《乙ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?》197話 姉上-5【フレッド視點】

(あぁ、違うんだ……!)

本當はこんなことが言いたいんじゃない……!

僕は必死に抗う。

そして――

「姉……上……」

「フレッド? ――んぷっ!?」

僕は姉上のを蝕む毒素を吸い出すため、口づけを行った。

姉上の困した視線が僕に向けられる。

「ぷはっ! ふ、フレッド……? これは一……」

「もう、これしかないんです。姉上は、僕の大好きな姉上は……。こんなところで死ぬべきじゃない。だから、僕が命に代えても守ります。これが弟としての最後の役目なんですから……」

「ま、まさか今のは毒を吸い出したの……? どうして……?」

「姉上……。弱い僕を……闇に飲まれた僕を許してください……。どうか……生きて……」

僕はそう告げると、最後にしい人の顔を目に焼き付ける。

そして、その場に倒れ伏した。

もう指一本かせない。

意識がどんどん遠のいていくのがわかる。

(これでよかったのかもしれないな……。姉上のために死ねるのならば本だ)

薄れゆく意識の中、そんなことを考える。

だが――

「――ごめんなさい。エドワード殿下、フレッド、カイン、オスカー。そして……アリシアさん……」

姉上のそんな言葉が聞こえたような気がした。

毒を吸い出して終わりじゃなかった。

何かが姉上を害しようとしているようだ。

僕にできることは……。

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