《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》49話 吶喊!ミサイル陣地のこと
吶喊!ミサイル陣地のこと
「さて、行きますか」
周囲は夜の闇に包まれている。
電気も枯渇している今は、まさに一寸先は闇というやつだ。
だが、俺達には文明の利・・・暗視裝置がある。
緑に染まった視界は、何度かの使用ですっかり慣れたものだ。
「おう」
石川さんがそう返す。
彼の両腕に裝著された鉄の手甲が、微かな星明りを反してぎらりと輝いた。
「援護はお任せください」
ライフルを持つ神崎さんが、頼もしく話す。
「自分も勵努力するであります!」
三鈷剣を腰に差し、神崎さんと同じ型のライフルを持つ式部さんが言う。
よーし、行くかね。
俺たちは牙島役場裏口から、一歩足を踏み出した。
「ここからは無言で行きましょうか。萬が一にも聞かれたら不味い」
「了解です」
裏口から出て坂を下る。
このまま下の道路に合流し、丘の周囲をぐるりと回りながらミサイル陣地の向こう側まで行く。
いつでも突できる位置に待機し、役場からの合図・・・古保利さんによれば『景気のいい花火』を待つのだ。
「おっと・・・最後にこれだけ。気になってたんですけど、病院の黒ゾンビは大丈夫なんです?」
うっかり古保利さんに確認し忘れていた。
ミサイル陣地の向こう側には、以前聞いた繭っぽいまみれの黒ゾンビの巣がある。
俺たちがドンパチを始めた時に後ろからなだれ込まれちゃたまらない。
こうして作戦が始まったってことは、その懸念はなくなってると思いたいが・・・それでも気になる。
「ああ・・・それでしたら解決済みです」
耳元で神崎さんの聲がする。
こしょばい。
「偵察の報によれば、何度かのミサイル陣地への襲撃を経て・・・く個はいなくなったようです。依然として繭のようなは確認されていますが、黒ゾンビそのものはここ1週間確認されていません」
ふむ・・・打ち止めになったってことかな?
繭が殘りっぱなしってのはちょいと気になるが・・・そこは今気にしても仕方あるまい。
頼むから進化とかやめてくれよ?羽が生えたりとかな。
もしくは寄り集まってビルくらいデカくなるとか。
・・・フリじゃないからな!?
頼むぜ神様!!
「なるほど、ありがとうございます。これで後顧の憂いが消滅しましたよ」
「それはなによりであります!存分に大暴れなさってください!」
式部さんの激勵?に苦笑しつつ、腰の『魂喰』を確かめる。
目釘にも柄糸にも異常はない、がたつきもない。
「・・・もうちょい待ってろ相棒、斬り放題だ」
そう囁いた時、しだけ柄が震えたような気がした。
妖刀も武者震いするんだな。
それからは、誰も一言も喋ることはなく黙々と歩いた。
どうやら『レッドキャップ』は黒ゾンビ以外も掃除していたらしく、周辺にノーマルゾンビの姿はない。
これからドンパチ賑やかになるから、寄って來られても困るからな。
カスの集団もたまには役に立つらしい。
そして、特に問題もなく目的地・・・ミサイル陣地の近所にたどり著いた。
ここは坂の下から丁度中腹にあたる。
プレハブの・・・おそらく駐車場の管理人が詰めていたであろう小屋だ。
そこの影に、俺達はいる。
・・・これ以上の接近は無理だ。
何の遮蔽もないし、道は電燈に照らされている。
そう、あの陣地だけはライトがあるのだ。
恐らく、発電機があるんだろう。
腕時計で時刻を確認。
現在、8時20分・・・あと10分で攻撃が開始される。
それまで、ここで待つ。
俺の持ってきた6つの大木ボムは、3つずつ神崎さんと式部さんに渡している。
適材適所だ。
俺が使うよりよほど上手に使ってくれるだろう。
ぽん、と肩が叩かれた。
石川さんが歯を剝き、サムズアップしている。
気合十分・・・だな。
俺も頷き、親指を立てた。
鯉口を切り、抜刀。
ゆるゆると出てくる刀、その切っ先。
いつもと同じ稲妻模様が、いつも以上に頼もしく見えた。
峰を肩に乗せ、深呼吸しつつ・・・俺はその時を待つことにした。
電波塔が仕事をしているかは知らないが、我がソーラー電波腕時計は正確だったらしい。
「始まった・・・!」
きっかり8時30分に、役場の方向から夜を切り裂く轟音が聞こえた。
ここからでは見えないが、何丁もの機関銃が唸りを上げているのがわかる。
俺が聲を出しても大丈夫なほど、一気に周囲は騒がしくなった。
轟音。
破砕音。
そしえその合間に聞こえる罵聲と悲鳴。
奇襲は大功のようだな。
俺たちは一斉にプレハブから飛び出し、坂を駆け上がる。
その途中で、陣地のライトが一つ、また一つと消えていく。
ついでとばかりに破壊してくれているようだ。
エマさんたち、いい仕事するなあ。
「坂の頂點で弾を投擲します!稜線から出ないでください!」
「大木さん曰く、『ヤバいくらい金屬が飛びます、最高傑作です』とのことでありますので!!」
大木くん・・・キミはいったいどこへ向かおうというのか。
どんどん弾魔じみてくるなあ。
「了解です!景気よく花火を打ち上げてやりましょう!!」
まあ、使う相手はどこに出しても恥ずかしくない屑どもだ。
気にする必要は皆無だな、皆無。
あっという間に坂を上りきると、神崎さんと式部さんが前に出る。
「陸士長、私は左を!」
「では自分は右を!」
2人が両手に持った大木ボムの起スイッチを時間差で押す。
『―――Ready』
いつも通りのイケメン音聲が流れる。
「っふ!」「んんっ!」
そして、4本の弾が宙を舞った。
高速で回転する弾はミサイル陣地を構しているフェンスや車両を越え―――その側に消えていく。
「伏せてください!」
神崎さんの聲に従い、石川さんと一緒に地面に伏せる。
4、5秒ほど経った後だろうか。
暗視裝置越しの視界が白く染まり、腹に響くような轟音が襲ってきた。
「・・・大木さん、とんでもないものを作りましたなあ・・・」
呆けたような式部さんの聲。
ほんと、あのサイズのくせにこの威力。
味方でよかった、本當によかったよ。
「・・・ここで使い切ります、戦で使えるような代ではありませんので」
でしょうねえ。
ハリネズミ無職が誕しちまう。
機関銃の銃聲が、役場と陣地両方から聞こえている。
まだ生き殘りは元気なようだ。
「向こうは今の弾も役場からのものだと思っているはずです、照明もありませんし。殘り2本をもうし奧に投げれてから・・・突撃してください」
「了解です。タイミングはお任せしますよ」
「それなんですが!一朗太さん!」
神崎さんと話していると、式部さんが手を上げる。
授業中かな?
「ちょっと、お背中をお借りしたいであります!」
背中?
・・・ああ、なるほど!
立ち上がり、坂の稜線からを乗り出す。
ミサイル陣地からは、火の手が上がっている。
ああくそ、何かに引火でもしたか。
暗視裝置の畫面が所々真っ白だ。
「いつでもどうぞ、返さなくていいですからね」
ゴーグルを首まで下げると、盛大なキャンプファイアーが見えた。
おー、燃えとる燃えとる。
風に乗って悲鳴まで聞こえてくるな。
「ひゃ、はいっ!」
何故かうろたえる式部さんの聲を聞きつつ、歩く。
ある程度まで進んだところでストップがかかった。
「では、中心部に二発・・・いくであります!」
「ええ、頼んだわ陸士長」
式部さんが殘った二発をけ取ったようだ。
その後、すぐに地面を蹴る足音がした。
「そのまま、で!ありますっ!」
腰、それから肩に軽い衝撃。
まるで重さをじさせない蹴りを肩に殘し、式部さんが跳躍した。
「っふ!」
その頂點で、弾を続け様に投擲。
・・・恐るべきバランス覚だ。
放線を描く2本の弾は、先程よりも遠く・・・中心部の方へ飛んでいく。
「ひゃわっ!?」
空中の式部さんが、何の拍子でかバランスを崩したらしい。
可らしい悲鳴と共に、ぐらりと姿勢がブレる。
いかん!あの角度は・・・頭から落ちる!
「っとぉ!?」
「ひぅう!?」
落下點に割り込み、落ちてくるをけ止める。
腕の中で目を白黒させる式部さんをそのまま抱え、即座に反転。
再び、坂の稜線に飛び込・・・あだっ!?ケツ打った!?
「あう、あうあうあう・・・ひゃんっ!?」
「スイマセン急事態なんで!訴えないでください!!」
上告も許されず有罪になりそう。
・・・ちょっとおに手が當たった気がするし。
いやいやいや、気のせいだろう。
「もう一つすいませんっ!!」
「ひわぁあ!?!?!?!?!?」
式部さんをに抱いたまま地面に伏せる。
一拍置いて、またも凄まじい轟音と衝撃が伝わってきた。
・・・ふう、間に合ったか。
「役得じゃねえか、田中野さんよ」
「・・・ははは、よほど前世で徳を積んだんでしょうねえ」
同じように伏せていた石川さんがニヤニヤしている。
急にかなくなった式部さんを心配しながらも、俺の心はどんどんと冷えていった。
「・・・じゃあ、行くか」
「・・・ええ、行きましょう。神崎さん、式部さん、援護お願いします」
弾はもうカンバンだ。
そして、この先はまた別の仕事になる。
「・・・はい、お任せください」
「ふ、骨砕しましゅぅう・・・」
2人の聲を聞きながら、俺はを起こす。
軽く首を回し・・・『魂喰』を振る。
これから切った張ったの大闘があるというのに、刀は相変わらず澄んだ音を立てた。
この先の作戦はシンプルだ。
俺と石川さんが前衛。
當たるを幸いと大暴れする。
そして、神崎さんたちはし後ろから俺たちを援護する。
・・・わかりやすくていいや。
「南雲流・・・田中野一朗太、參る」
低く呟き、俺は地面を勢いよく蹴った。
「あがあああああああああああああああ!!!」「ひぐ!!ぐうううう!!!!があああああああああああああっ!!!」
ミサイル陣地に近づくほど、聞こえてくる悲鳴が大きくなる。
中心にほど近い所から炎が出ていて、デカい火柱が何個も見える。
それによって照らされるフェンスやバリケード代わりの車両には、キラキラとり輝く金屬片が所狹しと突き刺さっている。
いつ暗闇に戻るかわからないので、すぐに裝著できるように暗視裝置の位置を調整しつつ・・・俺たちは発によって開いた防壁のに飛び込んだ。
「足ぃい!!足がぁあああああっ!!!」「たす・・・たすけ、たすけ・・・」「死にたくねえ・・・しにたく・・・」
・・・大木ボム4本の飛び込んだ一番外側の部分は、もう滅茶苦茶だった。
壁という壁に細かい金屬片が突き刺さり、きらきらと輝いている。
たまに綺麗な壁があったと思ったら、その前にはハリネズミになった死かそろそろ死になりそうなチンピラが転がっている。
「ここには仕事はなさそうですね」
「だな。引き金引けるだけの力も殘ってねえな、こりゃ」
くチンピラ共を橫目に、この區畫を通過できる道を探す。
役場から見たじ、この陣地はバームクーヘン的な構造になっていた。
ということはこのまま進んでいけば『切れ目』にたどり著けるはずで―――
気配が、する。
俺と石川さんは素早く視線をわし、左右に若干別れた。
「『何をしている!けるならとっととけ!』」
「『半死人なぞほっておけ!銃撃は役場方面だが、最初の発は後方からだ!!』」
地面を蹴り、幸運にも金屬片の刺さっていない壁面を再び蹴る。
普通に跳躍するより、さらに上空へ跳んだ。
「『とにかく、何人いるか知らんが蜂の巣にして―――』」
何事か喚きながら飛び出してきた駐留軍・・・いや、『レッドキャップ』
彼ができたことは。中空に浮かぶ俺を見て口を大きく開いただけだった。
手に持ったライフルは、俺を照準することもない。
「『―――は?』」
それが、彼の言となった。
涼やかな風鳴りを伴った大上段からの振り下ろしは、彼の額からって顎下から飛び出す。
俺が著地すると同時に、もう1人の兵士がこちらを見た。
「『な、に!?て、敵ッ―――』」
そのきは先程の犠牲者よりもいくらかマシだが・・・それでも遅かった。
彼のライフルの銃口は、俺へ向けていている。
橫から飛び出した、石川さんへではなく。
「『っぎゃあ!?』」
突進の勢いをそのまま凝したような速く鋭い蹴りが、グリップを持つ右手に直撃。
瞬く間に手首をへし折り、持ち手を失ったライフルが宙に浮く。
「ッセィイ・・・ハ!!!」「ギャバ!?」
そして、蹴り足が引かれたと同時に貫き手がそのに突き刺さった。
兵士は一瞬痙攣し、全から力した。
・・・首の骨が折れたな。
「確かに、そこらのチンピラよりゃあ反応がはえぇな」
「撃たれないように気を付けましょうか」
マトモに出會ったら撃たれてたかもしれない。
普通、敵が空にいるとか思わないもんな。
「このまま道なりであります!側への口は!」
式部さんの聲に頷き、振りして歩き出した。
ここはバームクーヘン的な構造であるので、先は若干見通しにくい。
さっきみたいな接敵もあるかもしれんので気を付けよう。
「おい・・・なんだ、てめえら・・・おい・・・」
「宅配便でーす。ハンコは結構」
壁にを預けあえいでいるチンピラにそう答えて先に進む。
綺麗に両腕が吹き飛んでいる、あえてトドメを刺す必要はなさそうだ。
「・・・來るぜ」
石川さんがそう呟くと同時に、俺達は地に伏せる。
「『よりによって無線をやられるとは!予備を早く―――』」
「『おい!衛生兵!衛生兵はどこ―――』」
背後から連続した銃聲。
たった今喚きながら飛び出してきた2人の兵士は、頭からの花を咲かせて倒れ込む。
「『いる!こっちにもいるぞ!!応戦!応戦!っぎゃ!?』」
続いて銃だけがこちらへ突き出されるが、引き金を引くより先に手からが噴き出た。
僅かに見えた生の部分を狙撃・・・神崎さんか式部さん、相変わらずの腕前だ。
「俺がまず上から行きます!」
「応!」
新手が來ないうちに走り、通路脇のコンテナに飛び乗る。
それを足がかりに、フェンスの頂點へ片手をかけてを持ち上げた。
式部さんが後から投げ込んだ弾によって、その部も結構な慘狀であった。
だが2本しか飛びこまなかったので、生き殘りはまだ多い。
兵隊に、チンピラ。
どちらも銃を持っており、壁の切れ目にそれを向けながら日本語や英語で喚き散らしている。
そいつらがさっき死んだ3人の方へ意識が向いている隙に、音を立てず空中にを躍らせた。
「『っが!?』」
最後尾の兵士。
飛び降りながらの振り下ろしは、背中を向けた彼の肩口からり・・・鎖骨を切斷しながら肋骨2本を巻き添えにした。
「っ!?な、なんだこいつはぎゃ!?」
その前にいたチンピラに向け、半ば息絶えた兵士を思い切り蹴り飛ばす。
だらけの兵士との正面衝突に、そのきが止まった。
「しゃあッ!!!」「ぇば!?」
刀を寢かせながら引きつつ、踏み込んでの突き。
兵士の首を掠めた切っ先が、チンピラのを真っ直ぐ貫いた。
痙攣するチンピラから刀を抜き、深くを沈める。
止まるわけにはいかない。
きを止めれば、あっという間に蜂の巣だ。
「『っあそこだ!撃て!撃て!』」
「よくもハラダさんをッ!!この野郎!!」
死2つが、銃撃によって小刻みに揺れる。
いくつかの銃弾が『盾』を貫通するのをじながら、地面すれすれを走る。
限界まで、を低くしながら。
「『なんだ、コイツ!』」
「止まれよちくしょっ!?ああが!!がああああああ!!!」
投げた棒手裏剣が、チンピラの腹に著弾。
ライフルの狙いがブレ、壁に跳弾。
兵士の方は冷靜に狙いを定めようとしている。
が、遅い!
俺の姿勢があまりに低く、照準に戸っているその數瞬に―――間合いにった!
疾駆の勢から、回転へ。
「ぬぅう・・・あああっ!!」
「ッギャア!?」
地面すれすれの橫薙ぎが、アーミーブーツに包まれた足首を8割がた切斷する。
痛みと理的な問題から、ライフルの狙いは外れる。
だが引き金に指はかかったままだ。
「はぁっ!!」「~~~~ッ!?!?」
足首を薙いだ勢いを殺さずに、もう一回転。
片足の支えを失い、倒れてくる兵士をもう一度斬りつけた。
風を裂いた斬撃が、彼の右手首を切斷する。
南雲流剣、『ニ連草薙』
「あああ!!!あああああああ!!!!」
恐慌狀態のチンピラが俺へ銃を向ける。
距離は5メ-トルほど。
その後ろには2人の兵士がおり、若干混しながらも俺を撃とうとしている
・・・おおう、突っ込むにはちょっと遠すぎるな。
―――だが、『敵は俺だけ』か?
「ッガ!?」
最後尾の兵士の脳天に、三鈷剣が垂直に突き刺さった。
ヘルメットをやすやすと貫通した切っ先が、口の中にチラリと見える。
「ッオ!?」
もう1人の兵士のこめかみに銃弾がめり込み、反対側からと骨の破片を撒き散らしながら抜けた。
「っげぎゃ!?」
そして、殘ったチンピラの右手の肘に蹴りが突き刺さった。
その可域を無視し、曲がってはいけない方向へ曲がる。
「あぁああっ!!!」「ぉぶ!?」
そして裂帛の気合。
チンピラの橫腹に右拳が文字通り『突き刺さった』
やつはをくの字に曲げながら、を吐いて吹き飛ぶ。
「見事であります!」
俺と同じようにフェンスから飛び降り、式部さんが言う。
「いえいえ、助かりましたよ」
拳を振ってこびりついたを落とす石川さんは、俺に向かってにやりと口の端を持ち上げた。
なんで正拳がに突き刺さるんですかと聞きたかったが、やめておいた。
よく見れば、手の先端にクッソ鋭利な円錐狀の鉄片が嵌まっているのが見えたからだ。
・・・ビックリした、マジで拳が貫通したかと思ったぜ。
「こちらの周囲にはもういませんね、恐らくミサイルの防衛に回っているのだと推測―――」
神崎さんの説明は、続く大聲でかき消された。
「撤退!撤退!!目標完遂!繰り返す!目標完遂!!」
古保利さんのその聲を聞き、俺達は來た道を戻る決意をした。
仕事が早すぎません?
「これで給料分の仕事はしたのかなあ、給料もらってないけど」
死か死未満を橫目に、俺達は走る。
どうにも不完全燃焼気味である。
・・・いや、別に皆殺しにしたかったわけでもないんだけども。
「よく考えりゃあ、俺達はじゃねえか。ハナからミサイルについちゃ、古保利サンがやる予定だったんじゃねえかな」
・・・石川さんの言う通りかもしれん。
そう言えばミサイルを壊せなんて指令はけていなかった。
「発までそんなに時間はないであります!急いで!」
「推論はいつでもできますが、今は全力疾走するべきかと。役場までは逃げなければ」
返す返すもその通りである。
俺はお口チャックで走り続けることにした。
侵した場所から外に飛び出した俺たちは、無言で走り続けている。
陣地を半周して見えてきた役場の2階からは、散発的なマズルフラッシュが見える。
ってことは、まだ敵が殘っているらしい。
こっちより若干早く、恐らくは古保利さんチームが役場に向かって走っていく。
足速いなあ・・・しかもみんな姿勢のブレが極端にない。
そろそろく暗いゾーンに突するので、息を切らしながら暗視裝置をかける。
見慣れたクソミドリ視界が帰ってきた。
しばらく走り続けていると、2階の様子が見えてくる。
窓から突き出された無數の銃口と、それを構える裝甲兵の方々。
うーん、あそこだけなんかアニメの世界みたいだ。
黒くてカッコイイ裝甲服を著込んだ地獄の猟犬を思い出すなあ。
と、その中の2人がこちらに向かって手を振った後・・・互に投げキッスの仕草。
・・・あれ絶対エマさんたちだろ。
なんか知らんが、気にられたもんだよなあ。
息は苦しいが、それでも苦笑がれてしまう。
―――背筋に、寒気。
思わず振り向いた俺の視界に、『それ』が見えた。
俺や式部さんがしたように、フェンスに登り・・・何かを構える黒ローブの、姿。
あいつら!悉く邪魔にしかならねえなオイ!!
「ヤバい!フェンスの!上に!敵が!バズーカみたいなもんを―――ッ!?」
―――瞬く間に、それらは起きた。
ミサイル陣地の中央から、目もくらむばかりの閃と吹きあがる炎。
何かを構える黒ローブが、それに飲み込まれるように仰け反る。
そして、死ぬ寸前のやつが持っていた筒狀のから・・・火を噴いて何かが飛び出す。
それは當初の狙いからはまるで別の・・・俺たちの頭上を飛び去る軌道をたどり―――
「逃げろ!逃げろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!!!!」
俺がぶのとほぼ同時に、役場の2階に飛び込んで炸裂したのだった。
【コミカライズ&書籍化(2巻7月発売)】【WEB版】婚約破棄され家を追われた少女の手を取り、天才魔術師は優雅に跪く(コミカライズ版:義妹に婚約者を奪われた落ちこぼれ令嬢は、天才魔術師に溺愛される)
***マンガがうがうコミカライズ原作大賞で銀賞&特別賞を受賞し、コミカライズと書籍化が決定しました! オザイ先生によるコミカライズが、マンガがうがうアプリにて2022年1月20日より配信中、2022年5月10日よりコミック第1巻発売中です。また、雙葉社Mノベルスf様から、1巻目書籍が2022年1月14日より、2巻目書籍が2022年7月8日より発売中です。いずれもイラストはみつなり都先生です!詳細は活動報告にて*** イリスは、生まれた時から落ちこぼれだった。魔術士の家系に生まれれば通常備わるはずの魔法の屬性が、生まれ落ちた時に認められなかったのだ。 王國の5魔術師団のうち1つを束ねていた魔術師団長の長女にもかかわらず、魔法の使えないイリスは、後妻に入った義母から冷たい仕打ちを受けており、その仕打ちは次第にエスカレートして、まるで侍女同然に扱われていた。 そんなイリスに、騎士のケンドールとの婚約話が持ち上がる。騎士団でもぱっとしない一兵に過ぎなかったケンドールからの婚約の申し出に、これ幸いと押し付けるようにイリスを婚約させた義母だったけれど、ケンドールはその後目覚ましい活躍を見せ、異例の速さで副騎士団長まで昇進した。義母の溺愛する、美しい妹のヘレナは、そんなケンドールをイリスから奪おうと彼に近付く。ケンドールは、イリスに向かって冷たく婚約破棄を言い放ち、ヘレナとの婚約を告げるのだった。 家を追われたイリスは、家で身に付けた侍女としてのスキルを活かして、侍女として、とある高名な魔術士の家で働き始める。「魔術士の落ちこぼれの娘として生きるより、普通の侍女として穏やかに生きる方が幸せだわ」そう思って侍女としての生活を満喫し出したイリスだったけれど、その家の主人である超絶美形の天才魔術士に、どうやら気に入られてしまったようで……。 王道のハッピーエンドのラブストーリーです。本編完結済です。後日談を追加しております。 また、恐縮ですが、感想受付を一旦停止させていただいています。 ***2021年6月30日と7月1日の日間総合ランキング/日間異世界戀愛ジャンルランキングで1位に、7月6日の週間総合ランキングで1位に、7月22日–28日の月間異世界戀愛ランキングで3位、7月29日に2位になりました。読んでくださっている皆様、本當にありがとうございます!***
8 78過去に戻り青春を謳歌することは可能だろうか
夢を見た。どこか懐かしい夢だった。 元スーパー高スペックだった高校二年生 町直斗(まちなおと)はどこか懐かしい夢を見た。初めて見た夢なのに。その夢を見た日を境に直斗の日常は少しずつ変わりはじめていく。 大きく変わったことが二つ。 一つ目は、學校でNo. 1の美少女の先輩が家出を理由に俺の家に泊まることになったこと。 二つ目は、過去に戻った。 この物語はあることをキッカケに自分をガラリと変えてしまった高校2年生とその周りの人間関係を描いたものです。 本當の自分って何なのだろう。 人生とは何か。 過去に囚われながも抗う。 まだ未熟者ですが自分の“書きたい小説を書く”というのをモットーに勵んでいきたいと思います。応援よろしくお願いします。 そして數多ある作品の中でこの作品を見つけ目を通していただいた方に心より感謝いたします。 この作品のイラストは、ひのまるさんのをお借りしています。 https://twitter.com/hinomaru00 プロフィールは 霜山シモンさんのをお借りしています。 ありがとうございます。
8 132クリフエッジシリーズ第四部:「激闘! ラスール軍港」
第1回HJネット小説大賞1次通過、第2回モーニングスター大賞 1次社長賞受賞作品の続編‼️ 宇宙暦四五一八年九月。 自由星系國家連合のヤシマに対して行われたゾンファ共和國の軍事行動は、アルビオン王國により失敗に終わった。クリフォードは砲艦の畫期的な運用方法を提案し、更に自らも戦場で活躍する。 しかし、彼が指揮する砲艦レディバードは會戦の最終盤、敵駆逐艦との激しい戦闘で大きな損傷を受け沈んだ。彼と乗組員たちは喪失感を味わいながらも、大きな達成感を胸にキャメロット星系に帰還する。 レディバードでの奮闘に対し、再び殊勲十字勲章を受勲したクリフォードは中佐に昇進し、新たな指揮艦を與えられた。 それは軽巡航艦デューク・オブ・エジンバラ5號(DOE5)だった。しかし、DOE5はただの軽巡航艦ではなかった。彼女はアルビオン王室専用艦であり、次期國王、エドワード王太子が乗る特別な艦だったのだ。 エドワードは王國軍の慰問のため飛び回る。その行き先は國內に留まらず、自由星系國家連合の國々も含まれていた。 しかし、そこには第三の大國スヴァローグ帝國の手が伸びていた……。 王太子専用艦の艦長になったクリフォードの活躍をお楽しみください。 クリフォード・C・コリングウッド:中佐、DOE5艦長、25歳 ハーバート・リーコック:少佐、同航法長、34歳 クリスティーナ・オハラ:大尉、同情報士、27歳 アルバート・パターソン:宙兵隊大尉、同宙兵隊隊長、26歳 ヒューイ・モリス:兵長、同艦長室従卒、38歳 サミュエル・ラングフォード:大尉、後に少佐、26歳 エドワード:王太子、37歳 レオナルド・マクレーン:元宙兵隊大佐、侍従武官、45歳 セオドール・パレンバーグ:王太子秘書官、37歳 カルロス・リックマン:中佐、強襲揚陸艦ロセスベイ艦長、37歳 シャーリーン・コベット:少佐、駆逐艦シレイピス艦長、36歳 イライザ・ラブレース:少佐、駆逐艦シャーク艦長、34歳 ヘレン・カルペッパー:少佐、駆逐艦スウィフト艦長、34歳 スヴァローグ帝國: アレクサンドル二十二世:スヴァローグ帝國皇帝、45歳 セルゲイ・アルダーノフ:少將、帝國外交団代表、34歳 ニカ・ドゥルノヴォ:大佐、軽巡航艦シポーラ艦長、39歳 シャーリア法國: サイード・スライマーン:少佐、ラスール軍港管制擔當官、35歳 ハキーム・ウスマーン:導師、52歳 アフマド・イルハーム:大將、ハディス要塞司令官、53歳
8 178現人神の導べ
この物語は、複數の世界を巻き込んだお話である。 第4番世界:勇者と魔王が存在し、人と魔が爭う世界。 第6番世界:現地人が地球と呼ぶ惑星があり、魔法がなく科學が発展した世界。 第10番世界:勇者や魔王はいない、比較的平和なファンタジー世界。 全ては4番世界の勇者召喚から始まった。 6番世界と10番世界、2つの世界から召喚された勇者達。 6番世界の學生達と……10番世界の現人神の女神様。 だが、度重なる勇者召喚の影響で、各世界を隔てる次元の壁が綻び、対消滅の危機が迫っていた。 勇者達が死なない程度に手を貸しながら、裏で頑張る女神様のお話。 ※ この作品の更新は不定期とし、でき次第上げようと思います。 現人神シリーズとして処女作品である前作とセットにしています。
8 129異世界転移した俺がやることは?
突如教室に現れた魔法陣に慌てるクラスメイト達。そんな中1人、落ち著いている奴がいたそいつは、「あ、これもしかして異世界転移じゃね?」とのんき にそんなこと考えていた。強い光があたりを照らし、その光が収まって周りを見渡すとそこは、學校の教室ではなく全く知らない場所だった... ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ この作品は自分がなんとなく書きたいなぁと思って始めたものです。拙い文章で読みにくいかも知れませんが見てくださるととても嬉しいです。 6月21日 タイトルを変更しました。 6月23日 サブタイトルを若干変更しました。
8 67異世界スキルガチャラー
【注意】 この小説は、執筆途中で作者の続きを書く力が無くなり、中途半端のまま放置された作品です。 まともなエンディングはおろか打ち切りエンドすらない狀態ですが、それでもいいよという方はお読み下さい。 ある日、パソコンの怪しいポップアップ広告らしきものを押してしまった青年「藤崎啓斗」は、〈1日100連だけ引けるスキルガチャ〉という能力を與えられて異世界に転移した。 「ガチャ」からしか能力を得られない少年は、異世界を巡る旅の中で、何を見て、何を得て、そして、何処へ辿り著くのか。
8 112