《【書籍化】碧玉の男裝香療師は、ふしぎな癒やしで宮廷醫になりました。(web版)》3-5 お家は牢屋ですッ!
今や、牢塔への道が月英の帰路であった。
時刻は申の刻し前。
先ほどそこで翔信と別れた月英は、とぼとぼとした足取りで冷たいのか暖かいのか分からない自宅へと向かっていた。
「うえぇ……疲れたぁ」
下民區から毎日王宮まで通い、その広さは前々から知ってはいたが、今日は改めて王都の広大さを思い知らされた日となった。
鄒央から聞いた店を一つずつ巡って、西に東に北に南にとまさに縦橫無盡に駆けずり回った。途中で、今自分がどちらへ向かっているのか分からななって、危うく迷子になりかけもした。
しかし、その甲斐あって一つの確証が得られた。
「東明飯店以外の茶葉は無事でよかったよ、本當」
それぞれの店を訪ね店主に事を話すと、皆渋い顔をしつつも々と教えてくれた。茶葉をそのまま店に保管しているところもあれば、捨てたというところもあった。しかしどちらにせよ、聞いて回った全ての店で、移香茶を飲んだ客で調不良者が出たということはなかったようだ。
「被害が広まらず良かったとは思うけど、前に進んだじはしないな」
どっとした疲労が、月英の小さな背中を前傾させる。
各店巡って分かったのだが、どうやら移香茶を取り扱っていた店で一番大きなのが東明飯店だった。まあ、大通りにあれほどの立派な看板を下げた店なのだ。納得ではある。今日回った店はどれも中心から外れた場所や、路地に面した店ばかりだった。
「まあ、だからこそ、騒ぎになっちゃったんだろうけど」
これが、その他の路地の店であればそこまでの被害も出ず、ただの調不良だと移香茶も調べられず流れていただろう。
「茶葉に毒が混ぜられてたわけだから、どこかで絶対にれられた形跡があるはずなんだよね」
移香茶が客の口にるまでの流れは恐らく、『月英―茶心堂―各茶屋―客』だ。
必ずこの隙間、もしくはそれぞれの地點で何かしらが起こっているはずなのだ。
「どうやって混ぜ込んでるって言うんだろう。やっぱり鄒央さんか張朱朱さんか……ってその二人は考えにくいしなあ……じゃあその店の従業員がれたのかな?」
ぶつぶつと思考を吐き出しながら、歩く月英。
その目は半分閉じかけている。
「あ、駄目……頭が上手く回んないや」
さっきから同じ事ばかり考えているような気がする。
そうこうしているに、牢塔が見えてきた。
外朝の西端にひっそりと佇む牢塔の周囲は木々に囲まれており、外朝からは目立たないようになっている。
「はぁ……夕飯食べたらさっさと寢よう」
腹から、ぐきゅうるるぅと虛しい鳴き聲が聞こえる。
「でも、ちょっと夕餉の量がないと思うんだよね」
脳の回転率が著しく落ち、すっかり自分が囚われのであることを忘れている月英。
「今回は急だから仕方ないけど、次回までには改善してもらわないとぉおおおおおっ!?」
どこから目線か分からないことをブツブツ言っていると、突如、月英のがは右に倒れた。
「むぎゃ!」
否、茂みからにゅっと飛び出てきた腕に摑まれ、脇の茂みの中へと引っ張り込まれた。
「え!? なになに――って……」
何事だと驚きに顔を上げれば、目の前にあったのは白皙の貌。
「へ……陛下!?」
月英を茂みに引っ張り込んだのは燕明であった。
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