《乙ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?》186話 イザベラ……さまぁ……

「でも……それでもいい……。私にはまだできることがある……」

たとえこれが罰なのだとしても、それでも構わないと思った。

どうせ死ぬならせめて誰かのために死にたいと、そう思ったのだ。

「みんな、まだ蘇生できるはず。私の全生命を魔力に変換すれば、何とかなるかも……」

の言う通り、この場にいる人間は全員まだ生きている。

ならば間に合う可能はあるだろう。

イザベラは決意すると、大きく息を吸い込んだ。

の生命力を全て使い切ってもいいから、彼らを生き返らせようと考えたのだ。

「ごめんなさい……お父様、お母様……」

しかしその時――

カタカタ……。

「え……?」

突然聞こえてきた音に、イザベラは思わずそちらを見る。

そこには――氷の牢獄の中からこちらを見る異形の姿があった。

「ひっ!? ま、魔族!?」

思わず悲鳴をらすイザベラ。

だが、それはよく見ると違ったようだ。

パリーン!!

ガシャーン!!!

ガラスの砕けるような音と共に、氷の檻が々に砕け散る。

そしてその中から現れたのは――

「……イザベラ……さまぁ……」

まるで魔族のような邪悪な笑みを浮かべたアリシアだった。

「ひぃっ!?」

予想外の展開に混するイザベラだったが、すぐに気を取り直す。

「あ、アリシアさん……? そのオーラはどうしたのですか?」

「うふふふふ……知りたいですかぁ……?」

アリシアの雰囲気は明らかにおかしかった。

こんな邪悪な雰囲気をまとったではなかったはずなのだが……。

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