《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》36話 平和な海辺と不吉な衝撃のこと
平和な海辺と不吉な衝撃のこと
「ステイステイ・・・オッケー、ゴーッ!!」
「バウ!!」
青空に向かって、掛け聲と共にフリスビーが飛ぶ。
それを追って、なーちゃんが砂浜を蹴って走り出す。
いつもの緩んだ表とは違い、悍な顔で前を見つめて。
「ナイスキャッチ!!カモン!!!」
疾走したなーちゃんは瞬く間にフリスビーに追いつき、砂を蹴って跳躍。
見事にキャッチして綺麗に著地した。
「オーウ!グッガール!グッガール!!ハハハ!!!」
「バウ!ワウ!」
そして、帰ってきたなーちゃんをごとけ止めてその頭をガシガシでているのは・・・そう、ライアンさんである。
鍛え上げたをラフな格好・・・というか朝霞の兄貴シャツと短パンという簡単な服裝だ。
ちなみにには『 武 士 道 』と書いてある。
見た瞬間にライアンさんは気にったようだ。
うん、そうだと思ったよ。
「オジョーズオジョーズ!!ワンモア?ワンモア?」
「ヘッハッハッハッハ!!」
ライアンさんの問いかけに『もっともっと!!』とでも言うように返すなーちゃん。
その目はキラキラと輝いている。
まさに、目は口程にを言うってやつだな。
「オッケー!!ステイステイステイ・・・ゴーッ!!」
「ワウゥ!!!」
再びフリスビーが空を舞い、なーちゃんは嬉しそうに走り出した。
「うーん、平和だ」
俺は、それを見ながら砂浜に寢転んで煙草に火を點けた。
さて、今日は何をしようか。
「オハヨウゴザイマス!センセーッ!!」
庭で神崎さんたちが、雨にもかかわらず楽しそうに鹿を捌いているのをぼうっと眺めていると玄関の方からデッカイ聲がした。
懐かしい聲だなあ・・・
昨日の晩も思ったけど、ライアンさんも元気そうでよかった。
「あらあら、元気なお客さんねえ」
「あ、いいよねえちゃん。俺の前からの知り合いだから出るわ・・・上がってもらってもいい?むっちゃいい人なんだけど」
「いいに決まってるじゃないの!いっくんの友達なら安心だわあ」
俺への信頼度がバグりつつあるねえちゃんを殘し、玄関へ向かう。
そして何故か朝霞もついてきた。
「にいちゃん、ガイジンさんと知り合いなんだねえ・・・い、いんくれでぃぶる?」
「・・・インターナショナルかなんかと間違えてんな、お前」
ツッコミながらも玄関へ。
すりガラス越しに、デッカイが見えている。
っていうか枠から余裕ではみ出てるな。
・・・石川さんよりデカいもんな、ライアンさん。
ちなみに近な所での長差であるが。
俺
とまあ、こうなっている。
こうして考えると七塚原先輩本當にデカいな・・・あ、敦さんもおんなじくらいね。
・・・俺ももうし背がしいなあ。
いやまあ、この國の平均長よりは大分あるけども。
もう一つちなみにではあるが、近な陣はというと。
後藤倫先輩
と、こんなじだ。
沙姉は朝霞くらいで、璃子ちゃんや玖ちゃんは後藤倫パイセンより下ってじ。
元バレー選手だけあってさんもデカいからなあ・・・俺とそんなに違いないし。
「今開けまーす」
しょうもないことを考えながら玄関を開ける。
「昨晩ぶりですね、ライアンさん・・・お元気でしたか?」
「ハーイ!ゲンキデス!!センセイモ・・・オカワリ、ナク?」
「おーいえす、あいむふぁいん、てんきゅう」
何故疑問文になるのか、コレガワカラナイ。
そんなに始終大怪我ばっかりしてると思われているんだろうか。
今はちゃんと服を著ているから傷はわからんと思うけども。
「んな、ないすとぅ、みーちゅう?」
俺の後ろから顔を出した朝霞が、おっかなびっくり挨拶している。
おや、いつもよりおとなしいな・・・ああ、ライアンさんいい人だけど厳ついもんなあ。
「オーウ!ベッピンサンデスネ!!」
「せ、せんきゅう!へへへ、にいちゃん!べっぴんさんだって!!」
朝霞は嬉しそうに俺のシャツを引っ張り・・・首が締まる。
やめてくれないか、シャツがべろんべろんになっちゃう。
あと気付いてる?日本語通じてるからねこの人。
「まいねーむいず、あさか!あらかわ!!」
「ワタシハ、ライアンデス!ライアン・ギブソン、イイマス!」
ほへー、ライアンさんの苗字初めて聞いた気がする。
なんかカッコいいな。
「よろしくおねしゃー!うーわ!でっか!手ェでっか!!」
「HAHAHA!!」
・・・目を離した隙にガッチリ握手しとる!!
朝霞はコミュ力のお化けか何か?
やはりギャル・・・特にのギャルは牙島にて最強・・・!
「朝から元気ねえ~、いっくん、ってもらいなさい。その人に朝ご飯食べていってもらいましょ」
騒ぎを聞きつけてきたねえちゃんによって、恐するライアンさんは居間へ連行された。
彼はダイジョウブ!ダイジョウブデス!!と主張していたがそれは聞きれられず・・・
気が付いたら干をモリモリ食っていた。
お箸の使い方が上手だなあ・・・さすが駐留軍、なのか?
結局荒川家の食事はとても口に合ったようだ。
まあ、合わない方がおかしいか。
その結果、ライアンさんは『オイシイ!オイシイ!!』しか喋らなくなった。
ねえちゃんは心から嬉しそうにバンバンおかわりを持ってきてあげていた。
いくらそのでもそんなにるのか・・・という量の食事を平らげたライアンさん。
食後のお茶が終わるのを待って、今日の訪問の目的を聞いてみた。
すると、彼の口から語られたのは・・・
「なるほど、連絡要員・・・メッセンジャーってことですか」
「ハイ!」
というわけだ。
自衛隊からの連絡要員兼護衛は、神崎さんと式部さん。
駐留軍からはライアンさん・・・ってことね。
よかった、正直駐留軍の皆さんにライアンさん以外で親しい人いないんだよね。
何度か稽古もどきをしたから、向こうは俺の顔くらいは知ってる人もいるかもしれんけど。
なんにせよ、気心の知れた友人が増えたのはありがたいねえ。
・・・本人は『弟子』を自稱しているが。
「そういえば、神楽での英會話教室ってどうなったんですか?」
「オー・・・避難シテキタ人ノ中ニ、小學校ノセンセイ、イマシテ・・・オヤクゴメンデス」
ライアンさんはちょっとションボリしている。
お役免かあ。
避難民の中に教師がいたのか。
けれてるってことは、神楽のも充実してきてるんだろう。
でもエネルギー問題とか・・・あ、ダム経由の電気が使えてるのか。
それはよかったな。
「デモ、子供イッパイ増エマシタ!毎日ミンナゲンキ!ニギヤカ!!」
「そいつはよかった。子供が元気なのは何よりです」
これからの世代が育っていかないと絶滅不可避だもんな。
産めよ増やせよでいいんだ、うん。
・・・あ、そういえば石平先生が面倒見てた妊婦さん、どうなったかなあ。
元気な赤ちゃん産んでくれればいいんだけどなあ。
「そうでありますなあ、最近稚園に避難していた集団が合流しましたから。それで一気に小さな子が増えたであります!」
庭にいたはずの式部さんが、いつの間にか俺の橫でお茶を啜っている。
えっ・・・鹿の解・・・そう思って庭に目をやると、ドヤ顔でナイフを掃除しているアニーさんと目が合う。
神崎さんはのパーツを細かくしている。
・・・あ、終わってるんだ、早業すごいですね。
でも丁度いいや、聞いとこう。
「式部さん、石平先生ってご存じですか?」
「ああ、産婦人科の先生でありますね?ええ、奧さん共々子供たちに大人気でありますよ」
ダイキ達も元気にやってんのかなあ・・・
まあ、友以上の防力だもん、大丈夫に違いない。
なんたって自衛隊・警察・駐留軍揃い踏みなんだからな。
凄まじい安定だ。
「それじゃあお聞きしますけど・・・石平先生が診察してた妊婦さんってどうなりました?名前は・・・ちょっと忘れちゃったんですけど」
「ふむ、妊婦さん・・・ああ!ひょっとしてあの方でありますかな?」
しばし考え込んだ式部さんは、ぽんと手を叩いた。
「ちょっと前に出産して、母子ともに健康だと聞いております!」
「おー!そいつはめでたい!!」
そんな狀況でよく産まれてくれたもんだ。
電気も薬も満足にないのに、石平先生頑張ったんだなあ。
もちろんあのお母さんも。
「難産だったそうで・・・産気づいてから明け方まで長引いたようですが」
「それは・・・大変ですね」
「オウ、オボエテマス!テツダイマシタ!!」
「そうでありました!聞くところ軍曹殿も大活躍でありましたなあ!」
・・・ライアンさんが!?
噓でしょこの人もそれ系のスキル持ちなの!?
「オユヲ、バンバンワカシマシタ!ソレニタオルケットノ消毒モ!!チョウド暇、デシタノデ!!」
・・・お湯かあ、納得。
よく時代劇とかで『お湯沸かして!!』ってシーンは見たことあるけど、まさか現代でもそうだとは。
今は狀況が狀況だからなあ・・・
「ふふぅふ、それにしてもかわいらしい赤ちゃんでありましたなあ・・・元気な4つ子で」
「4つ子ォ!?」
・・・ふわあ。
あの妊婦さん、頑張ったんだなあ・・・すごく。
石平先生たちも大変だっただろう。
「そのうちの1人が出産後すぐに泣かなかったんでありますが・・・石平先生の奧さんがおをスパーン!と叩きまして・・・」
「おおう、そりゃ大変だ」
産まれてすぐ泣かないってのは、自発呼吸ができない・・・んだっけ?
そのままだと息ができずに亡くなってしまう。
だからお醫者さんがおを叩いていたんだよな、昔は。
「『ほら!お願い!!頑張って!!みんなが待ってるのよ!!』って・・・はあ、凄い景でありました」
「マイサン・・・息子ノコト、思イ出シマシタ。アノ子、小サイ時・・・トテモ、弱イ、デシタ」
ライアンさんは何かを思い出すように、潤んだ瞳で天井を見上げた。
思い出してるんだろうなあ、家族のこと。
海外は遠いぜ・・・
・・・それにしてもほんと、大変だったんだなあ。
「今は母子ともにすっかり健康であります!その・・・避難民の中には子供を亡くされた方も多くいらっしゃいますので、あまり大っぴらには喜べませんが・・・」
ああ・・・うん。
難しい問題だ、それは。
どっちが正しいとかそういう問題でもないしなあ。
「しかし、子供の育は國家のこの先にまで影響を及ぼすでありますから」
「ですね、いくらゾンビがいなくなっても子供がいなくちゃ國が滅びますから」
まあ、まずはゾンビをどうこうせんと駄目なんだがな。
ノーマルはともかく、黒・・・それに白黒、さらにネオはヤバい。
俺は1対1ならなんとかなるかもしれんが、白黒とネオはマジでヤバい。
あんなのが増したらどうにもならんぞ。
それこそ某ゾンビゲーよろしくクソデカ弾で街ごと・・・とかやらんといかん。
それは嫌だなあ。
「高柳運送も友もそうですけど、子供が元気だと空気まで平和になりますからね。いいことです」
スクスク大きくなれよ、4つ子ちゃん。
いつかサクラも會わせてやりたいもんだ。
あの子、子供大好きだしな。
「にいちゃん子供にやっさしい!あーし的にポイント高いよ~」
朝霞がお煎餅の詰め合わせをテーブルに置く。
おっと、これは・・・ミチヨさんお手製のものじゃな?
やったぜ。
これ味いんだよなあ。
「・・・なに言ってんだよ。度を越えた糞鬼以外に優しくすんのは當たり前だろう」
子供はい。
育ち切った大人と比べるのは流石にかわいそうだろう?
これから大きくなっていくんだから。
え?大人?
・・・健康なら頑張ってなるべく自力で生きていってくれ!!
ご老人はまた別の話。
「・・・シキブサン、ね?えへへ、やばいっしょにいちゃん」
「ふふぅふ。で、ありますなあ・・・やはり一朗太さんは最高でありますよ」
朝霞と式部さんはなにやら見つめ合って煎餅を齧っている。
・・・ほんっとに仲良くなったねキミ達。
あとヤバいってなんだヤバいって。
「ライちゃんも食べてね~どんどん食べてね~」
「ハイ!ママサン!!」
その橫ではねえちゃんによってライアンさんが餌付けされている。
・・・いつの間にかあだ名をつけられておる!?
荒川一家、コミュ力高い・・・
「田中野さん田中野さん!今日もおいしい燻製ができそうですよ!」
「おや、見慣れない筋がいるな。まあ、チエコさんがOKなら私は何にも言わんが」
神崎さんとアニーさんが庭から戻って來て、ますます賑やかになりそうだ。
俺は、煎餅を齧りながら平和も一緒に噛み締めていた。
・・・というのが今朝の話。
その後に雨が上がり、晴れてきた。
そうしたら庭のなーちゃんがテンションマックスだったので、散歩と灑落こんだのだ。
慣れるまでは時間がかかるけど、基本的に寂しがりで人間大好きだもんなこの子。
今日は任務がないというライアンさんがついて來ようとしたので、『その恰好じゃ不便でしょう』とねえちゃんが服を貸していた。
・・・ピッチピチだけど本人は楽しそうなので良しとする。
ある程度大柄な朝霞の兄貴も、さすがに規格外のライアンさんが相手ではな・・・
そうそう、ちなみにライアンさんを見たなーちゃんは30分くらいででることを許していた。
どうやら彼は、犬好きを見抜く才能があるらしい。
今では家から持ってきたフリスビーに夢中である。
「おやぁ、私にも1本あるのだろうな?」
乾いた砂に寢転がっていると、アニーさんが顔を覗き込んできた。
無言で煙草の箱を差し出すと、彼はそこから1本取って咥えたままの俺の煙草で火を點ける。
「ふふ、ゴショーハンにあずかろう」
そのまま、橫にゴロンと寢転がった。
うーん、自由人。
「イチローもライアン軍曹にナーチャンを押し付けて、いいご分だなあ」
「て・・・適材、適材適所です」
煙を吹かして誤魔化す。
いいんだよ・・・代わってくれるって言ったんだから・・・
「しかし、いい男の周りにはいい男が集まるのだなあ。素晴らしい筋・・・眼福眼福、というやつだ」
アニーさんはニマニマしながらライアンさんたちを見ている。
俺の周りって筋フェチ多いな?
・・・俺がいい男なのは甚だ疑問ではあるが、ライアンさんについてはな。
デカいし、強いし、優しいし、男に必要な要素全部あるじゃん。
ニンニクマシマシヤサイカラメチョモランマ?じゃん。
「だが惜しい。妻子持ちとはなあ・・・殘念だが諦めよう。私は家庭持ちにモーションをかけるほど恥知らずなではないのでな」
なんかが始まる前に終わっていた。
アニーさん・・・素晴らしい倫理観だすばらしい。
不倫なんかする奴の気が知れないね、俺も。
勤めてた會社にもいたなあ、不倫で首になった奴。
家庭持ちの上司と不倫したんだっけ?たしか。
ま、そんな倫理観が死んでるやつと一緒に仕事したくねえし。
・・・俺の部署以外は意外とマトモだったんだよな、うちの會社。
社長がアレなのによくもまあ・・・部下がしっかりしてたんだろうか。
「・・・おやおやぁ?こんな所に獨のいい男がいるじゃあないか」
「あひっやめてくださいあひひ」
脇腹をリズミカルにつついてくるアニーさん。
この突拍子のなさ・・・後藤倫パイセンに通じるものがある!
わかったところでどうにもならんのだがね!
「どうだね、イチロー・・・ここにれたを持て余したがフリーなんだが・・・?」
「ちょっ顔が近い近い火傷しちゃう!!」
煙草を咥えたまま寄ってこないで!!
ほっぺにが開いちゃう!!
「あああああ~~~~!!!」
家の方からび聲がする。
朝霞だろう。
「アニーちゃん!!アニーちゃん!!いちゃいちゃすんなし!!ずるいし!!!」
あっという間に聲が近付いてくる。
朝霞は足が速いなあ。
「はっはは。何を言うかアサカ・・・キミも混ざればいいだろう?」
「は?何言っt」
「アニーちゃん天才~!!!!」
「あっず!?」
走った勢いのまま朝霞は俺の上へダイブ。
それによって思わず口から飛び出た煙草が首に落ちた。
の焼ける臭いがする!!!!!
「あああ!?ごめっ!ごめんねにいちゃあん!!!」
「待て待て待て舌を出すな何をする気だお前馬鹿!!!ステイ!!ハウス!!アサカハウス!!」
「あーし犬じゃないし!!じっとしててよお!ん~~~~~♡」
「ヤメロ!!ヤメローーーーーー!!!!!!」
舐めて消毒とかの発想がもうワンちゃんなんだよ!!!
くそっ・・・離れなさい!!離れ・・・凄い力だ!!!!
「ふふ。退屈しないなあ、ここにいると」
暴れる俺たちを目に、アニーさんはを起こしてニヤニヤと笑っていた。
この野・・・郎!!!
なにイイじの空気作ってんですか1人で!!
救いはないのですか!!!!!
「バウ!!ワゥン!!!」
あ!なーちゃん!!
救いの主よ!!!
この頭がちょっと茹だった朝霞をなんとかしてください!!!
「いっでえ!?」
フリスビーを咥えたまま猛ダッシュしてきたなーちゃんは、嬉しそうに朝霞に飛び掛かった。
・・・もみくちゃにされる相手が増えただけじゃねえか!!
神よてめえ!!!
「センセーイ!!ユアオーケー!?」
「ノオオオオオオオオウ!!エマージェンシーーーーーーー!!!海軍の支援を要求する!!!!!」
走ってくるライアンさんにんだ。
―――ちょうど、その瞬間だった。
ずん、と腹に響く衝撃。
俺じゃない。
地面が、揺れた。
これは、地震か!?
「にゃ!にいちゃん地震だし!タカダイに逃げないと!!」
「おう!ライアンさん!!アニーさん!!」
相を変えて起きる朝霞に続く。
さすが漁師の家系だけあって、津波に対する反応が速い。
なーちゃんもさっきまでのアホ・・・かわいい面はどこへやら。
すぐさま勢を低くして周囲の狀況を探るような仕草をしている。
「アニーさんなにして・・・」
「shut up!!」
ところがアニーさんは反対に地面に伏せ、片耳をぴったりと砂に付けている。
なにをしているんだと聞きたいが、今めっちゃ怒られたから黙っていよう。
「・・・!」
ライアンさんも、片手を耳の後ろにマウントして音を聞いている様子だ。
・・・地震じゃない、のか?
確かに、揺れっていうか衝撃が短かったけど。
「っひゃう!?」
2度目の衝撃。
今度は続けて2つじた。
抱き著いてくる朝霞の頭をでつつ、俺も靜かに音を聞く。
「・・・ッ!!」
3度目の衝撃。
今度はハッキリとわかった。
これは・・・地震の揺れじゃない。
憾ながら、この騒で何度か経験した記憶のあるもの・・・だと思う。
その後、5度まで衝撃はあり・・・そして噓のように靜かになった。
しばらく待っても無音のままだったので、アニーさんがを起こす。
「・・・アニーさん、今のって」
パンパンとに付いている砂を落としながら、アニーさんは眉をひそめて吐き捨てた。
「―――発の衝撃だ。地下の・・・坑道で何かあったらしい」
俺は、平和がぐっと遠のいた気配をじていた。
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★書籍化&コミカライズ★ 侯爵家の養女セレストは星獣使いという特別な存在。 けれど周囲から疎まれ、大切な星獣を奪われたあげく、偽物だったと斷罪され殺されてしまう。 目覚めるとなぜか十歳に戻っていた。もう搾取されるだけの人生はごめんだと、家を出る方法を模索する。未成年の貴族の令嬢が家の支配から逃れる方法――それは結婚だった――。 死に戻り前の記憶から、まもなく國の英雄であるフィル・ヘーゼルダインとの縁談が持ち上がることがわかっていた。十歳のセレストと立派な軍人であるフィル。一度目の世界で、不釣り合いな二人の縁談は成立しなかった。 二度目の世界。セレストは絶望的な未來を変えるために、フィルとの結婚を望み困惑する彼を説得することに……。 死に戻り令嬢×ツッコミ屬性の將軍。仮初め結婚からはじまるやり直しもふもふファンタジーです。 ※カクヨムにも掲載。 ※サブタイトルが少しだけ変わりました。
8 111オーバーロード:前編
未來に存在するVRMMO『ユグドラシル』のサービス終了の日。最強クラスのギルドの一角である『アインズ・ウール・ゴウン』のギルドマスター『モモンガ』は、メンバーと共に作り上げた居城の玉座に、臣下たるNPCたちにかしずかれながら座っていた。たった1人で、もはやいないかつての仲間達を思いながら。 そしてサービスが終わり強制ログアウトが生じるその瞬間、異変が起こった。ログアウトできず、そして何より話すことの出來ないはずのNPC達がまるで生きているかのように忠誠を示しだしたのだ。さらには外の世界は未知の世界。モモンガは混亂しながらも、絶対者(ギルドマスター)として行動を開始する。 これはアンデッドの肉體を得た絶対者たるモモンガが、己の(頭のおかしい)目的のために、異世界を蹂躙していく物語である。 この作品はarcadia様の方でも公開しております。
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第四回ネット小説大賞 一次突破 第五回ネット小説大賞 一次突破 第1回HJネット小説大賞 一次選考通過 突然、クラスごと異世界に召喚され、クラスメイト達は勇者になっていたがその中でたった1人だけ勇者になれなかった少年、高理ソラ。勇者になれなかった彼は、女王に見捨てられ半殺しされ亜空間に放り込まれてしまう。何も無い亜空間の中で彼の命が盡きようとしていた時、彼の命は大魔王に救われてしまう。これは、大魔王に命を救われた少年が復讐を目的に成長して行く物語。たぶん。 漫畫の方が1~4巻まで発売されているので、書店やネットで見かけた際は是非! 2022年2月1日から更新再開です。 數日は過去の話を読みやすくまとめたモノを投稿していきます。 そのあとから続きを投稿予定です
8 53友だちといじめられっ子
ある日から突然、少女はクラスメイトから無視をされるようになった。やがて教室に行かなくなって、學校に行かなくなって⋯⋯。 またある日、先生に言われて保健室に通うようになり、教室に行くのだが、影で言われていたのは「なんであいつまた學校に來てんの」。少女は偶然それを聞いてしまい、また保健室登校に逆戻り⋯⋯。 またまたある日、保健室に登校していた少女の元に、友人が謝りに。また教室に行くようになるも、クラスメイトに反省の意図は無かった⋯⋯。 遂には少女は自殺してしまい⋯⋯⋯⋯。 (言葉なんかじゃ、簡単にいじめは無くならない。特に先生が無理に言い聞かせるのは逆効果だとおもいます。正解なんて自分にも良く分かりませんが。) ※バトルや戀愛も無いので退屈かもしれませんが、異世界物の合間にでも読んで見て下さい。 (完結済~全7話)
8 99出雲の阿國は銀盤に舞う
氷上の舞踏會とも形容されるアイスダンス。その選手である高校生、名越朋時は重度のあがり癥に苦しんでおり、その克服の願をかけに出雲大社を訪れる。願をかけたその瞬間 雷のような青白い光が近くにいた貓に直撃!動揺する朋時に、體を伸ばしてアクビをすると貓は言った。『ああ、驚いた』。自らを「出雲の阿國」だと言う貓の指導の下、朋時はパートナーの愛花とともに全日本ジュニア選手権の頂點を目指す。 參考文獻 『表情の舞 煌めくアイスダンサーたち』【著】田村明子 新書館 『氷上の光と影 ―知られざるフィギュアスケート』【著】田村明子 新潮文庫 『氷上の美しき戦士たち』【著】田村明子 新書館 『DVDでもっと華麗に! 魅せるフィギュアスケート 上達のコツ50 改訂版』【監】西田美和 メイツ出版株式會社 『フィギュアスケートはじめました。 大人でもはじめていいんだ! 教室・衣裝選びから技のコツまで 別世界に飛び込んだ體験記』【著】佐倉美穂 誠文堂新光社 『フィギュアスケート 美のテクニック』【著】野口美恵 新書館 『表現スポーツのコンディショニング 新體操・フィギュアスケート・バレエ編』【著】有吉與志恵 ベースボール・マガジン社 『バレエ・テクニックのすべて』【著】赤尾雄人 新書館 『トップスケーターのすごさがわかるフィギュアスケート』【著】中野友加里 ポプラ社 『絵でみる江戸の女子図鑑』【著】善養寺ススム 廣済堂出版 『真説 出雲の阿國』【著】早乙女貢 読売新聞 また阿川佐和子氏『出雲の阿國』(中公文庫)に大きな影響を受けておりますことを申し述べておきます。
8 156格闘チャンプの異世界無雙 〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無雙する〜
東堂院力也は、地球最強の男だ。 ある日、居眠り運転のトラックから少年少女を助けるために、彼は犠牲となった。 「…………む? ここは……?」 彼が目を覚ますと、見知らぬ森にいた。 狀況整理に努めているときに、森の奧から女性の悲鳴が聞こえてきた。 「きゃあああっ!」 「むっ! 女の悲鳴か……。今向かうぞ!」 東堂院力也は駆け出す。 しばらくして、女性の姿が見えてきた。 數人の男に押さえつけられている。 服を脫がされ、半裸の狀態だ。 「そこまでだ! 賊どもめ!」 東堂院力也が大聲でそう言う。 男たちが彼を見る。 「何だあ? てめえは!」 「けっ。通りすがりの冒険者かと思ったが……。見たところ丸腰じゃねえか」 「消えろ。ぶっ飛ばされんうちにな」 賊たちがそう言って凄む。 果たして、東堂院力也はこの賊たちを撃破し、女性を助けることができるのか。 格闘チャンプの異世界無雙が、今始まる。
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