《寢取られた元カノ?、知らない許嫁、キャな馴染も皆要らない。俺のみは平穏な高校生活だ!》涼子との約束

今日は八月十五日。俺の家の近くに墓はない。だからというかあまりお盆という気はしない。テレビではお盆前後の人の移を映していたけど。

しかし暑い。俺は今、涼子の家の最寄り駅の改札で彼が來るのを待っている。午前九時十分前だ。

何気に道路側を見ると彼の姿が道路の向こうに見えた。今日は白いしゆったりしたブラウスと膝までの茶のスカート、可いオレンジのかかと付サンダルを履いて淺黃の素敵なショルダーバッグを肩から掛けている。

俺はと言うと薄い水のポロシャツと黒のジーンズ。それに同系のスニーカーだ。太が眩しいのでサングラスを掛けている。

皆俺を避けている様な気がするが気の所為か。

涼子が俺を見つけたらしい。思い切りの笑顔で手を振っている。壁に寄りかかっていたを真直ぐに正して彼が來るのを待った。

「達也、おはよう」

「おはよう涼子」

「達也、サングラスするとカッコいいけどちょっと迫力あるね」

「まあ、仕方ない」

「ねえ、達也。帰りにちょっと私の家に寄ってくれるかな。両親があなたに會いたいって言っている」

「それは構わないけど」

何の用事が有るんだ。マンションのお禮なら十分にして貰っているし。

「じゃあ行こうか」

「ああ」

今日の最初の予定は映畫だ。いつものデパートの有る駅で降りて改札を右側に曲がり映畫館に向かう。チケットは、涼子が購してくれている。

が自然と手を繋いで來た。別に構わない。早苗も知っている事だ。

「ふふっ、達也とこうして二人でデートなんて久しぶりだね。學校では會えているけどやっぱり二人だと気持ちが違う」

「そうかな?」

「そうだよ」

広い階段を二階に上がって右にあるエスカレータを昇ると映畫館だ。一階でもやっていたが、二階のフロアでも家族連れ向けのイベントを大きくやっている。

映畫館のチケット発券売り場に並びながら

「隨分いるね。休みだからかな」

「まあ、今の時期は空いているはずなんだが、それでも多いな」

映畫は、昔やっていたテレビアニメの新ストーリーで最新の技で3D化したものだ。中々の迫力だ。

涼子は椅子の袖に置いている俺の腕と手を最初からずっと摑んでいる。飲みは右手で取っている様だ。

一時間半近くかかった本編をれると映畫館にって約二時間。もうすぐ正午だ。

「達也、お晝食べようか?」

「ああ、そうするか」

駅の傍にある〇ックにったが、並んでいたのは十人位。この店としては空いている方だ。

「達也。私はエビマヨハンバーグセット、ドリンクはオレンジジュースね」

「OK」

が空いている席に行って先に座っている。彼の背中を見ながら、何となく慨深くなった。彼とはあまりにも々有った。運命としか言いようがない位に。

そして今、彼は自分の立ち位置をはっきりとわきまえて俺達と一緒に居る。そして大學出た後の事も明確に示している。

それを考えれば凄いものだ。俺よりしっかりしている気がする。

「お客様、如何致しますか?」

俺の順番が來ていた。涼子を見過ぎていたかな。

頼まれた注文と俺のダブル○○バーガーとコークのLをトレイに乗せて彼の待つ席に行くとテーブルの上に氷のった水のグラスが置かれていた。やはりこの辺の気遣いは、他の子には無い所だ。

涼子と食事をしながらちらっと外を見ると、おっ、妹の瞳が洋二さんと手を繋いで歩いている。

何か信じられないものを見た気もするが、何となく似合っている。二人が笑顔で話しているのもいい。彼の手にはデパートの紙袋を持っているから二人で買いにでも來たんだろう。

俺の視線に気付いた涼子が

「あれ、瞳ちゃんだよね。隣にいる人は?」

「ああ、玲子さんの兄で洋二さんだ」

「二人は付き合っているの?」

「多分な」

俺も確証はまだない。

「なんか幸せそうね」

「そう願いたいものだ」

実際、妹は高校三年生。彼は七つ差の社會人だ。このまま上手く行くかなんて誰も分からない。ただ玲子さんの兄という立場柄、拗れる事は無いと思うが。

今度の思井沢の旅行で分かるだろう。そう言えば明日からだな。さてどうなる事やらだ。

「達也、考え事過ぎ。せっかく二人になれたんだからもっと々話そう」

「あっ、ごめん。そうだ。涼子、夏服とか冬服でしいもの無いか。買ってやるよ」

「えっ、なんで?」

「まあ、偶には俺からなんかプレゼントさせてくれ。大きな意味はない」

「そうかあ、それなら買って貰っちゃおうかな」

俺達は、〇ックに一時間程居てからショッピングセンターの方に行った。もう何処も秋だ。この時期だとそうなるか。

いくつかのショップを見た後、二番目にったショップに涼子は決めたようだ。もう一度行くと先ほどの店員がにこやかな顔をして

「お帰りなさいませ。お待ちしておりました」

どういう事だ。最近の用品売り場の売り子はこんな事言うのか?涼子はそれを無視して

「達也、この茶のロングスカートいいかな?」

「全然構わない。上はいいのか」

「流石に悪いからいいよ。自分で買う。コーデもしやすそうだから」

「そうか、別に構わないが」

それを聞きつけたのか、先程の店員が

「お客様、そのスカートにはこのデザインのブラウスがお似合いですよ。如何ですか?」

確かにスカートに合いそうなブラウスだ。

「涼子、せっかくだこれも一緒でどうだ?」

「えっ、いいの。…じゃあお願い」

こんな事して貰うと何か不安になるのは気の所為だろうか。

俺は、諭吉さんを三枚ほど出してその上下を買った。店員がお店のロゴがった大きな袋をショップの口まで持って來て涼子に渡すと嬉しそうに挨拶した。

「達也ごめんね。こんなに買って貰って」

「構わないさ。涼子が喜んでくれるなら」

「ふふっ、嬉しい。ねえ達也、公園に行こうか?」

「ああいいぞ」

この公園も久しぶりだ。昨年末から年始にかけて、そして大學験を挾んで々と出來事が多かったからな。

公園では、奧にある東屋風の喫茶店で休みもれると二時間近くのんびりしていた。もう午後五時を過ぎている。

「達也、そろそろ帰らないと。両親が待っている」

本當は夜遅くまで一緒に居たいけど、親の頼みでは仕方ない。

私は達也を連れて家に戻ると玄関で両親が迎えてくれた。

「立石さん、いらっしゃい」

「失禮します」

「達也上がって」

俺は呼ばれた理由が分からないまま涼子と一緒にリビングで待っていると母親がアイスティを持ってって來た。

「立石さん、娘が大変お世話になってありがとうございます。東京でのマンションの件といい、熱費まで持って頂いて、お禮の言葉もありません」

「それはマンションが決まった時にこちらからお願いした事ですし、お禮の必要は有りません」

「ありがとうございます。実は娘から大學を出てからの事も聞いて夫共々驚いています。娘が立石さんの子供を籠った時、認知して養育費まで出してくれるというのは本當ですか?

流石にそこまでしてくれる事が信じられなくて、直接本人から聞かせて頂きたくて今日來て貰ったんです」

母親の隣に座る父親は、複雑な表をしている。まあ、そうだろうな。

「事実です。あくまで俺が外で子供を作ってしまったというで行きます。この事は涼子さん以外誰にも話していません」

両親が目を丸くしている。

「そう言う事でしたら、立石さんを信用しない気持ちは微塵も有りませんが、何か文書にして殘しておくことは出來ないでしょうか?」

「お母さん何言っているの。そんな事達也に失禮じゃない」

「涼子、お前はそう言うが、この事立石さん以外誰も知らないという。確かに彼は信用に値する人だと私も思うが、問題は將來妻になる人の気持ちだ。彼がいくらいいと言っても妻になる人が絶対に駄目だと言って々訳を付けてきたら、彼はその責任を全うできるか分からない。

私はお前が大切だ。だからこそ親としてその証明がしい。もし斷るなら、…口だけの約束なら、私はお前と立石君が將來そう言う事になる事を反対する。他の男に嫁いでくれ」

俺は流石に驚いた。確かに両親の言う通りだ。俺は涼子に子供が出來た時、俺の勝手に出來ると思っていたが、早苗の格からして猛反対する事も考えられる。

だが、書面でそれを殘す事は今から両親、いや両親は何とかなっても早苗はどう反応するか想像も出來ない。加奈子さんは何も問題ないだろうけど。

「分かりました。その書面用意します。し待って頂けますか?」

「用意してくれるなら待ちます。でも大學卒業前にはそれを頂きたい。もちろんもし學生の間にそうなる可能もあるならその前に頂きたい」

「お父さん!」

「私は現実の話をしている。百パーセントそうならないと斷言できるか」

「…………」

確かにお父さんの言う通りだ。四年間は長い。どうなるかはまだ誰にも分からない。

「達也、……」

「涼子、用意するから待ってくれ」

「うん」

その後、夕食をわれたが流石に辭退した。まだがあるが、涼子の帰り道が心配だ。

玄関で別れる前に涼子が

「達也、ごめんなさい。両親がマンションの事で変に勘ぐってしまって、…それで話しちゃったの」

「そうか、仕方ない事だ。涼子はご両親にとっては大切な娘だから」

「ありがとう」

「ところで涼香ちゃんはどうしているんだ?最近見ていないが」

「妹はまだ高校生よ。會う機會はほとんどないわ。でも瞳ちゃんとは仲良くしているみたい。會う時間なくなったとか言っていたけど。

大學は帝都大に來るか分からないけど、瞳ちゃんと一緒の大學にすると言っていたから來るんじゃないかな」

「そうか」

涼子が軽く俺に抱き著いて來た。でもを合すとかの仕草はない。

「達也、ありがとう」

そう言うと俺から離れた。俺の顔をじっと見ながら

「夏休み中にもう一度二人だけで會えないかな?」

「九月半ば過ぎれば大丈夫だと思うが」

「分かった。近くになったら連絡するね」

「ああ、そうしてくれ」

俺は涼子に見送って貰いながら、これからしなければならない事にちょっとだけ気の重さをじていた。

だが俺はこの時、もっと大切な事、自分の立ち位置を理解していなかった。

――――――

なるほどぉ……。

次回をお楽しみに。

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意が沸きます。

想や、誤字字のご指摘待っています。

宜しくお願いします。

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