《化けになろうオンライン~暴食吸姫の食レポ日記~》ひゃはー!

悪魔の生息圏、そんなところを暢気に散歩するかのように歩いていた私達。

それでも向こうが襲ってこなかったのは私が威嚇していたからだろう。

だが世の中には跳ね返りというのもいるのだ。

例えばそう。

「人間風が生意気だなぁ」

こんな風に突っかかってくる奴とかね。

「あら、喋るゴリラとは珍しい。捕まえて持って帰ったらサーカスの見世にできるかしら」

見た目は羽の生えたゴリラ+マントヒヒ。

こう、顔はマントヒヒのカラフルなじで、はゴリラなのよ。

どっちもそんなに味しくはないけど、脳みそは絶品だった覚えがある。

「あぁ? なんだ? ゴリラって」

「あなたみたいな筋ばっかりでむくじゃらのお猿さん。でもあっちは森の賢者って言われるくらい賢くて優しいのに……ただのけだものかぁ」

「調子に乗ってるなお前ぇ。ここで食い散らかしてやろうかぁ」

「お生憎様、私は食べるほうが得意なの。だからどうしてもというなら助けてあげるけど、一発でも攻撃してきたら私のおやつにするわ」

「ぶっ殺ぉす」

振り上げられた拳を避けず、そのまま顔面でけ止める。

そして間髪れずに咀嚼。

「うおっ」

「あ、逃げるなおやつ!」

手を引っ込めたので追いかけて、あごの骨を外してから手首より先を食いちぎった。

シャクッという果を齧ったような音と共に口にあふれ出るのは濃厚なスープのような味わい。

まるで悪意を煮詰めたかのような苦みと辛みがり混じり、その奧には酸味が待ちけている。

……あまり味しくはないけれど、地の代わりにスープでも流れているのかと思えば垂れているのは紫

あれがの代わり?

だとしても味からして一切鉄分をじなかったんだけど……まぁいいか、化けの生ほど考えるだけ無意味なものもないし。

「味はそこそこ、でも味しいわけじゃないのよねぇ」

「貴様ぁ」

「じゃ、テンポあげるわよ」

し力を込めて地面を踏みしめ、そしてシャクシャクシャクシャクと相手のを食いちぎり続ける。

両腕は肩から先を食った。

両足は太ももから下を食った。

腹を食い破り臓を堪能して、最後に首から飛び出しておやつは一時中斷となった。

前方から撃をけたからだ。

「ちょっ」

悪魔のを盾にアリヤを守りつつ、ついでにを毟りながら食べているとそれは唐突に終わった。

「どちら様かしら」

「傲慢の大罪、子爵級悪魔のメルエナでございます。覚える必要はありません、ここで死にゆく者へのせめてもの禮儀として名乗ったまでなので」

「ふぅん、私は伊皿木剎那、こっちはアリヤ、同じく覚える必要はないわよ。死ぬ相手に名乗るのは禮儀なんでしょ?」

「ははは、言ってくれますね人間風。英雄にもなれなかった者が囀るには々大言すぎるかと」

「いやいや、子爵程度でこっちを殺すとかそれこそ片腹大激痛よ。で、ほかにお仲間は? あなた如きじゃ五分ももたないけど」

「ふふっ、よく回る口ですね。 仲間など不要、手下もいらぬ、それが我々傲慢の悪魔ですよ」

「あぁ、油斷して負ける奴の発想ね。ご愁傷様、そしてさようなら」

聲の方向に向かってずっとしゃべり続けていたが、相手の顔も見えなきゃ話していてもつまらない。

ゴリラを押しのけて聲の方角へ跳躍してみれば漂白されたように白い、悪魔と呼ぶには神々しいまでの姿に蝙蝠のような羽、アンバランスな見た目だが目がない。

大きく裂けたような口があるだけで両手も関節が複數あるかのようで蛇のようなきをしている。

嫌悪と崇拝の二つが同時に合わさり、妙に食が失せる見た目している。

まぁ食べるけど。

「愚かな」

びてきた手が首元にあたる。

同時に噛みつかれたとじたのは昔マムシに噛まれた時と同じような痛みが走ったからか?

だがそれがいけなかった。

「ぐおっぐううううううう!」

「いきなり既婚者の首にキスマークつけるのはどうかと思うわよ?」

「なにをした!」

「なにも? ただ昔から強いでね、同じように蛇に噛まれたことあったけど三日三晩苦しみ抜いて蛇が死んだわ。あなたもそうなるのかしら」

「くそがあああああああ!」

噛みついた方の腕をちぎって投げてきたので摑んでうどんのように啜って食べる。

ふむ、見た通り蛇に近い味と食

小骨が気になるけど、嚙み砕けばいいか。

「で、次は?」

「我が最終魔法、壽命を対価に全てを燃やし盡くすこの一撃をけよ!」

「いいわよ、來なさい!」

「はぁあああああ! 喰らえ! 灼熱拷炎!」

「いただきます」

飛んできた炎を口をあけて待ち構える。

一瞬れ、ピリッとした熱さをじたけれど夏場黒い車のボンネットにった時と同じ覚。

そのまま炎を全てのみ込んだ。

「ケプッ、んー、寒い日にはいいかもしれないけどこう蒸し暑い日に食べたいものじゃないわね」

「馬鹿な……全てを焼き盡くす劫火だぞ!」

「あの程度の炎、毎日料理に使ってるわよ」

もうこれ以上もないみたいなので子爵級のを丸呑みにしようと顎を外した。

そして取ったと思った瞬間だった。

奴の姿が消えたのだ。

「今日はこのくらいにしておいてあげましょう。次はその命、無い者と思いなさい」

「わー、見事な負け犬の遠吠え……あ、ゴリラ食べよ」

ずっと唖然としていたアリヤを正気に戻したところで二人で囲んでゴリラパーティとなった。

まぁ、アリヤは食べたくないという事だったので攜帯食料を渡して、一人で楽しんだけどね。

あ、目玉焼き味しい!

コロナ治った!

嗅覚異常発生、煙草の匂いが全てガス臭い!

……まぁいいか、元からガソリン臭いの煙してるし。

來週はルビコンから更新させていただきます。

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