《チート能力を持った高校生の生き殘りをかけた長く短い七日間》第二十話 契約
ナナの表が固まっている。
何を考えているのか想像ができる。多分、俺でも同じ事を言われたら、考えてしまうだろう。
「ねぇリン君。もしかして、新しくマガラ渓谷を越えられる場所を見つけたの?それとも、作ったの?」
「違う。神殿の権能で、ゲートを設置した」
「ゲート?」
「転移ができる門と言えばわかるか?」
「・・・。リン君。頭、大丈夫?それとも・・・。ニノサがうつった?」
「ひどいな。大丈夫。どこにもぶつけていないし。信じられないのは、しょうがないけど、今はゲートがあると思って、話を進めてくれ」
「・・・。わかった。その言い方が、ニノサと同じなのが気になるけど、いいわ」
「メルナの屋敷の近くから、神殿にるゲート。メルナの近くにある森の中心部から神殿にるゲート。アロイから街道にでて、複數の街道がわる場所にある森の中から神殿にるゲート。神殿から3か所に出ることができるゲートだ」
ナナを見ると、何か考えている。
説明を続けて大丈夫なようだ。ミトナルも、俺の話で大丈夫だと頷いている。マヤは、変わらない。ナナが用意したお菓子を妖の姿で貪っている。妖の姿だとお菓子が素晴らしく大きく見える。ミトナルが言っていたけど、妖の姿の時なら食べなくても大丈夫だと・・・。嗜好品のじなのだろうか?おいしそうに食べている。両手で持って、齧っている。
迫が薄れるから、マヤはマヤのやりたいことをさせておこう。ナナも、考えながら、マヤを見ているじがする、
「ナナ。ゲートの設置には條件がある」
「條件?」
「設置できる數と場所だ」
「そう・・・。でも、マガラ渓谷を越えられるのよね?」
「越えられる。神殿の中を移することにはなるが、現狀のマガラ渓谷を越える工程よりは安全だ。まず、落ちる心配はない。そして、魔も出ない」
「そうね。それだけで、十分ね」
「あと、馬車もそのまま通ることができる。”セトラス商隊が通り抜けられる”と、言えば解りやすいか?」
「え?あっ・・・。そうなのね」
「どうした?」
「渓谷の警備隊の奴らが、”セトラス商隊が數年ぶりにマガラ渓谷に向かっている”と、話していたのを聞いてね。心配をしていたの・・・」
「心配?」
「警備隊の連中が、見境が無くなってきていて・・・」
ナナの話を簡単にまとめると、商隊や行商人がマガラ渓谷を越える時には、王國が定めた支払いが行えれば大丈夫という取り決めがあった。ここ數年は、それも形骸化してしまっていた。それが、最近になって商隊や行商人からの訴えを聞きれて、何人か警備隊の連中が左遷される形で他部署に回された。アゾレムの領主命令で、通行に必要な支払いではなく、設備の利用料を徴発するようになった。それも、気分で変わる。
大手の商隊や行商人は、マガラ渓谷を避けるようになる。
「それで?セトラス商隊がどう関係する?」
「警備隊の連中は、久しぶりの商隊が來るから、どれだけの収になるとか、何を買うのだとか・・・」
「あぁ・・・。そうか、それで、急にセトラス商隊が消えたように居なくなったから・・・」
「そう、上にも報告を出しているみたいだし、大慌てね。先走った奴は、まだってきてもいないのに・・・」
「そこまで、劣化しているのか?」
「酷いものよ。マガラ渓谷が越えられなくて、長逗留している人も出始めているよ」
ナナの愚癡は止まらない。
マカ王國からの輸品は、アロイで安く買いたたいて、アゾレムの用商人が王都で高く売りさばく。
自分たちの首を絞めているのがわからないのか?
「ナナ。話を戻して、神殿の権能で、簡単な建を作ることができる」
「え?」
「アロイの街道沿いとメルナの森に村を作った。メルナ側は、舊アゾレム領や近隣から逃げ出した隠里の者たちを致できないか考えている
「・・・」
どうやら、隠里の事も何か知っているのだろう。
雰囲気から、隠里が形されるのに、ニノサあたりが関係したのだろう。今でも、サポートを続けている可能がある。ナナが、アロイで宿屋を経営している理由がわからなかったが、今の表でなんとなくだけど推測ができた。
報を収集して、マガラ渓谷を越えた場所にあるアゾレムや宰相派閥の報を収集するのが目的なのかもしれない。問い詰めても、意味がないことだし、放置だな。何か、必要になれば教えてくれるだろう。
「ナナ。アロイ側に作った村の村長をやってくれないか?」
「ねぇリン君」
「なんだ?」
「何を言っているのか理解をしている?」
「わかっている。ナナに、この店を閉めて、俺に協力してくれと言っている。それも、最初に狙われる場所で、危険な立場になる。聞き方によっては、”死んでくれ”と言っているのと同じことを頼んでいる」
「はぁ・・・。本當に、ニノサにそっくり」
「え?」
「教えてほしい事があるの?」
「なんでしょうか?」
「なんで、私なの?リン君は、神殿を統治するからダメだとしても、ミトナルちゃんもいるし、どうやらセトラス商隊も仲間なのでしょう?この流れだと、あの腹黒ローザスや険ハーコムレイ辺りも絡んでいるのでしょ?ナッセやアッシュとも繋がっているのでしょう?」
「ナナが名前を上げた中で、俺が信用して、信頼をしているのは、ミトナルだけだ。そして、マヤだ。次に、信頼しているのが、ナナだから、ナナに任せたい。俺とミトナルは、戦場にを置くことになる。だから、俺とミトナルを除いて信頼できる人に、一番厄介で一番危険で一番難しい場所を頼みたいと考えた。答えになっていないか?」
「セトラス商隊は、”商”に偏っているけど、ナッセ・ブラウンなら任せられるのでは?」
「ナッセは、神殿でギルドをまとめてもらう」
「・・・。厄介よね」
「え?」
「その目よ。ニノサと同じ。逆らうのが難しい・・・。わかったわ。その難しくも、楽しそうな役目を引きけるわ。でも、條件はつけさせてほしい」
「條件?なんでもは難しいけど、できる限りは葉える」
「ダメよ。絶対に、葉えてもらう」
「・・・。わかった。ナナは、俺に何をむ?」
ナナは、俺とミトナルを見てから、天井を見つめる。
天井ではなく、遙か上空を見上げているようにも思える。そして、口元が歪む。何か、面白い事でも思いついたのか?違うな。誰かと會話をしているのだろう。
「リン君。10年後。ううん。20年後に、お酒を飲みながら、ニノサの悪口を言い合いましょう。それまで、勝手に死なないで、私に緒で戦場には行かないで、もう誰かを見送るのは・・・。無理なの・・・」
「わかった。10年後には、昔のナナが知っている母さんのを教えてくれ、そして20年後にニノサの悪口を言い合おう」
「素敵ね。私の役割は、”村を守ること”でいいの?」
「”無理のない範囲で”を頭につけてくれ、防衛に必要な人員の確保も頼むが、アッシュをかすのと、ハーコムレイとローザスから借りを返してもらうつもりだ」
「あと、ガルドバも一緒でいいわよね?」
「もちろん」
「それなら、人員はガルドバの伝手を使ってもいいわよね?」
「任せる」
「あと、敵はアゾレムだけ?」
「違う。教會も敵になる可能がある。宰相派閥が敵だ」
”俺と同世代の男が敵になる可能が高い”は、言葉にしないで飲み込んだ。
「それは、ガルドバが喜びそうね。リン君。あと一つお願いがあるの?」
「ん?」
「村の名前は決まっている?」
「決めていない。作っただけで、誰も住んでいないから、これからだ」
「それなら、私に決めさせてもらえる?アゾレムと教會への嫌がらせになると思う”名”があるのよ」
「わかった。ナナに任せる」
「うん。リン君。それでは、契約しましょう」
ナナが羊皮紙を取り出して、”アスタ”と名前を書いて、指を噛んでを羊皮紙に押し付けた。
俺も同じことを行う。なぜか、ミトナルとマヤも同じようにする。妖の狀態だとが出ないので、ミトナルとれ替わってを羊皮紙につける。
「ナナ。これは?」
「探索者や傭兵で行われる契約ね。お互いに決められたことを守るという誓いを立てる・・・。ニノサとサビニは、契約を破ったのだから、悪口を言われてもしょうがない・・・。のよ」
「そうか・・・」
ナナが立ち上がったので、俺たちも立ち上がって、ナナが差し出した手をしっかりと握る。
ナナがガルドバを呼びに行って、概略を話すと、ガルドバも羊皮紙に名前を書いてを押し付けた。俺だけのけ者にして楽しそうなことをするなと怒られてしまった。
- 連載中48 章
【電子書籍化】殿下、婚約破棄は分かりましたが、それより來賓の「皇太子」の橫で地味眼鏡のふりをしている本物に気づいてくださいっ!
「アイリーン・セラーズ公爵令嬢! 私は、お前との婚約を破棄し、このエリザと婚約する!」 「はいわかりました! すみません退出してよろしいですか!?」 ある夜會で、アイリーンは突然の婚約破棄を突きつけられる。けれど彼女にとって最も重要な問題は、それではなかった。 視察に來ていた帝國の「皇太子」の後ろに控える、地味で眼鏡な下級役人。その人こそが、本物の皇太子こと、ヴィクター殿下だと気づいてしまったのだ。 更には正體を明かすことを本人から禁じられ、とはいえそのまま黙っているわけにもいかない。加えて、周囲は地味眼鏡だと侮って不敬を連発。 「私、詰んでない?」 何がなんでも不敬を回避したいアイリーンが思いついた作戦は、 「素晴らしい方でしたよ? まるで、皇太子のヴィクター様のような」 不敬を防ぎつつ、それとなく正體を伝えること。地味眼鏡を褒めたたえ、陰口を訂正してまわることに躍起になるアイリーンの姿を見た周囲は思った。 ……もしかしてこの公爵令嬢、地味眼鏡のことが好きすぎる? 一方で、その正體に気づかず不敬を繰り返した平民の令嬢は……? 笑いあり涙あり。悪戯俺様系皇太子×強気研究者令嬢による、テンション高めのラブコメディです。 ◇ 同タイトルの短編からの連載版です。 一章は短編版に5〜8話を加筆したもの、二章からは完全書き下ろしです。こちらもどうぞよろしくお願いいたします! 電子書籍化が決定しました!ありがとうございます!
8 176 - 連載中18 章
天才少年、異世界へ
自身のことを、ありふれた高校生だと思っている主人公木村弘一郎が、異世界で一人だけ加護を貰えなくて苦労する、と思いきや持ち前のハイスペックで自由に生活していく話です。 初めての作品なので、期待しないでください。
8 162 - 連載中54 章
ドラゴンテイマーにジョブチェンジしたら転生してた件
MMORPG『スカイ・アース・ファンタジア』のサービス終了のお知らせ。 それを知った主人公の大空 大地(おおそら たいち)は、最後のアップデートで実裝されたドラゴンテイマーになろうと決意する。 その後、なんとか手に入れたジョブチェンジ用アイテムを使った結果、MMORPG『スカイ・アース・ファンタジア』のもとになった世界へと転生してしまうのであった…… これは、強くてニューゲームしてドラゴンテイマーとなった男が、異世界で第二の人生を送る物語である。 ※.第一章完結しました。 ※.1週間に2、3話の投稿を目指します。 ※.投稿時間は安定しませんがご容赦ください。
8 135 - 連載中74 章
最強になって異世界を楽しむ!
現代高校生の近衛渡は、少女を庇って死んでしまった。 その渡の死は女神にとっても想定外だったようで、現実世界へと戻そうとするが、渡は1つの願いを女神へと伝える。 「剣や魔法が使える異世界に行きたい」 その願いを、少女を庇うという勇気ある行動を取った渡への褒美として女神は葉えることにする。 が、チート能力など一切無し、貰ったのは決して壊れないという剣と盾とお金のみ。 さらに渡には、人の輪に入るのが怖いという欠點があり、前途多難な異世界生活が始まる。 基本的に不定期更新です。 失蹤しないように頑張ります。 いいねやコメントを貰えると勵みになります。
8 125 - 連載中10 章
職に恵まれた少年は世界を無雙する
ある日突然、出雲高等學校2年2組にやってきた、異世界から來たというエルバという人間。 その異世界は今、滅亡寸前!助けを求めてやってきたらしい。主人公はその異世界を救うために異世界へ転移した。ありきたりなファンタジーがここに來る! チート級スキルの主人公無雙! 感想とか間違いとかコメントくれたら嬉しいです!入れて欲しいキャラとかこうして欲しいとかあったら遠慮なくコメントしてください。 表紙→picrew「君の世界メーカー」 Twitter→真崎マサキ @skmw_i 投稿→不定期 気長に待てる人は読んでください。
8 198 - 連載中19 章
完璧超人がスライムに転生した結果
完璧超人の轟純也は自分が嫌いだ。 何をしても目立ち、自由が無い自分。 死ぬ間際に「不自由でもいいから、自由に生きたい!」と願いを言うと、謎の聲と共に意識が浮上し、気がつくと體がスライムになっていた! これは、元完璧超人のスライムとしての冒険の物語である。 息抜きと言いつつ、本編よりハイスピード!
8 176