《【書籍化】碧玉の男裝香療師は、ふしぎな癒やしで宮廷醫になりました。(web版)》2-4 神経の太さなら、皇帝にも負けないね!
「――ッハ!」
月英は、自分のを揺りかす誰かの手と、半ば涙混じりの聲によって起こされた。
むにゃむにゃと醒めない様子で、寢ぼけ眼を手でこする。
「……んあ? ん……おはようございます」
「いや、神経の太さ! 図太い!!」
「ん、あれ……翔信殿? 何で僕の家に?」
自分を起こした聲の主は、刑部の翔信であった。
右肩に垂らした三つ編みは、顔の彼によく似合った特徴だ。
しかしなぜ彼が家に、と月英はこてんと首を傾げ、改めて周囲の様子を窺った。
そこで自分が今目覚めた場所が家ではないと知る。
「あぁ、そっか。そういえば僕、捕まってたっけ」
昨日、何が何だか分からないまま衛兵に捕まえられて、そのまま牢屋に放り込まれた覚えがあった。
「月英よう、もちっと危機持とう? さすがに牢屋で睡は俺でも驚く」
「隙間風もなくて僕の家より暖かかったからつい。牢屋ってとっても寢心地が良いんですね」
「お前ってやつは……っ」
はしっ、と口を押さえて涙ぐむ翔信。
「茶番はそこまででいいかな?」
すると、翔信とは別の聲が聞こえて、そこで初めて月英は彼の存在に気付いた。
月英からし離れた鉄格子のところに、薄闇に紛れるようにして立つ背の高い男。
翔信が慌てて立ち上がり、背後にいた男へと「すみませんでした」と腰を折る。
「月英、今日來たのは、李尚書から直々にお前に話があるからなんだ」
再び月英に目を向けた翔信の目は、真面目なものへと変わっていた。
どうやら、様子伺いというわけではないらしい。
翔信が場所を譲れば、李尚書と呼ばれた男が長い手足を駆させ、月英の前に立ちはだかる。月英ならば鉄格子からここまで五歩はかかろうとというのに、彼の足はたったの二歩でたどり著いた。
地面に座ったまま背の高い彼を見上げれば、まるで神像でも仰いでいるようだ。
燕明くらいに背が高く、しかし燕明のような弾力というか、逞しさはない。
袖から覗く手や顔からは固そうと印象をけ、全的に四角く骨張っている。
「刑部尚書の李庚子《りこうし》だ」
「李……刑部尚書」
四十くらいだろうか。
李庚子の口がけば、口元にり始めた皺の彫りが深くなった。
しかし老けたというじはなく、理知的な顔に乗った片眼鏡とも相まって気のある貫祿が漂っている。
「あの、僕はなぜ捕まえられたんですか? 何かしましたか?」
まさかだと気付いた者が他にもいるのかと思ったが、翔信の先ほどの態度を見るに、どうやらそういうわけでもない様子。
あれだけ後宮が人がと言っていた翔信が、雑に月英(人)のにれるわけがない。
「移香茶」
李庚子は一言だけ口にした。
「え、移香茶がどうかしたんですか」
「移香茶を飲んだ王都の者達が、一斉に調不良を訴えた。調べたら毒が茶葉に含まれていてな」
「毒!? そんな馬鹿な!」
李庚子の淡々とした口調が、彼の言葉が冗談や誇張でないことを語っている。
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