《『経験値12000倍』のチートを持つ俺が、200億年修行した結果……》15話 どうした。命の王の命令が聞けんというのか、正統なる銀河の支配者よ。

15話 どうした。命の王の命令が聞けんというのか、正統なる銀河の支配者よ。

(なんかないか? 方法。もう一個、高く飛べる方法。別に、あいつらを殺さなくても、あいつらを、もっと輝かせる方法。……てか、50億回ボーナス的なのはないのか?)

(100億回目ボーナスはあるけど、50億回目はなんもないな)

(……100億回目ボーナスを、もう今の段階でぶち込む……みたいなことはできないか?)

(できんことはないけど……正直、やめとった方がええと思うで。こっちも、々と考えた上で、プログラムを組んでんねん。ただでさえ、ハーレムモードを前倒しにしてんのに、これ以上――)

(センエース・ヴィ・ブリタ〇アが命じる。やれ)

(……)

(どうした。命の王の命令が聞けんというのか、正統なる銀河の支配者よ)

(……ちなみに言うとくと、100億回目ボーナスは『イタズラな領域外の牢獄』が常時発するっていう、鬼畜な地獄なんやけど――)

そこで、センは、食い気味に、

(センエース・ヴィ・ブリタ〇アが命じる。いったん、持ち帰らせろ)

センエースは悩んだ。

『イタズラな領域外の牢獄』のヤバさは、記憶の奧に、ちゃんと刻み込まれているから。

その地獄を背負うに至った経緯の前後が、若干曖昧になってはいるものの、ソレがどれだけしんどかったか、という點に関しては、しっかりと脳裏にやきついている。

(あれを……ずっとかぁ……)

一度、験しているから分かる。

それが、どれだけしんどい地獄か。

まったく知らなければ、『わからんけど、とりあえず、やってみる。後は野となれ山となれ』の神で、無我夢中に飛び込むことも出來るかもしれないが、経験的記憶(重度のトラウマ)があると、なかなか、そうするわけにもいかないのが人のサガ。

人は、経験値を積み重ねることで強くなる生きだが、

恐怖験の抵抗度に関しては、積み重ねた分だけ弱くなる場合もある。

「うーん……うーん……」

だいぶ悩んだ末に、

センエースは、

「……ぐぅう……くそがぁ……ぐぅううううううううううううう」

結局、『100億回目ボーナス』の前倒しをれる事にした。

盛大に奧歯をかみしめて、ハードラックとダンスする意志を示す。

センエースの異常な覚悟を前に、世界が、彼の正気を疑っている。

――『イタズラな領域外の牢獄』。

それは、『センエースの心を殺す事だけに特化した地獄』である。

誰もが心に飼っている『自分を食い破ろうとする弱さ』――それが常に暴走するようになる。

常時、この世界全が『イタズラな領域外の牢獄』として機能するようになるという、センエースからすれば、本當に、ふざけきった地獄。

「……」

『イタズラな領域外の牢獄』をれると決めてループした最初の朝。

意識を取り戻した時、センは、自室で、ゲームボ〇イ片手に、

ムーア最終の作に取り組んでいた。

「……」

センは、ゲームボ〇イを放り投げて、

ベッドにもぐりこむと、

ふとんをかぶって、ギュっと、小さくなる。

そんなセンに、

「ボーナスタイムだ。今回獲得した経験値を割り振っていけ」

勝手に現れたヨグが、そう聲をかけてきた。

センは、

「……なんの意味がある?」

と、布団をかぶって小さくなったまま、

「意味ないよ。頑張っても意味ない。やるだけ無駄だ」

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