《【書籍化!】【最強ギフトで領地経営スローライフ】ハズレギフトと実家追放されましたが、『見るだけでどんな魔法でもコピー』できるので辺境開拓していたら…伝説の村が出來ていた~うちの村人、剣聖より強くね?~》第88話 大英雄はとても殘念な人だった
更新大変間が開いてしまいすみません!
久しぶりの更新となります!
私は今別の作品も連載しておりますが、決してこちらの作品のことは蔑ろにしている訳ではなく、裏で々手をかしています!(あと、連載開始前の10萬文字の書きためが盡きたというのもあります)
この度、書籍版2巻の発売が決定しました! 発売日決定次第追ってお知らせします!
今回、ものすごく書き下ろしと改稿をしました。WEB版から圧倒的にパワーアップしたものをお屆けできる予定です! (半分以上書き下ろし・改稿していると思います)
僕とエンピナ様は、協力して無事北門から侵してきたモンスターの群れの撃破に功した。
「あの英雄カノンを名乗るの子だけでは心配です。急いで南門に向かいましょう!」
僕たちは南門へと走る。そして、そこでとんでもないものを目にした。
南門近くの広場中央では、僕がさっき倒したのと同じメタルアームグリズリーが倒れている。大砲でも難なく弾き返す裝甲に包まれていたはずのには、大が開いている。
恐らく、規格外の破壊力の打撃だろう。どんな威力の攻撃だったのか、考えるだけで恐ろしい。
そして、そのグリズリーの上に片足を置いてポーズを決めていた。手には、グリズリーを倒すのには全く役に立っていなかったであろう刃こぼれした剣を握っている。
そして、そのカノンの様子を必死にスケッチしている人がいた。
……どういう狀況??
「さぁ、アタシの銅像しっかり良いの作ってよね! 顔はもうとにかくこれ以上ないくらい人に! 背も現より高く! 」
「は、はい!」
スケッチしている人が手をかす。あの人は銅像作家か。
ということは……
「メルキス様。カノンちゃんは、街を助けるたびああしてポーズを決めて銅像を作らせるんです。使えもしない武を持っているのは、『手に何か持っていた方が格好いいから』という理由ですぅ」
ナスターシャが耳打ちして教えてくれた。
何故英雄カノンは
・銅像の顔つきが各地でバラバラなのか
・銅像の持っている武が違うのか
という謎が一気に解けてしまった。
まさか、英雄カノンがあんな殘念な人だっただなんて……!
僕は地面に膝をついていた。
「スケッチ、完了しました。ではコレから早速制作にりますので……」
「うん、よろしく! 完した頃にまた見に來るからね」
ここでの仕事は終わったとばかりに銅像作家さんが駆け足で立ち去っていく。
「ところで領主さんよ」
カノンが近くにいた、この街の領主さんらしき人に向き直る。
「街の大ピンチを救ったんだし,謝禮の方は弾んで貰わないとねぇ」
「も、もちろんでございます。こちらをお納めください。壊れてしまった街の門や道の修理などもしなくてはならないので、これだけしか今お渡しできるものがございませんが……」
そう言って街の領主さんが金貨のった袋を手渡す。
「えー、コレだけ? 街の大ピンチを救ってあげたのに?」
「だ、駄目ですよぉカノンちゃん。そんなに困っている人からお金をむしり取ろうとするのは!」
ナスターシャがカノンに後ろから思い切り抱き著いて、街の領主さんに詰め寄ろうとするのを止める。骨がきしむ音が聞こえる。
「わ、わかったよナスターシャ姉ちゃん! お金はあきらめるから放して! 折れる、折れるから!」
手足をバタバタさせた英雄カノンが、やっと解放される。
「うう、これじゃ今夜はご飯食べれないどころか泊るところさえない……折角カッコよく街を救ったのに」
「では、最高級レストランと宿を無償でご用意させてください! それくらいのことは喜んでやらせていただきます! もちろん、北門でモンスターの群れを撃退してくださったあなた方も」
街の領主さんが僕たちの方を向いてそう言った。
「やったー! ただ飯だー!」
英雄カノンがこぶしを突き上げて喜ぶ。
「そうだ、ところでアタシどれくらい封印されてたの? 意識がなかったから分かんないけど……一週間くらい? もしかしてもっと長い? 2,3ヶ月とか?」
「……300年だ」
答えづらいが、僕は答えた。
「300……!? マジか、300年ってマジか……!!」
神経が太そうなカノンも、これには衝撃をけているようだ。
「……ってことは魔族との戦爭もう絶対終わってるじゃん! 人間がこうしてまだ生きてるってことは、人間側の勝利だったってことね? よかったよかった。300年経ったってことはもうアタシ伝説の英雄になってるんじゃない? どう? アタシの英雄譚とか沢山売られてるんじゃないの?」
英雄カノンが目を輝かせながら詰め寄ってくる。
言いにくいが、言わなければならない。
「英雄譚は売られているけど……殘念ながら、その、各地の銅像の顔がバラバラだったり、その時々で全然違う武を持っていたりするのが原因で……カノンは架空の英雄だと思われている」
「……は?」
「英雄譚は大本屋さんに行くとフィクション小説のコーナーに並んでいる」
「そんなああああぁ!」
カノンが地面に崩れ落ちる。拳で何度も地面を毆りつける。
「あんなに頑張ったのに! 何のために、何のために魔族とか魔王とか倒したと思ってるんだよ!」
人類のためじゃなかったんだ……。
……絶対に口にはしないが。こうして殘念なじの現を見てしまうと、架空の英雄であってほしかったとし思ってしまう。
口にしたら間違いなく面倒なことになるので絶対に言わないが。
しかし、あのメタルアームグリズリーの倒し方からして、間違いなく実力は英雄の名に恥じないものだ。
「実は、この時代にもまだ魔族はひっそりと生き延びていて、何らかの大きな計畫を進めている。僕たちはこれから魔族を倒すために北の街に向かうんだが、良かったら一緒に來ないか? 今の時代にまた魔族を倒して、こんどこそ実在の英雄として名を殘そう」
「いいね、それ!」
カノンが僕の手を摑む。
「大英雄カノン、英雄譚の新章始まりだー!」
こんな破天荒な人を一緒に連れて行って大丈夫なのかという不安もあるが、今はそれよりも戦力がしい。
あと、放っておいたら何をしでかすか分からない。カノンにある程度言うことを聞いてもらえそうなナスターシャと一緒に居てもらった方が安心できる。
こうして僕たちは、カノンと共に北の街へと向かうのだった。
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