《僕の姉的存在の馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜》
私たちバンドメンバーの集合場所は、基本的に私の部屋だ。
決して広いわけではないが、それでじゅうぶんだ。
私たちの場合は、ちょっとしたコミュニケーションをとる時などに集まっている。
みんなの狙いは言うまでもなく──
「ねぇ、楓君。この裝はどうかな? 似合ってるかな?」
先にいたのは理恵ちゃんだった。
考えることは、私と一緒か。
楓は、なにをするでもなく窓から外を見ていた。
黒を基調としたお灑落なデザインの裝だ。
下はミニスカートではなく、ロングスカートになっている。
ロングスカートの裾の辺りには、白いフリルが付いていた。
普通に見たら、とても可いファッションだ。
「良いんじゃないかな。それって、次のライブの裝?」
「うん。もちろん楓君のぶんもあるから、安心してね」
「あー、うん……。それはそれで楽しみにしたいかな」
楓は、苦笑いをしてそう言っていた。
理恵ちゃんの場合、裝作りを擔當しているのもあって、次のライブで私たちが著る裝もしっかり用意しているのだ。
しかし、楓はどこか表がひきつっている。
なにか問題でもあったんだろうか?
もしかしてストッキングがないから、そこを気にしてるのかな。
そこに気づいたのか、理恵ちゃんは言った。
「大丈夫だよ。楓君なら、きっと似合うから」
あくまでも笑顔である。
しかもの子用のスパッツを取り出して、わざわざ楓に見せている。
あきらかにソレを穿いてほしいって言ってるようなものだ。
ストッキングなら、まだわかるんだけど……。
スパッツなんて穿いたら、楓の大事なあそこが締め付けられて、小さくなりそうな気がする。
「いや……。それを穿くのは、さすがにちょっと……」
「え~。ダメ? 楓君なら大丈夫だと思うんだけどな。サイズ的にも、楓君に合うようにわざわざ──」
「理恵ちゃん。男がの子用のスパッツなんて無理があるよ。弟くんのことを考えるならストッキングの方がいいかも」
それは、あくまでもの子用のスパッツだ。
男が穿くようにはできていない。
穿かせるとしたらストッキングが限界だと思う。
「そうかなぁ……。似合うと思うんだけどな……」
理恵ちゃんは、殘念そうにそう言ってスパッツをリュックの中に仕舞った。
どうやら理恵ちゃんは、楓の大事なあそこの大きさを理解してないみたいだ。
そうじゃなきゃ、スパッツなんて楓に見せないと思うし。
「とにかく。弟くんにはストッキングに合わせるような裝をお願いできるかな?」
「香奈ちゃんがそう言うなら。その代わり、わたしたちのはスパッツとかはないからね」
「どうして?」
スパッツとかがないっていうことは、スカートの中は下著になってしまう。
なにかあったんだろうか。
「楓君の裝のことばっかり考えていたから、わたしたちの裝に合わせるストッキングのことまで考えてなかったのよ。どうせロングスカートになるんだし、スカートの中を見られる心配はないかと思って──」
「なるほど」
「それってドラムやってる私にとっては、ちょっと死活問題かも……」
沙ちゃんがボソリと言う。
たしかに死活問題かもしれない。
ドラムは、演奏する都合上どうしてもガニになってしまう。
そうしたら、とあるアングルからだとどうしても丸見えになってしまうから。
しかし、それをわかっているのかどうかは知らないが理恵ちゃんは言う。
「沙ちゃんなら、大丈夫だよ。多見られたって、恥ずかしくないよ」
「どうして恥ずかしくないの?」
「だって沙ちゃんの穿いてる下著って、あまり可いものは穿いてないじゃない。それって、見られても大丈夫なものを選んでるってことでしょ?」
「たしかに、あんまり可い下著は穿いてないけど……。だからって、見られて平気っていうわけではなくて……」
沙ちゃんは、らしくもなく恥ずかしそうにをもじもじとさせてそう言った。
楓がいるからよけいに恥ずかしいのかな。
楓は、黙って私を見ている。
私の方を見られても……。
私も、そこまで可い下著はにつけてはいない。
あくまでもライブに立つためににつけた普通のものだ。
「だからいつも可い下著じゃなくて、控えめな下著なのか。なるほど」
理恵ちゃんは、納得したのかそう言っていた。
理恵ちゃんだって、人のことは言えないはずなのに。
「地味に納得しないでよ。下著の方は、ただでさえ恥ずかしいんだから」
気がつけば、沙ちゃんは顔どころか耳まで真っ赤だった。
沙ちゃんだって、下著を見られてしまったら恥ずかしいだろうし。當然の反応だろう。
奈緒ちゃんは、微妙な表でなぜかスカートを押さえてジッとしている。
なにかあったのかな?
「どうしたの、奈緒ちゃん? なにかあった?」
私は、気になって奈緒ちゃんに訊いてみる。
奈緒ちゃんは頬を赤くしていて、とても恥ずかしそうな様子だった。
「下著って言われてちょっとね……。あたしも、可いものは穿いてないからさ……。こだわった方がいいのかなって」
「なるほど」
それを聞いて、私も納得してしまう。
私自も、そこまで下著にこだわってないから、可い下著とかは穿いていない。
「あの……。それって、僕が聞いてもいい話なの?」
楓は、意を決したかのようにそう訊いてきた。
見たじ、とても居心地が悪そうだ。
それもそうだろう。
私の部屋で、今穿いてる下著の話なんてされたら、男の子である楓にとってはちょっと刺激が強いと思うし。
「別に構わないよ。あたしにとっては、ぜひ聞いてほしい話だし──」
「でもさ。このアングルからだと……」
楓は、なぜだか居心地が悪そうにソワソワしている。
その原因は、すぐにわかってしまう。
そういえば楓は、いつものように床に座っている。
奈緒ちゃんと沙ちゃんも、たしかに床に座っているが、問題なのは座り方だ。
スカートを穿いているとは思えないくらいにしてだらしなく腳をばし、中の下著が丸見えになっている。
それこそ無防備なくらいにして──
しかし奈緒ちゃんと沙ちゃんには、あんまり響いていないのか、逆に悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
「どうしたの? なにかあった?」
「いや……。その……」
「なにもないよね。いつものことだし──」
「目を逸らさないでしっかり見なさいよね。楓君ならいつも、褒めてくれるじゃない」
「さすがに、その座り方は褒められるようなものじゃないと思う」
楓は、そう言って2人から目を逸らす。
さすがの私も、そんな座り方はしない。
2人にとっては、そんなことを言われても実がないのかもしれないが。
「なにか問題でもあるかなぁ」
「う~ん……。普段どおりだと思うけど……」
奈緒ちゃんと沙ちゃんは、顔を見合わせてそう言っていた。
2人ともとても不思議そうな表をしている。
その顔は、あんまりわかっていないな。
私も、人のことは言えないから、なんともいえないが。
楓ったら、私たちのはしっかりと見るのに、スカートの中の下著はあんまり見ないって、どういう心理なんだろう。
ちょっと不思議だ。
なにかしらの需要があるんだろうか?
「僕にとっては、じゅうぶんに刺激が強くて──」
「それだけ楓君が真面目なんだと思うよ。配慮もしっかりときいてるし」
「そうかな? 僕的には、ただ普通にしてるだけなんだけど……」
「それだよ。その普通がいいんだよ。わたしは、そんな楓君が好きなんだ」
理恵ちゃんは、恥じらいがあるのか、下著が見えないようにしっかりとスカートを押さえて隠している。
「理恵先輩にそう言われると、逆に恥ずかしいかも……」
「恥ずかしがることはないよ。香奈ちゃんだって、楓君のそういうところが好きになんだし。自信を持っていいよ」
「う、うん」
楓は頷いてはいたが、あんまり実はないみたいだった。
これは普段の素行が影響しているので、楓にとっては、なんのことなのかわからないと思う。
そのあたりは、さすがの私も教えることはできない。
だけど、理恵ちゃんがそんな風にはっきり言うのはめずらしいことだ。
ただでさえ理恵ちゃんは、自己主張はあんまりしない控えめなタイプなのだから。
楓からしたら、理恵ちゃんに言われるのは、かえって説得力があったのかもしれない。
この場合、私はどうすればいいんだろう。
2人きりじゃないから、なにをすればいいのかわからない。
非リアの俺と學園アイドルが付き合った結果
「私とお付き合いしてください!」 「あの……私じゃだめ…ですかね…?」 ちょっと待て、相手は學園のアイドル的存在の新天円香さんだぞ!?ありえないだろ? なんで俺に告白してきてんだ? ―そ、そうだ!罰ゲームか! きっとそうなん― え? 罰ゲームじゃなく本心で俺のことを好きだって? なんで非リアの俺と學園アイドルが付き合うことになってんだよ! しかも最近ネジが外れかかってるというかぶっ飛んでるっていうか……戻ってきて!優等生な學園アイドルぅ! すれ違い系學園ラブコメ!!
8 18599回告白したけどダメでした
主人公、伊敷誠実はどこにでもいる普通の男子高校生……ではなく。一目惚れした相手に99回告白しちゃうような、超一途?な男子高校生。 入學してから毎日のように、山瀬綺凜に告白し続けるが、ことごとく振られてしまう。 そんなある日、誠実はある決意をする。 「俺……次の告白が駄目だったら……山瀬さんの事を諦める!」 この一言から誠実の戀愛事情は大きな変化を示す。 果たして誠実に待ち受ける変化とは?! 皆さまのおかげで、投稿開始から4日で日間戀愛ランキングで1位になれました。 これからも週四投稿を頑張りますので引き続き応援いただけると嬉しいです。 600萬PV突破!! ブックマーク登録數8000件突破! 総合評価20000ポイント突破!! 日間総合ランキング4位ランクイン!!(2017年11月17日) 「甘え上手な彼女」完結 「先輩はわがまま」連載中 こちらの作品もよろしくお願いしなす。
8 162秘め戀ブルーム〜極甘CEOの蜜愛包囲網〜
「觸れたくて、抱きしめたくて、キスしたいって。ずっと思ってたんだ」 ある事情で仕事も家も失った香月志乃は、再會した同級生で初戀の人でもある諏訪翔の提案で彼の家に居候することに。 トラウマから男性が怖いのに、魅力たっぷりな翔の言動にはなぜかドキドキして――? 男性が苦手&戀愛未経験・香月志乃 × とことん甘やかしたいCEO・諏訪翔 甘やかされて、愛されて。 また、あなたに墮ちてしまう――。 \初戀の同級生と甘やかで優しい大人の戀/ ※この作品は別サイトでは別名義で公開しています。 ノベルバ→2021,8,14~2021,8,22
8 133人間嫌いな俺とビッチな少女
「好きです!付き合ってください」 罰ゲームに負け、話したことすらない冴えない鍋島睦月に告白をすることになった胡桃萌、 告白のOKを貰ってみんなでネタバラシするつもりが答えはNO? 「なんで噓の告白で振られなきゃいけないのよ!いいわ、絶対に惚れさせて振ってやるわ!」 意気込む萌、しかし告白を受けなかった睦月にも何か理由があり……? 萌は果たして睦月を惚れさせることはできるのか、そして睦月は惚れてしまうのか? そんな2人の青春ラブコメディー。 *人間嫌いな俺とビッチな君→人間嫌いな俺と ビッチな少女 にタイトル変更しました。 *11/15付ジャンル別日間ランキングで2位ランクインできました。ありがとうございます。今後も頑張りますのでよろしくお願いします!
8 190視線が絡んで、熱になる
大手広告代理店に勤める藍沢琴葉25歳は、あるトラウマで戀愛はしないと決めていた。 社會人3年目に人事部から本社営業部へ異動することになったが… 上司である柊と秘密の関係になる 今日も極上の男に溺愛される 「諦めろ。お前は俺のものだ」 本社営業部 凄腕マネージャー 不破柊 27歳 × 本社営業部 地味子 藍沢琴葉 25歳 本編 20210731~20210831 ※おまけを追加予定です。 ※他サイトにも公開しています。(エブリスタ)
8 107アナグマ姫の辺境領修復記
王都図書館の奧深く、《アナグマ姫》と揶揄されつつ、ひっそりと古書修復に勤しんでいた第十王女のアニエスは突如、父王の遺言で辺境領地を相続してしまう。 そこは數々の災難により無人の廃墟と化し、領內を魔物が闊歩し魔王が棲みつき、おまけに時々異界から何かが迷い込む、とんでもない土地だった。 たまにめげそうになりつつ、主人公が領地再興に向けてがんばる話。 (※本編完結済み)
8 172