《反逆者として王國で処刑された隠れ最強騎士〜心優しき悪役皇様のために蘇り、人生難易度ベリーハードな帝國ルートで覇道を歩む彼を幸せにする!〜【書籍化&コミカライズ決定!】》【115話】ラスボス登場(ペトラ視點)

スティアーノに迫っていた騎士科の生徒たちが風と勘違いしてしまうような剣技によって吹き飛ばされたのは、本當に衝撃的な景だった。

を見るような鋭い瞳。

綺麗に研ぎ澄まされた黒い長剣による非常に素早い剣筋が風を切る。

そこらにある木の幹に叩きつけられ、騎士科の生徒は気を失う。

私が魔を行使した時よりも遙かに高い威力。

正直、一番理解が追いつかなかった瞬間であった。

「…………何故、こんなに人が集まっているんだ?」

惚けたことを言っている割に隙が全くじられない。

自然と醸し出される威圧は、本當に同じ學生なのか疑問に思うほどに大きかった。

「もう、次は何なのかしら!」

向かいの令嬢も流石に苛立ちを隠しきれないようで、サッサと魔を指示する。

科の生徒が放った魔がその者──アルディアに降り注ぐ。

「危ない!」

スティアーノはすぐさま庇いに向かうが、魔がアルディアに直撃するのが圧倒的に速い。

アルディアにその魔が直撃し、炎が立ち上った。

今の威力はやり過ぎだ。

それも大人數での一斉

これはあくまでも授業の一環であり、命を奪うほどの魔を使用してはならない。

「……おい、マジかよ」

「どうするつもりよ……これはもう」

を放った生徒は最悪の場合は退學処分。

まあ、そんなのはどうでもいい。

一番気になっているのは、あの量の魔を一に浴びたアルディアの安否であった。大怪我は確実……今すぐに治療しなければ、命も危うい。そう思い私は急いで駆け寄った。

しかし、私が治癒魔を使うことはなかった。

彼は……怪我などしていない。

煙に囲まれた奧に彼の姿が薄っすらと見える。

地面に伏してはいない。

また、膝をついているということもない。悠然と剣を握り、その場に留まっている。

「おい、ペトラ。早く治療を……」

「必要ないわ」

「いやいや、必要ないわけが」

「ないのよ。彼には全く、今の攻撃が効いてないもの……」

「は?」

急激に頭が冷えるような、そんな覚に陥る。

意味が分からない。

あの魔けておきながら、しっかりと地に足をつけて立っていられるなんて……どんな耐久力を有しているのだろうか。

やがて煙が晴れる。

やはり、彼には傷一つない。

「なっ……!」

「なんで」

「魔は當たってたはずなのに!」

相手方は揺を隠しきれていない様子。

私とスティアーノも彼が平気そうなのが信じられないくらいだった。

「今の、當たってた……よな?」

「ええ、確実に」

「じゃあ、なんでアイツは立ってられんだよ」

「知らないわよ。……見たことも聞いたこともない」

──剣で防いだ……にしてはいている素振りは無かった。

やはりまともに魔けながら、立ち続けている。

あらかじめ、防を展開することによって防に徹することは可能だが、魔の気配もじない。

何者なのだろうか。

アルディアは、己の近くに漂う煙を剣で払う。

「それで、試験中に起きた大規模な抗爭というのは、ここで合っているか?」

何を言っているんだろうか。

これは抗爭なんてものでもなんでもない。

私に対する一方的な攻撃だ。

「それはどこ報なの?」

私はアルディアに尋ねる。

彼は背を向けたまま、靜かに告げる。

「……さあ、知らない」

「は?」

「騒ぎが起きてるって、近くにいた生徒に聞いただけだ。績評価を上げるのなら、人が多い場所に來た方が効率的だしな」

つまり、彼は績のためにここに來ただけということになる。

この大人數を前にして、よく出てこれるわね。

実力者だからこの程度簡単に捻り潰せると判斷したからだろうか。

だとしたら、とんだ怪が現れたというものである。

「はぁ、本當に次から次へと……邪魔者はそのと共に消し去ってやりますわよ」

最初に比べると隨分と頭數が減っている。

けれども、人數的にまだまだ優勢であるからか、令嬢の態度は大きい。

気付いていないのだろうか。

恐らく、あの黒い剣を握っている男は、誰よりも強く、人數を集めたところで勝てるような相手じゃない。

私はちゃんと理解していた。

別格の存在を初めてこの目に寫したから。

騎士科の中だと、彼が最も強い……そうなのではないかと魔科所屬の私は考えた。

「おいおい、平民の騎士志があんま図に乗んなよ」

「そうだぞ。多不意打ちが功したくらいで、いい気になってたら後悔するからな!」

學習していない……まだあの攻撃、あの耐久をまぐれか何かだと考えているのだろうか。

私の近くにいるスティアーノは、アルディアの実力の高さに気が付いていた。

の実力がある者なら、アルディアの異常さは一目で分かるはず。それを鈍にも分からないようならば、その程度のレベルと言える。

結局のところ、また同じように騎士科の生徒はアルディアに突撃して、面白いように薙ぎ倒される。

科の生徒が放つ魔も彼に傷一つ付けられない。

威力は高いが、アルディアはそれを簡単にれる力量がある。だから、何度同じ攻撃をしたところで結果は変化しない。

「まだ、やるか?」

「──っ!」

「そっちがその気なら……」

「じょ、冗談じゃありませんわ!」

アルディアが剣を振るう格好を見せると、令嬢とその取り巻きは怯み、後退りしながら逃げ出した。

「……はぁ」

なんとも呆気ない。

あれだけ私が苦労して相手をしていたのが馬鹿みたいに思えてくる。それくらいアルディアの剣技は學生の領分を超えていた。

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