《僕の姉的存在の馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜》

放課後。

いつもどおりの帰りの時間。

今日の授業が終わり、いつもどおりに校門前まで行くと、そこにはめずらしく1人で佇んでいる子生徒がいた。

香奈姉ちゃんと同じ子校の制服を著ていたから、子校の生徒には違いない。

それがめずらしいことだというのは、男子生徒たちの反応ですぐにわかる。

なんとかして、その子と一緒に帰ろうとっている姿を見て、頑張っているなと思えてしまう。

遠巻きにして見ていただけだったので初めのうちは誰かわからなかったが、その顔はあきらかに僕の知り合いのものだった。

夏の制服姿だったのが、よけいにわかりにくくしていたが間違いない。沙先輩だ。

沙先輩は、他の男子生徒たちに話しかけられても、すげなくスルーしている。

沙先輩も、普通にしていれば充分に可いから。

これは、そのまま無視して行ってしまった方がいいかな。

そうは思ったんだが……。

僕の顔を見るなり、沙先輩は嬉しそうな表を浮かべて駆け寄ってきた。

「待ってたよ、楓君。一緒に帰ろ?」

「う、うん。沙先輩がいいのなら」

あまりにグイッと迫ってくるものだから、僕はなんとも言えなくなってしまう。

つい、いつもの微苦笑を浮かべてそう返す。

「なによ、それ? 私は、楓君と一緒に帰りたいんだよ。それ以外に、ここに來る理由なんてないんだからね」

沙先輩は、屈託のない笑顔を浮かべてそう言っていた。

きっとそれが本音なんだろう。

沙先輩には、裏表がないから。

逆を言わせれば、口だとか悪口などを極端に嫌っていたりする。

「ちっ! また周防かよ。あんな奴のどこがいいんだよ」

子校の生徒と知り合いとか、うらやましい奴だよ。どうやったら──」

他の男子生徒たちは、悔しそうにそう言っていた。

そのことに対して、沙先輩はあきらかに不満そうな表でなにかを言おうとしていたのだが──

「それじゃ、沙先輩。一緒に帰りましょう」

僕は、咄嗟に沙先輩の手を握りそう言った。

とりあえず、沙先輩のご機嫌を損なわないようにしてやれば、何とかなるはず。

「あ、うん。そうだね」

沙先輩は、なにか思うところがあるのか、そう言って僕の後をついてくる。

普段なら、絶対に文句を言っているところだ。

それを言わないでおいているのは、何かの心境の変化だろうか。

それにこんな事を気にするのも変だが、スカートの下からびてるスパッツの姿がない。

またスパッツを穿き忘れたのかな?

たしかに制服も夏のものになり、スパッツを穿くのも暑苦しくなってしまったのかもしれないけど……。

それにしたって、穿き忘れるのはちょっと違う気もする。

そんな疑問を、悪戯な風が解決してくれた。

それは一瞬の事だ。

しばらく一緒に歩道を歩いていると、ちょっとだけ強めの風が吹いた。

その瞬間、ただでさえ短いスカートが捲れ上がり、中のものがわになる。

そこにあったのは、スパッツではなく水の下著だ。

ほんの一瞬だったから、よく確認できなかったが、これはこれで新鮮だったりする。

「きゃっ」

沙先輩は、しだけ怯んで捲れ上がってしまったスカートを抑えていた。

普段の沙先輩なら、そんな恥じらう姿を見せる事はしないだろう。

見なかったことにしよう。そう思ったのだが……。

「楓君」

「なに?」

「今の……。ひょっとしなくても、『見た』よね?」

「なんのこと?」

僕は、わざとそう言ってのける。

はっきりと『見た』だなんて言ったら、なにをされるかわかったもんじゃない。

しかし沙先輩にはわかっているのか、意味ありげにグッと拳を握りしめている。

なんだか悔しそうだ。

「そうだよね。はっきり『見た』だなんて言えないよね。私がんでそうしてしまっただけに、これはなんとも言えないかも……」

「だから、その……。僕が何を『見た』って……」

「楓君。君が間違って見てしまったものは、後でたくさん見せてあげるからね。心配しなくても大丈夫だから」

沙先輩は、あくまでも笑顔を浮かべてそう言っていた。

その笑顔が逆に怖いんだけど……。

、何を見せるっていうんだろうか。

「あー、うん……。沙先輩の下著は、あんまり見たくないかも……」

「遠慮しなくてもいいんだよ。私の場合は、楓君のために特別なものを選んで穿いてるわけだし──」

「それって、今もそうなの?」

僕は、ちょっとだけ興味が向いてしまい、そんな事を訊いてしまっていた。

さっき見えてしまった水の下著が、沙先輩の言う特別なものだったら。

そんなはずはないとは思うけど、男としてはぜひ聞いてみたい。

やはり沙先輩からは、當然の答えが返ってきた。

「今はね。ちょっと違うよ。今のは、この制服に合わせたものになるかな。楓君に見せられるような下著ではないかも……」

「そうなんだ」

「でも可さなら、それなりに自信はあるかな」

さなら…か。

それを聞いて、なんとなく納得してしまう僕がいる。

わざわざスパッツをいできてるのだから、今穿いている下著もそれなりに良いものなんだろう。

まぁ、スカートの中から覗く下著なんて、チラッと見えればそれで充分なんだが。

──いや。それはそれで背徳がある。

「夏の制服姿も、割といいじでしょ? 楓君はどう思う?」

沙先輩は、僕に見せつけるようにして前に出てきてその場に立った。

やっぱり、子校の制服ってどこか近寄りがたい雰囲気を出してるんだよなぁ。

夏服だと特にも出部分がなんとも──

いことには変わりはないけど……。

「うん。とてもよく似合っているよ」

僕には、そう答えることしかできない。

それが一番妥當な答えなんじゃないかと思う。

そんな返答を許さないのが香奈姉ちゃんだったり、沙先輩だったりする。

「なんかさ。テキトーに答えてない?」

やはりというべきか、沙先輩はムッとした表でそう言ってきた。

一番妥當だと思えるような答えを『テキトー』だなんて言われてしまったら、他になんて言えばいいんだろう。

これはきっと香奈姉ちゃんにも、同じことを言われてしまいそうだ。

「あ、いや……。えっと……。それは沙先輩が可いから、その……。他に言葉が見つからなくて……」

「それはウソだね。香奈ちゃんや理恵ちゃんに比べたら、私は全然可くないよ。私なんか、ガサツだし、全然の子っぽくないし……」

たしかに沙先輩からは、普通のの子っぽさはじられないかもしれない。

でもそれは、個の問題だ。

沙先輩のせいではない。

沙先輩は、もしかしたら普通のの子よりも可いかもしれないのだ。

「そのことなら大丈夫だよ。うちのバンドメンバーの中には、もっとの子らしくないの子がいるんだし」

「それって、ひょっとして奈緒ちゃんのこと?」

「いや、誰なのかはハッキリ言えないけど……」

「いや、もうそれ、奈緒ちゃん以外ありえないでしょ」

沙先輩は、ズバリといった様子でそう言っていた。

別に奈緒さんのことを言ったわけじゃないんだけどな……。

たしかに一瞬だけ、奈緒さんの顔が思い浮かんでしまったのは事実だが。

「奈緒さんは、その……。恥じらう姿なんかはの子らしくて可いと思うけど……」

「う~ん。それじゃ、誰だろ?」

「まぁ、誰でもいいんじゃないかな。沙先輩も、充分に可いんだし」

「そっか。誰でもいい…か。まぁ、そうかもね」

沙先輩は、そう言って僕に笑みを見せる。

何か言いたげなのは、見たらすぐにわかる。

きっと、それに対する答えが知りたいんだろう。

の子らしくないの子のことを言ったって、しょうがない気がする。

それは、該當しているの子をバカにしているような発言になりかねない。

僕も、誰なのかは言うつもりはない。

だから、その辺りは想像に任せようと思う。

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