《ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years》第6章 1983年 プラス20 – 始まりから20年後 〜 1 髭と眼鏡と……真実と(2)

1 髭と眼鏡と……真実と(2)

べっ甲の中で、もっとも高級だと言われるオレンジの白甲をいくつか選んで、その中で一番太めのデザインに決める。ところが鏡の前で掛けてみると、どうにもまだまだ足りない。

――やっぱり、目は口ほどにものを言う、なんだな……。

だからと言って、まさかサングラスってわけにもいかないから、とりあえず薄茶のレンズにしてもらうよう店員に頼んだ。

そうして目的のものを手にれ、彼は銀座の大通りでなんとはなしに思いついた。

――あそこは今、どうなっているんだろう?

銀座から日比谷線で小伝馬町に行って、小柳社長の會社があった場所はどうなっているか、ふと、彼は知りたいと思ったのだった。

掘っ建て小屋からスタートし、元の世界では立派なビルを建てていた。

ところがなぜかこの世界では、起業から一年保たずに廃業へと追い込まれている。ただ不思議なのは、たとえミニスカートが売れなくても、商売はいくらだって続けられたということだ。

あのスカートは最小ロットの生産で、せいぜい百著くらいしか作っていなかった。普通ならその程度のことで――家賃や借金がないのだから――いくらなんでも倒産などしないだろう。

なのにこの時代の小柳社長は倒産どころか、行方不明にまでなったらしい。

結果、生きているか死んでいるのかさえわからないままだ。だからこそ余計に、あの場所のことを強く知りたいと思うのだろう。そして銀座同様、小伝馬町もまさに記憶にあるままだった。

――どうして!? どうしてあのままなんだ……?

遠くにそれらしい建が見えて、一気に心臓の鼓も速くなる。

行方不明だった社長が戻ったのか? それとも噂自がデタラメだった?

次から次へと疑問が浮かぶが、どれもこれも現実的ではない気がする。

変わらずに、ビルはそこにあったのだ。

見覚えのある建がそびえ立ち、社名もロゴデザインも記憶にあるそのままだ。

剛志は會社の前まで走って、荒い息のまま二十階建てのビルを見上げてみた。しかしどうにも記憶通りで、あとは中にって確かめるしかない。だからそのまま一階にあるショールームにっていき、その先にいる付嬢へドキドキしながら聲をかけた。

「小柳社長にお會いしたいのですが。わたし、彼の古い知り合いでして、千駄ヶ谷時代にお世話になった者だとお伝えいただければ、きっとおわかりになると思います」

さらに巖倉ではなく、名井という名を付嬢に言づけた。

この時點で不審がられていないから、なくとも社長は小柳というのだろう。

であれば、ここはあの會社だろうし、もしかすると意外とすぐに、小柳氏は舞い戻っていたのかもしれない。

そして案の定、彼はあっさり最上階へ上がることを許される。

それから社長室の扉が開かれるまで、剛志の期待は膨らんでいた。小柳氏は今一度チャレンジし、本來あるべき未來を取り戻していた。そんなふうに想像したが、扉が開いたその瞬間、真実はまるで違っていたと思い知る。

顔が、ぜんぜん違ったのだ。

「あなたが名井さんなんですね! いやあ、これはなんという驚きだ! ようこそおいでくださいました。さあ、そんなところにいらっしゃらないで、どうぞどうぞ、こちらにかけてください。今、お茶を出させますから……」

そこまで一気に口にして、

「いや、お茶はやめましょう! もし、お時間があるなら出ませんか? いや、なくても是非、今日はわたしに付き合ってください」

さらにそう言ってから、男はデスクに置かれたを手にする。すると待ち構えていたように相手がすぐに出たらしく、

「お客様と外出するから、駐車場に車を一臺回してくれ」

視線は剛志に向けたまま、社長であろう男はそんなことを口にした。

    人が読んでいる<ロング・ロング・ラブ・ストーリーズ 4度目のさようなら that had occurred during the 172 years>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください