《反逆者として王國で処刑された隠れ最強騎士〜心優しき悪役皇様のために蘇り、人生難易度ベリーハードな帝國ルートで覇道を歩む彼を幸せにする!〜【書籍化&コミカライズ決定!】》【120話】傭兵団戦(ペトラ視點)

【120】

來た道を急いで戻る。

アルディアと別れてから、度々大きな揺れが襲ってきていた。

「また揺れてんな」

「ええ。転びそうになるから厄介よね」

揺れは一定の間隔で、地上から地下水道へ伝わってくる。

私とスティアーノは、真っ暗な地下水道を全速力で駆け抜ける。

「おい、ペトラ……道はこっちで、本當に合ってんのか?」

「うるさいわね。私が方向音癡とでも言いたいわけ?」

「ああ」

「スティアーノ……アンタ、地上に出たらマジで絞めるわよ?」

「ぐっ……ぐるじい。もう絞めてる絞めてる……!」

「はぁ。次余計なこと言ったら分かってるね?」

「わ、分かったから……前見て走ってくれ……そこ分かれ道……!」

息を上げ走りながら、私たちは特設新鋭軍メンバーとの合流を急いでいた。

魔道による連絡がつかない以上、人員を分けての探索はリスクが大きい。

「はぁ……はぁ……」

呼吸が苦しくなるくらいに走り続けているが、一向に元來た場所には辿り著かない。

迷わないように道中に魔で痕跡は殘してある。

それを辿っているのだから、道を間違えるわけがない。

しかし、地下水道の薄暗くったような景は一向に変わらない。

「なぁ? やっぱ、どっかで道間違えたんじゃね?」

「魔の痕跡は確かにあるわ。間違いなく、こっちのはず……」

「その魔の痕跡がペトラの殘したものじゃない可能は?」

「は?」

「いや、は? じゃなくてさ。例えば……別の人間が殘したって可能とか」

この男は何を言っているのだろうか。

私たち以外にこんな場所に出りする好きは……。

好き、は……!

ピリッと電気が走ったように指先が痺れた。

「スティアーノ、頭下げて!」

咄嗟にぶと、前方からは勢いよく火球が飛んできた。

間一髪のタイミング。

頭上を通り抜けた火球は、地下水道の奧で鈍い音を上げた。

「あっ……ぶね! おい、今の……!」

──なるほど、そういうこと。

通りでこの地下水道から出られなかったわけね。

勢を低くしたまま、私とスティアーノは火球の飛んできた方向に目を向けた。

無數の足音が聞こえてくる。

──目的を忘れてたわけじゃないけど。スティアーノに言われるまでその可能に気付けなかった。

私たちはこの地下水道で人を探していたのだ。

謎の傭兵団。

帝國の脅威となるかもしれない存在を排除するためにいていた。

どこで遭遇してもおかしくはなかった。

そしてその遭遇する瞬間が──。

「出たわね……謎の傭兵団」

──今なのだ。

「マジか……結構人數多そうだな」

「通路は狹いから、連戦になるかもだけど囲い込まれてやられることはないわ。冷靜に対処するわよ」

「おっけ」

火球が飛んできたということは、魔師もいる。

意識外からの攻撃が飛んでくる可能があるから油斷はできない。

「スティアーノ。前に出て」

「ああ、分かった」

「私が魔で敵を蹴散らす。生け捕りは、余裕ができてからよ」

足音からして、數十人単位でいている。

私とスティアーノの二人だけで相手をするのなら、生かしておく余裕はないかもしれない。

──殘してきた兵たちが心配ね。あと、アルディアのことも。

懸念點はいくらでもある。

けれども今は、目の前にいる敵と戦うだけ。

橫に立つ彼と視線をわしながら、ゆっくりと間合いを図る。

「……出てきなさい!」

暗がりに向かって、大聲で呼びかける。

すると傭兵団はあっさりと現れた。

全員が武裝しているが、大した裝備ではない。

市販で流通しているような安い軽裝備に、素や顔を隠すように黒いローブを著込んでいる。

の質もまあまあ。

剣や槍は、特設新鋭軍で支給されているものの方が遙かに質がいい。

問題は敵がどれくらいの実力かってところだけだ。

──見たところ。ちゃんとした魔師は一人だけ。

師らしく、一番後方で偉そうに突っ立っているのが、最も警戒すべき敵。

顔は……霧がかかっているかのように見えてこない。

恐らくは、意図的に魔で隠している。

「アンタたちが噂の傭兵団ね。大人しくお縄につきなさい!」

「……それで降伏する相手だと思ったら、大間違い」

「ふーん。……」

聲質にも々と手がっているが、言葉遣いから魔師はだと判斷できた。

まあそれが分かったところで、狀況が変わるわけでもないが。

抵抗するなら、武力行使をするしかない。

私は手をかざし、スティアーノは同じく剣を引き抜いた。

「アンタ……分かってるわね?」

「當たり前だろ。何年の付き合いだと思ってんだよ。全員殘らず潰すんだろ」

「……威勢だけは一丁前ね。ヘマやらかしたら怒るから」

適當に言葉をわし、そのまま傭兵団の方に意識を向けた。

戦い方は至極シンプル。

スティアーノが相手を牽制し、その間に私が魔を使って一網打盡にする。

大丈夫。私は魔の天才。

生半可な相手に負けるなんてことはない。

あの日。

學校でアルディアとスティアーノと出會い私は変わった。

の強さを間近で見て、自分がいかにの程知らずかということを知った。

そして今の私は、士學校の頃よりも遙かに強くなった。

の程を知る側から──知らしめる側に、なってみせる!

「さあ。行くわよ!」

「おうよ!」

それに橫には、友人として長い時間を共にしてきたヤツもいる。

負ける気は微塵もしなかった。

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