《【書籍化・コミカライズ】誰にもされなかった醜穢令嬢が幸せになるまで〜嫁ぎ先は暴公爵と聞いていたのですが、実は優しく誠実なお方で気がつくと溺されていました〜【二章完】》第69話 雑草ディナー
その日の夜の食堂はいつもと違った空気に包まれていた。
通常、貴族の食事は専屬のシェフが作るが、本日はアメリアがシェフとなった。
以前にもアメリアは廚房を拝借して、自分で雑草を使用した夕食を作ったが、今日食べてもらう相手はこの屋敷の主であるローガン。
テーブルの上に並べられた、裏庭で採れた雑草を使った料理の數々を、ローガンが繁々と見つめている。
「見事に緑が多いな」
「雑草メインなので」
テーブルの上はまさに緑の宴。
アメリアが裏庭で手摘みした、雑草を用いた料理が並べられている。
その一つ一つがアメリアの丹込めた手作り料理であった。
季節の野菜とヨモキで作ったフレッシュなサラダ、ハコペのおひたし、それに主菜となる料理の付け合わせには鮮やかなハクサンシダが添えられている。
また、パスタにはノビーを絡めていて、ガーリックオイルと一緒にきらきらと輝いていた。
「では、いただこう」
食前の祈りを捧げてから、ローガンはまずハコペのおひたしから手をばした。
落ち著いた所作で一口食べ、その味をゆっくりと味わう。
一方アメリアの心の中では、ぐるぐると様々なが駆け巡っていた。
ローガンが普段口にする料理は、専屬シェフが腕を振るい、厳選された上質な食材から作られた一流のメニューたち。
(よくよく考えたら、公爵貴族に雑草を食べさせるなんて、々とまずいんじゃ……)
夕食を作る前は心が弾んでいたが、いざ自分の作った雑草料理がローガンの口に運ばれているのを見ると、の気がサーッと引いていく思いになる。
ハコペのおひたしを咀嚼するローガンから、アメリアは目を離さないでいた。
ローガンの顔一つで自の運命が決まるかのような覚。
ドキドキと自分の鼓が大きく響く。
一瞬一瞬がまるで永遠のようにじられ、アメリアのから心臓が飛び出してきそうだった。
「ど、どうでしょうか……?」
恐る恐る、ローガンに尋ねる。
聲は小さく、口元は強張り、目には期待と不安がりじっていて……。
「……うまい」
その言葉を聞いた途端、アメリアは喜びよりも先に安堵が舞い降りた。
「もっと苦味があると思っていたが、そうでもないな。むしろ飽きのこない味だ。特に、ダームスベリーの塩味が、ハコペの微かな甘さを引き立てていて、さっぱりとしたじがする……普段食べている料理が味が濃いものが多い分、こういった軽やかな味は新鮮だ」
ローガンの想に、アメリアの口角が持ち上がった。
肩の力も抜け、ほっと息を吐く。
「お、お口にあったようで何よりです……えへ、えへへ……」
嬉しさが抑えきれず、つい聲がれてしまった。
アメリアは今にも溶けてしまいそうな笑顔になっている。
次にローガンは、季節の野菜とヨモキで作ったサラダにフォークをばす。
「うん、味いな。ヨモキの存在をしっかりじる。このドレッシングも食べたことのない味だが、自家製か?」
「は、はい! サルガモスドレッシングと言って、主に玉ねぎやにんじんの摺り下ろしとさせたバルサソースを合わせて作った、酸味控えめなドレッシングです」
「凄いな、このドレッシングは。ヨモキはもちろん、どの野菜とも相がいい。ずっと食べていたくなる味だ」
「そ、そんなに気にりましたか……なるほど、ローガン様は酸味控えめな方が好み……」
覚え込ませるように呟くアメリア。
「豚のグリルとこの雑草も合うな。えっと、名前は……」
「ハクサンシダです。キャベツに似ていて軽やかな味なので、豚の油とよく合うかと」
「確かに、の旨みとハクサンシダの香りがお互いに引き立て合っているな。あとなんと言っても香りが良い。グリルのソースの重厚な香りと、爽やかめな香りが合わさって……なんと言うか、験したことのない料理だ」
味しそうにグリルとハクサンシダを頬張るローガンを見て、アメリアはふと思ったことを口にする。
「ローガン様、食事の想の語彙がとても富ですね……」
「そうか? あまり意識はしていなかったが……」
「まさか、ここまで詳細に説明してくださるとは思っていませんでした」
「せっかく作ってくれた料理の想を言うのは當然のことだろう?」
何を當たり前のことをとばかりにローガンは言う。
「それは、そうですが……」
こうも真っ直ぐに想を言われると、の辺りがむずくなってしまう。
アメリアの反応を、ローガンはマイナスの方向にけ取ったのか。
「すまない、くどかったか?」
「いいいえそんなことはありません! むしろ、たくさん褒めていただいて……とても嬉しく思います……」
はにかみながらアメリアが言うと、ローガンは「そうか」と小さく笑って言って食事を再開する。
それからアメリアもフォークをとってローガンと一緒に雑草ディナーを突き始める。
(……うん、味しい)
アメリアにとっては慣れ親しんだ味だが、ローガンからお墨付きを貰ったのもあってか、普段よりも味しくじられる。
「やはり、味いな……これは定期的に食べたくなる味だ」
ローガンが言うと、アメリアの心が疼く。
自分の手料理を褒めてもらったことが純粋に嬉しくて、アメリアは思わず小躍りをしたくなるような心持ちだった。
「ご希とあれば、いつでも作りますよ」
本心からの言葉だった。
実家での十數年の間に培った雑草料理のレパートリーはまだまだたくさんある。
その全てをローガンに披したいという気持ちだった。
「頼む」
「もちろんです!」
満面の笑みを浮かべ、アメリアは大きく頷くのであった。
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