《乙ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?》170話 斷罪イベント2

「嫌がらせなんてしておりませんわ。アリシアさんへの嫌がらせなど一切しておりません」

は慌てて否定するが、エドワード王子はさらに詰め寄る。

「噓をつけ! お前以外に誰がやると言うのだ!」

「他の方々だってやろうと思えばできるでしょう? 殿下ともあろう方がまさか証拠もなく人を疑うわけありませんよね?」

「証拠ならある! 目撃者が証言してくれたのだ!」

「あらまぁ……。一誰なんですか?」

「それを明かすことはできない! お前が圧力を掛けてうやむやにする可能があるからな!」

「…………」

イザベラは心舌打ちをした。

アディントン侯爵家の力を利用すれば、ごく一部の大貴族家を除き黙らせることができる。

そう油斷していた。

エドワード王子に先に証人がいると指摘されれば、さすがに反論は難しい。

「殿下、一つ確認させてください。もし仮にその証人の方が噓をついていたらどうしますか? 例えば誰かに脅されて言わされているとしたら?」

「その時は然るべき処置を取るだけだ」

「では、その証言の信用を証明してくださいますか?」

「そんな必要はない! 王子である俺が信じるに値すると判斷したのだ!」

エドワード王子は一歩も引かなかった。

彼は王子という立場にありながら、平民の味方をする珍しい人だ。

だからこそ、この國の未來を託せるのだと國王は彼を推した。

イザベラは、エドワード王子の格をよく知っていた。

そして、彼が一度決めたことは絶対に曲げない頑固な格だということも理解していた。

だが、そうやすやすと引き下がるわけにはいかない。

ここで引けば、婚約破棄が立してしまうのだから。

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