《【書籍化】絶滅したはずの希種エルフが奴隷として売られていたので、娘にすることにした。【コミカライズ】》第101話 ヴァイス、やる
流石に採掘作業に使われていた窟ともなるとその規模も大きく、り口の幅は十メートルほどもあり、中央にはトロッコのレールが引かれていた。壁際に等間隔で設置されている金は恐らく照明用の魔石を固定するものだと思われるが、肝心の魔石は既に殆ど撤去されていて、僅かに殘っているものも既にその役目を終えていた。廃棄する時に帝都が回収したのか、それとも盜賊に盜まれたのか。とにかくまともにくものは一つもなかった。
魔法で辺りを照らしながら進むと、大きな広場に出た。中央にトロッコのレールが敷かれている大きなが続いていて、その他にも脇道がいくつか存在していた。どうやら一本道という訳ではないらしい。
「…………どうする?」
ジークリンデは手元の紙とにらめっこしていた。肩越しに覗いてみると、やはり見ているのはこの窟の地図らしい。ジークリンデは大きな紙を折り畳んで持っていて、その厚みから隨分奧まで続いていることが分かる。
「そうだな…………まずは大通りを進んでみようと思う。地図によれば終點に採掘途中のコーラル・クリスタルがあるらしいからな」
「了解」
ジークリンデの案に従い、俺たちは線路沿いを奧へと進んでいく。真っ直ぐ進んでいたはずが実はカーブしていたのか、いつの間にか振り返ってもり口は見えなくなっていた。足音がまるで大地の鼓のように空間に反響し、り気を帯びた空気には僅かに鉱石の香りが混じっている。
荒く舗裝された道を一時間ほど歩いていると、不意にジークリンデが足を止めた。地図を広げ首を傾げている。
「どうしたんだ?」
「おかしい…………道はここで途切れているはずだ」
「何だと?」
反的に地図を覗き込む。ジークリンデの視線の先には「G97」という文字と、そこで途切れている道が記されていた。直ぐ側の巖壁に視線をやると、そこには今地図で見たばかりの「G97」という文字が刻まれた金屬プレートが打ち込まれている。確かに地図はここで途切れているようだ。
「どういうことだ? その地図が古かったのか?」
「いや…………それはないだろう。この地図は當時、コーラル・クリスタルの採掘事業を終了することになった際の報告用として改められたものだ。これより新しいものは魔法省には存在しないことになっている」
「…………魔法省がこの採掘場を廃棄したあと、誰かがこの先を掘ったってことか?」
図らずも、二人同時に道の先に視線をやる。しかしすぐに無駄だと気が付く。そこには暗闇が広がっていたからだ。魔法がなければ、文字通り一筋のすらない世界。
「どうする?」
「…………行くしかないだろう。その為に私はここに來たのだからな」
◆
地図のない冒険は、意外な形で行き詰まることになる。先程までのしっかりと掘り固められた坑道から打って変わって、まるで素人仕事のように荒く削られた巖に沿いながら進んでいると、やがて大きな道は二つの小道に分岐した。
「…………分かれ道、か。どうする?」
もし時間が無制限なら取る選択肢は一つだ。この先がどこまで続いているかは分からないが、いつかは行き止まりになる。わざわざ別れてリスクを犯す必要はない。
だが────
「────二手に別れよう。私は右、お前は左を頼めるだろうか」
時間が限られている俺たちは、時にこういう決斷をしなければならない。まだ大通りしか確認出來ていない現狀、ゴールの見えない道に時間をかけてはいられないという判斷だろう。
そして、その判斷は恐らく正しい。逆の立場なら俺も同じ提案をしたはずだ。
「一人で大丈夫か?」
「心配は無用だ。お前こそ魔力は大丈夫なんだろうな? 運転にかなりの魔力を消費したと見えるが」
「ナメんな。俺を誰だと思ってる。さっさと終わらせてそっちを手伝ってやるよ」
軽口を叩きながら、ジークリンデから記録用の紙とペンをけ取る。その瞬間────
「────ッ」
俺はジークリンデにバレない程度に、僅かな魔力を流し込む。ジークリンデのにり込んだ俺の魔力はジークリンデの魔力と混ざり合い、やがてその気配を完全に消し去った。
…………ひとまずはこれで大丈夫か。
「…………ヴァイス、今、私にったか?」
ジークリンデが不思議な表で自分のを見回す。
どうやら俺の魔力は僅かに気取られたようだ。だが、自分に魔法がかけられたことまでは気がついてないらしい。
…………闇魔法なんて學校じゃ習わないからな。気が付かないのも無理はない。
「何のことだ? もしかして…………ビビってるのか?」
「なっ、何を言う! 私が暗闇が怖いなんて、そんな訳ないだろう! …………もういい、私は行くからな!」
気を逸らすためにわざとらしく煽ってみると、ジークリンデはまんまと引っかかって小道にっていく。
「…………俺も行くか」
ジークリンデのが見えなくなるまで背中を見送った後、俺は左の小道に一歩踏み出した。
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