《【WEB版】灼熱の魔様の楽しい溫泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の溫泉帝國を築きます~【書籍化+コミカライズ】》349. SS:魔様、溫泉レビューを作りますっ! その1

「いやぁ、平和だねぇ」

聖王國の一件も片付いて、やっとのこと平和が戻ってきた。

高臺に登って村を眺めると、湯けむりがたなびく別世界のようだ。

「そう言えば、うちの村ってんな種類の溫泉があるよね?」

ここでふと気づくのは、溫泉のバラエティーである。

ご存じの通り、溫泉と言うのはお湯の種類によって千差萬別。

への刺激の弱いものから、ピリピリ來るのまで様々だ。

「さようですね、ご主人様。最近では蒸し風呂、高溫風呂などもありますし、さながら灼熱地獄ですね。んな種類があると迷ってしまいそうですね」

ララはうふふときれいな笑みを浮かべて、縁起でもないことを言う。

いやいや、地獄って表現はないでしょうよ。

とはいえ、彼の言葉の後半はナイスな意見だった。

確かに溫泉初心者の皆さんはどの溫泉にればいいか迷ってしまうかもしれないよね。

「そうだっ! いいこと閃いた!」

溫泉を眺めていた私にびびっとアイデアが閃く。

それは溫泉の紹介マップを作ることである。

ぬふふ、私のする溫泉ちゃんについてしっかり解説を書き殘しておきたい。

「溫泉のマップですか、ふぅむ、いいですね。それでは、手の空いてる方をお呼びしますね」

ララはすぐに合點が行ったらしく、私の案に賛してくれる。

こう言うところ、本當に助かるねぇ。

「は? 今日、一日で溫泉ぜんぶ回る? 死んでまうで?」

やってきたのはメテオだった。

最初の頃は私の案を聞いて喜んでいたのに、なぜか眉間にシワを寄せられる。

「死にはしないでしょうよ? 健康になるだけだと思うけど? 現に私、一日に三回、るときもあるし」

「そりゃぁ、灼熱のナントカさんはそうやろうけど、うちみたいな普通の人は二回が限界やで? 湯あたりってあったやろ、あれや」

「あー、そういうのあったね」

メテオが訝しげな表をしていた理由が明らかになる。

なるほど、確かに普通の人は湯あたりをしてしまうのだ。

しょうがない、こうなったら私一人で回ってみようかな。

溫泉をし、溫泉にされた私ならば、素晴らしい紹介文がかけるはずっ!

よぉし、さっそく回ってこようじゃないの!

「くふふ、ユオ様、専門家の意見もえぇことやけど、今は口コミの時代や」

「口コミ?」

「簡単に言えば、んな人の意見を集めることや。より多角的な意見が得られるっちゅうことやな」

「つまり、んな人にインタビューしてみるってこと?」

「せや! それぞれの溫泉の評判を噓偽りなく集めるっちゅうわけ!」

「なるほどぉ」

正直、メテオの言ってることは半分も分からない。

だけど、溫泉の評判については私も気になるところである。

もしかしたら、改善點が発見できるかもしれないし。

「それでは、ご主人様、出発しましょう!」

そんなわけで私とメテオとララの三人は企畫をスタートさせるのだった。

まずは村人のための溫泉施設、公衆浴場からスタートするよ!

「こんにちは! この溫泉のお湯加減いかがでした? 正直に教えてください!」

「ひぃいいいいっ、魔様!? え!? 溫泉ですか!? そ、そりゃあ、最高です!」

「最高ですっ! もう本當に! あはははは」

インタビューして開始三秒、私たちは顔を見合わせることになる。

村人たちはちっとも正直に答えてくれないのである。

目を合わせてくれないし、どうも私に遠慮しているらしい。

ぐぅむ、私って何か怖がられるようなことしたかしら?

「無自覚って怖いわぁ……、いや、ゲフンゲフン、何でもないで?」

メテオが何事かをぽつりとつぶやいたけれど、聞こえないふりをする。

言っとくけど、私はこの村を守りこそすれ、危ない目に遭わせたことなんかないはずである。

そりゃあ、変な奴に目をつけられたことはあるけど、私のせいじゃないし。

「ふぅむ、それならば、変裝して話を聞くのはいかがでしょうか?」

「それだ!」

「それや!」

ララの提案に乗って、私たちは変裝をする。

次の目的地は溫泉リゾート。

さぁ、みんな、正直に話してね!

「魔様! 何か楽しそうなことしてますね! 私も混ぜてくださいっ!」

リゾートにつくと、ハンナがにこにこ笑顔でやってきた。

は私の変裝を一発で見抜いてしまった。

「魔様が近くに來ると、ぽかぽか溫かい気持ちになるんです!」

目をキラキラさせて、そんなことを言う。

喜んでいいのかしら。

まぁ、ハンナは人當たりのいい格だし、問題ないだろう。

私たちは人々がお湯から上がってのんびりと休憩しているところへと向かうのだった。

「あのぉ、すみません、今、ここの溫泉の想を集めてるんですけどぉ」

冒険者と思われる三人組に話しかけてみる。

溫泉リゾートの民族裝を著ていて、すごくリラックスしている。

想かい? 私は好きだよ。お湯に浸かるってのいいよねぇ」

「最初はになるの抵抗あったけどリラックスできていいわ。肩こりもほぐれるし」

「そういや、の湯の中央で魔様の石像がお湯をぶっ放してるのにはびびっちまったけどなぁ。ん!? ひいいぃっ!?」

三者三様で意見が飛び出す。

二人目まではよくわかる。

だけど、三人目のお姉さんの様子がおかしい。

そもそも、とんでもない報をくれたと思うだが、言葉を発した後、うろたえ始めたのだ。

「ハンナ? 何してるの?」

「あははは、何でもありませんよっ! 素振りですっ!」

振り返るとハンナが剣を抜いて、ぶんぶんっと振っていた。

いやいや、人がいるところでそんなことしたら危ないからね。

私はハンナに注意をして、三人目のお姉さんにもう一度訪ねることにした。

「あ、あのぉ、湯の中央がどうしたって仰いました?」

「ひぃいいい、何でもありませんっ! 私は何にも見ていませんっ!」

お姉さんは顔を悪くして、ぴゅーっとどこかへ駆け出してしまう。

何だったのかしら、今の。

ふぅむ、気になるね。

とりあえず、ここの溫泉に私もってこようかしら。

「よぉし、溫泉リゾートはこんぐらいにしとこ! ダンジョン村の溫泉も回らないと、日が暮れるでぇっ!?」

「そうですよ、ご主人様。今のインタビューは最高でしたよ。さぁ、次に參りましょう!」

しかし、メテオとララに私の肩はががっと摑まれる。

私が長風呂するのを恐れているのかしら。

こう見えても私、ちゃんとわきまえられるなんですけど。

ちょっと不服に思いながらも、私は次の目的地に向かうことにする。

さぁ、お次はダンジョン村の溫泉レビュー行ってみようっ!

ショートショートでの更新です!

長くなったので2つに分割いたしました!

明日もまた更新します。

さて、メイドさんの活躍する新連載を始めました。

様同様、普通じゃないキャラですので、きっとお楽しみ頂けると思います。

以下のリンクよりいけますので、ぜひ、お楽しみください!

ブックマークや評価などいただけますと、泣くほど喜びます。

【トリデンメイデン! ~砦に置き去りにされたメイド、超古代要塞を手にれる~】

https://ncode.syosetu.com/n0327ig/

    人が読んでいる<【WEB版】灼熱の魔女様の楽しい溫泉領地経営 ~追放された公爵令嬢、災厄級のあたためスキルで世界最強の溫泉帝國を築きます~【書籍化+コミカライズ】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください