ジョークとしてこの異名を出したことが問題となり、當時のアールクヴィスト大公に謝罪する事態に発展した例がある)。
総合的にはやはり相當に高評価される歴史上の偉人であり、特にアールクヴィスト大公國においては神聖視されている。
〇クラーラ・アールクヴィスト
ノエインの妻。第一公妃。現在のケーニッツ州の地域を治めたケーニッツ伯爵家(當時は子爵家)の出で、ノエインが士爵だった頃に嫁ぐ。アールクヴィスト大公國の開拓初期よりノエインを支えていたことから、ノエインが「建國の父」と呼ばれるのに対して「建國の母」と呼ばれることもある。
教育者としての功績が大きく、分や種族を問わずあらゆる者に教育を施す學校制度(大公立ノエイナ高等學校)の運営実務を擔ったことから、アドレオン大陸における公教育の基礎を作った人として評価されている。大公立ノエイナ大學の系列校である大公立クラーラ子大學にその名が殘る。
また、歴史學者としても一定の功績を殘しており、クラーラの研究活の結果として、ロードベルク王國北西地域の歴史とアールクヴィスト大公國初期の歴史の関連が系的な史料として殘っている。
穏やかな格の人だったと語られており、時期としては自の結婚より早くノエインの寵を得ていた第二公妃マチルダとの仲も良好だったとされている。ノエインとは夫婦として仲睦まじかったことが分かるエピソードが多く殘されており、理想的な夫婦の在り方として現代でも度々二人の名前が挙がる。
「実は貴族社會の裏で狡猾に暗躍し、ノエインの立出世を導することで自の地位向上をもした」という都市伝説が一部で語られているが、これは映畫『クラーラ ~優雅で數奇な人生~』の影響である(映畫の容の多くは史実とは異なる完全な創作である)。
〇マチルダ・アールクヴィスト
ノエインの妻。第二公妃。ただし晩年までは自の意思でノエイン所有の奴隷という立場にあり続けた。
歴史の表舞臺に立った人ではないため、このマチルダについて詳細に記載した文獻はないが、クラーラの記したノエインの伝記や、ノエインの臣下たちの手記、その他の各種文獻の中に度々登場していることから、その立場や人像はある程度明らかになっている。
ノエインが九歳の頃から専屬の奴隷として仕えていたことが分かっており、ノエインと出會った時期はクラーラよりも前になる。極めて獻的な姿勢でノエインに接し続けていたこと、ノエイン自もこのマチルダを傍に置くことに過剰なまでにこだわっていたことが分かっており、歴史學者や心理學者から、この二人が神的な依存関係にあったのではないかという指摘も多數挙がっている。
ノエインに忠実に仕え続けたことから、アールクヴィスト大公國とその周辺地域においては忠実で獻的な姿勢を指して「まるでマチルダのような」などと表現する文化がある。また、その名前は大公國における名として未だ人気が高い(我が子にマチルダのような素直で真面目な人間に育ってほしい、という由來とされている)。
〇ユーリ・グラナート/マイ・グラナート、ペンス・シェーンベルク/ロゼッタ・シェーンベルク、ラドレー・ノルドハイム/ジーナ・ノルドハイム、バート・ハイデマン/ミシェル・ハイデマン、エドガー・ロイシュナー/アンナ・ロイシュナー、ダミアン・クレベスク/クリスティ・クレベスク、ダント・キルシュタイン、リック・ベイレフェルト、ヘンリク・サロワ/キンバリー・サロワ、ジェレミー・バルトス/セシリア・バルトス、グスタフ、アレイン、メアリー、コンラート、ザドレク・ヴォルツ
いずれもアールクヴィスト大公國の黎明期を支えた貴族あるいは名譽貴族として歴史に名が殘されている。
それぞれの世襲貴族家は現在でも大公國の名門貴族家として存続しており、著名な軍人や政治家、僚、學者、技者を度々輩出している。名譽貴族たちの家系も、現在は姓を得て存続しており、子孫の活躍が確認されている。
〇フィリップ、ドミトリ、ヴィクター、ダフネ
大公國における主要企業の創設者として、それぞれ経済界で名が知られている。
〇セルファース
大公立セルファース総合病院などにその名が殘る。病院の敷地にはこのセルファースと、彼の弟子であり初の大公國出の醫師であるリリスの銅像が建てられている。
〇ハセル
大公國におけるミレオン聖教の布教に努め、その功績を認められて晩年に総主教の地位を與えられた。
〇オスカー・ロードベルク三世
通稱「守護王」。二十九年の治世のうち前半は、ランセル王國やベトゥミア共和國の侵攻に対する防衛戦爭に追われた。
その際の政治的な立ち回りには専門家の間で詰めの甘さを指摘する聲が多くあるものの、王として即位して間もない時期から多くの戦爭に対処することを強いられた點などを考慮し、擁護する聲も同程度ある。
結果的にはロードベルク王國領土を減らすことなく(むしろ治世の後半ではパラス皇國との戦いを経て領土を拡大している)、ベトゥミア共和國から得た賠償金やランセル王國との國正常化、パラス皇國との正式な停戦協定の締結、大陸北部との関係強化によって王國の経済的発展をしたことから、名君と評されている。
〇ヘルガ・レーヴラント
アドレオン大陸における獣人差別撤廃運の先駆者であり、偉人の一人として歴史に名を殘している。
また、父ガブリエルと共に比較的早期から大陸北部と南部の関係強化に貢獻したことでも知られており、アールクヴィスト大公國と北アドレオン連邦を繋ぐヘルガ街道にその名が殘る。
このヘルガ自は主に対話による平和的な獣人の地位向上を目指した人であるが、近年の北アドレオン連邦において暴力的な獣人地位向上運を展開する政治団「ヘルガの悲願」が彼の名を掲げていることが問題視されており、子孫であるレーヴラント家は同団にヘルガの名の使用停止を要求している。
〇アンリエッタ・ランセル
ランセル王國中興の祖と謳われる王。當初は「暴王」カドネ・ランセルに一部のランセル王國貴族たちが対抗するための象徴として臺頭し、人前に即位した後もあくまで象徴的な君主として君臨していたが、人後は徐々に為政者としての頭角を現す。
アドレオン大陸西部との関係強化や、大陸南部の他國と比べるとやや遅れをとっていたランセル王國の文化的・経済的発展をしたことから、名君の一人として語られている。
〇アルノルド・ケーニッツ
一般的な知名度は低いが、アールクヴィスト大公國の建國においてノエイン・アールクヴィストに重要な助力をし、ロードベルク王國北西部地域の発展に寄與した人として、一部の歴史學者やアマチュアの歴史研究家から高い人気を誇る。
また、ケーニッツ州においては地元の偉人として名が知られ、州都レトヴィクの一角に銅像が立てられている。
〇アイリーン・フォスター
ベトゥミア共和國の歴史において最も著名な軍人の一人。
後に「第一次ベトゥミア革命」と呼ばれる、當時の多數派閥(富國派)の政治家やその後ろ盾である豪商たちが共和國から追放された政変を実行した人とされる(「革命」の名がついているが、実際は一部の政治家と軍人の主導によるクーデターとしての面が大きい)。
將として極めて有能な人であったと語られており、ベトゥミア革命後の國各地での富國派殘黨の討伐や、富國派政治家たちの亡命した隣國との戦爭で盡く勝利を収めている。
軍人として一線を退いた後は政界りし、直後に首相に指名され、二期八年という長期に渡って首相を務めた(ただし、これはアイリーン個人の國民からの人気と、偶然に平和な時期が続いたことによる部分が大きく、首相としての功績は凡庸なものに終わっている)。
書籍版『ひねくれ領主の幸福譚』3巻、2023年2月25日に発売されます。
今回はついにクラーラが登場。マチルダとともに表紙を飾っています。
今回も加筆修正によって容を大幅ブラッシュアップしています。Web版とは一味違うノエインたちの語にどうかご注目ください。
すでに各販売サイトで予約付が始まっております。ぜひよろしくお願いいたします。
【書籍発売中】【完結】生贄第二皇女の困惑〜敵國に人質として嫁いだら不思議と大歓迎されています〜
【書籍版】2巻11月16日発売中! 7月15日アース・スターノベル様より発売中! ※WEB版と書籍版では內容に相違があります(加筆修正しております)。大筋は同じですので、WEB版と書籍版のどちらも楽しんでいただけると幸いです。 クレア・フェイトナム第二皇女は、愛想が無く、知恵者ではあるが要領の悪い姫だ。 先般の戦で負けたばかりの敗戦國の姫であり、今まさに敵國であるバラトニア王國に輿入れしている所だ。 これは政略結婚であり、人質であり、生贄でもある。嫁いですぐに殺されても仕方がない、と生きるのを諦めながら隣國に嫁ぐ。姉も妹も器量も愛想も要領もいい、自分が嫁がされるのは分かっていたことだ。 しかし、待っていたのは予想外の反応で……? 「よくきてくれたね! これからはここが君の國で君の家だ。欲しいものがあったら何でも言ってくれ」 アグリア王太子はもちろん、使用人から官僚から國王陛下に至るまで、大歓迎をされて戸惑うクレア。 クレアはバラトニア王國ではこう呼ばれていた。——生ける知識の人、と。 ※【書籍化】決定しました!ありがとうございます!(2/19) ※日間総合1位ありがとうございます!(12/30) ※アルファポリス様HOT1位ありがとうございます!(12/22 21:00) ※感想の取り扱いについては活動報告を參照してください。 ※カクヨム様でも連載しています。 ※アルファポリス様でも別名義で掲載していました。
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