《乙ゲームのヒロインで最強サバイバル 【書籍化&コミカライズ】》274 王都の日常
日常というか準備回です。
「アリアが連れてきたんだろ? じゃあいいんじゃないか?」
「まぁ、アリアちゃんだしねぇ」
「オレはドルトンが決めたんなら文句はねぇ……」
隨分とあっさりとしているわね……。
アリアがお姫さまに會いに行った次の日、私は〝虹の剣〟の他のメンバーと顔合わせをした。
本當にこんな簡単で良いのかしら? まあ、それだけアリアを信用しているってことなのでしょうね。……一部、腰が引けている人がいるけど。
「――っ」
縦も橫も大きいドワーフ娘に微笑んであげたら、引きつった笑みで一歩退かれてしまったわ。
「ジェーシャ、こいつは怖い奴だが悪い奴じゃないぞ」
そう言って縦にデカい筋……確かフェルドだったかしら。彼が朗らかに言いながらジェーシャと私の頭をでる。
おおらかなのか細かいことを気にしないのか、私が言うのもなんだけど、よく私みたいな殺人鬼の頭をでられるのかと、思わずまじまじと見てしまった。
「び、びびるわけねぇだろ!」
本當にそうよね。それじゃまるで、私が屬竜より危険人みたいじゃない。
もう一人のエルフのミラはフェルドと同様に怖じしない。というか、いつの間にかポケットにお菓子がれられていて驚いた。
本來ならヴィーロと言う、アリアの師の一人である斥候もいるのだけど、彼は私とれ替わりで引退して暗部の騎士になるみたい。それでも顔合わせくらいしてもいいと思うのだけど……。
「ドルトンは?」
「姫殿下に呼ばれている。ヴィーロも一緒だから、たぶんスノーがギルドに寄らなくても更新できるようにするんじゃないか」
アリアに問いかけられたフェルドが私の疑問まで解消してくれた。それにしても……隨分とアリアは彼を信用しているみたいね。
以前はヴィーロが副リーダーのようなことをしていたみたいだけど、彼が引退することになって、その役目を引き継いだのかフェルドが私たちへ指示を出す。
「とりあえずアリアはドルトンの指示通りにいてくれ。それとアリアは學園に戻らなくていいんだな?」
「學園はエレーナの護衛のために通っていた。エレーナも王城での仕事があるので、學園には戻らなくていいらしいので、私の仕事は終わりだ」
まあ、い頃から個人教師に學んでいる上級貴族ならそうなるわね。上級貴族が學園に通う理由なんて、単なる顔合わせなのだから。
卒業式も王城でやるし、逆にお姫さまなんて、來年の卒業式が出來るようにまで復興させないといけないから大変なんじゃないかしら。それでも彼と會えると思っていた今年の新生は可哀想かも。
一通りドルトンからの指示を確認したフェルドは最後に封書を取り出した。
「ヴィーロから、今度何か奢れってさ」
「了解した」
アリアはけ取った封書を【影収納(ストレージ)】に仕舞い、私のほうへと歩いてきた。
「今のは?」
「調べを頼んでいた。それじゃ行こうか」
相変わらず言葉の足りない子ね。大予想はつくけれど、私は軽く肩を竦めて彼の隣になって歩き出した。
***
「アリアちゃん! あなた何ヶ月も何をしていたの!?」
辿り著いたお店にってすぐに、アリアはドカドカと鋼のハイヒールを鳴らして現れた、スパンコールドレスの巖ドワーフに叱られていた。
王都がこの有様なのだから、何ヶ月も連絡取れなかったら普通はそうよね。本當に私が言えた義理じゃないのだけど。
この店は私もドレスを頼んだ巖ドワーフの防屋。単に防店なら王都にはもっと大手も、一流の職人もいるけど、こと若い向けのデザインと能のバランスが良い職人なら、彼はこの國で一番ね。
お店の中には、本當に防なの? ……ってじのと腰しか隠していない防もあるけど、この巖ドワーフが著るのかしら?
「……あら?」
その店の奧に、見覚えのある黒いドレスが飾られていて、私の呟きに気づいた店主が私へ向き直る。
「ああ、それはアリアちゃんがパーティーで著ていたドレスの試作品よ。新しいデザインにできないか考えていたのだけど……」
アリアへのお説教が一通り終わり、彼の連れである私へ普通に話しかけて、私を見た店主が直した。
「……あ、あなた、その長と型は、まさかっ」
「……どこで誰かを判斷しているの?」
「あ、そうだ」
店主がバラしそうになった瞬間、計算か〝素〟なのか、アリアが【影収納(ストレージ)】からその黒いそれ(・・)を取り出した。
「これ、直る?」
「アリアちゃん!?」
それは私との戦いで著ていた闇竜素材のドレスだった。あれだけの戦いで破けてもいないのだから大したものよね。けれど、制作者からすればかなり傷んでいるようで、私と出會った衝撃はどこかへ飛んでしまったみたい。
「ああ、こんなになって! 汚れがついたまま自己修復が始まっているじゃない!」
「それと……」
慌てて傷んだ黒いドレスを調べ始めた店主に、アリアが申し訳なさそうに白いを取り出した。
「ひぃいいい!?」
そちらは私が著ていたミスリル糸のドレスだった。レベル1の攻撃魔をけてさえ傷一つ付かないドレスだけど、そっちは盛大に私ので汚れ、そちらもが付いたまま自己修復が始まっているのか、店主が両手を頬に當てたまま水草のようにゆらゆらと揺れていた。
「……ぁあああもぉ!」
隨分と衝撃をけていた店主だったけど、いきなり復活すると二つのドレスを抱えて奧にある水槽らしきにれて薬品みたいなをやけになったようにぶちまけていた。
「ええ、やってやるわよ! 完全に元に……いえ! あなたたちが大人になっても著られるように仕立て直すから覚悟しなさい!」
なんの覚悟……? 私がそう思っているとアリアがぼそりと呟く。
「私たちって一応、今年人なんだけど?」
「そうだったわねぇ」
私もアリアも今年で十五歳になる。貴族は魔學園に通うので來年の卒業パーティーが人の儀を兼ねているのだけど、平民なら十五歳になったら人として見られる。
「そんなに変わるかしら……」
私は思わずローブの裾を捲って自分の足を見た。……相変わらず病的に細いわ。
それでも平民と違い私たちは魔力で長している。ならそろそろ長と老化が逆転し始める頃なので年齢詐欺はさほどでもないけど、それでも私たちの外見は十六か十七歳くらいになっていた。
長もほとんどびていないし、大して変わらないのでは? そう思って聲をらすと、店主がギンッと睨んできた。
「何を言っているの! あなたたちの周りにもエルフなのにお菓子の食べ過ぎで、大人になったらしアレになった子がいるでしょうっ!」
「ああ」
なるほど……。確かに人族なら普通なのだけど、エルフとしてはセレジュラとかと比べたら可哀想ね。ふふ。
それから店主に既製品の中から比較的サイズの合うを手直ししてもらい、ちゃんとしたは制作してもらうことになった。
「手直し分は、三日後には出來ると言っていたから、それまでに準備をしよう」
「どこに行くのかしら?」
店から出たところでアリアからそんな言葉がかけられた。
確かドルトンから指示があるとか言っていたのよね。私が王都にいるとバレする可能があるから、何かの依頼とかけるのかも。
そう考え先を促すと、アリアはその行き先を口に出す。
「虹の剣、先任の魔師、サマンサに會いに行く」
次回サマンサ登場です。
今回は勇者の話まで書けなかったので次回に回します。
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