《テイマーリュカリュカちゃんの冒険日記》917 最後の王の最期
炎の巨人――いやもう、ぶっちゃけてしまうとアコのるイフリート君な訳ですが――の羽い絞めアンド継続ダメージによって悪霊のHPは全損、ボクたちは全員無事に戦いを乗り切ることができたのだった。
「それなのに、この釈然としない気持ちはなんだろう……」
結果を見れば最後の最後まで參戦を我慢していたアコの作戦勝ちということになるだろう。そのタイミングをあの子自に任せていたのは他ならぬボクだし、事実あれがなければ最後の最後で悪霊に大逆転を許していた可能は高い。
うん。気持ちはさておき、どう考えても褒めてあげなくてはいけない場面だね。
「アコ、ありがとうね。おかげで誰もやられることなく悪霊を倒すことができたよ」
ねぎらいの言葉にニカッと笑いサムズアップしながら消えていくイフリート君。うーむ……。アコの本ではないとはいえ、暑苦しいアンド濃ゆいなあ。
と、勝利の余韻に浸(ひた)れていたのもここまでだった。悪霊が消えたかと思えば、玉座に再び王の死霊が現れたのだ。一瞬構えそうになるが、弱弱しいその様子から危険はないと判斷する。
それでも用心は怠らずに、うちの子たちは引き続き『ファーム』から出てきたままだ。まあ、〔共闘〕の効果が切れてしまったためにチーミルとリーネイの姿は見えなくなっていたけれど。
「お、おおお……。このような者どもの手によって我らが千年王國が潰えるというのか……。輝かしい永遠なる栄が消え失せてしまうというのか……」
嘆き節に見せかけておいて実は長髪だったというオチですか?乗っちゃうよ?そこはかとなくイラッとしたから乗ってあげようじゃないのさ。
「一つ教えておいてあげる。栄なんてものはね、摑んだその瞬間から過去のものになっているの。あなたたちは現在と未來をないがしろにして、過去ばかりを見ていたんだね。立ち行かなくなって當然だよ。『大陸統一國家』は滅ぶべくして滅んだんだ。後、このような者どもで悪かったわね」
もちろん過去も大事だ。功も失敗も大事な財産だもの。だけどそれを活かせなければ、それを活かそうとしなければ意味がない。
そして彼の言う栄とは國家としての繁栄というよりも、彼個人や一握りの者たちがもっていただろう強大な権力を指しているように思う。要は民衆やら市民やらを従わせて「俺様偉い!」とじていたかったのではないかしら。
だからこそ永遠にこだわり、死霊になるという悪魔の提案に食いついてしまった。
「あなたはもっと近にいた人の言葉に耳を傾けるべきだった」
「近な……。まさかスラットの方が正しかったというのか?」
さて、ね。正しさの定義なんてその時その狀況その立場でコロコロと変わってしまうものだから、安易に斷定できるようなものでもないし。ただ、周囲から疎まれて孤立してしまうくらい辛辣で不愉快な意見だったということは、判斷材料の一つとしての価値はあったと思う。
國の滅亡という結末は変わらなくても、『天空都市』に居た人々を道連れに死霊になるという救いようのない展開は避けられたのではないのかな。
「さあ、悪い夢の時間はこれでお終い。今度はちゃんと眠りにつくといいよ」
「ああぁぁ……、また、われは、なにもつかめぬまま……。すべてが、きえて、ゆ、く……」
こうして、『大陸統一國家』最後の王は消滅した。
「再びめぐるその時まで、彼の魂に安らかなる休息を」
ネイトが靜かに死者を送るための聖句を口ずさむ。敵対していたし文字通り死闘を演じることになった相手ではあるが、それを止める気にはならなかった。あの外道魔法使いに利用されたという一面があるのもまた事実だからね。
そしてその直後、その認識が間違いではなかったことを実させられる羽目になる。
「どういうことですの!?」
苛立ちと困に彩られたミルファの聲に驚き振り返ってみれば、彼は厳しい表で一點を凝視していた。それはつい先ほどまでボクたちも目向けていた場所、すなわち王の死霊がいた玉座だった。
「彼はたった今、消え果てたはずですわよ!」
ぶのも無理はない。今しがた見送ったばかりの王が何食わぬ顔で座していたのだから。ボクもさすがにこれは驚き過ぎて聲も出ないよ。ミルファに至っては聖句まで唱えていた訳で、々と臺無しにされた気分なのではないだろうか。
ふと、小さくない違和に気が付く。まず、先ほどは何食わぬ顔と表現したけれど、どちらかと言えば表が抜け落ちているという方が適當なじだ。やら生気やら何もかもなくしてしまっているかのようだった。
いやまあ、後者の方は既に死んでいるのだから持ち合わせているはずがない、と言われればそれまでのことなのだけれどさ……。
そしてもう一つ、死霊特有のけているが一切ない。なんなら足の先までしっかりくっきり見えている。
うん?つまりはそういうことなのですかね?
「ねえ、多分あれって王様の(ぬけがら)じゃないかな」
ボクの言葉にハッとなって見直す二人。そしてそう思い至ってみれば違和の正にも納得がいく。
「ですが、何のためでしょうか?他の人たちのは安置されていて……、『天空都市』を支えるために利用されているのですよね?」
あの魔法使いのことだ、どんなに周りから圧力が返られようとも、王様だけそれを免除させるような真似をするとは思えない。逆に言われれば言われるほど、酷使してやろうと企んだような気がする。
「あり得そうですわね。使える資源がなく例え王と言えども遊ばせておく余裕はない、などと言いくるめていそうですの」
「そうすることで反対意見を封殺する狙いもあったのかもしれません。王自らが先頭に立っているとなると、民はそれに付き従うしかなくなりますから」
ミルファとネイトそれぞれの意見になるほどと思う。後は利用された目的だが……。
そういえば戦闘が終わったのに魔法陣を取り囲む障壁は殘ったままになっているのだよね。
「いや、これでしょ!」
式を維持するためになくてはならない存在だし、説得するにはうってつけだろう。さらに王という守られる側だった者に式を守らせるという役割を押し付けることで、かに皮を利かせたとも考えられる。
さっさと気が付こうよボク!?
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