《【書籍化進行中】斷罪された悪役令嬢は、元兇の二人の娘として生まれ変わったので、両親の罪を暴く》【二巻発売記念SS】鳥籠の夢2
「鳥籠の夢」の続きです。
前回以上にヤバいです。
ガイドラインはひたすら確認して、R15で大丈夫だと思いますが……そういうお話です。
好王の十三番目の側妃にされそうになったセシリアは、その狀況から逃れようと、ローズブレイド公爵邸を訪れた。
そこでセシリアがアデラインの生まれ変わりであることを明かし、前世の義弟であるローズブレイド公爵エルヴィスの協力を取り付けることができた。
ところが、義姉に対するが重たすぎるエルヴィスによって寢室に連れ込まれ、監されそうになってしまったのだ。
すでに上半の服をぎ捨てたエルヴィスに迫られ、セシリアは絶に震える。
しかし、ここで仮に逃げ出すことができたとしても、セシリアに待つ運命は好王の十三番目の側妃だ。
それならば、まだエルヴィスのほうがマシではないだろうか。
いや、むしろエルヴィスは義姉のことをしているのだから、うまくコントロール(調教)すればよいのではないだろうか。
「……エルヴィスは、私のことが好きなのですよね?」
「もちろんです」
「では、私のために盡くしてくれますか? 私のことを大事にしてくださいますか?」
「はい、私は義姉上のためなら何でもいたします」
エルヴィスは迷いなく答える。
狂気じみてはいるものの、噓などかけらも見當たらない彼の瞳を見つめながら、セシリアは考える。
もともと政略結婚を課されているだ。前世の婚約者だって、ろくでもない男だった。
今世の好王にも、前世の婚約者にも、想いなどかけらもない。
エルヴィスに対してもがあるわけではないが、前世の義弟として大切に思っている。好きか嫌いかで言えば、間違いなく好きだった。
そう考えれば、結婚相手としてエルヴィスは悪くないのかもしれない。
セシリアはまだ記憶が戻ったばかりで混している狀態だ。今はエルヴィスを男として見ることができなくても、いずれ変わってくるのではないだろうか。
が重たいような気はするが、それを利用して自分が主導権を握ってしまえばよい。そうすれば、監だって回避できるはずだ。
そこまで考えたセシリアは、覚悟を決めた。
「わかりました。でも、あなたが私のものになってください」
「えっ……?」
突然の言葉に、エルヴィスは目を丸くする。
「私はあなたのものになります。ですから、あなたも私だけのものになるのです」
セシリアは強い口調で、はっきりと述べる。
すでにしおかしくなっているエルヴィスに言うことを聞かせるためには、自分がそれ以上におかしくなる必要があるだろう。
どうせ失敗しても、監されるだけだ。何もしなくても同じ結果なら、試してみる価値は十分にある。
「わ、私は……義姉上のもの……?」
「ええ、あなたのすべてを私に捧げなさい。いいですね?」
「は、はい……」
エルヴィスは呆然としながら返事をする。
彼の瞳には戸いと、それ以上の歓喜のがあった。
すでに手中に収めたと言ってよいだろうが、もう一押ししておく必要がある。完全に墜としてしまうのだ。
「跪いて、足を舐めてちょうだい」
セシリアは寢臺の上で足を組み、高慢に微笑む。
冷靜になったら負けだ。かつて語で読んだ悪役令嬢の振る舞いを思い出し、それになりきる。
「はい……仰せのままに……」
従順すぎるほど素直に、エルヴィスはセシリアの前に膝をつく。そして、うやうやしく靴をがせた。
「ああ……義姉上……」
エルヴィスは陶酔しきった表を浮かべて、セシリアの足の甲へ口付ける。
その景を見て、セシリアは背筋がぞくりとした。この覚は恐怖だろうか、それとも別の何かだろうか。
だが、今はそのようなことを考えている場合ではない。
「セシリア、と呼んで」
「セシリア……セシリア……ああ……」
エルヴィスはうっとりとした聲で呟き続ける。
「セシリア、私の可いセシリア……あなたは私のすべてだ……」
熱に浮かされたように何度も名前を呼ばれ、セシリアはぞくぞくした。
ちょっとやりすぎなのではないかと思ったが、もう後戻りはできない。
それよりも、要求を通すのならば今だ。セシリアは意を決して、エルヴィスに命令を下す。
「私は好きに散歩したり、買いに行ったりしたいの。いいわよね? もちろん、外出するときは護衛をつけるわ」
「はい……もちろんです。セシリアのむことは、何でも葉えましょう」
エルヴィスは嬉しそうに笑って即答した。
それを聞き、セシリアは心で拳を握り締める。これで自由を手にれたも同然だった。監から逃れることができたのだ。
「まあ、ありがとう。嬉しいわ」
微笑みながら、これですべてうまくいったとセシリアはほっとする。
しかし、そのような甘い考えはすぐに打ち砕かれた。
セシリアの足に頬りするようにして、エルヴィスは囁く。
「では、早速私のをけれていただけますね」
「えっ!?」
「セシリアは私のものなのでしょう? 私はすでに、このをあなたに捧げる覚悟ができております」
いつの間にか勢を変えていたエルヴィスに押し倒され、セシリアは慌てる。
「ちょ、待って……!」
「待ちません」
「そんな……あっ!」
抵抗しようとするが、あっさり押さえ込まれてしまう。
非力なセシリアが、力で敵うはずがない。
「大丈夫ですよ。優しくいたしますから」
「そ、そういう問題じゃなくて……!」
「私はセシリアのためならば、どんなことでもするつもりです」
「ひっ……!」
耳元で甘く囁かれ、セシリアは思わず悲鳴を上げる。
だが、エルヴィスはまったく気にせず、セシリアの服に手をかけた。
「どうか私をしてください……私だけを」
切なげな聲音に、セシリアはどきりとを鳴らす。
しかし、すぐに我に返ると、渾の力を込めてエルヴィスを突き飛ばした。當然、それくらいで本當に押しのけられるわけもないが、それでも彼のきが止まる。
「こ、これ以上は駄目です! 許しません! こういうことは、結婚してからです!」
セシリアは顔を真っ赤にしてぶ。
すでに妖艶な悪役令嬢の仮面は剝がれていたが、気にしている余裕はなかった。
「……わかりました。今は我慢することにしましょう。あなたに嫌われたくありませんから。ただ……」
エルヴィスは不満げにため息をつき、渋々といった様子でを引く。
そして、その顔には妖しい笑みが浮かんでいた。
「次は逃がしてあげません」
*
はっとしてセシリアは飛び起きる。そこは図書室のソファの上だった。
「ゆ、夢……?」
どうやらうたた寢していたらしい。
安堵の息をつくが、心臓は激しく脈打っていた。嫌な汗が背筋を伝っていく。
「本當に夢でよかったわ……」
いくらなんでも、あれはないだろうと思う。
エルヴィスを跪かせ、足を舐めさせるなど、あり得ない。自分で自分に引く。あんな変態的な願があったのかと、愕然とする。
「ただ……これって、この間の夢の続きよね……?」
セシリアは眉を寄せながら考える。
先日、馬車の中で眠ってしまったときに悪夢を見たのだ。今見た夢は、そのときの続きのような気がする。
「ということは、最後の臺詞……次は逃がさないって……」
ぞくりと悪寒が走り、セシリアはを震わせる。
「いえ、夢よ……ただの夢……気にしないほうがいいわ……まさかエルヴィスがそんな……」
セシリアは自分に言い聞かせるように呟く。
「私がどうかしましたか?」
突然背後から聞こえてきた聲に、びくりとセシリアの肩が跳ね上がる。
「エルヴィス……」
振り返れば、そこにはいつもどおりの穏やかな笑顔を浮かべたエルヴィスの姿があった。
「こんなところでうたた寢して、風邪を引きますよ」
「え……ええ、そうですわね。気をつけます」
セシリアは揺を隠しつつ答えた。
「それで、どうしたのですか? 何か心配事でも?」
「そ……その……もし、私が変態的な願を持っていたらどうしますか? 跪いて足を舐めろとか……そういうことをんでいるとしたら……?」
まだ夢から覚めたばかりでぼんやりしているセシリアは、つい浮かんだことをそのまま尋ねてしまった。
言った後でしまったと焦るが、エルヴィスはきょとんとするだけだ。
「もちろん、おみどおりにいたしますよ」
「えっ!?」
予想外すぎる言葉に、セシリアは驚愕の聲を上げた。
「何を驚いているのですか? あなたがむのであれば、喜んで葉えます」
「い、いりませんわ! そんなのんでいませんから!」
「遠慮なさらずともよろしいのに……」
「本當です! 絶対に必要ありませんから!」
必死に否定するが、エルヴィスは不思議そうな表をしている。
「私はあなたのみはすべて葉えたいのです。そして、まぬことはいたしません。それだけのことですよ」
「そ、それは……ありがとうございます……」
「いえ……」
エルヴィスは満足そうに微笑む。
「さあ、もう日が暮れますから部屋に戻りましょう」
促されて、セシリアは彼の手を取って立ち上がる。
夢のエルヴィスはかなり病んでいたが、現実も大概だった。それでも、セシリアの意思を尊重してくれているのだから、夢とは違う。
「エルヴィス、しています」
「……私もです。しています、セシリア」
突然の言葉に一瞬目を見開いたエルヴィスだが、すぐに嬉しそうに笑って答える。
セシリアは幸せな気持ちになりながら、繋いだ彼の手をぎゅっと握り締めるのだった。
2023/3/10頃に書籍2巻が発売予定です。
完全書き下ろしで、好王ケヴィンの息子ディランが登場します。
「64.罪を暴く」でちらっと出てきた、隣國の側妃同盟によって擁立された王子です。
氷の貴公子と炎の王子がセシリアを奪い合う展開となっております。
復讐相手だった元王太子ローガンもちょっと出てきます。
ご予約開始しておりますので、よろしければお手元に迎えていただければ嬉しいです。
【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】
とある地方都市に住む主人公。 彼はいろいろあった結果無職になり、実家に身を寄せていた。 持ち前の能天気さと外面のよさにより、無職を満喫していたが、家族が海外旅行に出かけた後、ふと気が付いたら町はゾンビまみれになっていた! ゾンビ化の原因を探る? 治療法を見つけて世界を救う? そんな壯大な目標とは無縁の、30代無職マンのサバイバル生活。 煙草と食料とそれなりに便利な生活のため、彼は今日も町の片隅をさまようのだ! え?生存者? ・・・気が向いたら助けまぁす! ※淡々とした探索生活がメインです。 ※殘酷な描寫があります。 ※美少女はわかりませんがハーレム要素はおそらくありません。 ※主人公は正義の味方ではありません、思いついたまま好きなように行動しますし、敵対者は容赦なくボコボコにします。
8 183指風鈴連続殺人事件 ~戀するカナリアと血獄の日記帳~
青燈舎様より書籍版発売中! ある日、無名の作家が運営しているブログに1通のメールが屆いた。 19年前――、福岡県の某所で起きた未解決の連続殺人事件を、被害者が殘した日記から解明してほしいという依頼內容だ。 興味をそそられた作家は、殺人事件の被害者が殺される直前まで書いていた日記とは、いったいどういうものだろう? 見てみたい、読んでみたいと好奇心が湧き、いくたびかのメールの往復を経てメールの送信者と対面した。 2020年1月上旬、場所は福岡市営地下鉄中洲川端駅の近くにある、昭和の風情を色濃く殘す喫茶店にて……。
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ーーこれは復習だ、手段を選ぶ理由は無い。ーー ○概要 "骸街SS(ムクロマチエスエス)"、略して"むくえす"は、歪められた近未來の日本を舞臺として、終わらない少年青年達の悲劇と戦いと成長、それの原動力である苦悩と決斷と復讐心、そしてその向こうにある虛構と現実、それら描かれた作者オリジナル世界観ダークファンタジーです。 ※小説としては処女作なので、もしも設定の矛盾や面白さの不足などを発見しても、どうか溫かい目で見てください。設定の矛盾やアドバイスなどがあれば、コメント欄で教えていただけると嬉しいです。 ※なろう・アルファポリスでも投稿しています! ○あらすじ それは日本から三権分立が廃止された2005年から150年後の話。政府や日本國軍に対する復讐を「生きる意味」と考える少年・隅川孤白や、人身売買サイトに売られていた記憶喪失の少年・松江織、スラム街に1人彷徨っていたステルス少女・谷川獨歌などの人生を中心としてストーリーが進んでいく、長編パラレルワールドダークファンタジー!
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