《ビンボー領地を継ぎたくないので、全て弟に丸投げして好き勝手に生きていく》439話「シリーズ代と不穏な噂」
商業ギルドを後にしたその足で、俺は冒険者ギルドへとやってきた。前回の二の舞にならないよう注意しつつ、付カウンターを目指す。
「いらっしゃいませ。本日はどういった用でしょうか?」
「おすすめの宿を紹介してほしい」
とりあえず、いつものアレの確認がてら同時進行で宿のアレも確認しておくため、付をしていた職員から聞き出す。特にしていることでもないので、はすんなりと教えてくれる。
「それですと【ルルイーダの酒場】がおすすめとなっております」
「……重ねてきたか」
「はい?」
「いや、こっちの話だ。ところで、あんたの名前は?」
宿のアレが確認できたところで冒険者ギルドのアレを探っていくため、まずは目の前の職員の名前を聞いていく。
「私は、この冒険者ギルドで職員をしておりますジャシーといいます」
「ジャシーか。(そんなキャラド〇クエにいたか? いや待て、もしかすると……)」
「あの、私の名が何か?」
「ちなみに、ビッグスとウェッジという名前に心當たりは?」
「ありません。あ、ですがうちのギルドにバッグスとイェッジという名前の職員ならおりま――」
「そ、そうか(やはり、フ〇イファンシリーズになってやがる。ジャシーがいるということは、七作目か?)」
ここでまさかの別タイトルの國民的RPGが登場する。やはりこの世界はどこか俺のいた世界のなにかを參照している気がしてならない。
これ以上人の名前を聞いていると怪しまれるため、紹介された宿に行ってみるとジャシーに告げると、足早に冒険者ギルドを後にする。意外にも紹介してもらった宿はギルドからそれほど離れてはおらず、とりあえずチェックインだけ済ませておいた。
時刻的に夕方に近い時間帯であるため、今日はあまり無理はせず早めに活を終えることにする。
翌日、朝支度を手早く終わらせ、街へと繰り出す。このゲッシュトルテも、元々は一國の主要都市というだけあってその規模はかなり大きい。他の都市からの流も盛んに行われており、ラガンドール區でも一、二を爭うほど栄えている都市だ。
尤も、ここもアルカディア皇國の侵攻の余波をけているようで、アロス大陸の都市と比べると治安があまり良いとは言えないらしく、先ほどもスリを行った犯人が衛兵に連行されていく姿があった。
ひとまずは観がてらアルカディア本國の報収集を行うべく、俺は市場へと顔を出す。市場もかなりの規模があるようで、大通りよりもさらに人の往來があり、客引きの店員が聲を張り上げていた。
「いらっしゃい。坊や、見ない顔だね」
「今日來たばかりだ。この辺りにはどんな食材があるんだ?」
野菜を売っていた店に目を付けた俺は、まずはこの辺り一帯の特産品となる食材を聞いてみることにした。アルカディア皇國の報については積極的に聞き出すというよりも話の名流れのついで程度で構わない。何故ならば、俺が今メインで行っている活容は潛捜査ではなく観巡りだからである。
こっちの大陸に來てそこそこな時間が経過しているため、おそらくアロス大陸侵攻に関しての報はアルカディア皇國の上層部に伝わっている頃合いだろう。俺がいた前世の日本でも、他大陸からの侵攻や日本から他の大陸に侵攻するという歴史があった。だが、襲撃にしろ侵攻にしろそのどちらもが上手くいかずに失敗に終わっている。
今回の侵攻失敗をけて、上層部は國の基盤を固めるために盡力するはずだ。治安の向上や他にも抱えている問題が山積みの狀態である可能が高く、下手をすれば今回の侵攻が功したとしてもすぐに本國へと帰還することになり、その間に敵対國が軍を編して押し出してくることは想像に難くない。軍事的な知識のない俺ですら理解できるというのに、一國の上層部がその結論に思い至らないのはどう考えても不自然極まりない。
とどのつまり、今しばらくは時間的な猶予があり、特にこちらからかなくても問題ないということである。だが、俺個人としては借りていたとはいえ自分のテリトリーに土足で踏み荒らそうとした報いはけてもらうつもりだ。といっても、超絶広範囲殲滅魔法をぶっ放して國を滅ぼそうなどという過激なことはしない。ちょっと反省を促すための時間を與えるだけのことである。
「――があってね。……って聞いてるかい?」
「ああ、聞いる。じゃあ、これとこれとこれをそれぞれ二十個ずつくれ」
「はい、毎度あり!」
たくさん買ってくれたことに気を良くした中年の店員からいくつか野菜をおまけしてもらいつつ、市場を散策する。途中、晝食を兼ねて軽食を販売する屋臺からいろいろと買い食いをして腹を満たす。そのまま市場を歩き続けていると、どこからともなく不穏な話が聞こえてくる。
「おい、聞いたか?」
「ああ、また不審な死に方をした死が出たんだろ」
「まるで水分を吸ってカラカラに干上がったミイラみたいになってたんだってな。怖い怖い」
「これで十人目だそうだ。冒険者たちの話じゃ、夢魔や吸鬼の仕業っていうことらしいが」
「奴らは俺たち人間を餌としか思ってねぇ。その餌である人間が死ぬまで生気やを吸い盡くすなんてことがあんのかねぇ?」
「あまりやり過ぎると、それこそ討伐隊を組まれて面倒なことになりそうなのにな」
「俺夢魔なら吸い盡くされてもいい。綺麗な夢魔の姉ちゃんと一夜を共に出來んなら命の一つや二つくれてやらぁ」
「はは、ちげえねぇ」
どうやら、治安が悪いだけではなく不審死による奇怪な事件も多発している様子だ。男たちの話では、夢魔や吸鬼など知あるモンスターの仕業のようだが、都市の中にモンスターが紛れ込んでいること自が問題だ。尤も、夢魔も吸鬼も空を飛ぶことができるモンスターであり、尚且つ主に夜に活するため、真っ暗闇の中でその姿を視認すること自が困難だということはなんとなく予想できる。
それ以降、男たちからもたらされる話の中に目ぼしい報はなく、いいはがデカいだの腰のくびれだのと下世話な話が続いたため、これ以上有益な報は得られないと判斷して、市場を巡った。中央區となるアルカディア皇國に隣接する區畫だけあって、耳にって來る報もより詳細な容のものが目立った。その中の一つに、アルカディア皇國の皇帝と貴族たちの力の均衡が崩れてきているというものがあり、他大陸の侵攻も大陸統一という偉業をし勢いづいた貴族たちが強行手段に出た結果によるものだということがわかった。
ただ、俺個人としては逆にそのきを出にして貴族たちの力を削ぐという皇帝サイドの策略がけて見え、それにアロス大陸側が巻き込まれたというのが、今回のモンスター農園襲撃の全貌だったというのが俺の見解だ。つまり、貴族たちの力を削ぎたい皇帝派閥の策略だったということだ。
「大陸統一だけで満足していればいいものを。これは、誰に喧嘩を売ったのか教えてやらねばなるまい……」
そう言いながら、口の端を吊り上げる今の俺の顔はさぞかし悪人面となっていることだろう。それが証拠に、近くにいた店の店員が引き攣った顔で後ずさっていたからな。まあ、そんなことはどうでもいいことだ。
それから、ある程度の報収集となくなってきた食材などの消耗品を補充しつつ、夕方になったので、宿に戻って食事をした後、その日は眠ることにしたのだが、気が付くと俺のに馬乗りになっているがいた。
【コミカライズ&書籍化(2巻7月発売)】【WEB版】婚約破棄され家を追われた少女の手を取り、天才魔術師は優雅に跪く(コミカライズ版:義妹に婚約者を奪われた落ちこぼれ令嬢は、天才魔術師に溺愛される)
***マンガがうがうコミカライズ原作大賞で銀賞&特別賞を受賞し、コミカライズと書籍化が決定しました! オザイ先生によるコミカライズが、マンガがうがうアプリにて2022年1月20日より配信中、2022年5月10日よりコミック第1巻発売中です。また、雙葉社Mノベルスf様から、1巻目書籍が2022年1月14日より、2巻目書籍が2022年7月8日より発売中です。いずれもイラストはみつなり都先生です!詳細は活動報告にて*** イリスは、生まれた時から落ちこぼれだった。魔術士の家系に生まれれば通常備わるはずの魔法の屬性が、生まれ落ちた時に認められなかったのだ。 王國の5魔術師団のうち1つを束ねていた魔術師団長の長女にもかかわらず、魔法の使えないイリスは、後妻に入った義母から冷たい仕打ちを受けており、その仕打ちは次第にエスカレートして、まるで侍女同然に扱われていた。 そんなイリスに、騎士のケンドールとの婚約話が持ち上がる。騎士団でもぱっとしない一兵に過ぎなかったケンドールからの婚約の申し出に、これ幸いと押し付けるようにイリスを婚約させた義母だったけれど、ケンドールはその後目覚ましい活躍を見せ、異例の速さで副騎士団長まで昇進した。義母の溺愛する、美しい妹のヘレナは、そんなケンドールをイリスから奪おうと彼に近付く。ケンドールは、イリスに向かって冷たく婚約破棄を言い放ち、ヘレナとの婚約を告げるのだった。 家を追われたイリスは、家で身に付けた侍女としてのスキルを活かして、侍女として、とある高名な魔術士の家で働き始める。「魔術士の落ちこぼれの娘として生きるより、普通の侍女として穏やかに生きる方が幸せだわ」そう思って侍女としての生活を満喫し出したイリスだったけれど、その家の主人である超絶美形の天才魔術士に、どうやら気に入られてしまったようで……。 王道のハッピーエンドのラブストーリーです。本編完結済です。後日談を追加しております。 また、恐縮ですが、感想受付を一旦停止させていただいています。 ***2021年6月30日と7月1日の日間総合ランキング/日間異世界戀愛ジャンルランキングで1位に、7月6日の週間総合ランキングで1位に、7月22日–28日の月間異世界戀愛ランキングで3位、7月29日に2位になりました。読んでくださっている皆様、本當にありがとうございます!***
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