《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》33話 さらば松本のこと

さらば松本のこと

「っぎいいいいい・・・いでぇ!いっでえええええっ!!!」

手裏剣が手の甲に突き刺さった男が、地面を転げ回って喚いている。

けない・・・死ぬような傷じゃねえだろう。

毒も塗ってないんだしさ。

その男を助けようともせず、『防衛隊』の連中は武を構えて俺を睨みつけている。

今にも襲い掛かってきそうだ。

気盛んだなあ・・・実力が伴ってないけども。

「この野郎・・・!また首を突っ込んでくるのか!!」

集団の後ろから、武も構えていない松本が怒鳴る。

はん、相変わらずお山の大將か。

「突っ込むに決まってんだろ間抜け。てめえらは名前の通り防衛だけしてりゃいいのに、かきやがって・・・わかってんのか?親鳥を潰しちまったら卵の総數が減るんだぞ?本末転倒じゃねえかよ」

ほんと、本能だけで生きてるような連中だよ。

よほど防衛の仕事ってのはイージーモードらしいや。

まあ、電気柵に壁まであるって話だからな・・・黒や白黒でも出なけりゃ楽勝なんだろう。

基本的にノーマルゾンビって壁とか登れないし。

「だから何だってんだ!俺たちは島を守って・・・!」

若い男が食って掛かるが、遮る。

「それこそ何言ってんだ?あぁ!?だからって際限なく要求していいと思ってんのか!?てめえらよりゾンビの方がよっぽどマシだな?ええおい?」

言いつつ、後ろのミチヨさんに小聲で指示する。

「(ミチヨさん、鳥小屋にって鍵かけて)」

ここの鳥小屋は頑丈そうでおまけに大きい。

そこへってくれれば、後方に気を遣うこともあまりないだろう。

ここで戦になっても、さすがに小屋を壊そうとしてれば対処できるし。

ミチヨさんがく気配を見せたので、さらに煽ることにする。

気を逸らさないとな。

「・・・いや、本當にゾンビの方がてめえらよりよっぽど頭がいいかもしれんなあ?なんたって言葉は喋らねえし、文句も言わねえ・・・おまけにに目の変えることもねえ」

わざとニヤつく。

「おいおいマジか、ゾンビの方がいい隣人じゃねえか?これ?なくとも迷かけまくりの『防衛隊』よりはマシだよなあ?」

「んだとこの野郎・・・!!」

さっき口を挾んだ奴がまたも食って掛かって來た。

・・・ふん、どうやらコイツが一番短気っぽいな。

見かけからして喧嘩自慢のチンピラってところだが・・・やりやすくって助かる。

「っは!図星突かれて怒ってんのか?てめえらなんざいなくても、『壁』さえあれば問題なさそうだもんなあ?」

「馬鹿にしてんのかよ!オッサン!!」

男が手に持った鉄パイプを握りしめる。

その先端は力みからか、ガタガタ震えていた。

もう一押し・・・だな。

「おーいおいおい!?やっと気付いたのかよ!?・・・呑気だねぇ~!」

さらにさらに煽る。

これぞ師匠直伝・・・南雲流伝煽り倒しの!!

「俺ァお前らと初めて會った時からな、ずううううううっと馬鹿にしてるよ!間抜け共!!」

・・・後方で鳥小屋の扉が閉まる音がした。

よし、ミチヨさんはこれでOKっと。

「~~~~~~~~~ッ!!!!」

言葉もないのか、男は顔を真っ赤にして震えている。

足が、俺に向けて一歩踏み出された。

「―――おい、それ以上近付くな。死にたくなけりゃな」

肩に乗せていた兜割を、牽制のために片手正眼へ。

そして、駄目押しの一言。

「とっとと尾巻いて巣に戻りな。々似たようなカス共と傷の舐め合いでもしてろ、無能共」

男が勢いよく前に踏み出す。

・・・へえ、人がキレる瞬間ってこんな顔すんのか。

「っだらぁ!!このゴミカスっが!!!」

謎言語をび、男が俺に向けて鉄パイプを振り上げながら疾走の勢にる。

うわぁ・・・幹がガバガバじゃないか、たまげたなあ。

「死ッ・・・!!!!」

元々さほど距離は開いていなかったので、あっという間に男は俺の・・・間合いに、った。

「ねえええええええええっ!?ええええええええ!?」

振り下ろされる鉄パイプを一瞬け止め、勢いに逆らわずに軌道を修正させる。

火花を散らした兜割に逸らされた一撃は、円を描きつつ加速。

鉄パイプは男の手からすっぽ抜けて明後日の方角へ。

「ぬんっ!!!!」

逸らしたことで加速した兜割。

それを馬鹿みたいに口を開けた男の・・・剝き出しの首元へ叩き込んだ。

「ぎゃっが!?ああが!!あああああああっ!?!?!?」

みしり、と手にが返ってくる。

鎖骨、いただき!

折れてはいないだろうが、ヒビぐらいはったな。

「いいいい・・・いいいぐ、っぐ、ううううう、うぐぐぐう~~~~~~っ!?」

さっきまでの威勢はどこへやら。

男は両手で鎖骨を押さえると、ぶるぶる震えながらその場にしゃがみ込んだ。

呼吸がれ過ぎてこれ以上何もできないだろう。

・・・こいつらは詩谷でも龍宮でも見た手合いと一緒だ。

弱い相手を、抵抗してこない相手をいたぶってきた奴らだ。

謙遜抜きで・・・俺の相手じゃねえ、な。

「調子にのってんじゃ―――!!」

さらに火が點いた新手が、鉈を握りしめて前に出ようとする。

「ねぅ!?!?!?」

すかさず棒手裏剣を投擲。

鉈を持つ右手首に、深々と突き刺さった。

「いいいい~~~~~!?いい!!っぎ!?っぎゃ!?」

思わず、といったじで勢いよく引き抜こうとした行は立派だが・・・殘念ながらそいつは『返し』付き。

力任せに引き抜いたせいで、傷はさらに大きくなった。

「待て待て待て!お前ら、やめろ!!」

松本がぶ。

おっと?馬鹿は馬鹿なりに退き際を心得てるのかな?

「一斉にかかれ!そのふざけた野郎を囲んで簀巻きにしてやるんだ!!」

・・・ある意味予想通りだよ、はは。

素人目で見ても、今までのやりとりで彼我の戦力差はわかりそうなもんだが・・・どうやら『數』の差しか見えてないらしい。

そりゃあ俺だって格下相手とはいえ、囲まれてボコられりゃあ死ぬけど。

「おい、たしか松本とか言ったなオッサン」

聲をかけると、松本は苦々し気に俺を睨みつけた。

嫌な目だ。

の腐った目をしている。

「どうあっても俺と事を構える気だってのか・・・?この前自衛隊の皆様に釘刺されたの、忘れたのかよ」

「黙ってろこの野郎が!!自衛隊がなんだ!?どうせここでてめえが死ねば関係ないだろうが!!!」

清々しいほどの屑発言いただきました~。

「こっちにはこっちの流儀ってもんがあるんだよ!本土から來たぽっと出の野郎に好き勝手されちゃあ、ワシらの立つ瀬がねえんだ!!」

「っは、こっちの流儀ぃ?てめえの流儀の間違いだろう?この屑が」

言いつつ、兜割を腰に戻す。

それを見て俺が日和ったと思ったのか、奴らの表がいやらしく歪んだ。

が、それもすぐにしぼむ。

「・・・や老人を脅して、何が流儀だ」

俺が腰に『もう一本』何を差しているか思い出したんだろう。

男達の表に恐れが見えた。

「本土だなんだ・・・橋一本あるだけじゃねえかよ、馬鹿々々しい。ここはいつから未開の僻地になったんだ?」

鯉口を、切る。

雲一つない青空からのを反して、鈍いが現れた。

「お前らが何を言っても、何をしても俺には響かん」

―――りぃん

いつもの幻聴とともに、『魂喰』の刀が雄々しくった。

「『殊更卒爾、野、鬼畜の者。また無辜の民に楽の刃を振るいし者、生きて帰すべからず』・・・だ」

その輝きに魅られたように、何人かの男たちが唾を飲む音が聞こえた。

「―――死にてえ奴から、かかってきな」

そう言い、俺はゆるりと足を踏み出した。

「・・・っだ、だからなんなんだ!ふざけんな!!おいてめえら・・・ビビってんじゃねえ!!相手は1人じゃねえか!囲え!!囲んで叩き殺せ!!!」

松本が怒鳴る。

囲え・・・ね。

確かに、囲って毆れば効果的だろうさ。

數の上で有利なら、な。

だがこいつらにそれができるかな?

練度が高く、連攜が取れる・・・例えば古保利さんの部下ならできるだろう。

だが―――

「う、うううああああああああっ!!!」

・・・ホラ、息を合わせずに先走っちまう。

練度、足りてねえなあ。

薪割り用らしき斧を振り上げ、1人の若い男が集団から飛び出してきた。

その顔は蒼白で、視線にも全く余裕がない。

俺を倒せる算段があるというよりも、この張狀態から抜け出そうとしている様子だ。

俺は待つ。

ゆるりと迎撃の脇構えで。

「ああああああああああああああああっ!!!!」

俺の顔面を斷ち割る軌道で、斧が振られる。

後ろの連中はまだ様子見だ。

馬鹿が、連攜はどうした。

「っふ」

軽く後ろに跳ぶ。

それだけで斧は目標を見失い、眼前の何もない空間を勢いよく通過していく。

振り切る直前に、間合いに踏み込む。

「っしゃあ!!!」

踏み込んだ勢いのまま空間を斬り上げる。

斧を振り下ろしたことで勢が崩れた、男の首を。

「ぇぱっ・・・!?」

切っ先がするりとり、その首の半分ほどを切り裂いて抜けた。

男は、聲も出せずに倒れ込んだ。

恐らく即死だろう。

「ぃひっ・・・!?」

次はお前だとばかりに視線を向けると、次に俺に毆り掛かろうとしていた男がきを止める。

「ぇ」「おい」「うっそ」

他の男たちは何かを口走るばかりで、一様にかない。

頭が真っ白になってしまったようだ。

「おっおま!おまっ・・・!!や、やりやがっ・・・やりやがった!やりやがったなぁあ!!」

元気なのは松本ばかり。

そういえば、石川さんがいつか言っていたな。

こいつは鼻が利くって。

「ぶっ殺してやる!!ぶっ殺してやりゅ!?っあ!?ああああ!?あがあああああああっ!?!?」

松本の太に、投げた十字手裏剣が突き刺さった。

威勢だけはいいが、『返し』付きを喰らった松本は地面に倒れ込んで悲鳴を上げている。

よし、これで足は殺した。

逃げられたら面倒だからな。

これで戦えるやつは5人減った。

殘りは、5人。

「っま、待って!待ってくれ!!」

デカい包丁を持った男が、足元にそれを捨てた。

そのまま、両手を上げて無抵抗をアピールしている。

「俺ぁ何もしない!抵抗しない!だから、だから助っけっ!?」

男が、弾かれたように俺に向かって飛び出す。

その後ろの若い男が、背中を蹴りつけたようだ。

「っや!やめ!!やめぇえええええ!!!!」

両手をばたつかせる男の後ろから、殺意の籠った目で新手が來る。

しは頭の回る奴がいるみたい、だな。

「やめっう!?!?!?」

飛んできた男の鳩尾に前蹴りをぶち込み、蹴り返す。

これは予想できなかったのか、新手は返って來た男の背中にぶち當たって急ブレーキ。

「っしぃいいあ!!!!」

それに合わせて踏み込みつつ、諸手で突きを放つ。

「ぎゃ!?」

その一撃は蹴られた男の首を掠め。

「っこ!?」

後ろの男のを真っ直ぐ貫いた。

まるで骨も何もないように、刀は深々とに埋まる。

「っしねえええええええっ!!!」

「オラぁあああああああああああああああああああっ!!!」

「くたばれ畜生ぉお!!!!!!!!!!!!!」

刀が使えなくなったの見たのか、殘りの3人がやっと連攜らしききを見せる。

散開したそいつらは、3方向から俺に向かって走ってきた。

―――中央!右!左!

『魂喰』から手を放し、無手で正面に踏み込む。

「ぅうえっ!?」

予想外のきに、バットが反的に振り下ろされる。

速度が乗る前のバットに左手を沿え、摑みながら下方へ引き倒す。

「じゃっ!!!!」

間髪れずに右手を折りながら、肘をそいつの鼻面へ正面から叩き込む。

ぐしゃり、と鼻の砕ける

「がああああああっ!!!!」

力の緩んだ手からバットを捥ぎ取り、右から來る奴に投げる。

「っぐひ!?」

真っ直ぐ飛んだバットは、鎌を持った男の手に當たり・・・回転して顔面にもぶち當たった。

よし、最後は左ぃ!!

「あああああああああっ!!!!」

最後はナイフを持った男だ。

腰だめに構えたナイフごと、俺に突っ込んでくる。

・・・やるか、アレ。

あえて待ち、ナイフが腹にれるギリギリまでかない。

「っふ!!」

右斜め前に踏み込み、ナイフを躱す。

同時に奴の軸足を払い、勢を崩す。

そのまま延髄に肘をかけ、重をかけて後ろに倒れ込む。

男は前方に引き倒される。

「あああ!?ああああっが!?」

奴は、顔面からも取れずに地面に激突した。

続いて俺の重が肘の一點に集中し、首の折れるが響く。

南雲流甲冑組手、『向拉(むかいひしぎ)』

甲冑を著込んだ相手を、重と鎧の重さを利用して無力化する技だ。

相手がヘッポコだと、さほど使い慣れていない技もよく決まるな。

立ち上がって土埃を払い、周囲を確認。

止めを刺していない奴らは、相変わらず悲鳴だけは一丁前に上げている。

おいおい、せめて逃げろよ。

「うううう・・・!ああぐ、いぃいいい・・・!!!」

重そうなでのたうっている松本へ足を向ける。

・・・三下はどうとでもなるが、アイツは駄目だ。

生かしておけば何かよくないことを絶対にやらかしそうだ。

ここで、息のを止めておかねば。

「っひ!?ま、まままま、待って、待ってくれぇ!」

足音で俺の接近に気付いたのか、松本がを起こし・・・脂汗まみれの顔で俺を見た。

周囲の慘狀も同時に知ったのか、みるみる顔が悪くなる。

「もうしない!おまっ!お前の周りには絶対に手を出さない!!にも!!し、知り合いにも!!!」

それに答えず、事切れている死から『魂喰』を引き抜く。

に塗れた刀が、ぎらりと凄みのあるを放つ。

『決して許すな』

そう、俺に告げるように。

・・・元からそのつもりだよ。

「も、もうここには來ないィ!!だか、だから!だからぁあ!!!」

「・・・來なくても、別の場所でやらかすだろ」

コイツは反省してるわけでも、悔い改めているわけでもない。

俺が強くて手に負えないから懇願しているだけだ。

俺がいないところで、また同じことを繰り返す。

必ず、必ず繰り返す。

「し、しない!!しないから・・・!!!お、お願いだァ!!後生だ!!たす、たすけて!!たすけてぇえ!!!」

松本は地面にの尾を引きながらズルズルと後ずさって逃げる。

その進みは、カタツムリと張り合えるくらい遅い。

振りしながら、それを追う。

「嫌だね」

短くそう告げ、最適な攻撃を考える。

斬るか、それとも突くか。

謝罪のふりをして一矢報いる・・・そんな手合いには見えないが、用心に越したことはない。

「おおおおい!!助けろ!!!誰か助けろオオオオオ!!!!だれ、誰が今まで面倒見てやったと思ってんだ!!おい!役立たず!!!おおおおおおおおおい!!!」

脂汗の他に涙や鼻水まで流しながら、半狂の松本。

なんとか俺から離れようとしていたが、その背中に庭石が當たる。

「っひ!いひ!ひひいいいいいい!!!!」

背中を使い、松本は必死で立とうとしている。

わざわざ斬りやすくしてくれて、ありがとうよ。

『魂喰』をゆるゆると振り上げる。

「ああああ!!!!やめ!!!やめて!!!やめでぐでええええええええええっ!!!!!」

短く息を吸い、大上段から一気に―――

「おい!!何をしてるんだ!!!」

視界の隅に、こちらへ走ってくる人影が見えた。

あれは・・・『防衛隊』の柳田とかいうオッサンか。

その後ろにも20人ばかし見える。

・・・止めに來るなら、遅すぎるな。

「そんな騒なものを振り回しt・・・うわあ!?あああああ!!!なんっ!!なんだこれは!!!」

柳田は庭に広がる慘狀を見てんだ。

「やぁッ柳田ァ!!!たすっ!!助けて!!!助けてくれ殺されちまう!!!コイツが!!!コイツが皆殺しちまったんだ!!!!」

生きる筋を見つけたと思ったのか、松本が聲を上げる。

急に元気になりやがったな。

あとまだ生きてる奴いるだろ。

だが―――

「そいつが言で、いいんだな?」

「はぇ?」

呆けたように俺を見返した松本の顔に、赤い線が一本走る。

遅れて、鮮が吹き出した。

「ぇあ?・・・ぁ」

大上段から一気に振り下ろされた斬撃は、松本の顔を縦に切裂いた。

表面だけではなく、切っ先は恐らく脳に到達している。

恐ろしいまでの切れ味だ。

空気のれるような音を出しながら、できの悪い福笑いのように顔面を歪ませた松本は・・・糸の切れたり人形のようにくたりと地面に倒れ込んだ。

もう、二度と起き上がることはない。

「な・・・な・・・」

目の前で人が死んだ衝撃か、柳田はパクパクと口を開け閉めするばかり。

後続の連中も、ようやく狀況が飲み込めたようで・・・遅れて慘狀に気付き始めた。

その場で口を押さえて吐いてるやつもいる。

「・・・ああ、いつぞや振りだな。遅いお付きだ、『防衛隊』」

振りをし、手拭いでを拭く。

骨を斷ったというのに、刃こぼれ一つない刀が顔を出した。

「なにを・・・なに、を」

柳田はどうやら壊れたテープレコーダーに転職したようだ。

「何をと言われてもな。こいつらがミチヨさんに暴しようとして、それを止めた俺を殺そうとしたから・・・こうなっただけのことだ」

まあ、無茶苦茶煽ったけどな。

だが、乗る方が悪い。

・・・む。

何人かの『防衛隊』が、俺を遠巻きにしながら武を構えた。

ぶち殺した中に知り合いでもいたのか、きつく睨んでくる。

「・・・やるか?俺は別に、それでもいいけど」

向き直り、『魂喰』の切っ先をそいつらに向ける。

まるで先端からビームでも出たように、一斉にそいつらは後ずさった。

「まっ待て!みんな落ち著け!!武を下ろせ!!!」

柳田がそうぶが、向こうにその様子はない。

「柳田さん!でもこいつは人殺しだ!!」

「そうだ!!ミヤギもリョウタもみんな殺されちまった!!」

「野放しにしといたらみんな・・・みんな殺される!!!」

口々に俺への文句が飛ぶが、人をそんな快楽殺人鬼みたいに言うんじゃねえよ。

「おい、一応言っとくがな・・・こいつらが先に俺を殺そうとしたから反撃したんだぞ。手を出されなけりゃ、俺もここまでする気はなかった」

「うっうるさぁい!!人殺しの言うことなんか信用できるかァ!!!」

おや、取り付く島もない。

どうしたもんかな・・・

松本とその取り巻きは、あの態度からして殺して正解だと思うんだが・・・

こいつらはなあ・・・無能っぽいけど、どうもが違うっぽいんだよなあ。

それに、あんまり『頭數』を減らすとそれこそ壁の防衛に支障が出ちまう・・・うーん、困りものだ。

だが現狀は膠著狀態。

向こう側は俺を威嚇こそすれ、さっきの連中みたいに積極的に來るつもりもないっぽい。

柳田は必死になだめているが、どうやらカリスマが絶的に不足しているようで聞く耳を持たれていない。

けねえな・・・手下の手綱くらいちゃんと持ってろ。

そんなんだから松本みたいなのがのさばるんだぞ。

「―――來るなら、來い」

俺は、歯を剝き出しながら言ってやった。

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