《乙ゲームの悪役令嬢になったから、ヒロインと距離を置いて破滅フラグを回避しようと思ったら……なぜか攻略対象が私に夢中なんですけど!?》222話 事件後の平和な日常-3

「仕方がない……。こうなったら……」

私は魔法の詠唱を開始する。

結界魔法を発させて、アリシアさんの侵を阻むつもりだ。

「【絶対隔離の堅牢壁】!!」

うんうん。

我ながら、腕を上げたものね。

卒業パーティーの斷罪イベントは厄介なものだったけれど、あれを通して魔法の力量が大幅に上がった。

もはや、私を止められる者はいない。

バッドエンドも無事に回避したことだし、新學期が始まるまで私は惰眠――じゃなくて、ゆっくりと英気を養うことにしよう。

そんなことを思いつつ、私はベッドに寢転ぶ。

しかし――

パリンッ!

「へ……?」

まるでガラスが割れるような音が響いた。

次の瞬間、アリシアさんが部屋の扉を開けてってくる。

「イザベラ様! やっぱりここにいました!!」

「う……。アリシアさん、今の結界魔法をあっさりと破ってくるとは……」

「えへへ。イザベラの力になれるよう、がんばって特訓してますから!」

「……」

私は言葉を失う。

やはり、この『ドララ』世界の正ヒロインは彼だと痛した。

闇の瘴気がなくなり、迷いがなくなった彼は、凄まじい速度で長している。

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