《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》24話 明日に向かって撃つこと

明日に向かって撃つこと

「っしぃいい・・・!!!」

倒れたままのネオゾンビに向けて、大地を蹴る。

耳障りな笑い聲を上げ続ける、そのに向けて。

そのまま、勝ち誇ったまま、寢てろォ!!

「ああああああっ!!!!!」

鋭く痛みを訴えてくるを無視し、兜割を大上段に振りかぶる。

「っしゃあ!!!」

踏み込みと同時に、振り下ろす。

狙いは、足首!!

「ギャッガッガガガガガガ!!!!」

「っぐぅう!!」

およそ人間のではありえない可域で持ち上がったネオゾンビの足が、それを迎撃した。

兜割と裝甲板が火花を散らし、一瞬焦げ臭い空気をじる。

「ギッギギギギギ・・・!!!」

仰向けに倒れたままの狀態で、ネオゾンビのもう片足がく。

「っちぃ!!」

打ち合わせた兜割を引き、後方へ跳ぶ。

さっきまで俺の頭があった場所を、足が薙いでいった。

「デタラメな、しくさりやがって・・・!」

なんだ今の攻撃は!?

ざっと見ただけでも関節と膝があり得ない向きにいたぞ!

「ッギ・・・・ギャバババババババババ!!!!!」

ゴキゴキと両足が鳴り、ネオゾンビのねじれた関節が本來の位置へ戻る。

そのまま、奴は勢いを付けて跳ね起きた。

「ッギィイ・・・?」

跳ね起きたが、先程破壊した親指のせいでぐらりと揺らぐ。

「っがぁああ!!!」

それを見逃さず、再度踏み込みながらの橫薙ぎを放つ。

ふらついた上の肘へ向けて。

「ぬぅうう・・・!!」

再びの金屬音。

兜割は、奴の肘から外側に向かって瞬時にびた裝甲板でけ止められた。

肘から剣が飛び出したような形だ。

くっそ、ちょっとカッコイイなそれ!ずるいぞ!!

「ガガアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

反対側の腕が翻り、俺へ向かってくる。

すぐさま地面を蹴って後方へ跳―――

その拳から、鋭い刃がびた。

「―――ッ!!」

軽く躱すだけのつもりだった足に、思い切り力を込めて蹴る。

「はぁッ!!」

滯空中に兜割を振り、俺の顔面目掛けて突かれた刃を払った。

そのまま著地し、下段に構えて攻撃に備える。

「ギガ・・・ガ」

ネオゾンビは追撃をせず、相変わらず壊れたままの親指の辺りを見ている。

・・・そうか、わかったぞ。

奴は、信じられないことに関節を任意に外したり緩めたりできる。

できる、が。

恐らく・・・攻撃によって破壊された部位に、それは適応されない。

『変化』はできるが『治癒』はできないということか。

なくとも、今は。

「グルルル・・・ガアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

親指のことを考えるのはやめたのか、ネオゾンビは俺に向けて吠えた。

そうだ・・・來い!

俺だけを認識してろ!!

民家の庭に倒れたアニーさんは、まだかない。

ネオゾンビに気取られないように確認したが、ヘルメットとマスク、それにライフルがくの字に曲がって破損しているのが見えた。

奴の投げたアンテナは、民家の外壁に斜めに突き刺さっている。

・・・直撃じゃなくて、なんとかライフルで防したんだろう。

それなら大怪我はしていないと思うが・・・頭を打ったんだな。

とにかく、奴にそれを気付かれるわけにはいかんのだ。

「ギャバアアアアアアアアッ!!」

「っし!っはぁあ!!」

振り下ろされる右手の刃をいなしながら防し、その勢いを乗せてに突きをれる。

質な手応えが伝わってくるが、の裝甲には確かに小さくヒビがった。

「ガッガアアアアアアアアアアアッ!!!」

今度は左手の刃が橫薙ぎの軌道で迫る。

「ふぅう、う!!」

それに合わせてを折る。

ヘルメットに刃がほんのし掠る

しゃがみ込む勢いで、兜割を無事な方の足の親指に叩きつけた。

「っぐ!?」

打撃をれた瞬間に膝からびる刃を後転しながらか躱し、跳ね起きて片手正眼の構えを取る。

「針鼠のDNAでもってんのか、お前・・・」

いや、よく考えたら針鼠は急に針がびたりはせんな。

・・・しかし今のあいつは隨分とトゲトゲだな。

ひっこめないのか、それ。

・・・いや。

「もしかして不可逆、か」

自分でばした部分は引っ込めることができないのか?

瞬時にばせるだけでもトンデモ能なことに違いはないがな。

「ギギッギギィ!!」

そんなことを考えていると、ネオゾンビが俺の方へ跳ぶ。

両腕を振り上げ、刃で斬り下げるつもりらしい。

だが、その姿勢は歪んでいる。

親指のダメージで、踏み切りに不備が生じたらしい。

その場で八相に構え、け止めるように見せつつ・・・後方に跳ぶ。

一瞬前の俺の場所を両刃が通過し、アスファルトに音を立ててめり込む。

「しぁああっ!!!!」

がら空きの頭部目がけて、大上段から渾の振り下ろし。

ヘルメットの頂點に兜割がめり込み、鈍い金屬音を響かせた。

・・・かったぁ!?

このヘルメット、コイツの裝甲板よりもいぞ!?

何でできてんだ!?〇ンダリウム合金製だって言われても信じるぞ!?

とにかく、ヘルメット狙いはナシだ。

「ッギィイイイ!!!」

アスファルトから引き抜かれた右手の斬撃を躱す。

無理な勢で薙ぎの斬撃を放ったネオゾンビが、踏ん張りが効かずに上を崩した。

左手はを支えるのに使っていて、すぐには攻撃をできないようだ。

―――好機!!

「おぉおあぁあ!!!!!!」

薙ぎを払った形で空いた右肩。

そこへ向けて、踏み込みながら兜割を振り下ろす。

一撃目。

裝甲板にヒビがる。

當てて振り抜いた兜割を縦に旋回させ、同じ軌道で振り下ろす。

二撃目。

更にそのヒビが大きくなる。

もう一度振り抜き、さらに加速させて旋回。

「ぬぅうううううあっ!!!!」

三撃目。

今度は振り抜かず、今までに乗せた力を全て打撃箇所に注ぎ込むように打つ。

裝甲板は澄んだ音を響かせて割れ、その下のに兜割が食い込んだ。

ぼぐん、というが手に殘る。

南雲流剣、奧伝ノ三『連雀・重(かさね)』

寸分たがわぬ場所に集中した衝撃は、ネオゾンビの肩関節を臼させることに功した。

「ギャバ!?ギャガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?!?!?」

ひどく傷むのか、左手で俺を攻撃することもなく。

ネオゾンビは吠えながら肩を押さえてのたうち回っている。

・・・今までのゾンビと違って、痛覚がはっきりしているのか?

それとも、脳の謎蟲が全にまで広がっているのか?

親指を砕いた時にはここまで大騒ぎしてなかったが・・・ううむ、わからん。

わからんが、ダメージを與えられたならヨシ!

「・・・時間も、ないしな」

兜割の先端から、アスファルトにが落ちた。

ネオゾンビ由來のものではない、俺のだ。

どうやらまたしても合が開いてしまったようだ。

この調子だと長引きそうではある。

が、ここで死んだら元も子もない。

「ガッガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

「うおっ!?」

さっきまで痛がっていたと思ったら、ネオゾンビは無事な左腕を出鱈目に振り回し始めた。

同時に、腕のいたるところから染み出すように裝甲板が追加されていく。

肘から下の部分が、特に顕著だ。

裝甲は寄り集まり、腕全を覆う。

「ギャガアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

「ぬお!?」

俺に向かって振った左腕は、あっという間に二倍近い長さになっていた。

首を刎ねる軌道のそれを、地面に沈み込んで回避。

かぁん、という何とも言えない音が聞こえた。

「・・・マジ、かよおい」

回避しながら後方を確認すると、電柱から続く固定用?のワイヤロープが4本切斷されていた。

避けてなきゃ、俺の首なんかスパン!だな。

「グウウウッグウウグウウウウウウ・・・!!!」

明らかに俺を睨みながら、ネオゾンビが誇示するように腕を水平に構える。

・・・本來は手首があるだろう位置から、剣のように鋭い裝甲板が生えていた。

なんちゅう切れ味だ、ここへ來て余計な武までこさえやがって・・・!

さすがに兜割はあのロープよりも頑丈だろうが、かと言って何回も攻撃をけ続ければ・・・想像もしたくない。

さっき淺く切り込まれたしな。

「へっ、隨分とまあ多蕓多才なこって。次は南京玉すだれでもやってくれんのか?ええおい?」

心の驚愕を戦意で塗りつぶし、を張る。

気持ちで負けたら、ここで死ぬ。

こんな所で死ぬ気はサラサラない。

「グルルルル・・・ウ?」

ふと、ネオゾンビの視線が俺の上へく。

訝しそうに首まで傾げている。

俺の後ろに何か―――

待て、さっき俺は何を見た?

切れたワイヤロープ、電信柱。

そして・・・!?

「うっらぁあ!!!」

即座に踏み込みつつ兜割を振り下ろす。

腕によってガードされるが、剣の部分は避けた。

「ガガガガ・・・ギッギッギギッギギギギギギィ!!!」

「癪に障る!から!笑うんじゃねえ!!」

間違いない、奴に見られた!!

電信柱にくっ付いていた、『カーブミラー』を!!

くそ、位置的にアニーさんを確認された可能が高いぞ!!

「ギイィイイイイ・・・!!ガアアアアッ!!!!」

「ぐぅ!?」

ネオゾンビは笑ったまま、恐るべき膂力で兜割を跳ね上げた。

そのまま、を半回転させて背後へ向こうとしている。

目の前の俺という敵を無視し、死にの獲を狙うき。

そこには、今までのゾンビにはない確かな『知』があった。

恐ろしい、恐ろしい相手だ。

「させる・・・かぁあ!!」

跳ね上げられた兜割を、その勢いを乗せたままの側面で回転させる。

それによって加速した一撃が、ネオゾンビの首筋に叩き込まれた。

くっそ!打點がズレた!!

よりによって一番裝甲が分厚い部分に當たっちまった!衝撃が逸らされたぞ畜生!!

だが、時間は稼げた。

首を打たれたことでバランスを崩し、ネオゾンビは地面に片膝をついた。

それを見逃さず、がら空きの背中に飛び込む。

「っふ!!」

背中の中心あたりを蹴りつけ、さらに上へ跳ぶ。

肩を足場に踏み切り、ジャンプしながら空中でを半回転。

アニーさんの方に行こうとしているゾンビの前方を塞ぐルートに著地しながら、落下の勢いを乗せた一撃をヘルメットに叩き込んだ。

今度は重力パワーも加わっているので、先程とは違って切っ先はヘルメットにしめり込んだ。

金屬と金屬がぶつかり合い、火花が散る。

「ッギィイ!!」

これで、俺はネオゾンビとアニーさんの間に割り込むことができた。

理的に、俺をどかさなければこいつは彼にたどり著けない。

だがそれは、俺にとってのある事実も示している。

奴の攻撃を、躱すことが許されない。

先程のように大きくき回って攻撃を回避すれば、その隙に後ろに回られてしまうだろう。

そうなれば、意識のないアニーさんは完全に無防備となってしまう。

まさに赤子の手を捻るように、その命は刈り取られてしまうだろう。

だから、俺はコイツの前をかない。

くわけには、いかない。

「グググルグルルル・・・ッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!!!!!!!!!!」

『そこをどけ』と言わんばかりに、ネオゾンビが吠える。

その咆哮は、理的な圧力すらじさせるように俺の全を叩く。

震えそうになる足。

ひりつく背中。

怖い。

逃げたい。

だが、だが。

ここで逃げれば、俺は一生後悔する。

ここで死ぬよりもきっと、後悔するに決まってるんだ!!

「キャンキャンうるせえなあさっきから・・・吠えるのがてめえだけの専売特許だと思うなよ?」

歯を噛み締めて、兜割を構える。

構えは下段、重心は前。

積極的な防の姿勢。

ゆるく息を吸い込み、短く吐く。

「―――來いよ、化け

呼気と共に、怯えと恐怖を吐き出すように。

「てめえの、相手は、俺だァ!!!!!!」

戦意を、殺意を咆哮に乗せる。

「來いやあああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!!!!」

「グルウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」

俺に負けじとネオゾンビが吠え、長大な腕が振りかぶられた。

「う・・・ぬ、ぐ」

くように聲をらす。

頭が酷く傷んだ。

目を開くと、ぼやけた視界に忌々しいほど青い空が見える。

なんだ、私は・・・一、どうして。

そこまで考えて、意識が覚醒し始める。

そうだ、私はイチローの援護をしていて、それで・・・攻撃を。

ライフルで咄嗟にけ止めた所までは覚えているが、その先はまるでわらない。

鈍痛を訴えているのは、額よりし上。

あのアンテナが、ヘルメットを破壊しながら軽く接していたのか。

左目の視界がやけに赤く、ぼやけるのは出があるせいだな。

表皮は裂けているだろうが、致命傷ではないだろう。

頭部の出は見た目が派手だ。

・・・こうして論理的な思考ができるのは、脳に大きなダメージがないことを表している。

素早く思考し、全の狀態をチェック。

思った通り、傷は頭だけ。

腕も足も大丈夫だ。

軽い脳震盪で失神していただけのようだな。

早く戦線に復帰しなければ。

イチローは凄まじく高い水準の戦士だが、私が働かない道理はあるまい。

「うっ・・・ぐ」

を起こすと、足元に転がった銃が見えた。

くそ、バレルもチャンバーも何もかもオシャカか。

使いやすくて気にっていたが、あれでは修理もできまい。

ジエイタイが予備を持ってきてくれることを祈ろう。

しかし、隨分と騒がしいな。

私はどれほど失神を・・・

まだ視界がはっきりしない。

何度か強引に目をると、やっと遠くの風景が見えた。

―――見えたのは、イチローの背中。

この島で知り合った、現代に生きるサムライ。

明るく、優しく、そして心が壊滅的にわからない唐変木の背中。

それでいて敵対的な人間の脳天をためらわずに叩き割る、異質な男の背中。

その向こうに、ゾンビが1

私が知っている先程の姿とは違い、左腕が2倍ほどの長さになっている。

しかもその半分ほどが、黒りする長大な刃のように変形している。

見るからに鋭そうなそれを、ゾンビは凄まじい勢いで振り回している。

攻撃が來るたびに、イチローの腕が別の生きのようにく。

空中に火花が散り、れるだけで致命傷になりそうな攻撃を逸らし続けている。

片目だけの視界では判別し辛いが、打ち合うのではなく刃以外の部分をけ流し続けているようだ。

・・・なんという、戦闘技能。

一撃貰えば絶命必至の攻撃を、恐るべき度でいなし続けている。

呆けたように見つめている私の頬に、何か暖かいものが飛んできた。

そのまで滴り、ある意味馴染みのある味を伝えてきた。

これは、だ。

イチローの、だ。

彼のインナーの袖口から、なくない出が見える。

腕か、背中か。

私がった傷のどれかが、いやもしかしたらどれもが・・・破けている。

死する量ではないが、間違いなく力は消耗している。

イチローは、私の前をかない。

先程のように縦橫無盡にき回って攻撃を躱すことはなく、大地にどっしりと足を下ろしてひたすら迎撃を繰り返している。

何故だ、何故・・・

―――私を、守るためか。

それに気付き、心臓がきゅうと痛む。

意識を失った私を発見し、守るためにそこにいるのか。

を流して、消耗し続けながらもそこをかないのか。

なんでキミは、そんなにも強い。

私をしているわけでもないのに。

なんで、他人の為にそうまで命をかけられるんだ。

雄々しい雄たけびを上げながら、武を振るい続けるイチローを見る。

・・・くそ、私ともあろうものが。

守られるだけのに、なるつもりはない。

そういうセンチメンタリズムは、持ち合わせていない、はずだ。

「待ってろよ、イチロー・・・」

ライフルは死んだが、まだ武はある。

防弾ベストの側に手をれ、私が最も頼りにしている『相棒』を握りしめた。

さあ、かましてやろう。

地面に手をつき、脳震盪の後癥でふらつくを持ち上げた。

「ギャガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

「ぬぅう・・・あっ!!!」

袈裟斬りの軌道で振るわれる腕。

その肘の部分に、兜割を添えていなす。

もう何度繰り返したかわからない工程を経て、刃は俺のを刻む軌道から外れた。

「ガアアア!!!ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

苛立つように吠え、いなされた腕を引き戻すネオゾンビ。

まだまだ元気だなあ、畜生。

・・・決定打が、ない。

現狀はいなし続けているだけだ。

何故かは知らんが奴が腕の攻撃ばかりしてくるので助かっているが、攻撃を加える暇がない。

通常ならいなした瞬間か躱した瞬間にカウンターをぶち込むんだが、今は無理だ。

あまり派手にくと、その隙に後ろのアニーさんに攻撃されるかもしれん。

が意識を取り戻すまで、このままの狀態を維持しなければならない。

インナーはでじわじわりつつあるが、まだ大した量ではない。

だが、このままじゃいずれは・・・いや!弱気になるな!死ぬぞ一朗太!!

鍛治屋敷に比べればコイツなんざ、ただ力が強くてちょいと頭が回る程度のもんだ。

「グルウルルウウ!!!」

ネオゾンビが、腕を大きく振り上げた。

大上段に。

・・・なるほどなあ!いなされまくって『學習』しやがったか!

直上からの攻撃はいなすのが簡単であり難しい。

正確には、『きながら』いなすのは簡単だが、『かずに』いなすのが難しい。

いつもなら懐に飛び込むところだが、今はけない。

・・・気は進まないが、まずはけ止めて・・・渾の力で逸らすしかない!

さあ來い!この野郎ォ!!

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

大上段からの振り下ろしを、頭上に橫倒しでかかげた兜割でける。

剣の元に近い場所でけたのに、なんて圧力だ!

「っぐ、ううぅう・・・ああああっ!!!」

瞬間的に凄まじい重さが襲ってくる

片手ではなく、左手は峰に添えて両腕で兜割を支える。

腕だけじゃなく、背中にも思い切り力を込める。

背中側の合が切れたがあったが、気にしてはいられない。

「ゴオオオラアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!」

ごと俺を圧し潰そうとする、そのバカげた力に耐える。

もうしだけ向こうに力を出させ、一気に左右どちらかへ逸らす!

アニーさんが起きるまで、俺は絶対にかんぞ!ここをな!!

「背中を、借りるよ、イチロー」

背中に熱をじる。

聞き馴れた聲も。

アニーさん!無事だったのか!!

どうやら背中にを持たれかけて立っているようだ。

「それに、肩もな」

その言葉と同時に、右肩に何か重いものを乗せられる

目をかすと、銀る・・・拳銃の先端、か?

しかし、拳銃にしては長い上に重い。

俺の持ってるリボルバーなんか比べにならないくらいに。

冷たくじるアニーさんの手が、右耳を塞ぐ。

を保護してくれるのかな?

「さっきは、ご馳走してくれたな、化け

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!」

アニーさんの聲に応じるように、ネオゾンビは大口を開けて吠えた。

「奢ってやろう、50口徑だ・・・Take this(喰らえ)!!!!!」

その開いた口に向けて、銃聲というにはあまりにも大きい轟音が響いた。

支えにしている右肩にも凄まじい衝撃が伝わる。

マズルフラッシュで明滅する視界の中、ネオゾンビの後頭部から花が咲くようにが噴出するのが見えた。

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