《「もう・・・・働きたくないんです」冒険者なんか辭めてやる。今更、待遇を変えるからとお願いされてもお斷りです。僕はぜーったい働きません。【漫畫1巻+書籍2巻】》199 寶の地図

街に見られている。

魔王を倒した帰り道、小さく興したルカをいつものようにトレインしてるときの想がそれだ。

なんといえばいいのか瓦礫の向こうから老若男を問わない視線を全て集めてるような覚。

興味。

尊敬。

そして謝。

果ては拝んでくるおばあちゃんまで。

「相棒、まるで勇者だな」

「僕はそんなんじゃないけど凄いね」

今までにじたことがない覚に、ふわふわと満たされていく。

僕の虛ろなんか誇らしそうにりだしてるし。

「やれやれ、有名になっちまったせいか悪い蟲まで群がって來やがらぁ」

「えー、またそれ?」

「今度は違わねえよ。なんなら賭けてもいいぜ」

「うーん」

試しに道の先にいる三人のの子たちになんとなく手を振って返すときがピシッと止まった。

うひえええ、くま吉ぃいって思ったけど、仲間で顔を見合わせたあと遅れて上がった聲に、本當なんだと認めざるを得ない。

「ほらな。俺っちの言ったとおりだったろ。これが有名稅ってやつでい」

「なんだか夢みたい。ふふふ、痛っ!?」

背中を抓られた?

ルカに僕は夢かどうか確かめてくれなんてお願いしてないよと抗議の視線を送ると、貴方が悪いんでしょみたいなじでむすっとされて、さっそく有名稅とやらを徴収された気分だ。

「で、どうすんでい相棒?主はご機嫌ななめだぜ」

「はぁ、ルートを変えようか」

「それでこそジェントルマンだぜ」

ぼっちのルカを気遣い、せっかく出來た僕のファンを避けるようにひょいっとルートを変更する。

まぁあまり意味は無いけれど。

なんだろう甘い香りが鼻腔をくすぐる。あれか! すれ違う人の多くが楽しそうにふわふわを片手に歩いていて、ちょっとわくわく。

「くま吉、お祭りかな?久しぶりにふわふわ食べたいかも」

「どこでやってんでい。おっ!あれじゃねえか」

まさかのリィナ商店!?

マジかよ。

行列の先に立てられたのぼりには”元祖!大魔導師がしたふわふわ”なんて文字が風でばたばたと踴ってた。

あー、うん。

「おいっ見ろよ。ご本人登場だ」

「本當だ。大魔導師さまだ!」

「大魔導師さま。ありがとう。格好良かったよーー!!」

待機列の人がざわざわするけど、今日はスルー。

「くま吉、やっぱ今日はやめとこう。行列だし」

「なんでい?行列に並ぶくれえ遠慮はいらねえぜ?」

「ちょっとね。ここの店主がルカにウザ絡みしてきそうだから」

「そうかい?そりゃ難儀なこって」

きっとロクな事にならないと僕の第六が告げるんだ。ささっと通り抜けるぞ。

「エクスくん!?來たの? リィナがふわふわ持っていく! はやくして」

やべっ、なんか聞こえた。

「どうしよう」

なんとなくだけど、ルカとリィナを合わせるのは不味い!

そんな気がしてルカの手を握って加速。

「何焦ってんでい?相棒」

「ひゃう」

「走るよ!」

エクスは逃げだした。

ううっ、ルカと息が合わない。

リィナに回り込まれてしまった!

「エクスくん! エクスくんもどうぞ」

早いよ。

僕の不安も知らず、満面の笑顔でふわふわ菓子を突き出してきたし。

なんでけ取らないのって純粋な目で見上げてきて眩しいっ。

「あ、ありがとう。リィナ」

け取ったけどこれは仕方なくない。

あぁ、嫌な予しかしない。

でもリィナはお兄ちゃんもしくはお父さん的なアレだから、さすがのルカも分かってくれないかな。

「エクスくん?」

「なに、リィナ?」

おっと、リィナが駄々をねるのか。ご機嫌な笑顔から不満げな視線を向けてきたんだけど。

「なに、この?」

「ルカだけど」

じろじろとルカの品定めしはじめたかと思うと勝ち誇ったようにふっと笑う。

「ふーん。リィナの勝ち」

えっ、何の勝負なの?

でも聞いたら不味い気が。

くま吉が僕に震えながら抱き著いてきたし。

「エクスくんはどんな子が好き?」

「喧嘩しない大人の人かな」

「リィナはおが貧しい人に優しくできるもん。ノプレスオマージュ?大人だから」

ルカが振り向き、「お子様ね、ノブレスオブリージュだから」なんて目線を向けてきてふっと優しく笑った。

なんかよく分からないけど解決?

なにげなく、貰ったふわふわを口に運ぶと甘さが口の中で解けていく。

あぁ味しい。

半分食べたらルカにもあげよう。

「あらあらエクスくん。嫌だわー。大人のが好きだなんて。ごめんね、あたしには旦那がいるの」

「お客さん待ってますよ」

寢言を言いながらおばちゃんがやってきたので塩対応。

「待たせときゃいいんだよ、今日はあんたが主役なんだから。それにエクスくんが紹介してくれたスラムの子が頑張ってくれてるからね」

「へぇ、そうなんですか。頑張ってるんだ」

ちょっと嬉しい。良かったね。

「よしっ、あたしもお禮にひとごうじゃないかい」

「いや、いらないんですけど」

「いいやエクスくんには耳寄り報さね。あの枕がついにベッドになったらしいよ」

え!?

「ぜんぶ買います!いつりますか!」

「ちょっちょっと興しすぎだよ。話は終わってなくて、それが発注かけてたのに開発者のドワーフが腰をやってしまって製造中止らしいんだよ」

「そんなぁ」

ならなんでこんな話を。

「あたしの見立てじゃ、エクスくんが掛けてくれたサポート1なら腰痛だって治ると思うのさ。ここに工房の地図があります」

「ちょっと人助けしてきます」

おばちゃんグッジョブ!

実は、たくさん持ってたスライム枕だけど、くま吉が遊びで破いて、ニトラに奪われ、僕もジュースを零してしまって、殘機は5しかなくて焦ってたんだ。

「ごめんねリィナ。僕はもう行かないと。ドワーフの國に僕の助けを待っている人がいるんだ」

すらいむ枕工房の地図が、寶の地図に見えてきた。

サポート1で癒して、お禮に沢山作ってもらえないかな。

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