《世界最強はニヒルに笑う。~うちのマスター、ヤバ過ぎます~》最強は準備を始める㉑

アースの一件が終わった翌日、私はクラメンたちと共に海底探索に乗り出していた。

目指すは水竜だが、前回に落ちたため、道をまずマーキングするところからのスタートである。

今回は全員參加と言う事で、三PTに別れて連合を組んでいる。

ちゃんとした回復が居れば、そこまでしんどくないらしいので攻略も余裕だろう。

黒、大和を先頭にティタ、先生が続く。

先生と白は現在アースのクランマーク付きだ。

似合わないけど……。

『ren?』

『?』

『なんかすげー一瞬イラっとした』

『何それ?』

白にバレた気配をじて、私は表に出さないよう回避を選ぶ。

素知らぬ顔で、問い返した私に白は腑に落ちないと言いたげな表で首を傾げた。

『うんじゃ、行くか』

『ここ毒多いから、宮ネェとチカは頑張って!』

黒を先頭にまずは一階から。

合計七階層からなる深海は、お金とドロップが味いためそれなりに人が多い。

一階には、スピネルリザードマンと言う赤い寶石を額につけたリザードマンが主で、リザードマンの癖に水に毒を含ませた魔法攻撃をしてくる。

回復が居る今回は、そのリザードマンもサクサクっと狩って行けるわけで、時間をかけることなく二階へと降りた。

二階もまたスピネルリザードマンではあるが、ファイターと名のつく個が一回りほど大きく、雑魚を引き攣れ三から四匹程度の集団行をするようになる。

ドロップ品は、寶石のスピネルと水鉱石、後は皮と凄く重い重量級の盾が出る。

正直に言うと、良いお値段でこの盾は売れる。だが、一個で私の重量値はMP回復のレッドラインを越えてしまうため泣く泣く捨てるしかない狀況になった。

三階へ著くと一気に水中っぽくなる。ここからが酸素ボンベの出番だ。

出てくるモブは、亀のような見た目のエメラルドタートルやラピスウォーターエレメンタルと言うラピスラズリの水の霊で、ブクブクと淡った人型のモブになった。

他にもクラゲやら、イソギンチャクヤラ……毒系のモブも増えている。

四階では、三階と同じモブに加えてコハクシーラカンスやら、ブルーアイハーミットクラブと言うヤドカリが出てくる。

どちらもドロップは寶石で、霊の落とす寶石には最高級品なども紛れているためここで狩りする人が多いのも頷けた。

今回は、そこもスルーして最下層へ進む。

五階からは、足を生やしたヒトデがちょろちょろとき回り、毒と麻痺を仕掛けてき始める。

前衛組や遠距離組がいらだった様子で攻撃をしかけるが、逃げ足が速くて倒せない。そうして立ち往生していると、いつの間にか周りが毒まみれになると言う悲慘な狀態に……。

『ぐはぁ! ちょ、しびれてますけどー?』

『そのまま痺れてろwww』

『馬鹿がいると平和だなって思うわー』

『チカ! なんで前に出てるでしゅか? 回復しない回復はいらないでしゅ!』

『相変わらず、可い話し方なのに、さゆは辛辣だな』

『うむ』

『なんで同意してるの春日丸』

『ren、アレ捕まえるのである! 我の研究のために!』

『宮、まずチカ治してやって』

『博士……やめとけって、また怒られるぞ?』

『あら、自力回復しなさいよー?』

『無理無理、俺死んじゃうから~、宮ネェ助けてー』

『あ、毒った』

『カオス』と言った風牙に激しく同意しながら、私はそっと息を吐く。

毎回回復が前に出るのはおかしいと言っているのにも関わらず、両手剣を持ち出すチカ。

蟲取り網まで持ち出してイソギンチャクを捕まえようとする博士。

回復する気があるのかないのか、忙しそうに毒を解除していく宮ネェはチカを未だに放置している。

一向に進む気がしない。

私としては一目、フルークトゥスを見たいだけなのだが……。

『いい加減、進んで?』

しびれを切らした私は、靜かになった瞬間を狙ってお願いする。

別に殺す気なんて無いし、とにかく最下層へ行きたいだけだったのだ。

なのに……何を勘違いしたのか、クラメンたちが全員こちらを向き、即座に顔をそむけた。

あまりの速さに首を傾げていた私の側では、キヨシとゼン、ヒガキが激しく頷く作を繰り返していた。

『よし、進もう! 急ぐぞ。お前ら!』

『おー!』

『マスターがお怒りじゃぁ!』

『魔王様が降臨したでしゅ!』

『黙って進め!』

『進軍あるのみなのである!』

どうして、こうなった!?

ま、進んでくれるならいいかと放置する。

六階にると上が明るく見通しが暗くなった。

いよいよかと気合をれ直して進んでいると、七階で見かけた骨の巨大魚がちょこちょこと出現しはじめた。

初めて來た時よりも人數が多いからか、各自がやるべきことを理解しているためきに無駄がなく余裕で狩れる。

毒が猛毒に変わっていたり、麻痺までの時間が短くなっていたりするが、それでも余裕だ。

『お、流水の魔石とか出るのか!』

『あら、それ素敵ね』

『前回でなかったっすよ?』

『魔石って、水屬の耐アップと攻撃力強化だっけ?』

『そそ』

『多分激レアなんじゃね?』

流水の魔石か、いいなー。コレクションしたい気持ちはあるけど、ここは回復役の二人を優先すべきかな。

水は回復の數値が増える。と言っても魔石一個で十程度しか増えないけど。

『流水の魔石は回復に。氷が出たら、魔法職と弓にでいいかな?』

先生の問いかけに誰も文句を言わずに頷く。

そうして、狩りを続けた私たちは漸く目的地である最下層へ到著したのだった。

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