《ゴブリンから頑張る神の箱庭~最弱からのり上がり~》なんか今すっごいイラッと來た
どうしよう。逃げたい。
けど、絶対に逃げたらもっと酷い目に合う。それだけは確信してる。
おばあちゃん達龍王を先頭に歩きながら、何故か全員を連れ立って今まで來た事のなかった山の部を歩く。
階段を登った先の広場でもなく、龍神が修行した窟でもない。
更にそこよりもし登ったさきにある、本當の頂上にあった祠からった空間だ。
暗い部は、しかし壁から直接放たれる淡いによって視界が確保されている。
だが、ここでは視力が役に立たないのになんの意味があるのか全く不明である。
「さあ、著いたわ」
行き當たりだろうか。
先頭を行くおばあちゃんが振り返った先には、大きな壁しか無いが、おばあちゃんはここが終點だと言う。
「何もないが……」
私と同じ疑問を持ったミコトが一言ポツリと呟く。
「まあ慌てるな。フッ!」
ミコトを諭した火龍王が振り返らずに一言言うと、そのまま壁に向かい柏手を打つ。
すると壁の中央に真っ直ぐ切れ目がり、そこを中心に壁が左右に別れていく。
おお、の場所っぽい。
「ハクア。ミコト様。ここが儀式を行う場所だ」
火龍王に促され壁の中にると、そこにはし大きめな教室ほどの空間があり、その奧には素材のわからない大きな青い扉がある。
「これから二人にはあそこの扉にって試験をけて貰うわ」
「まずは俺の試練だ!」
ガハハと笑いながら火龍王が進み出る。
「二人が中にるとそこに大亀が居る。そいつを四日以に倒せれば俺の試練は終了だ!」
「なるほど、火龍王らしい力の試練と言う訳じゃな。ハクア?」
「それさあ、倒せなかった場合どうなるの?」
「ああ? そりゃムグッ───」
「その場合出て來たら二人には今までよりも更に辛い修行をけてもらう事になるわ」
「む、そうかぁ……」
「それはなんとしても回避せねばな」
何故か火龍王の口を押さえおばあちゃんが答える。
まあ、誰が答えても同じだろうから良いんだけど。
「さて、それじゃあ二人共、行ってらっしゃい」
「うむ。行ってくる」
「うーい。行ってきー」
とりあえず説明を聞いた私とミコトは、大扉の中へとっていった。
▼▼▼▼▼▼▼▼
「だぁー! 何しやがる水龍王!」
ハクアとミコトの二人を見送ると、今まで我慢していた火龍王が水龍王の手を撥ね除け文句を言う。
「流石ですね水龍王。良い判斷でした」
「確かにナイス判斷でしたね」
しかしテアとソウの二人は、水龍王が火龍王の口を塞いだ事を何故か評価した。
「ええ、私も流石にわかってきましたもの」
「どういう事っすか?」
「それはこれを見ればわかると思いますよ」
テアが指をパチンと鳴らすと映像が投され、そこにはたった今扉の中へとっていったハクアとミコトの姿が映る。
『むっ、あれが火龍王の言ってた大亀のモンスター。あれは……結界に包まれている?』
『そうみたいだね。おっ、ちゃんと飯を食えるスペースとかもある』
ミコトは素早く大亀を見つけ臨戦態勢を取るが、ハクアは早速、休憩スペースのチェックを始める。
『ハクア、これ試練なんだよ。真面目にやんなきゃ』
ハクアと二人だと思い込みミコトの口調が崩れるが、ハクアと行する事が多くなり、時折口調が崩れる事が多くなったので、誰もそれについてはつっこまない。
『はぁ、ダメだなミコト。よく考えなきゃ』
『よく考えるって?』
『だってこれ、四日以にクリアするんだよ。しかもあいつは結界に篭ってて行しないっぽいし。と、いう事はこの試練はあれを倒すってよりも、防を突き抜ける方が重要な試練』
『うん。確かにそうだね』
『だから、あれこれ試すよりも一発最大火力で倒すだけなんだよ。しかも私の力、鬼海は【破壊】と【脆弱】の特持ってて両方に【貫通】もある。だから時間さえ掛ければ結界は普通に壊せるんだよ』
『あっ、確かに』
ハクアの言う通り、鬼海の力を使えばしづつでも【貫通】の特で、他二つの特が結界に作用し、結界はそのうち効果がなくなる。
そこにミコトの火力が加われば、この試練はなんの苦労もなく通過する事が確定なのだ。
『だから私達がすべきことは一つ』
『それは?』
『せっかく修行から逃げられるんだから時間一杯使ってのんびりするんだよ!』
「「「だぁ」」」
ハクアの宣言を聞いた全員がズッコケる。
「やっぱりこうなったわね」
「予想の範囲ですね」
「危なかったですね。これで失敗しても功するまでなんて言ったら、何日稼がれていたか」
「お、おおう。そうか。これを防ぐ為だったのか」
「ええ、本當だったら時間設定を一日にするべきだったのだけど、打ち合わせ不足だったわね」
「そうですね。まんまと四日も時間を與えてしまったのでどうするべきか……」
「ならこうしましょうか。二人共?」
『フワッ!? 意外と多機能!?』
『な、なんじゃ!?』
水龍王が口元に魔法陣を展開して喋ると映像の中のハクア達が反応する。
「ハクアちゃん?」
『うえっさい!?』
いきなり名前を呼ばれたハクアは、ガタガタと震えながら慌てて返事をする。
「どうにもハクアちゃんは楽をする癖が抜けないようね?」
『い、いやー、そんな事はないと思われますのよ?』
『あー、これ巻き込まれるパターンかぁー……』
『待ってその諦め方はいけない!』
「そんな訳でおばあちゃん。ハクアちゃんが早く終われるように、全部の試練を四日間で一緒に出來るようにしようと思うの」
『『ピッ!?』』
「うふふ。そんな喜んで貰えて嬉しいわ。試練はそれぞれ力、守り、持久力、総合的な戦闘力の四つよ」
『四日間の持久力とか死ぬ未來しか見えない!?』
『あー、こうなっちゃったかぁ』
『諦め早くね!?』
『だってもう覆らないし』
『クソぅ。四日間の休日がこんな簡単に潰えるとは』
『あー……なんでパートナーになっちゃんたんだろ』
『おいおい酷いなパートナー。一蓮托生だぜ』
『なんか今すっごいイラッと來た』
「あらあら楽しそうね二人共?」
楽しくないよ! そんな風に騒ぐ二人だが、水龍王には全く響かない。と言うよりも完全に無視だ。
酷いとは思うが、自業自得な部分が多いのでいまいち同されないハクアであった。南無。
「じゃあ試練開始。二人共頑張りなさいね」
『アカン。こっちの話聞く気ねぇー!』
『うう……なんで。パートナー間違えたぁ』
『酷い!? って來てる來てる。ふざけてる場合じゃねえ』
『あっ、本當だ。どうする?』
『うーん。とりあえず持久力も項目にってたし、まずは自化からですな』
『自化?』
『とりあえずしヨロー』
『わかった!』
短く打ち合わせした二人は即座に行を開始する。
ミコトはまだ遠い位置に居るモンスターを減らす為、開幕ブレスで一掃する。
その間にハクアはと言うと───。
『えーと、あれがこうで、これがああで、あー、よし! こうしてあーして、あーなって、うむ。こんなもん?』
ハクアは地面になにかの図案を書くと、一気に作業に取り掛かる。
まず土魔法で自分達を取り囲むように砲臺を作ると、今度は錬金を使い、砲臺に細工をし始めた。
「あれ、何やってんっすか?」
「なるほど自化ですね」
『出來たー!? 行くぜ!』
轟音を響かせて発される砲弾が、ハクア達に向かってくるモンスターを弾き飛ばす。
「あー、あれってそういう事ですか?」
「ええ、恐らくは砲臺を作り、錬金と魔法陣を用いて、砲弾の供給と発をしているのでしょう」
「ええ、そんなの可能なんっすか!?」
「そこまでの式は難しいと思うの。すぐに殘存魔力盡きて終わるの」
ム二の言うとり普通であれば、砲弾を作り出し、自で攻撃する機構など魔力が幾らあっても足らない。
「ええ、普通はそうですが、ハクアさんは砲臺を改造して砲弾を補給してますから」
「補給?」
「地面にホースみたいの刺さってるでしょ?」
「ああ、あるな。筒の後ろから出てる奴か」
「そうそう。あれで地面の土を吸い上げて中で圧、それを砲弾として打ち出す事で、効率を上げてるんだね。しかも倒したモンスターの魔石を燃料にしてる」
「あれなら魔石よりもモンスターの方が先にいなくなりそうですね。強い個はそれこそ自分達で処理すればいい訳ですし」
「なんか。結局ハクアはハクアなの」
「そっすね」
それはその場の全員が思う事だった。
『行ったれーい!』
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