《僕の姉的存在の馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜》

學校に行く時って、必ずと言っていいほど確認する。

制服をしっかりと著こなしているかどうかを──

スカートの丈がし短く、いただけで翻ってしまい、中の下著が見えそうになっちゃうけど、気にしたら負けだと思う。

「おはよう、弟くん」

「おはよう、香奈姉ちゃん。その……」

私の家の玄関先で待っていた楓は、何かを言いかけようとしたが、口を閉ざす。

なんだろう。

私、楓に何かしたのかな?

「どうしたの?」

「ううん。なんでもない。香奈姉ちゃんは、いつもどおりだなって思って」

「なによ、それ? いつもどおりって言われたらたしかにそうだけど……」

私は、そう言って楓と一緒に歩き始める。

そうしていつもどおり楓と一緒に登校していると、途中で奈緒ちゃんと會う。

「おはよう、香奈。楓君も──」

「おはよう、奈緒ちゃん」

「奈緒さん、おはようございます」

奈緒ちゃんは、どうしてなのかわからないが私の隣ではなく、楓の隣を歩き出す。

楓は、特に変わった様子はない。

見たじはいつもどおりだ。

「ねぇ、楓君」

「ん? どうしたんですか? 奈緒さん」

「今日は、あたしと付き合えるかな? ちょっとした用事があってね」

「変な用事でなければ、別にいいですけど。何かあったんですか?」

「ここでは、ね。ちょっと説明しづらいかも……」

奈緒ちゃんは、私の方をチラリと見てそう言っていた。

ここでピンときた。

私に聞かれたらマズイ話だということに……。

それに奈緒ちゃんのあの目は──

「奈緒ちゃんが困ってるんだから、しっかりと聞いてあげないとね」

私は、笑顔でそう言った。

「香奈姉ちゃん……」

楓は、何かを訴えかけるような目で見てくる。

楓には悪いけど、奈緒ちゃんのスキンシップに付き合ってあげられるのは、あなたしかいないんだよ。

ここはぜひ、頑張ってもらわないと──

私と奈緒ちゃんとは昔からの親友だから、目を見ればわかってしまう。

もしかしたら、奈緒ちゃんにもわかっているのかもしれない。

今の私と楓の関係が──

「香奈もこう言ってるんだし。いいよね?」

奈緒ちゃんのその言葉は、逆を言わせたら『まさか斷らないよね?』っていう風にも聞こえてくる。

現にそう言って楓に迫っている時、制服の元の襟がし開いていて下著がチラッと見えていた。

奈緒ちゃんなりに楓をしているのがわかる。

ちなみに、はピンクと白のツートンカラーだった。

奈緒ちゃんも、そんなの下著を著用するんだな。

もしかして、楓のためにそんな下著を?

楓は、奈緒ちゃんから視線を逸らして言う。

「す、しくらいなら……」

ばっちり見ちゃったくせに今さら視線を逸らすとか、ありえないんだけどな。

まったく、楓ったら……。

「ありがとう、楓君」

奈緒ちゃんは、とても嬉しそうな表を浮かべる。

奈緒ちゃんのスタイルはかなり良い。

楓の心を摑むには充分だろう。

私も負けられないって思えてしまうくらいに……。

放課後。下校時間。

今日の授業が終わると、奈緒ちゃんは私よりもはやく帰っていった。

行ったところは、すぐにわかる。

「ねぇ、香奈ちゃん」

聲をかけてきたのは、理恵ちゃんだった。

きっと奈緒ちゃんがいないので、不思議に思ったんだろう。

私は、帰り支度をしながら返事をする。

「ん? どうしたの、理恵ちゃん?」

沙なんだけど、どこに行ったか知らないかな? なんか見當たらないんだよね……」

「え……」

見當違いの質問に私は驚いてしまい、周囲を見渡す。

たしかに、沙ちゃんの姿がない。

學校を休んだとは聞いてないし。

そういえば、奈緒ちゃんが帰ってしまったタイミングでいなくなったような。

もしかして──

「まさか、ねぇ……」

私は、つい言葉に出してしまう。

その言葉が聞こえていたのか、理恵ちゃんは思案げな表で訊いてきた。

「なにか心當たりでもあるの?」

「どうだろう。あるって言えばあるし、ないって言えばないかなぁ……。どちらにしても、ちょっと説明しづらいかも」

私は、どちらともとれないような表現で言う。

理恵ちゃんは、どちらかといえば消極的なタイプだ。

私の返答一つで、答えを決めると思っていい。

「そっか。それなら、聞かない方がいいのかな?」

「奈緒ちゃんに聞けばわかるんじゃないかな。先に帰っちゃったからどうにもならないけど、たぶん弟くんのところにいると思うよ」

「楓君のところか……」

「どうする? 弟くんのところまで行ってみる?」

神妙な表を浮かべて言う理恵ちゃんに、私は訊いてみる。

すると理恵ちゃんは、不安そうな表で私を見てきた。

「香奈ちゃんが付き合ってくれるのなら……」

「私は、別に構わないよ」

即答してしまうあたり、私も奈緒ちゃんのことが気になってるんだと思う。

沙ちゃんの事も、だけど。

「ありがとう、香奈ちゃん」

理恵ちゃんは、とても嬉しそうにお禮を言っていた。

男子校にたどり著いたものの、そこに奈緒ちゃんの姿はなかった。

まさに『一足違い』と言ったところだろうか。

「奈緒ちゃんは、いないね。どうやら、弟くんと帰っちゃったみたいだね」

沙もいないみたいだし。一、どこへ行っちゃったんだろう……」

理恵ちゃんは、沙ちゃんも奈緒ちゃんと一緒に行しているものと思っているみたいだ。

たぶん違うと思うんだけど。

沙ちゃんに関しては、たぶん奈緒ちゃんたちとは違うところに行ったんじゃないかな」

「わかるの?」

「うん。たぶんね」

斷言はできないけど、だいたいはわかってしまう。

沙ちゃんの場合、単獨行が結構多いから。

今回の場合は、約束もしてないだろうし。

「そっか」

理恵ちゃんは、やっぱり寂しそうだった。

普段から仲がいいもんね。沙ちゃんと理恵ちゃんは──

そういえば、楓と理恵ちゃんが一緒の時ってあまりないけど、どうなんだろう?

やっぱり仲良しなのかな。

改めてそんな事を聞けるような雰囲気ではないし。

「どうする? 沙ちゃんが立ち寄りそうなところを行ってみよっか?」

私は、そう提案してみた。

奈緒ちゃんなら、大丈夫だろうと思ったからだ。

まさかエッチなことはしないだろう。

とりあえずは、沙ちゃんを追いかけてみるのが最適解だ。

「うん。そうだね」

理恵ちゃんは、不安そうな表を隠しもせずにそう答えた。

沙ちゃんの行範囲は、理恵ちゃんが一番よく知っているはずだから、知らないところには行ってないだろう。

「それじゃ、早速だけど行ってみよう」

私は、そう言って歩きだした。

目的地もなく歩くのは、あまり推奨はしないんだけど……。この際、仕方ないか。

ナンパにさえ気をつければ、大丈夫だろう。

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