《チート能力を持った高校生の生き殘りをかけた長く短い七日間》第二話 メリット

王都に向かう前に、セトラス商隊からの要れて、大回りをすることに決定した。

セトラス商隊は、裁を整えたいと事を語った。

セトラス商隊の荷は王都を出た時の狀態から大きく変っていない。メルナで増減はしたのだが、荷の質は同じ狀態だ。これで、王都にるときに不思議に思われる可能がある。そこまで見る者はないが・・・。

そこで、大回りになるが、王都での詰問を避けるために、現在の荷を売って、新たに仕れをおこなう。商隊として裁を整えるためだ。

俺も、まだ神殿の狀況を知られたくない。あと、王都にるときの検閲で俺やマヤやミトナルの存在は知られたくない。

セトラス商隊は、馬車の一臺を俺たち専用にしてくれている。俺は馬車から離れて、商隊の後方をあるいている。

ステータスは上がっているが、かして慣れておいた方が良い。ヒューマから助言されたのだが、ヒューマたちも”名付け”のタイミングでステータスが大幅にアップする。違和で終わる者も多かったのだが、ステータスが大幅にアップして、違和では済まされない狀態になってしまったものは、ステータスが上がったことで戦闘力が下がってしまった。一つ一つの技では、膂力が上がって、鋭さが上がるのだが、技から技への連攜に失敗したり、度が悪かったり、繊細なきが出來なくなってしまった。頭がステータスに追いついていないために、理想とする形が使えなくなっているのだと思われた。そのために、普段のきを繰り返す事で、頭をステータスに慣れさせた。徐々にだが、これで、以前と同じかそれ以上のきができるようになっていた。

俺のステータスも一気に上がった。きが阻害されたりはしていないが、違和があるために、簡単な運でステータスに慣れようと思っている。

王都でいきなり戦闘になるとは思っていないが、問題が発生した時に、違和があるのでは十全な戦闘が出來ない。

ナナは、馬車に乗っていたと思ったが、いつのまにか俺の橫にナナが來ていた。

「リン君。いいの?」

ナナが何を聞きたいのかは、想像が出來ている。大回りに反対をしたのが、ナナだ。

俺が承諾したのが不思議なのだろう。商隊が言っていることも筋は通っているのだが、大回りをしなくても、目的の半分以上は達が可能だ。俺も、解っている。セトラス商隊の本當の理由は時間稼ぎなのだろう。

時間を稼いで、セトラス商隊が得られるメリットが解らないので、セトラス商隊の思に乗ってみることにした。

「大回りか?」

解っているが、確認をしておく、ナナなら確認を省いても問題にはならないが・・・。

「そう。急いでいるのよね?」

急いでいる?

微妙なじはするけど、急いでいるのも事実だが、急いで王都に向った時のメリットとデメリットは半々だと考えている。

今は、遠回りのメリットとデメリットを考えて、メリットの方が大きいと考えた。

「急いで、王都に到著するよりも、メリットが大きい。と、考えた」

ナナには説明をしていないから、納得が出來ていないのだろう。

セトラス商隊から相談をけた時に、ミトナルには簡単に説明をした。

「メリット?」

「デメリットは、王都での用事が遅れる事だな」

「そうだね。早ければ、早いほど、いいと思うけど?」

「たしかに、早ければ、ミヤナック家やローザスからの支援がけられる」

「そうね」

「人材の意味では、支援がけられるのはメリットだけど、紐付きの可能が高いよな?」

「そうね。でも、それはアデレード殿下をれている時點で同じだよね?」

「違う。同じではない」

「え?」

「アデレード殿下だけなら、渡す報の調整が可能だ」

報戦を仕掛けるの?」

「いや、やらないけど、勝手に覗かれるのは好きじゃない」

隠す必要があるのは、俺とミトナルとマヤが神殿を作り変えることができる事だ。作り変える事が可能なことは、知られても大きな問題にはならないが、作り変えるために何が必要になるのかを知られたくない。カバーストーリーを考えておく必要があるだろう。

最初は、人材を拒否しても、自然な形で潛り込まれるのは解っている。

「それなら、メリットの方が大きくない?」

「ナナ。俺がけるメリットはない」

「?」

「神殿に人が増えても俺のメリットには直結しない。ギルドへのメリットだ」

「・・・」

ナナの表は解る。

俺とギルドは、ナナの中では同一なのだろう。ギルドの運営には攜わっていない。今更説明の必要はないだろう。

「急ぐメリットはない。デメリットもないけど・・・」

「そうね。それは解ったわ。遠回りするメリットは?」

「その前に、遠回りするデメリットは、時間がかかるだけだ」

「そうね。遠回りのデメリットは、資の消耗もあるわよ?」

「それは、商隊のデメリットで、俺のデメリットではない」

「・・・。リン君のデメリット・・・。言われると、ありそうで・・・。ないわね」

「だろう?時間がかかるのは、確かにデメリットだけど、メリットで覆せる」

「そうね。大回りで、リン君が困ることはなさそうね」

「そうだ。セトラス商隊が通るルートは確認した。宰相派閥の領地が多い。そして、事前報だけだが・・・。困っている町や村が多い」

「・・・。そうね」

「セトラス商隊には、移住を考える者たちがいるか探ってもらう。隠里の報も集めてもらう」

「無理じゃないの?教えてくれるとは思えないわよ?」

「どちらでもいいよ。でも、隠里があると俺たちが・・・。セトラス商隊が認識していると、村や町に知らせることが重要だよ」

「そうね」

それだけ言って、ナナは黙って何かを考え始めた。

実際には、俺のメリットはそれだけではない。

村や町での、神殿の観測気球を上げることができる。いきなり王都で報を解するのは、問題が発生した時の対処が難しい。

セトラス商隊にも、神殿の報は”噂”として流してもらうことにしている。

最初の村で思いもよらない報が転がり込んできた。

「リン君!」

「ナナも聞いたのか?」

「リン君も?ミトナルちゃんとマヤちゃんも一緒?」

「あぁ丁度、セトラス商隊から話を聞いた所だ。ナナは?」

「私は、偶然、顔馴染みが居たから、世間話と最近の狀況を聞いていたら・・・」

俺とナナが聞いた話は同じ容だ。

ミトナルとマヤは、他の住民の噂話を聞きに行っている。丁度、ナナとれ替わる形になってしまったのは偶然だ。

偶然だけど、丁度よかった。

「ナナ。その顔馴染みは、戦えるのか?」

「ふふふ。やはり、リン君は、ニノサの子供ね」

「褒められたと思えないのだけど?」

「もちろん、最大の侮辱よ。さっきの答えなら、”戦える”よ。そして、彼たちは、サビニに憧れていたわよ」

「ん?彼たち?」

「男二人と二人のパーティーで夫婦よ」

「へぇ珍しいな」

「リン君。”ツインズ”というパーティーを知らない?」

「すまん。この前まで、辺境の辺境に居て、その村でも流がなかったから、世間の報には疎い」

「そういえば、そうだったわね。”ツインズ”というパーティーは、中堅から上のパーティーで、雙子の夫婦よ」

「雙子の夫婦?」

「そ。両方とも雙子」

「それは・・・。すごいな。連攜の邪魔になってしまうから、目的だけ共有して別々に行した方がいいのか?」

「向こうは、向こうで勝手にくと思うわよ?」

「わかった。ミルとマヤが戻ってきたら、行を開始しよう」

ナナも準備の為に、馬車に戻った。

ミトナルとマヤが戻ってきたのは、夕方に差し掛かるくらいの時間だったが、概ね聞いていた報に間違いはなさそうだ。

そして、村の子供が重要な報を持っていた。

ミトナルでは聞き出せなくて、マヤが代わりに聞き出してきた報だ。

「マヤ?」

馬車の中には、俺とナナとミトナルとマヤしかいない。

「うん。村の近くにある川の上流・・・」

さて、”ツインズ”にも報が流れているはずだ・・・。

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