《乙ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?》191話 兇刃と兇弾
「目を覚ましなさい! アリシア・ウォーカー!!」
(お願い……屆いて……!)
そんな願いを込めてぶも――やはり効果はないようだ。
それどころか、むしろ逆上させてしまったようで、アリシアのきがより激しくなったようにも思える。
(ダメか……)
思わず諦めそうになるイザベラ。
アリシアは、その隙を見逃さなかった。
一気に距離を詰めると、鋭い爪を振りかぶってきたのだ。
「あハハハハハハハ!!」
勝ち誇ったような笑い聲と共に振り下ろされた兇刃を――イザベラは間一髪で回避することに功した。
(危なっ!?)
冷や汗をかきつつもホッと息をつく彼だったが、それも束の間のことに過ぎなかった。
彼は殺気をじ取ると、慌ててその場から飛び退く。
するとその直後――彼がいた場所を何かが通り過ぎ、後方の壁を々に吹き飛ばした。
(あれは……!)
よく見れば、その正はすぐに分かった。
それは闇の瘴気の塊だったのだ。
まるで弾丸のように放たれたそれは、恐ろしい威力を誇っていた。
もしも當たっていたらどうなっていたのか……想像するだけで背筋が凍り付く思いである。
「マダマダァアアッ!!」
アリシアが再び襲い掛かってくる。
イザベラは防戦一方になるしかなかった。
「ハァ……ハァ……」
肩で息をしながら、イザベラは目の前の相手を見つめていた。
対するアリシアの方も、さすがに疲れが出てきたようだ。
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