《ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years》第5章 1973年 プラス10 - 始まりから10年後 〜 3 名井良明として(6)
3 名井良明として(6)
顔中を覆うようなヒゲに、暑苦しいべっ甲メガネを掛けて、
――三十六歳の俺に、気づかれまいとして……のことだ……。
今この瞬間も、この世界の剛志はきっと銀座で働いている。そんなあいつがやって來て、五十六歳の剛志は素知らぬ顔で演技する。
こんなのは、まさに思いもよらない真実だった。
しかしよくよく思い返してみれば、あそこにいた男こそが自分だったという気がしてくる。
――どうして、こんな簡単なことに気づかなかったのか……?
そんな葛藤に黙り込んだ剛志に、節子はこの時、不思議なくらい何も言ってはこなかった。
何度も何度もわたしの名を呼ぶ――そう言った後の彼も、何か思いつめているようにも見えたのだった。
やがてそんな狀態に剛志も気づき、顔を上げ、慌てて何かを言いかけた。
ところがその寸前に、節子が彼の言葉を遮るように言ったのだ。
「あの、もしよかったら、ここで一緒に暮らしませんか? 部屋はたくさんあるし、わたし一人で住むには、ここは本當に広すぎちゃって……」
不死の子供たち【書籍販売中】
記憶を失った青年『レイラ』が目を覚ました世界は、 命を創造し、恒星間航行を可能とした舊人類が滅んだ世界だった。 荒廃し廃墟に埋もれた橫浜で、失われた記憶の手掛かりを探すレイラは、 人工知能の相棒『カグヤ』と共に、殘虐な略奪者がのさばり、 異形の生物が徘徊する廃墟の街に身を投じることになる。 【いずみノベルズ】様より 【不死の子供たち③ ─混沌─ 】が販売中です。 公式サイト https://izuminovels.jp/isbn-9784295600602/ 【注意】感想欄では、物語や登場人物に関する重要な要素について語られています。 感想欄を確認する際には注意してください。 サイドストーリー中心の『ポストアポカリプスな日常』も投稿しています。 ※カクヨム様でも連載しています。
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