《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》9話 竜庭牧場のこと 後編
竜庭牧場のこと 後編
『おい!おい!俺たちが行くまでおっ始めんじゃねえぞ!聞いてんのか!?』
床に転がった無線機から、いかにも下品な聲が聞こえてくる。
うーん、聲を聞くだけで屑だってわかるな。
元々そんなにないけど、これを聞くだけで罪悪が消滅していく気がする。
「行くか」
七塚原先輩はそんな聲を聞き流しつつ、奴らがやって來るのとは逆の方向の窓を開けた。
「了解でーす。神崎さん、お願いしますね」
カーテンの端でライフルを構える神崎さんを振り返る。
「はい!銃持ちは1斉で全員片付けますからご安心を!」
「有難いです、頼みましたよ相棒!」
「は、はいっ!」
嬉しそうに答えるその聲に背を向け、先輩を追って窓から出・・・ようとして、床の無線機を拾い上げた。
相も変わらず下卑た聲ががなり立てるそれを、ここに置いたままにしておくのは神崎さんに悪い。
『おーい!聞いてんのかって!?・・・おいおいおい夢中かよ!今度のは隨分合がよさそうじゃねえかよ!すぐに壊すんじゃねえぞ!!』
・・・こんな妄言、妙齢のに聞かせるのは忍びないからな。
「(・・・そういう所は気が回るんにのう。全く手のかかる奴じゃあ)」
「え?なんです?」
「なんでもなあ。急ぐで」
窓を乗り越える先輩が何か言ったが、獨り言のようだ。
先輩は馬大好きだからな・・・ここで何が起こったか一刻も早く確認したいんだろう。
アレだけヤクザが幅を利かせてるんだからな・・・元の住人は果たして殘っているのかどうか。
『おいタケオ!ヨージ!!サキタのおっさんに言っとけよ!張り切り過ぎて腰いわすなってな!!ぎゃははははは!!!』
殘念ながら、サキタのオッサン(推定)は腰どころか頸椎をいわして二度とけそうにないよ。
そんなことを考えながら、先輩に続いて窓から出る。
そしてそのまま、プレハブの壁に背中を預けて待機。
さて、あとは神崎さん次第だ。
「なんともまあ、ぶち殺しても心が痛まないタイプの屑ですね」
「中途半端な悪黨よりもよほど楽じゃろうが」
「ですねー」
先輩と無駄話をしつつも、気持ちを切り替える。
牙島出からこっち、休んでばかりでいささか鈍っているかもしれんしな。
ここらへんでまともになっておこおう。
・・・いや、次から次へと殺して殺しての毎日の方がまともじゃないか。
『コータ!お前に一番乗りさせてやるよ!』
『ええー俺嫌ッスよ!サキタのおっさんと兄弟になるの!!』
『贅沢言ってんじゃねえよ!だけどよお、この前のはすぐに死んじまったから長持ちするように使わねえとな!!』
ぎし、という音は隣の先輩が歯を噛み締めた音だ。
先程かられていた殺気が、より濃さを増す。
「・・・々悅にっとれや。おどれらはどの道、皆殺しじゃけえ」
今発言した奴が先輩に當たった場合、出來損ないのハンバーグになるだろうな。
別に同しないけど。
俺に當たったら、出來損ないの刺になるだけだしな。
それに、俺もはらわたが現在進行形で煮えくり返っている。
ここでも遊び半分に殺された人間がいた。
「―――覚悟しろよ。今度は俺たちが・・・鼻歌じりにてめえらをぶち殺してやる」
―――りぃん
いつもの幻聴じゃない幻聴も聞こえる。
どうやらこっちの相棒も、奴らは気にらんらしい。
気が合うね、俺もだよ。
『ジエータイの、やっちまうの初めてだよな!ゴリラみてえじゃねえといいけどよ!!』
心配しなくても神崎さんは超絶大人だよ。
もっとも、お前らが目にすることはたぶんないと思うけど。
・・・っていうかいつまで無線のスイッチれてんだこいつら。
ひょっとしてオンオフもわからないミジンコ脳味噌の持ち主なのかな?
『ぎゃはは、鍛えてるだろうからさぞ締まりも―――』
連続した銃聲と、ガラスの割れる音が同時に響く。
それを最後に、耳障りな音聲は途切れた。
その後もタタタ、タタタと指切り連の銃聲。
「―――排除完了!!」
窓から聞こえた神崎さんの聲に、俺と先輩は同時にプレハブの影から飛び出した。
「もしもし、今日がお前らの命日だ。とっとと仏しな」
もう聞こえているがわからんが、無線機に口を寄せてそう呟き地面に放り捨てる。
峰を肩に乗せ、両手で柄を握るいつもの構えのまま、足に力を込めた。
「南雲流、田中野一朗太」「南雲流、七塚原無我」
示し合わせたように、先輩と聲が重なる。
「「參る!!」」
前方でパニックを起こしかけている集団に突っ込みながら、俺達はいつものように名乗った。
「初手、もらうで!」
ぐん、と先輩の巨が加速。
俺よりし前に出る。
・・・と思ったらあっという間に距離が離れる。
相変わらずデタラメな加速力だ。
「どうぞ!」
その後ろで走りながらび返す。
神崎さんの銃撃によって、奴らは右往左往している。
まさか先制攻撃を喰らうなんて想像もしていなかったらしい。
銃を持ったまま地面に倒れた人影は、8つ。
さすが神崎さん、撃ちらしナシ、か。
「っふ!!」
前を行く先輩が片手を振ると、直線上にいる30代くらいの男がびくりときを止める。
その顔面には、先輩お手製のクソデカ十字手裏剣が半分以上めり込んでいた。
相変わらずすげえ威力・・・鉄板投げてるようなもんだな。
先輩と敵集団の距離は瞬く間に詰まっている。
見慣れない武を持つ先輩に、相手方は面食らっていたようだが・・・ここまで來てようやく危険に気付いたようだ。
手裏剣で即死した男を顧みることもなく、各々が持つ武を構えようとしている。
っは、遅いっての。
「て、てんめえ!どこのモン―――」
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
先頭に立つ男が、斧を振り上げながら何かをぼうとした。
だがそれは、走る先輩の雄たけびにかき消される。
その迫力に男が一瞬を固くした。
その一瞬で十分だった。
「ちぇりああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!」
走る勢いを余すことなく乗せた八尺棒の橫薙ぎ。
それが、斧を振り上げたままのがら空きのに直撃した。
「ぇあっ?」
間抜けな悲鳴を殘し、男はの半分をめきめきと潰されながら重力を無視して橫方向に吹き飛ぶ。
冗談みたいな量の吐が空中にぶちまけられた。
間違いなく重要臓が破裂したな、アレ。
たぶんショック死してる。
「じゃっ!!!!」
先頭の男を吹き飛ばした八尺棒が、橫薙ぎの軌道のままさらに加速。
先輩はその勢いを殺すことなく、踏み込みながら一回転。
「っへ!?ひ・・・ひぃぎ!?」
仲間が吹き飛んだ様子を見ていた男に向かって、回転運と慣によってさらに殺傷力を得た八尺棒が迫る。
その男は手に持った鉄パイプを必死になってと八尺棒の間まで移させた。
なかなか早い反だな、無意味だけど。
「ぬぅううううあっ!!」「ぁぎっ?」
ただの鉄パイプでは、加速した八尺棒に対して何の防にもならなかった。
一瞬も拮抗することなく鉄パイプはひん曲がり、男の上腕部までをもへし曲げながら肩に到達。
臼と呼ぶのも馬鹿々々しいほどの損傷を與えながら男を吹き飛ばした。
「っんの野郎ぅ・・・がぁああ!!!」
八尺棒を薙いだことで、若干先輩のが開いている。
仲間2匹の犠牲の上でそのことを理解した男が、ドスを括りつけた槍を突き出す。
八尺棒を引き戻す時間より、槍の先端が先輩のに到達する方が早いだろう。
『引き戻す』ならば。
「があっ!!!」
先輩は八尺棒を片手で保持。
空いた手の裏拳で、けら首を毆りつけた。
毆られた勢いで、槍の移が僅かにズレる。
を貫く軌道から槍が逸れた僅かな時間で、先輩は回転しながら膝を折った。
「っひぃ!?」
全力で槍を突き出した格好になる男は、きが取れない。
絶的な顔のまま、沈んでいく先輩を目で追っている。
「オオオオオオオオオッ!!!!!!」
足で地面を削りながら、3度の旋回で加速した八尺棒が唸る。
「っし!!!」「ぎゃあっあぁあ!?」
暴風を纏った八尺棒が、男の膝を食いちぎるような勢いで激突。
悲鳴を上げながら、男のがボウリングのピンよろしく空中で橫に半回転。
「おおうりゃあっ!!!!!!!」「げぅ!?」
八尺棒の回転運によって大地から離れた先輩の片足が、空中の男の鳩尾付近に叩き込まれた。
鉄板り安全ブーツの破壊力が、臓に直撃する。
の混じった反吐を吐き出し、男は空中で失神したまま吹き飛ぶ。
2度、3度と地面をバウンドし、弛緩したはきを止めた。
弱々しい痙攣だけが、まだ生命活が続いていることを教えてくれる。
「先輩!肩借りますッ!!」
「応ッ!!」
神崎さんが初手で3人を撃ち、先輩が3人をスクラップにした。
殘りの4人は蒼白な顔で武を持ち、お互いにけん制し合って前に出てこない。
後ろの20人・・・そっちも神崎さんが5人を仏させたので殘りは15人か・・・まあとにかく、俺はそっちに行く。
合流されると面倒だしな。
殘る4人を睨む先輩に追いつき、地面を踏み切る。
でっかい腰と肩を足場にし、俺は4人の頭上を越えて跳んだ。
眼下の男たちはこちらを見ようとして、前方の先輩の脅威に気付いてそのきを止めている。
しばしの浮遊の中、俺は何事もなく著地。
再び峰を肩に乗せた姿勢で、後方の集団に向かって走り出した。
・・・さあ、やろうか。
「構えろ!ビビってんじゃねえ!囲んで毆り殺しゃいいんどぅぱ!?」
後方の集団を指揮してるっぽい立場の男が、俺に対応しようと配下に檄を飛ばしている最中に右目を撃ち抜かれた。
神崎さんの狙撃だ。
俺が接近する前に1人でも多く數を減らしてくれるらしい。
ありがたい・・・大天使カンザキエル!
「っひ、拾え、じゅう、銃を拾っ!?」
おっと、また1人。
地面に落ちたライフルに手をばした男が首のど真ん中を撃たれた。
ひゅうひゅうと息をらしながら、地面に倒れてのたうち回るのが見える。
・・・神崎さん、ワザとか。
銃が落ちている地面を転げ回させることで、他の連中が拾うことを困難にしてくれたんだな。
俺が、あそこへたどり著くまで。
「・・・ますます神崎さんに足を向けて寢れなくなっちまうよな、『魂喰』よぉ!!」
思わず苦笑いしながらも、足はかす。
男達の浮かべた焦りの表もよく見えるようになってきた。
やっぱりは顔に出るようで、どいつもこいつも人相が悪いし不細工だなあ。
銃を拾えずに右往左往する連中の中から、また1人が顔をのけぞらせて倒れ込んだ。
たぶん、今度は眉間を撃たれたな。
「がああっ!!畜生!畜生畜生チックショオオオオオオッ!!!!!」
やけっぱちになったのか、1人の男が伐採用っぽい小ぶりな斧を持ってこっちに走り出した。
俺の背中で線を塞ぐあたり、多は気が回るらしい。
至近距離の方が撃たれないと思っているようだ。
だが、撃たれないから・・・どうする?どうだってんだ?
「ふぅうう・・・!!!」
息を吐きながら、頭を冷やす。
冷靜に男の走りを見極め、最適な攻撃を探る。
先輩の八尺棒は、威力だけじゃなく見た目も大迫力だ。
だから、ただぶん回しているだけで他の連中への牽制になる。
対して俺の刀は、威力は十分だが見た目のインパクトは薄い。
腰に刺さっている脇差の大本・・・6尺超えのクソデカ斬馬刀なら別だけど。
「っじ!じねえええええええええええええっ!!」
だから俺は、今まさにこっちへ走ってくるこの男をインパクト抜群な方法で葬らねばならない。
それによって後方の一団にショックを與え、冷靜さを失わせる必要がある。
パニックを起こした頭では、効果的な攻撃も仲間との連攜もろくにできないからだ。
「ああああ!!ああああああああああああっ!!!!」
もうすぐ間合いにる。
男は両手で握って斧を、大上段に振り上げた。
「っしぃいい・・・!」
噛み締めた歯の隙間から呼気をらす。
口の周りだけ溫度が上がったようにじるのは、錯覚だろうか。
俺のエンジンも暖気は十分、ってわけだな!
間合いにった。
それと同時に大地を蹴り付け、一気に俺の出せる最高速へ。
男は急に加速した俺に対応できず、振り下ろす作を一瞬中斷した。
走った勢いを攻撃に乗せられなければ、今までの行は全て無駄になる。
「おおおおおおっ!!!!」「ぃひ!?」
右足を前に思い切り踏み込み、それと連して肩に乗せた『魂喰』が出される。
男は、振り下ろそうとしていた斧を慌てて止めた。
―――びゅおう
雄々しい風鳴りを奏でながら、『魂喰』が空気を斬り裂く。
斬っても誰も困らない、正真正銘の塵屑どもだ。
存分に喰い散らかせ、相棒。
「ひゃぁ、あっ!?」
加速と移によって絶大な破壊力を有した『魂喰』の刃が、男が防に使用した斧に食い込む。
そしてそのまま、藁束でも斬るように若干の手応えだけを殘し―――切斷した。
「ぁびゃ!?」
一切速度を緩めることのない刃は、そのまま男の頬骨の辺りに喰らい付く。
「が、あああああああああああああああっ!!!!」
俺の気合が後押しでもしたように、刃は男の頬、口、顎を躙し―――
「おおおおっ!!!!!」
首を斜めに斬り裂きながら鎖骨を切斷。
肋骨をも縦に切斷しながら、肺の途中で止まった。
俺は見えないが、男の後ろから見れば1尺ほど刀が突き出たのが見えるだろう。
「ぁ・・・あ、ぃ」
男が不明瞭な聲を殘し、絶命する。
ほぼ同時に、切斷面から前後に向けて噴水のように出。
それはびしゃびしゃと俺のに噴き付け、『魂喰』までも深紅に染めていく。
・・・ヘルメット、付けてて良かったあ。
「は・・・?へ・・・?」
「アリモト・・・おい、おい」
「ば、ばけ、ばけもん・・・」
さっきまで俺に対してやる気満々だった後方の一団は、揃って腰が引けている。
1人の若い男なんか、の薄いズボンを履いてるから失したのが丸わかりだ。
死んだ男・・・アリモトのが、どしゃりと膝を付く。
その影から出てきた俺は、全返りまみれのとんでもない狀態だろう。
目に見えて奴らがより強く狼狽するのがわかった。
「さて」
死から『魂喰』を引き抜き、死を蹴って仰向けに倒す。
「次は」
豪快に振りしつつ、死をまたぐ。
「どいつだぁあ!!!!!!」
またぎ終わった瞬間に、ノーモーションでびつつ走り出した。
「あひ!!」「やっめ!やめえええ!!!」「おまっ馬鹿とまれ!逃げんな!!!」
集団の最も奧にいた男たちが一斉に踵を返す。
何人かが必死に止めているが、奴らは後ろも見ずに全力疾走だ。
ここからでは追いつけない。
追いつけない、が。
「ぎゃ!?」「ああっ!?」「っぎぃい!?」「いっで!いでえええっ!?」
神崎さんの狙撃によって、逃げた4人全員足を撃ち抜かれて倒れ込む。
よりによって太を撃ち抜かれたな・・・失死待ったなし!!
これで、奴らもほとほと理解したはずだ。
逃げれば神崎さんの銃撃で殺されると。
生き殘るためには前に出て、俺と至近距離になるしかないと。
「殘りは・・・8人!いや8匹!!」
走りながらあえて口に出し、奴らを煽る。
「っふ、ふざけんじゃ―――!」
一番近い男の間合いに、った!
持ち手の部分を握りやすく改造したらしい金屬バットを持っている。
顔を真っ赤にさせて、俺目がけて橫薙ぎに振ろうとした勢だ。
この男、若干立ち直りが早い・・・なら、ここで殺しておく!!
「っし!!」
振りで飛びきらなかった返りが付著したままの『魂喰』を、左手のみで保持。
そのまま、さらに踏み込む。
「っこの!!」
唸る金屬バットの殺傷圏、その側に飛び込みつつ右手で脇差を抜刀。
金屬バットの元近くを右肩でけ止めながら、中段の軌道で片手居合を放った。
「がぎゃあぁ!?あぎいぃい!?」
重く鋭く頑丈な脇差が、男の腹を橫一文字に引き裂いた。
腹圧で飛び出る腸を視界の隅で確認しながら、肩からの當たりで男を後方へ吹き飛ばす。
無力化完了!
たとえ〇ラックジャック先生がこの場にいたって助からない傷だ!
々苦しんで死ね!!
「殘りは!!7匹ィ!!!」
降り抜いた脇差を手ので旋回させ、逆手持ちへ。
すかさず手元へ引き戻しながら、手を離す。
斜め前方へ回転しながら飛ぶその柄を、ボレーシュートめいた軌道で蹴り抜く。
南雲流剣、奧伝ノ一『飛燕』
急加速した脇差は、空中を駆け抜けて銀を纏った。
そして―――
「あああ!?ぐぅうう!?」
前方で目くばせし合って同時に俺に當たろうとしていた3人のうち、真ん中にいる男の鳩尾に音を立てて突き刺さった。
鍔元まで、に埋まっている。
さすが元は斬馬刀・・・重さのせいで威力がダンチだ!
「っひ!?」「なにっ!?」
仲間が見慣れない攻撃で負傷し、殘り2人はその方向を見た。
見てしまった。
「これで―――」
その隙に左の男に向けてダッシュ。
そいつが俺の接近に気付いた時には、もう遅かった。
「殘り、6匹ぃい!!!」
走りつつ右手に持ち替えた『魂喰』を、踏み込みながら逆袈裟の勢で斬り上げる。
僅かに遠く、間合いの外から。
降り抜く瞬間に、右手をらせて。
「ぎゃんっ!?」
柄までった指が、そこを保持。
ほんの1寸としだけびた斬撃が、男の目の下から額までを斬り裂いた。
南雲流剣、『寸違(すんたがえ)』
これだけの斬り込みでも人は死ぬのだ。
顔面から鮮を迸らせて崩れる男を無視し、殘った1人へ跳ぶ。
跳びながら、右側に巻き込むように旋回。
振りと加速の両方の効果を得た刀が、鋭く唸る。
「や、やめっ―――」
旋回した切っ先が、命乞いらしきものを口にしたその男の脇腹を斬り裂いた。
ろくな防刃効果もなさそうな厚手のシャツが、吹き出る鮮で染まる。
南雲流剣、『片喰(かたばみ)』
「さぁて、これで殘りはご―――」
呆けたような後続に向け、息を整えつつ余裕ぶって発言しようとしたその時。
「あっ」「ゆっ」「べっ」
棒立ちになっていた間抜け面が、3人まとめて軽やかに撃ち抜かれた。
全員、どちらかの目を綺麗に撃ち抜かれている。
ああ・・・撃っても問題ない距離だからやってくれたんですね神崎さん。
アリガトウゴザイマス。
「・・・の、殘りはに―――」
気を取り直して言い直しかけた瞬間、今度は背後から大き目の過音。
「ぎゃっ!?」「ゆんっ!?」
俺の左右から互に放たれたクソデカ十字手裏剣が、殘った2人の顔に命中。
顔の中心に半分以上めり込んだ。
埋まった深さからして、どう見ても即死だろう。
「・・・あー・・・」
戦意が霧散する。
何を言うべきか梯子を外されたまま、俺は背後を振り返った。
「お見事です!お見事です田中野さんっ!!」
そこにはライフルを抱えて嬉しそうに走ってくる神崎さんと。
「すまんのう、手裏剣が余っとったけえ」
微塵もすまなさそうな七塚原先輩の姿が!!
「・・・いやあ、楽ができてよかったですよお」
俺は、とりあえず空気を読んでそう答えるのだった。
そう、答えるしかなかったのだった。
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