《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》59話 見送りのこと
見送りのこと
「お、見えてきたぞ」
「えーっ、どこどこ?」
「この先だ、この先。俺の指の延長線上」
「あー・・・見えたかも!にいちゃんシリョクいいねえ!」
「まあな」
俺は、朝霞と並んで港に立っている。
中央地區や東地區ではない、南地區の港だ。
今までとんと縁がなかったが、あの『防衛隊』の連中がいなくなったので使えるようになったのだ。
今では南地區の住人である漁師さんたちが、やっと取り戻せた自分たちの船で漁に出たりしている。
それで今何故ここにいるかというと、別に漁師さんたちの帰りを待っているというわけではない。
「うあ、けっこうでっかいね!連絡船じゃん・・・殘ってたんだあ」
朝霞の言う通り、波間に船がはっきりと見えてきた。
漁船ではない、人を乗せる船だ。
「連絡船?」
「うん!橋が使えない時用のキンキューヒナンとかに使うんだよ!」
ほうほう。
そんなのがあったのか。
俺はまたてっきり遊覧船の類かと思ったわ。
「ジエータイがいっぱいいんね~」
「だな、結構々しいや」
船の全容が明らかになるにつれ、乗っている人たちも見えてくる。
甲板にはキビキビとくお馴染みの迷彩服・・・自衛隊の人たちが多くいる。
それ以外だと、警も見えるな。
「・・・なんか見たことある人がいる気がするんですけど、神崎さん」
「・・・奇遇ですね、私も見覚えがあります」
一緒に來た神崎さんが、俺の橫で答えた。
なお、式部さんやアニーさんはお留守番である。
それからしばらく。
俺達の目の前で、中規模の客船・・・連絡船が問題なく接岸する。
あっという間に客船は縄で固定され、客船からタラップが下ろされた。
見た目は・・・なんて言うかな、車が乗るほどには大きくないフェリーってじだ。
そして、設置されたタラップの先にいる人が俺達に向かって敬禮をする。
「お久しぶりです、田中野さん。二等陸曹も元気そうで何よりだ」
「いえ、そちらも・・・はは、お変わりなく」
そこにいたのは、秋月にいるはずの・・・花田さんだった。
「なんでまたこんな所まで・・・」
「いやなに、デスクワーク続きだとが鈍りましてね。たまには外に出ませんと」
港を忙しくき回る自衛隊や警。
そんな彼らを見ながら、俺達は花田さんと立ち話をしている。
「秋月の方も最近は平和ですし、し足をばそうかと」
「そんなピクニックみたいな理由で・・・っていうかここに來るより神楽に行った方がいいんじゃないですか?奧さんとか息子さんとか・・・」
そう言い返すと、相変わらず微塵も鈍っていない様子の花田さんは笑った。
「あちらにはここに來る前に顔を出しましたよ。丁度親父もいましたがね・・・そんな暇があるならゾンビの1匹でも倒してこいと怒られましたが」
・・・神崎さんのお爺さん、相変わらずだなあ。
俺の周りの爺さん連中、元気すぎだろ。
「それで、今日は・・・避難民の収容ですか?」
「ええ、とりあえずは移送する人員の確認作業ですね。明日にはもう一隻、資運搬のものが來ます」
さすが、スケジュール通りだ。
この國の兵隊さんはこんな狀況でも勤勉であるなあ。
「子供と老人を優先する予定ですが、ここの人口から察するにさほど難航はしないでしょう」
葉巻に火を點け、花田さんはそう続けた。
「非戦闘員は早く安全な場所に移さないとヤバいですもんね。あ、そういえば秋月が平和って言ってましたけど・・・」
「ええ、病院の半徑5キロ圏からはゾンビを完全に駆逐できましたよ。そのおかげで敷地も拡げられて、今はちょっとした牧場も運営できています」
うはあ・・・そういえばそんなこと、前に聞いたな。
ゾンビもいないが家畜はいる。
いい環境になってんな、秋月。
「元々田舎なので人口も多くありませんでした。何か特異個化していましたが、電撃裝備で問題なく対処できましたよ」
「・・・ついにそっちも出てきましたか。黒ですか、それとも白黒?」
「黒が20、白黒が5といった所ですね。田中野さんほどではありませんが、部下には腕自慢もいますのでね」
白黒までいたのか・・・まあ、自衛隊員の練度なら集団で當たれば問題なく対処できるだろう。
初見だった俺達と比べて、古保利さんたちが解剖とかして調べてたと思うし。
「それはよかったです!てっきり俺達みたいに數で毆り合いになったのかと思いましたよ」
「はは、確かに特異個は脅威ですが頭脳の方は同然ですから。集団戦闘で型にはめれば問題ありませんよ」
・・・言うのは簡単なんだけど実行するのは大変なんだよなあ。
「問題は詩谷方面ですがね」
「えっ」
なんか花田さんが不穏なことを言い出したぞ。
「中途半端に平和なせいか、避難所を形せずに行する不特定多數の民間人とのトラブルが増えています。無理やり押しろうとするような手合いはまだないですが・・・この先はし騒になりそうな雰囲気もありますね」
半グレ集団みたいなのが暴れてるのか?
ゾンビがいないならいないで、結構面倒臭いんだなあ。
「我々の方は田舎の病院なのでそれほど多くはありませんが、友や中央図書館は街中にありますので」
うあー・・・宮田さんとか太田さんは大変だ。
まあ、2人とも強いから大丈夫だと思うけどさ。
特に宮田さんなんて見た目からして強そうだし、威嚇にもなるだろう。
「こちらからも何人か派遣していますので現狀は問題ありませんが。連攜の取れる避難所は貴重ですので」
「そりゃあよかった。花田さんの部下がいれば百人力ですもんね、白黒ゾンビだって投げ飛ばせそうだ」
俺がそう言うと、花田さんは紫煙を吐きつつニヤリと微笑んだ。
「部下ができるかは知りませんが、確かにあの程度ならなんとかなるでしょうな。私にもできましたし」
・・・投げてる?
ひょっとしてこの人、白黒ゾンビ投げてる?
ははは、まさかご冗談を。
「所詮は力が強いだけのに過ぎません。人間と構造が同じなら、力が強ければ強いほど合気道にとってはカモですよ」
投げてるねえ!絶対投げてるねえ!!
・・・噓だろオイ、そりゃあ俺も何も仏させてるが、さすがにアイツラを投げ飛ばそうなんて考えもしなかった。
あ!俺の橫にいる神崎さんのお目目が凄くキラキラしている!
これは掘り葉掘り聞きたい顔だ!!
「一等陸尉!けれ準備完了いたしました!」
「そうか、ご苦労。それでは田中野さん、また」
花田さんは呼びに來た部下と一緒に風のように去って行ってしまった。
・・・ご飯のお預けをくらったような神崎さんを殘して。
不憫だが、ちょっとかわいいぞ。
「・・・にいちゃん、アイキドーってすごいんだねえ」
「合気道もすごいが、あの人がその百倍くらい凄いんだからな。誰にでもできるこっちゃないぞ」
「ふぅん、にいちゃんとどっちが強いの?」
「なんで戦わせようとするんだよお前は。そんな気も起きないね・・・」
搦め手相手はマジで苦手なんだよ。
以前にテスト的なじで軽く組んだことはあるが、本気となるとなあ・・・
腕でも足でも、関節を壊されたら即死はしないが確実に負けるし。
ある意味骨折よりもタチが悪いんだ、関節へのダメージってのはな。
くっ付けばなんとかなる場所の骨折ならいいが、関節の破壊は一生モノだし。
「あ!ばーちゃんだ!ばーちゃーん!!」
そんなことを考えてたら、朝霞が走って行った。
その先には、30人ほどの集団が港にってきている。
おっと、第一次避難民の皆様が到著したな。
「あらあら、朝霞ちゃん。今日も元気ねえ」
ミチヨさんは必要最低限の荷だけを持ってきたようだ。
他の荷は自衛隊員が一括して船に運び込むらしい。
その証拠に、避難民の後ろには中型トラックがある。
「ばーちゃん、やっとマゴに會えるねえ!向こうではゆっくりすんだよ!」
「まあまあ、でも畑仕事くらいはしないとね。ずうっと何もしないとボケちゃうわあ」
まとわりつく朝霞の頭をで、ミチヨさんはにっこりと笑った。
「もしもヒナンジョが嫌だったら、マゴちゃんも連れて高柳ウンソーに來たらいいし!周りには手付かずの畑もいっぱいいっぱいあるってさ!」
「あらまあ、それは素敵だわあ。いよいよとなったらお願いしようかしら」
「まっかせといて!」
ひええ、暫定的家主の俺の意思を完全に無視していらっしゃるな!?
・・・まあいいけどさ。
避難所がアレになる可能は低いが、きいちゃんもミチヨさんも変な人じゃないし。
っていうか何も高柳運送に住まなくても空き家はむちゃくちゃあるし。
「一朗太ちゃん、本當にお世話になったわねえ」
朝霞と一緒にこっちへ來たミチヨさんが、俺に深々と頭を下げる。
「いやいやいや、俺なんにもしてませんってば。こっちこそ卵やら野菜やら・・・もう世話になりっぱなしですって」
俺がやったことといえば・・・細かい手伝いと殺戮行為だし。
むしろミチヨさんにトラウマを植え付けていないか心配である。
「あら・・・神崎さん、いっつもこうなの?」
「ええ、いつものことです」
何故かミチヨさんは俺ではなく神崎さんに向けて苦笑した。
なにがでござるか。
「でも男の人はね、これくらいが丁度いいのよ。お父さんにちょっと似てるわ」
「ふふ、そうですね。私もそう思います」
・・・何やら分かったじになっているお2人である。
俺には何が何やらわからない。
「朝霞ちゃん、神崎さん、ちょっとこっちにいらっしゃいな」
かと思えばミチヨさんは陣を伴って俺から離れていく。
緒話かな?
聞こえないように俺からもし距離を取っておく。
同士のデリケートな話とかだったらセクハラになっちまうし。
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「(いい?よーく聞いておきなさい。一朗太ちゃんをしっかり捕まえておきなさいな)」
「(うえ?)」
「(ふえっ?)」
「(腕っぷしも強くって、優しくって、なにより死んだお父さんみたいないい男じゃない。あの子を逃したら二度とあんなにいい男には巡り合えないと思いなさいね!)」
「(・・・たしかに!にいちゃんみたいなイイオトコ、この世界に2人もいないっぽいし!)」
「(ああああの、わた、私はべ、別にそんな・・・そんな・・・はい。き、肝に銘じます!)」
「(うふふ、若い頃を思い出しちゃう!甘酸っぱいわぁ・・・!)」
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何やら盛り上がっているようだ、特に神崎さんがわたわたしている。
ぶっちゃけ容が気にならんと言えば噓になるが、藪をつついてモンスターを召喚する趣味はない。
避難民は自衛隊員や警の手を借りて続々と船に乗り込んでいく。
ミチヨさんも、俺達に手を振りながら行ってしまった。
こっちも向こうに戻ったら顔を出しに行かんとな。
「田中野さん、我々はこれで戻ります」
部下と話していた花田さんが戻って來た。
ミサイルはないし、護衛の指揮は花田さんだし、まさに大船に乗った~ってやつだな。
「はい、お気をつけて。そっちに戻ったらご挨拶に伺いますよ」
「おや、一旦お戻りに?」
「ええ、ちょっと・・・武を何個か回収しときたいんで」
「なるほど、萬全を期すというわけですな。おっと、忘れていた」
花田さんが俺に向かって右手を差し出してきた。
「遅くなりましたが、お互いの無事を祝して」
「あー・・・そうですね、へへ」
なんか改まって言われると照れるなあ。
俺も右手を差し出し―――
襟元に鋭くびた右手を弾いた。
それを見越していたように、左手がまたびてくる。
重心を後方に逃がしつつ、弾いた右手でそれを迎撃・・・すると裏拳で逆に迎撃された!?
「っふ!」
本命は、摑みじゃない!
俺が先に弾いた右手での、拳打!!
「っし!」
恐るべきびのそれを、け止めるのではなくけ流す!
この勢いを乗せて鳩尾へ、こっちも貫き手を―――!
うあ!?後方に逸らしたはずの拳打が後ろ腰のベルトを摑んだ!?
本命はやっぱりこっちか!?
いや、どうともなるように初めから二種類の手を打って・・・!
「ぬんっ!」
「っぐお!?」
手の一點で保持されたベルトに、凄まじい力がかかる。
なんてタイミングと力だ!?
側面に転がされちまう!!
それにあえて逆らわず、片足で地面を蹴る。
側面宙返りの軌道を描き、景が回転する。
さあ!手を固定してたら今度はそっちの手首がいかれるぞ!
花田さんはすぐさま手を放し、俺に踏み込む。
逆さになった視界に、蹴りの勢にった姿が見えた。
「っしゃあっ!!」「はぁっ!!」
ブーツの爪先をまっすぐ俺の正中線に突きれる蹴り。
その先端に、オーバヘッドキック気味の蹴りを合わせる。
これで打點をずら―――!?
そんなにズレ、ない!?
なんちゅう安定した蹴りだ!
「っご!?」
かすかに打點のズレた蹴りが、脇腹にる。
唾を空気を吐き出しながらも、なんとかけ。
後頭部を打つことを避けつつ、後方けの勢いを斜め方向へ変換。
これで、花田さんの軸足を刈り取る!!
「いっ!?」
刈り取れ、ない!
まるで地面から生えた大木だ!
だが、それなら―――!
軸足に叩き込んだ蹴り足を殘し、もう片方を・・・空振る形で放つ!
「おおっ!!」
軸足を通過した蹴りを筋で止め、すかさず戻す。
右足と左足で、竜が顎を閉じるように!!
これぞ南雲流甲冑組手、『臥竜咬(がりゅうこう)』!
が、花田さんは軽やかに跳んで躱す。
無茶苦茶ゴツいってのに、羽が舞うみたいなきだ!
空振りの勢いに地面を手で突く勢いを乗せ、瞬時に起き上がる。
・・・ちくしょう、脇腹が地味に痛い。
ダメージはこっちの方がデカいなあ・・・!
それを顔に出さないようにしながら、重心を後ろに逃がして構える。
対する花田さんは自然だ。
このまま散歩にでも行きますよ・・・みたいな顔をしている。
しばし相対し、息を吐く。
「・・・今度の『試し』は、どうです?」
「ははは・・・本気になりそうなのでここでやめておきますか」
いつものような笑顔。
その裏に狼のような気迫を滲ませ、花田さんはそう言った。
あっぶねえ~・・・死ぬかと思った。
俺の方も咄嗟に抜刀するところだった。
っていうかこれも本気じゃないのか、花田さん。
底が知れない・・・!
「初めて見る技ですが、アレは本來の使用用途ではなかったでしょう?そちらもまだまだ余力がありますね・・・以前よりもきがかなり鋭くなりましたな」
バレてる・・・
そう、本來の『臥竜咬』は両足で挾む際に足首を破壊する技だ。
俺はさっき挾んで痛めるくらいの角度であえて放った。
その分だけ、技の速度が遅く出を許してしまったわけだ。
・・・それも見抜かれてたってわけか。
だけど訓練?で花田さんの足首を破壊するわけにはいかんし。
・・・本気で放っても躱されていた気はするけども。
「さて、これでも忙しいもので・・・私は本當に失禮しますよ。勵めよ、二等陸曹」
そう言うと花田さんは、呆気に取られている避難民や自衛たちを目にさっさと船に乗り込んでしまった。
それを見て、慌てて他の人たちも船に乗り込む。
自衛さんなんか目を白黒させてたな。
いきなり上が戦い始めたんだから當たり前ではあるが。
「にいちゃん!にいちゃんカッコいい!」
「うぎゅ」
船のタラップが港から外れるのとほぼ同時に、朝霞が後ろから抱き著いてきた。
「にいちゃんカッチュークミテ苦手だって言ってたけどそんなことないじゃん!すごかったし!」
「苦手も苦手だよ・・・後藤倫先輩って人ならあんなもんじゃねえぞ」
「いえ!お見事でした!!」
ウワーッ!神崎さんの目が凄いキラキラしてるゥ!?
あーダメです!この港のシリアスさんは今お亡くなりになりました!!
「あの足でガッて挾むの、あーしにも教えてね!」
「まあいいけどさ・・・チンピラ相手にはオーバーキルだぞ」
あんな面倒な技じゃなくても、素人相手なら以前に使った『狩』の方がいい。
『臥竜咬』は完全に寢て使用する技だからな、結構難しいんだ。
外れたら即座に起き上がる必要があるし。
「投げに逆らわずに跳んでからの流れるような攻防・・・!とてもいいものを見せていただきました!!」
「アッハイ」
「ヒエッ・・・カンザキサンなんか怖いし・・・」
朝霞が若干引くくらい神崎さんは元気である。
この分では叔父さんとの再會よりも目の前の模擬戦を喜んでいそうだ。
「・・・ま、まあ花田さんも確実に本気じゃなかったからあの程度で済みましたけどね。ご本人もそう仰ってましたし」
「確かに・・・叔父が本気であれば、手數がな過ぎます。それでも、田中野さんのきはお見事でした!」
花田さんは鍛治屋敷の技を模倣できるほどの腕があるんだ。
関節や投げにこだわらずとも、至近距離の弾戦にもつれ込めたハズだもんな。
そこまでいったら訓練じゃなくて殺し合いになるが。
「あーし、足技好き!」
「お前足長いもんなあ・・・モデルみたいで羨ましいぞ」
朝霞の下、長の半分くらいありそうだもん。
おまけに運神経もいいから、その長い足がしなやかにビュンビュンくし。
敵にとってみれば最高に嫌な相手だよ。
3人でわちゃわちゃしていると、船が汽笛を鳴らして岸から離れ始めた。
おっと、もう出発か。
「ばーちゃーん!気を付けてね~!!」
朝霞が甲板にいるミチヨさんに飛び跳ねながら両手を振っている。
向こうも何か言っているようだが、さすがに朝霞ほど聲量はないので聞こえない。
それでも笑顔で手を振っているのだけはわかる。
俺と神崎さんも手を振る・・・ありゃ、何人か振り返してきた。
あ、あの人たちは『防衛隊』絡みで謝してくれた家族だな。
向こうの避難所ではあんな屑はいないだろうから、家族みんなで穏やかに過ごしてほしい。
花田さんっぽい影が敬禮しているのを見ながら、俺達はしばらく手を振っていた。
「避難民はあれで全員ですか?」
船が去ったので、家に帰る途中に神崎さんに聞いてみた。
「いえ、明日の第二陣にも若干名います。その他の島民の方々は島に殘ったり、自前の船で離する方もいます」
「あー、『防衛隊』に船ぶん捕られてた人達ですね」
島に殘る人もそれなりにいるらしい。
・・・まあ、『レッドキャップ』がいなけりゃここは天國だもんな。
南地區にはゾンビもいないし、魚はバンバン捕れる。
漁船もちなら、いざとなれば海上に逃げれるし。
強制的に避難させられるわけじゃないもんな、自己責任で殘る人も多いだろう。
「あーし達は3日後に引っ越しだよね~?」
「バウ!ワゥ!」
家から迎えにやってきたなーちゃんをでながら朝霞が言う。
俺達は別に急いでいるわけじゃないからな。
古保利さんから急の連絡が來れば即座に離しなきゃだけど。
「そういえば、石川さんはどうするか知ってます?」
「石川さんは明日の船で一旦龍宮へ戻るそうです。道場や家から持ち込みたいがいくつかあるから・・・とお聞きしています」
「・・・なんだろう、武かな」
石川さんはカラテマンだから、刀とか槍じゃないだろうし。
あの人も結局島に戻ってくるんだよなあ・・・當たり前だけど。
やらなきゃいけないこともあるだろうし。
「島も人がなくなるなあ・・・」
野生が発的に増える前にカタを付けたいもんだが。
いや、別に増えても食料的な意味では大歓迎かも。
ここら辺には熊もいないし。
豬だけは間引かないとヤバいけどな。
「だいじょぶ!にいちゃんがへんなのボコしてくれたらまたみんなで帰ってこよーよ!」
「わっぷ」
さっきまでなーちゃんと遊んでいた朝霞が、俺の背中に飛び乗ってきた。
コイツものこなしが軽いよなあ。
へんなのって『レッドキャップ』のことかな?
「・・・永住するかはともかくとして、子供たちを釣りとか泳ぎに連れてくるには最高の環境だなあ」
「なぁんでー!?エイジューしようよぉ!!」
「ま、考えとく」
予定は未定だ。
それより先に片付けなきゃいけない問題が山積みだしな。
「ま、とりあえずできることからコツコツやりますか・・・相棒」
「はいっ!頑張りましょうね!」
さっきまでの余韻からか、いまだに目がキラッキラしている神崎さんが元気よく答える。
俺は、朝霞を背負いながら煙草を・・・うん、喫えないなあ。
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