《【書籍化】白の平民魔法使い【第十部前編更新開始】》819.四年後
ベラルタ魔法學院を卒業したアルムはカレッラに戻ってきた。
三年の間過ごした第二寮は次の學生の寮となる。
荷を引き払い、最後の登校をする時は流石にし寂しさをじたものだ。
「やっぱりあそこは特別な場所だったんだな」
全てを包み込むような自然に溢れた山の中。
アルムの聲は明な空気に溶けていく。
山奧に存在するカレッラの村の教會前……師匠の墓の前にアルムは座っていた。
無論、無事ベラルタ魔法學院を卒業して魔法使いの認定をけた事の報告だ。
魔法について教えてくれたのも師匠、ベラルタ魔法學院への手続きをしてくれたのも師匠だ。
思い返せば本當に頼り切りだったなとアルムは思う。
「師匠のおかげだよ」
當たり前の事だが平民でベラルタ魔法學院を卒業したのはアルムだけだ。
握られている卒業証明書に家名は書かれていない。
「でも、もうしやらなきゃいけない事があると思ったんだ」
返答はない。
墓石に向かってアルムは話し続ける。
「ベラルタに行って大切なものができたよ。あの場所で知り合った人や仲良くなった人……友達になった奴等に好きなの子……。ここにいたら、魔法使いを目指さなかったら絶対に出會う事の無かった人達だ」
ベラルタに旅立ってからの出來事をアルムは思い出す。
浮かぶのは大切な記憶。
大蛇(おろち)との戦いにおいて最後に師匠が守ってくれたもの。
彼は忘卻の悪魔であるがゆえに、経験や記憶が人を人たらしめるのだと知っていた。
「魔法使いになって……いや、なれなくても大切なものが増えたよ」
かつてはカレッラだけが大切な場所だった。
シスターや師匠と暮らしていたこの故郷。
――帰りたいと思える場所。
「一年の頃にルクスが言っていたのを思い出したんだ。魔法學院って場所があるのは……新しい故郷を作る事だって。印象的だったのを覚えてる」
アルムは卒業して學院での日々は過ぎ去り、二度と生徒になる事はない。
それでも……あの場所で積み重ねた時間がアルムに第二の故郷を作る。
同じ日を過ごした人、戦った人、自分と同じように魔法使いを目指した人。
卒業したばかりの今思い出してもそれはアルムの理想への原力となって突きかす。
そして次の魔法使いを目指す者が――また新たに學院へと學していく。
あの場所でまた大切な時間を過ごして、魔法使いになるために。
「とても素敵なことだ。なくとも俺はそうだった。ベラルタに何かあったら……俺は心の底から守りたいって思うよ。そこにミスティ達がいなくても」
本心だった。
ベラルタはアルムにとっての第二の故郷。
"魔法使い"としてだけでなくアルムとしての。
「だから、俺はそんな自分の大切な場所を増やしてみようと思う。自分の世界をもっと広げて帰ってくるよ。師匠が俺のところに來てくれたように、今度は俺が魔法使いになりながら」
そう言ってアルムは立ち上がった。
制服をいで、平民らしい簡素な服を著る。
その上にマナリル國王カルセシスから贈られてきたマントを羽織った。
あまりにもアンバランスは組み合わせだがアルムらしい。
平民であり魔法使いでもある彼にとっては。
「行くのかい?」
「うん」
教會のり口にもたれかかっていたシスターがアルムの卒業証明書をけ取る。
シスターは呆れた表をしているが、し嬉しそうでもあった。
「最初はどこにいくんだい?」
「まずは南部を回って、その後は海の向こうに行くよ。ディーマさんが商船に乗せてくれるらしい」
「ミスティちゃんには話したんだろうね?」
「ああ、ミスティも納得してくれた」
「そうかい……気を付けて」
「シスター」
「ん? ちょ、おいおい……」
アルムは両手を広げてシスターを抱きしめる。
突然の事だったからかシスターはし慌てるも、すぐに抱き締め返した。
自分よりも大きくなった息子の抱擁に目に涙が浮かぶ。
「でっかくなったねぇ……」
「シスターのおかげだ」
「本當に……本當に……大きくなった……。もう、子供じゃないんだなあ……」
「でかくなってもシスターと師匠の子さ」
「……うん」
しばらくしてアルムは抱きしめていた腕の力を抜く。
別れの時だ。シスターもまたアルムを抱きしめていた腕を離した。
「いってくる」
「ああ、いってらっしゃい!」
三年前のようにアルムはまたカレッラから旅立つ。
今度は"魔法使い"になるためにではなく、自分の理想を広げるために。
鳥の囀り、獣の聲、草木の香りに頬をでる風。
アルムにとってただの自然でしかなかった故郷の音が、いつもよりもおしかった。
魔法創世暦一七〇五年――アルム達がベラルタ魔法學院を卒業してから四年後。
マナリル東部マットラト領港町。
常世ノ國(とこよ)から來た船から二人の男が降りてくる。
いや、正確には二人だけではなかったのだが……人々の視線は自然と二人に集まっていた。
黒髪に黒い瞳を持つ男と目を閉じながら杖をついて歩いている翡翠の髪をした。
その二人が羽織っているマントの端にはマナリルの國章が刻まれており、が持っている杖にはダブラマの國章まで刻まれていて……港で作業をする平民であってもやんごとなき人であるというのがはっきりわかってしまうからだった。
「マナリル戻ってくるの久しぶりだねー」
「ああ、みんなは元気かな」
人々の視線を集めているがその男は気にする様子もない。
港に降りてきょろきょろよ見渡すと、二人の前に桃の髪をした可らしいが歩いてくる。
船から降りてきた二人が何者かわからないが、歩いてくるそのが何者なのかはその場にいた人々も半數ほどはわかっていた。
この地を治めるマットラト家の次――フレア・マットラトだ。
「お二人共お待ちしておりました。マットラト家にご案します」
領主の娘が禮をとるその二人に改めて視線が集まった。
マットラト家は四大貴族ほど大きくはないが、近年常世ノ國(とこよ)との貿易が始まった事によって急速にびている貴族の家。
そのマットラト家の人が禮を払うこの二人は一何者なのかと――?
「わざわざ悪かったなフレン。よろしく頼む」
「久しぶりー、フレンちゃんー!」
「はい、お久しぶりです! アルムさん! ベネッタさん!」
時を経て年から青年へ。
その顔付きは逞しく落ち著きがあり、それでいて瞳の輝きは失わず。
四年もの間マナリルから姿を消したアルムは再びこの地に戻ってきた。
いつも読んでくださってありがとうございます。
ただいまマナリル。
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