《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》2話 あいさつ回りのこと
あいさつ回りのこと
若干の違和を覚えながらハンドルを作する。
うーむ、なんか違うな。
「どうですか?何か不合でもありますか?」
助手席に座っている神崎さんが聞いてきた。
俺の作からじ取ったらしい。
「結構長い事運転してきたんでねえ、微妙な違和が・・・でも、この車が悪いってわけじゃないんですよ?」
「それはそうでしょうね、どちらかといえばこちらの方が年式は新しいはずですから」
ありゃ、そうなの?
「まあ、代車みたいなもんだからしょうがないですねえ・・・おっと、ここを左っと」
減速しながらハンドルを切る。
カーナビの型まで違うから違和が加速するなあ。
「早く大木さんが修理してくれるといいですね、田中野さん」
「・・・戻ってきたらミサイルくらい付いてそうですけどねえ」
俺の返答に、神崎さんは『確かに』みたいな苦笑を返してきた。
ある意味信頼されてんなあ、大木くんも。
「おっちゃんの家に行くのもすごく久しぶりな気がする・・・」
「田中野さんは牙島にずっといましたから」
しかもその期間は一切運転らしきものはしてなかったしな。
ボートを漕いだ記憶しかない。
俺は、助手席に神崎さんを乗せて詩谷へ車を走らせている。
運転しているのはボロボロになったかつての車ではなく、後藤倫先輩が確保していた軽トラだ。
サクラはなーちゃんと遊ぶのに忙しそうだったのでお留守番である。
同行するのが神崎さんというのもあって、子供たちもあまり心配はしていなかった。
朝霞は付いて來ようとしていたが、またの機會ということにした。
今回はすぐに帰る予定だしな。
・・・ちなみに先輩には賃貸料として何らかの甘味を支払うことになっている。
帰りになんか探そうかな。
『次は私とドライブデートだからな、イチロー』
アニーさんはそういうワケのわからない妄言を言っていたので無視した。
そうしたら『イチローがひどいんだ・・・』とねえちゃんに泣きついていたが、これ俺は悪くないんじゃない?
さて、何故人の車を運転してまでおっちゃんの家に行こうとしているかというと・・・脇差を調達するためである。
俺のボロ車で行ってもよかったのだが、大木くん曰くかなりダメージを負っているので危険だそうだ。
あの竜神大橋の戦いでの損傷がかなりヤバいらしい。
おのれ鍛治屋敷め・・・人の車を・・・!
『廃車になっても怒らないなら、ワンチャン僕が修理の真似事をしてみますよ!レストア畫とかも撮りたいですし!』
とのことなので、甘えることにした。
大木くんは自衛隊バイクをまるで別に改造できる腕もあるし、こちらとしても駄目ならどこかで調達すればいいしな。
ノーリスクハイリターンってやつだ。
高柳運送は戦闘要員も増えて安全だし、なにより向かうのはほぼゾンビがいないおっちゃん宅周辺である。
牙島から帰った挨拶もしたいし、丁度いいと思ってのことなのだ。
「いやあ、こうして神崎さんと一緒に車に乗ってると・・・調子が戻ってきますねえ」
「しょ、しょうでしゅか!?」
なんでそんなにキョドるんですか。
・・・ひょっとして今日は外出の気分じゃなかったとか?
それとも自衛隊のお仕事予定でもってたのかしら。
「思えばこれまで々ありましたけど・・・いや、これからも々あるでしょうけど・・・ともかく、よろしくお願いしますよ」
「・・・は、はいっ!こちらこそ!これからもよろしくお願いしますね!田中野さん!」
キョドっていた神崎さんは、花が咲いたように笑った。
・・・神崎さんも表かになったもんだなあ。
知り合った當初はきりっとしててクールビューティー!ってじだったが、こういう自然の神崎さんもかわいらしくていいと思う。
素を見せてくれるくらい、俺と仲良くなったってことだもんな。
うん、いい友人になれたもんだ。
「・・・なにやらイラっとしたのですが」
ナンデ!?
急にきりっとしながら冷たいことを言われたんですけど!?
し、しかし元祖相棒だもんな、神崎さん。
本家相棒とか相棒家元とかは多分出てこないと思う。
「・・・それにしても車、増えましたねえ」
現在位置は、原野から詩谷にってしばらく走ったあたり。
おっちゃんの家までは10分くらいだな。
いつかのように土手を走っているが、明らかに前回よりすれ違う車が多い。
前のように反転して襲ってくるようなアホは今の所いないのがありがたい。
「そうですね。治安が回復・・・と言うより、必要に駆られての外出をする方が増えてきたということでしょう。食料調達や、探索などでしょうか」
「ゾンビがいても人間って案外逞しいなあ」
とは言うものの、人間食わねば死ぬ。
生きていたければ、現狀自分たちで頑張るしかないのだ。
避難所に保護された人たちは幸運だが・・・それでも仕事はある。
考えてみれば、ウチみたいなお気楽かつ戦闘力がストップ高な避難所?でもない限り必死にかなければならんしな。
「そのバイタリティが同じ人間に、間違った形で向かわなければいいのですが・・・」
神崎さんはそう言うが、聲に真剣さはない。
自分でもみ薄だと思っているんだろう。
実際、今までにそういう手合いとは散々殺し合っているわけだし。
「俺も死人の持ちとかはバンバン回収してますからねえ・・・生きてる人間から奪うよりかはマシでしょうけど」
空き家に侵してとかもしてるしな。
もっともそれは頻繁にやっていなくて、ごくごく初期にやっていただけだが・・・竊盜には変わりあるまい。
釣りをするにも、竿やルアーはほとんど盜品だ。
法が厳格に運用されていた過去においては、立派な犯罪者である。
社會の方が先に死んだので見逃されているだけだ。
「ま、それでもやるときはやりますけども」
俺にとって大事なのは、自分が何をしたいのかってことだ。
そして、今したいことは・・・とりあえず子供たちが獨り立ちできるまで守るってことかなあ。
あとサクラを立派な熊犬に・・・じゃなくて立派な犬にすることとか。
後は、今ものうのうと生きているであろう、例のアイツの息のを止めるってことかな。
鍛治屋敷や『レッドキャップ』?・・・アイツらはどうせ放っておいてもかち合うのでわざわざむまでもない。
俺は正義の味方では決してないが、目障りだから排除する必要がある。
それ以外にも生かしておいて子供が危険になるような相手なら、呼吸するようにぶち殺す。
行理念としてはこんなところだろうか。
・・・當初よりもいささか守るモノやしがらみが増えた気がしないでもないが、これも俺がやりたいからこうなったまでのこと。
甘んじてけれよう。
「・・・なんか音楽でもかけましょっか?」
真面目なことを考えていたら空気が重くなってきた。
気なJポップでも流そうかしら。
「いえ、音楽よりも・・・その、田中野さんとお話する方が好きですから、私」
・・・おおう、照れる。
そうまで言われちゃ、なにもできないな。
お気にりのCDは封印しておこう。
「奇遇ですね、俺もですよ」
「しょっ!しょしょしょしょうでしゅか!?」
だからなんで急にキョドるんですか。
俺別に変なこと言ってないよなあ?
細かく振する神崎さんに首を傾げつつ、俺は前の車よりちょっと軽いアクセルを踏んだ。
特に野良ゾンビにも野良盜賊にも襲われることなく、目的地のおっちゃん宅へたどり著いた。
相変わらずゾンビの存在しない道を走り、店の前に停車する。
すると、エンジンを切ったか切らないかのうちに店の玄関が勢いよく開いた。
走り出てくるのは、隨分と久しぶりに見た玖ちゃんである。
元気だなあ。
俺も挨拶するべく、運転席から出た。
「へーい、玖ちゃん元気~い?」
気の抜けた聲をかけるとほぼ同時に、玖ちゃんは勢いよく抱き著いてきた。
「いちろーおじさんっ!」
「うおっとと」
前よりもし重くなった玖ちゃんに嬉しくなりつつ、倒れ込まないように背中に手を回して抱き上げた。
「元気そうで何よりだよ。ちゃんとご飯食べてる?」
「うんっ!玖は元気だよっ!!」
聲を聞けばすぐにわかるが、それでも嬉しい。
ここは相変わらず平和なようだ。
「凜おねーさんも、こんにちはっ!!」
「お久しぶりね、玖ちゃん。し背がびたんじゃない?」
「えへへぇ・・・そうかな?」
「そうよ、大きくなったわ」
神崎さんに褒められて、玖ちゃんは顔をほころばせた。
「ごめんなあ、サクラは新しくできたおねえちゃんと遊ぶのに夢中なんだわ」
「おねえちゃん?」
「ああ、牙島におじさんの親戚がいてね・・・今回引っ越してきたんだけど、その家族が犬を飼ってるんだよ」
そう言うと、玖ちゃんは目を輝かせた。
「わあっ!どんなワンちゃんなの!?」
「ボルゾイっていう犬種のの子でね・・・が長くってサラサラの綺麗な子だよ。なーちゃんっていうんだ」
正式名稱はナカオチだが、ここで呼ぶ人はいないのでいいだろう。
の子っぽくない名前だし。
「玖ちゃんも仲良くしてやってくれな」
「えへぇ・・・うん!」
頭をでると、玖ちゃんはにっこりと笑った。
「うわ!事案だ!!」
「はいはいどうも、ご無沙汰してますよ」
玄関先から顔を出した沙姉に塩対応しつつ、俺は玖ちゃんを抱えたまま玄関をくぐるのだった。
「おう、手足は付いてるな。元気そうじゃねえか」
「判斷基準が殺伐としすぎ」
変わりないおっちゃんが、テーブルを挾んで笑っている。
神崎さんは陣とガールズトークと灑落こんでいるので、居間には俺達だけだ。
「きゅるるぅ」
おっと、膝の上にイケメンがもう1匹いたな。
レオンくんも相変わらず元気そうである。
並みがより一層艶やかになった気がするなあ。
可がられてそうだ。
「運よく後癥もなく元気にしてるよ。おっちゃんの貸してくれたコイツのおでね」
傍らに置いていた『魂喰』を持ち上げる。
ほんと、コイツがいなきゃ何度死んでたかわかんないからな。
おっちゃん様様だ。
「気にすんな気にすんな。俺ァくれてやったつもりなんだからよ」
・・・國寶級のものをそんなにお手軽レンタルしないでほしい。
こんな狀況じゃなきゃ、間違いなく博館に所蔵されてるランクの刀なんだから。
「とりあえず見せてみな」
そう言われたので渡す。
「ふむ・・・」
おっちゃんは『魂喰』をけ取るなり抜刀し、刀を舐めるように見ている。
細かい傷や歪みなんかをチェックしているようだ。
「本職じゃねえから詳しいことは言えねえが・・・今の所問題はなさそうだな。それどころか渡した時よりも凄みが増してやがる・・・おめえ、何斬った?」
凄みとはなんぞや。
俺も毎日見てるけど皆目わからんぞ?
「何って言われてもね・・・こっちにいたときと同じように塵屑とか・・・ああ、手強いゾンビを斬ったかな」
ネオゾンビは本當にかった・・・コイツじゃなければ簡単にへし折れていたかもしれない。
そもそも、ゾンビ相手に刃自があまり向いていないんだ。
「・・・前に言ってた白黒ってのか?」
「いんや、その上位互換・・・かな?全が殻に包まれてて、しかもそれが瞬時にびるんだよ。って!ああ!そうだ!!」
そこまで話して思い出した。
慌てて兜割を引っ張り出す。
「おっちゃん、ごめん・・・そいつと斬り合った時にこんなんなっちゃって・・・借りなのに」
ネオゾンビの裝甲で傷付いた兜割を渡す。
真っ先に見せるべきだったな・・・うっかり忘れてた。
「コイツは・・・とんでもねえな。この兜割に使われてる鋼をこうまで刻むたあ・・・たまげたぜ」
兜割を手にしたおっちゃんは、刀部分の狀態を一目見て顔をしかめた。
「名刀って言われてる刀でもこうはいかねえぞ・・・ややっこしいのが出てきやがったなあ。こっちに來なけりゃいいけどよ」
「そこは・・・大丈夫だと思う。今の所牙島にしかいないからね・・・だけどもし出てきたら注意してくれよ?間合いが取り辛くってきついんだ」
「っは、誰に言ってるんでェ?・・・だが、わかった」
そういえばおっちゃんもクソ強爺さんチームの一員だった。
これが釈迦に説法ってやつか?
「なるほどねえ、お前さんがここへ來た理由がわかったぜ・・・武の調達だろ?」
「はい・・・借りてばっかで申し訳ないんだけど・・・」
流石年の功だ。
俺が言いそうなことはすべてお見通しと見える。
「馬鹿言え、若いもんが細かい事気にしてんじゃねえよ。俺ァハナからやる気で渡してんだからな、俺の持ちをどうしようが俺の勝手ってもんだよ」
お茶をグイっと飲み干し、おっちゃんは格好よく言い切った。
「それによ、南雲流が暴れりゃ暴れるだけ玖や他のガキ共が安全になるってもんだ。『先行投資』ってやつだよ、こりゃあな」
これが大人の余裕ってやつか・・・俺もいい歳だけどまだそんなもんは存在しないな。
頭が上がらねえよ・・・
「よっしゃ、ちょっと玖と遊んでな。今日中には・・・いや、明日までにはいいもん見繕ってやる、どうせ泊ってくんだしな」
また俺の宿泊が確定してしまった。
・・・あとで神崎さんに無線で連絡れてもらおう。
「ありがとうおっちゃん・・・あの、倉庫の整理なら俺も手伝うけど」
「あそこは俺の城だ、誰にも手出しはさせねえぞ。あと、々ヤバいもんがゴロゴロしてるからな、ボウズにゃまだ早い」
そう言って手をヒラヒラさせると、おっちゃんは倉庫へ向かって行った。
・・・ヤバいもんってなに!?
まだ妖刀とかがゴロゴロしてんのかな・・・コワイ!
「・・・くわばらくわばら」
「きゅるうぅ?ぎゃう?」
真晝間なのに寒いものをじた俺は、膝上のレオンくんを思わず抱っこする。
不思議そうな顔をしたレオンくんは、何故か楽しそうに俺の顔面にレッサーパンチを見舞うのであった。
地味に痛い!!
「畑も大きくなりましたねえ・・・っていうか庭も」
「ご近所さんには悪いけどね、ははは」
あれからレオンくんと庭に出ると、敦さんが畑仕事をしていた。
そこで初めて気が付いたんだが、なんか庭が超広くなってる。
「ここは平和だからね。お義父さんと一緒に塀を壊して庭を合させたんだ」
敦さんの言う通り、おっちゃん宅と隣接する両隣2軒の民家の庭が合している。
どうやら全部空き家だったようだ。
元々のおっちゃん宅の庭はそのままに、左右の連結された庭がそれぞれ畑と化している。
おっちゃん宅の庭は蕎麥畑で、他は・・・葉とかかな。
米とかは流石に面積が狹いので作れなかったらしい。
「田んぼは元々近所にいくらでもあるからね、今は2枚ほど使わせてもらってるよ。あれだけあれば、この家の人間なら楽々自給自足できるさ」
・・・ここの近所、マジで人いないからなあ。
元々通いで働きに出る人ばっかりだったみたいだし。
その人たちは今に至るまで帰ってこない・・・無事かなあ。
「レオンくん用の笹も、山からいくらでも取って來れるしね」
「ぎゃあう!」
笹というワードに反応したのか、レオンくんもご機嫌である。
ドッグフードをモリモリ食っているが、やっぱり笹は別格なのだろうか。
「そういえば小鳥遊さんの姿が見えないんですけど・・・」
さっきの子會にもいなかったしな。
「ああ、あの子は右隣の家の倉庫にいると思うよ?今朝一緒に獲ってきた豬を解してるんだ・・・元々あの家は猟師さんが住んでたんで、設備が充実してるんだよ」
「ワイルド系森ガール・・・!」
しばらく見ない間に隨分と逞しくなったようだ。
あのクソ義父の一件はすっかり吹っ切れたようだな・・・お母さんは目下行方不明のままだが、とりあえずは元気そうで安心した。
「とりあえず、何か手伝いますよ。が鈍っちゃって・・・」
「そうかい?うーん・・・それなら薪割りをお願いしようかな、いくらあってもいいからね、あれは」
「了解でーす」
運転ばっかりして肩が凝ったからな、ここらでほぐしておこう。
某剣闘士漫畫や某ボクシング漫畫でも描かれていたが、薪割りは背中の筋にいいのだ。
「きゃるるるぅ」
今まさにレオンくんが陣の所へ突撃していったので丁度いいしな。
俺も働こう。
縁側にいだベストを置き、ついでに長袖インナーもぐ。
持ってきた著替えの中からタンクトップに著替えておこう。
長袖インナーは便利だけど汗むっちゃかくからなあ・・・またバイク屋して新しいのを調達しておこう。
1枚は鍛治屋敷のアホにボロボロにされちまったからな。
化インナー・・・科學の力ってすげえや。
「うーし、敦さん、鉈借りますね~」
「いや、それはいいんだけど・・・あの、田中野くん、大丈夫かい・・・それ」
何やら敦さんの顔が悪いな。
大丈夫って何が・・・あ。
縁側の方へ振り向いて、ガラスに反した俺を見る。
タンクトップで隠しきれない両腕や両肩の部分に、真新しくも痛々しいい跡がいくつか。
あー・・・そっか、竜神大橋とか牙島での怪我、敦さんたちには言ってないからなあ。
もうすっかり治ってるんだけど、まだ抜糸してないから結構グロいなあ、これ。
「だ、大丈夫っすよ!いやー、牙島でこう、マグロとかカツオと格闘しましてね!がはは!!」
「キミは・・・あり得ないくらい噓が下手だねえ・・・」
敦さんは苦笑いである。
「もう治ってるんで問題ありませ・・・ん?」
背後に気配があったので振り返る。
「・・・うわっ」
そこには、縁側のガラス越しに俺を涙目でガン見するJK2人の姿が!!
・・・逃げよう、せっかく庭が広くなったので遠くまで逃げよう。
的に言えばキュウリ畑っぽい場所の影まで!!
「おにーさん!まーた!まーたそんなにいっぱい怪我してぇ!!!」
「わーん!田中野さんここへ來るたびに傷が増えてますぅう!!!!」
逃げきれなかった。
現実は非である。
「神崎さん神崎さん、おにーさん大丈夫なんですか!?」
「ウチ心配ですぅ!!」
「・・・全く大丈夫ではないわね、2人からもキツく叱ってあげて頂戴」
「神崎しゃん!?」
薪割りをしようとした俺を居間へ引っ張り込んだ由紀子ちゃんと比奈ちゃんは、神崎さんに詰め寄っていた。
いや・・・傷はもう塞がってるんだから大丈夫なんだってば。
あ?これ聞いてくれない流れだな?
うん、もう諦めてを任せるか・・・
「いちろーおじさん・・・無理しちゃダメなんだよっ!」
「ハイ・・・」
涙目の玖ちゃんには勝てないや・・・
ネオゾンビの何百倍も手強いぜ、ホントに。
「みんな、田中野さんはしばらくのんびりするのは確定事項だからね。そこだけは心配しなくてもいいわ」
「凜おねーさん!それほんと!?」
「ええ、今はお仕事がないもの」
・・・神崎さんの言う通りである。
現狀、俺にはやることがない。
なんでかって?
牙島と『レッドキャップ』の狀況が超絶不明だからだよ。
ここに來る前に古保利さんからの通信で知ったんだけど、牙島は黒ゾンビの楽園と化しているらしい。
ミサイルがなくなったので絶賛ドローンで偵察中だが、東・西・南の地區に黒ゾンビがわんさかいるとのこと。
『連中も北に引き籠ってきがないしね・・・強襲をかけるにはまだ戦力が足りないし、何より不確定要素が多すぎるんで様子見かなあ』
というのが、神楽をはじめとした各陣営の見解らしい。
『とにかく我々は龍宮・詩谷地區の防衛に注力するよ。足元を固めないと何が起こるかわかんないからね・・・ま、しばらく休んだり稽古したりしといてよ。何かあればまた連絡するからさ』
とも言われたので、俺は今の所何もする気もする予定もないのだ。
一刻も早く例のアレにカチコミかけて皆殺しにしたいのは山々だが、賭けるにはまだ不安が殘る。
適當に突っ込んで適當に死ぬわけにはいかんのだ。
「じゃあじゃあ、おじさんはおやすみなんだね!」
「ええそうよ、今まで大変だったんだもの・・・ここで休んでもらわなくちゃ。・・・休みますよね?田中野さん?」
神崎さんの目が笑っていない!コワイ!!
「ハイ!惰眠を貪ったり寢転がって映畫見たり釣りしたりドライブしたりします!!」
「ふふ、よろしい、です」
うわあ、いい笑顔!!
・・・神崎さんは俺に特級のダメ人間になってほしいのかな?
「レオンくん!おじさんとい~っぱい遊んであげてね!」
「くるるぅうう!ぎゃあう!!」
玖ちゃんは嬉しそうに抱えたレオンくんに話しかけている。
おいなんだレオンくんその『任しときな』みたいなドヤ顔はよお!?
俺はレッサーパンダ的に庇護される対象だった・・・?
「あらら、モテモテじゃない一太ぁ」
「わー、うれしいなあ」
沙姉も嬉しそうに乗っかるんじゃないの!!
「あとさあ・・・なんか一太、パツキンのチャンネーをコマして連れてきたってマジ?おねーさんそこらへんに興味あるなあ・・・?」
「神崎さん!報洩は軍法會議モノですよ!!いや違う!!事実無の風説の流布だ!!!」
ニヤニヤしながらとんでもない弾を放り込んだ沙姉に、周囲の子たちがめきたった。
「・・・沙さん、パツキンノチャンネーって・・・なんですかぁ?」
「外國語かな?連れてきたってことはか何かかなあ、比奈ちゃん」
・・・言葉が古すぎてめきたってなかった!!
玖ちゃんなんか外國語を聞いたみたいな顔してるぞ。
「これが若さか・・・」
何かにショックをけてテーブルに突っ伏す沙姉を、俺は特にかわいそうだとは思わなかった。
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