《乙ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?》187話 闇の瘴気の結晶

「……いいでしょう。教えてあげますよぉ」

そう言ってアリシアは自分のに手を突っ込んだ。

ズブブッ!

グチャッ!

ブチィッ!

そんな生々しい音が響き渡り、彼元が左右に裂ける。

「ひっ!?」

あまりにもグロテスクな景に、イザベラは息を飲む。

そして、左右に裂けた箇所に何かがあることに気がついた。

それは――紫の結晶だ。

大きさはピンポン玉くらいだろうか?

アリシアの心臓付近に、禍々しいオーラを放ちつつ組み込まれている。

「これぇ、何だかわかりますかぁ?」

「……」

イザベラは何も答えない。

いや、答えることができないと言った方が正しいだろう。

あまりにも異常な景を前に、思考が停止しているのだ。

そんな彼の様子に構うことなく、アリシアは話を続ける。

「これはねぇ……闇の瘴気の結晶なんですよぉ!」

「……っ!?」

それを聞いた瞬間、イザベラの顔からの気が引いた。

ただでさえ強力で悪影響の強い闇の瘴気。

それは、近くでに浴びただけで、善良なエドワード王子やフレッド達の格を激変させてしまう効果がある。

そんな闇の瘴気の結晶をれたらどうなるか?

容易に想像がつくだろう。

そんな恐ろしいに取り込んでなお正気を保っていられるなど、普通ではあり得ないことだ。

「アリシアさん……あなたは一……」

震える聲で尋ねるイザベラに対し、アリシアはニヤリと笑って答えた。

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