《僕の姉的存在の馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜》

「それで? 香奈とは、どこまで進展したの?」

「それについては……。えっと……」

そう言って迫ってくる奈緒さんに、僕はなんて言ったらいいのかわからず、うつむいてしまう。

言葉を詰まらせてしまうのがよくないのは、前々からわかっている。

特にも、奈緒さんには逆効果なのも──

やはり場所が奈緒さんの家の近くにある公園というのが、僕にとってはよくないのかもしれないが。

「隠すようなことかな? あたしには、ちゃんと言ってほしいんだけど」

そんな不機嫌そうな表で言われてもなぁ。

答えられる事と、そうでない事があるんだけど。

なくとも、香奈姉ちゃんとの事はあまり言えない。

「いや、その……。僕の口からは、さすがに……」

「そっか。それなら、香奈から直接聞けばいいのかな?」

「それは……」

奈緒さんの提案に、僕はさらに何も言えなくなってしまう。

奈緒さんなら、本當にそれをやりそうで怖い。

「あたしもね。楓君との今の関係には、ちょっとヤキモキしてるんだよね。だから、もういいかなって──」

「もういいって、なにが?」

「そろそろ楓君と付き合ってもさ。いい頃合いかなって……」

「奈緒さん」

冗談だよね?

どう考えても、それはないだろう。

たしかに香奈姉ちゃんとは親友なのかもしれないけど。

僕は、香奈姉ちゃんの友関係を壊すような事はしたくないし。

奈緒さんも、さすがにわかっているだろう。

「冗談だよ。あたしは、あたしのやり方で楓君の心を摑んでみせるよ。だからね。楓君は、あたしのことをしっかりと見ていてほしいんだ」

「うん。みんなのことは、しっかりと見ていくつもりだよ」

「『みんな』か……。ちょっと違うんだよなぁ……。まぁ、どっちでもいいけど」

奈緒さんがそう言った途端、イタズラな風が吹く。

まさに急な突風だ。

それにより、奈緒さんが著ている制服のスカートが翻った。

「きゃっ!」

奈緒さんは、すぐにスカートを押さえる。

そうはしたものの、僕には見えてしまっていた。

スカートの中の下著が……。

ただでさえ短いから、ちょっと風が吹いただけで見えてしまうんだよなぁ。

奈緒さんが穿いている下著のは、白だった。

らしくない悲鳴のあと、奈緒さんはムッとした表で僕を睨んでくる。

「見たでしょ?」

「え? なにを?」

僕は、思案げな表で奈緒さんを見る。

ちなみに僕の方も、その時は目にゴミがらないように気をつけていたから、奈緒さんの下著を見たのは、ほんの一瞬なんだけど。

だからこそ、見てないことにしてしまおうと思ったのは、ここだけの話だ。

「あたしのその……」

奈緒さんは、とても言いにくいのか頬を赤くして口ごもってしまう。

下著を見られてしまった事が、かなり恥ずかしいんだろうな。

これは、よけいに見なかったことにしておこう。

「なんていうか。一瞬だけど、すごい風だったね。目にゴミがるところだったよ」

「そ、そうだね。いきなりの事だったから、あたしもびっくりしちゃったよ」

奈緒さんは、吹いた風によって制服のスカートに付著した砂埃を手で払い落としていた。

よかった。バレてはいなさそうだ。

これなら──

「まぁ、なんにせよ、大丈夫だったからよかったけど……」

「見なかったのかなぁ……。おかしいなぁ……」

奈緒さんは、神妙な表でそう言って、スカートの方に視線を向けている。

もしかして、見てほしかったとか?

まさか、そんなことはないだろう。

奈緒さんは、見た目のクールさとは裏腹に、とても積極的なの子だ。

僕に対しても、積極的に迫ってくる。

奈緒さんの部屋の中だと、いつもそんなじだ。

「やっぱり楓君も、あたしのギターの扱いについては、雑にじてしまうかな?」

「いきなりどうしたの?」

「うん。ちょっとね……。この間のライブで、言われちゃってね。楓君は、どう思っているのか聞きたくて……」

「どうって聞かれてもな。弾き方には個人差があると思うし……。僕には、なんとも──」

雑に扱っているかと聞かれても、僕にはなんとも言えなかった。

ギターにしても、ベースにしても、弾き方はそれぞれだから、なにが『雑』なのかよくわからないのが僕的な意見だ。

もしかしたら、僕のベースの弾き方も他の人からしたら『雑』なのかもしれないし。

「楓君のは、問題ないと思うけどな」

奈緒さんは、なにかを訴えかけるような眼差しでそう言う。

僕の心の聲でも読んだのかな?

そんな目で言われたら、返す言葉がないじゃないか。

僕は、後輩らしく奈緒さんに言葉を返す。

「それを言わせれば、奈緒さんのだって問題はないかと思います」

「そうかな? そう言われるとなんだか嬉しいかも──」

奈緒さんは、そう言って僕の手を握ってきた。

握ってくる時の奈緒さんの手はとても優しく、ふと顔を見たら、どこにでもいるの子のような可いものである。

クールに見える奈緒さんでも、そんな顔をするんだなって思ってしまうくらいだ。

だからといって、僕自もあまり積極的になれないのは、殘念な話だけど……。

「奈緒さんには、奈緒さんのやり方があるんだから、気にしたらダメだと思います。人の想も大事だけど、自分を信じてやるのも大事かと──」

「うん。そうだね……。ありがとう。楓君に相談してよかったかも……」

奈緒さんは、そう言って微笑を浮かべる。

助言というには、ちょっと行き過ぎなじがしないでもないが、奈緒さんがいつもどおりにやってくれるなら、それでいい。

僕を頼って相談してくれるのは、とても嬉しいことだ。

「こんな僕で良かったら、いつでも相談してください。奈緒さんは、大事なバンドメンバーだから──」

「うん。ホントにありがとね。香奈には言いにくい事だったからさ」

そう言って奈緒さんは、を寄せてくる。

そうしてくるものだから、當然、僕のが當たってきて──

「あの……。奈緒さん」

「なに?」

が當たってるんだけど……」

「他に想はないのかな?」

想って言われても……。なんて言ったらいいのか……」

奈緒さんの場合、香奈姉ちゃんみたく極端に大きいってわけじゃないから、むしろちょうどいいけど。

そんなことをはっきり言えるわけもなく……。

奈緒さんは、そのままギュッと抱きついてくる。

「香奈には緒だよ」

緒にできる事とできない事があると思うんだけどな。

奈緒さんも、僕とのスキンシップが狙いだったか。

ここまできたら斷りにくいし。

どうしたらいいんだろう。

僕は、とりあえず奈緒さんの機嫌を損ねないようにスキンシップをれた。

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