《寢取られた元カノ?、知らない許嫁、キャな馴染も皆要らない。俺のみは平穏な高校生活だ!》夏休みはまだ続く
立花家の別荘から帰って來た翌日、俺はのんびりと家で過ごしていた。明日から早苗と一緒に西伊豆にある我が家の別荘に行く。両親には言ってある。
瞳も昨日まで立花家の別荘だったから一緒に行きたいなんて流石に言わなかった。妹は涼香ちゃんと一緒にプールに出かけている。
二人だけどあいつが一緒なら問題ないだろう。もし二人に変な事をするような男が居たら、豬と一緒になるだけだ。可哀想だけど。
そう言えば、九月一日から二週間の鍛錬は一緒に行くと言っていたな。なんでも豬を相手にした時、正拳二手目から前上段蹴りを行った後の左回し蹴りの一連の作に緩みが有ったと言っていた。
今度言っておかないと。世の男は豬じゃないと。だけどの子といえ、鍛錬に勵む事はいことだ。俺自楽しみにしている位だからな。今年の參加者は二十人と聞いている。楽しみだ。
リビングで読むとも読まないともしている法學書を手にしながらぼーっとしていると早苗がやって來た。
「達也、ちょっと付き合って」
「どうした?」
「ちょっとだけ」
「だからなんで」
「これ」
早苗が手に持っているのは、確か去年買ったはずの水著だ。
「それがどうした?」
「達也のばか、無神経」
いきなり俺の顔を水著で叩こうとした。流石にそれで叩かれる訳にはいかないので逃げると
「サイズが合わないのよ。去年買ったら大丈夫だと思って。今明日からの準備していたんだけど、気になって試しに著て見たら…。だからぁ、ねっ一緒にデパートまで行って?」
「俺がか」
「他に誰がいるのよ」
去年あんな目に遇ったのに。あんなところ絶対に行けない。
「しかしなあ、あそこは俺が行く…」
いきなり腕を取られて
「時間がないでしょ。行くわよ」
こいつにNOと言える日本人になりたい。
早速、デパートある街のSCにやって來た。店は決まっているというか去年來た所だ。
「達也、そこの椅子で待っていて。選んでくるから」
「分かった」
良かった、一緒にれなんて言われたら…。
「達也ちょっと來て」
「いや、俺は…」
腕を取られて店の中に連れ込まれた。しかいない、參った。流石に試著室まで來いとは言われないだけ良いと思いながら連れて行かれると
「達也、こっちがいい。それともこっち、後こっちは?」
「早苗の好きにすればいい」
「分からないから聞いているんでしょ。どれがいいの?」
俺に聞かれてもなあ。一つはオレンジのビキニ。もう一つは水の腰にフリルが付いたビキニっぽいセパレート。そしてもう一つは白のワンピース型に大きなハイビスカスの絵柄が付いたやつだ。
本音どれでも良いんだけど。まあ、早苗の出は避けたいからワンピースにするか。
「これ良いんじゃないか」
「ふうん。なんで?」
「へっ?いやだって早苗が選べというから」
「だからなんで?」
どこかで聞いたようなフレーズだが。
「それが似合うかなと思って」
「えーっ、このオレンジのビキニは?」
「來年また著れなくなるかもしれない」
いたっ。思い切りを叩かれた。
「達也がいけないんでしょ!」
なんでだ?
結局、一週間いるという事でオレンジのビキニと白のワンピース型の水著を買った。
「ふふっ、嬉しいなあ。達也明日からが楽しみ」
「そうか。良かった」
「達也嬉しくないの?」
「早苗と一緒で嬉しくない筈が無いだろう」
「そ、そうよね」
達也から一応予定は聞いているけど、やっぱり最後は私がしっかりと上書きして夏の思い出は私だけが達也の記憶に殘すんだ。
隣と言う事も有って、朝午前八時に出発となった。早苗が車とバスを乗り継いで行きたいと言ったが、西伊豆は車が無いと全く移が出來ない。勿論バスという手もあるが、時間が取られ過ぎる。結局、滝田さんにお願いする事にした。
「滝田さん、済みません」
「滅相もありません。達也様のお役に立てて大変嬉しく思います」
早苗の両親と母さんに見送られて
「じゃあ、行って來るよ」
「行って來ます」
「行ってらっしゃい。達也君、娘をお願いね」
「はい」
一週間分ある為、車のトランクには早苗の大きなトラベルケースが一つとバッグが一つ。俺も今回は加奈子さんの時に使ったトラベルケースを持って行く。後はショルダーバッグだ。
「達也の家の車に乗ったの初めてね」
「そうだっけ?」
「いつも電車だから」
そう言えば、早苗とは何処に行くにも電車だな。というか遠出はしていないか。今回はお互い大學生という事と、もう將來が決まっているから両親が許しているという事もあるが。
「滝田さん、改めて紹介するよ。こちら桐谷早苗さん」
「初めまして、滝田でございます。桐谷様の事は前々から伺っております。末永く宜しくお願い致します」
「こちらこそ宜しくお願いします。滝田さん。それと桐谷様は勘弁して。早苗でいいです」
「滅相もございません。では早苗様という事で」
「早苗、それで良いよな」
「分かったわ」
「では、早苗様改めて宜しくお願いします」
「こちらこそ」
そんな挨拶も程ほどに俺達の車は一般道から高速に乗り途中、三島から伊豆を縦斷している自車専用道路にった。
途中から東伊豆と西伊豆に分かれる。西伊豆方向曲がり海岸線を南下して堂ヶ島のし先にある所を部にって別荘に著いた。
ここからは海の絶景が広がっている。海水浴場までは、車で行かないと無理だが、ほんの五分位だ。
「達也様、早苗様著きました」
俺は滝田さんがドアを開ける前に自分で降りた。滝田さんは申し分けなさそうにしていたが、直ぐにトランクに回って俺達の荷を降ろしてくれた。
「早苗降りるぞ」
「うん」
別荘の前には管理人の北條さんとお手伝いさん四人が待っていた。三頭家や立花家の様な事は無い。
「達也様、お待ちしておりました」
「北條さん、一週間お世話になるよ。こちら桐谷早苗さん」
「桐谷様、伺っております。皆でご滯在中楽しんで頂けるようご準備させて頂いております」
「北條さん、こちらこそ宜しく。あと早苗で良いです」
「それでは早苗様という事で」
挨拶が終わると
「達也様、早苗様。一週間後にお迎えに伺います」
「宜しくお願いします滝田さん」
「では、私はこれで」
車が出て行った後、
「達也、車が無いと行けないんじゃなかったっけ?」
「ああ、こっちでは北條さんが行きたいところに送ってくれる」
「達也様、早苗様。中におりください。外は日差しが暑いでしょう」
「そうだな」
荷はお手伝いさんが持って行ってくれた。ローラー付きだから大変ではない。
「達也様はお分かりと思いますが、早苗様初めてございますのでご説明させて頂きます。
この別荘はお部屋が四つございます。今回はお二人に二階の海側のお部屋を用意しています。お風呂は外湯、湯がございます。
お部屋にもシャワーが付いています。他アメニティは全て整っております。バスタオルやバスローブ、その他必要なは全て取り揃えております。不足のが有りましたら何なりとお申し出ください。
場所は達也様とご一緒と思いますのでここでは案を省かせて頂きます。ところでお二人共ご晝食は如何なさいますか。準備はしておりますが」
「頂くよ。途中休憩はしたけど食事はとらなかったから。著替えたらダイニングに行く」
「分かりました。その様に致します」
「さっ、部屋に行って著替えるか」
階段を上がりながら
「達也、聞いて言い?」
「なんだ?」
「北條さん、海側の部屋って表現したけど一つだけなの?」
「ああ、隣の部屋とドアで繋がっているコネクティングルームだ。早苗の自由で良いぞ」
「ふふっ、じゃあずっと一緒」
「…………」
やっぱり間違ったかな?
私は、達也と一緒に海の見える部屋にった。バルコニーに行くと見渡す限りの眺が広がっている。
「達也とここで二人で一週間居れるなんて嬉しい」
思い切り達也に抱き著いてしまった。
「早苗、後でいくらでもこうして居られるから今は著替えて一階のダイニングに行こうか」
「うん♡」
その時から達也と二人の楽しい時間が始まった。
お晝を食べて、北條さんに送って貰って浜辺で遊んで、もちろん二人で泳ぎもした。
二日目も浜辺で泳いだりボートに乗ったりした。日焼け止めはばっちりとしている。
三日目はし離れているけどサイクリングセンターに行って々な所を二人乗り自転車で見て回った。
四日目は有名な堂ヶ島で遊覧船に乗ったり、海岸を二人で散歩したりした。
五日目は晝間はゆっくりと浜辺で遊んで、夜は花火をした。
そして六日目は、釣りというものを始めてした。船でそんなに遠くない所まで行ったのは良いけど気持ち悪くなり、途中で帰って來て、休んでから防波堤で釣りをした。知らない小さな魚が釣れた。
全部二人だけで楽しいんだ。多分達也と初めての事。勿論毎日夜は、ふふふっ。
今日は最後の夜。二人で同じベッドの上だ。
「達也楽しかった」
「それは良かった」
「來年も來れるかなあ」
「構わないが、高原にも別荘があるぞ」
「そうかあ、山も良いかな。でも今が一番いい」
…………。
こんなに楽しんで達也の腕の中で眠れるなんて溶けていきそう。
あっ、達也もう寢てしまっている。疲れるよね。達也が頑張るのって晝だけじゃないから。
ふふふっ、じゃあ私もおやすみなさい。
――――――
達也と早苗のほのぼのとした夏休みでした。偶には良いかなこんな話題も。
次回をお楽しみに。
面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価★★★頂けると投稿意が沸きます。
想や、誤字字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
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