フィローラ皇の使いから、ティツィはし遅れるとの事で、教會のり口で待つようにとの伝言をけて指示通り待っていた。

挙式予定時刻を半刻ほどすぎ、來賓客も何かあったのかとざわめき始めるも、気にすることなくぼんやりと空を見上げる。

今度こそ。

きちんと。

完璧に。

何事も無く。

――彼の笑顔で晴れの日を。

そう思っていたのに。

あの日、守れなかった自分に歯さしかない。

今回、遅くなると連絡はけたものの、刻一刻と過ぎる時間に、『また』があったら……と、いう考えが脳裏をどうしても過ってしまう。

見上げた空は雲ひとつないほど晴れ渡っているのに、心の中は、ドロドロとした暗いものが渦巻いていた。

「……いい天気だな」

その時、視界に何か黒いものが映るも、太の眩しさで見間違いかと目を細める。

「レオン！」

その澄み切った上空から聞こえたのはティツィの聲。

視線を凝らしたその先にいたのは……。

「シルヴィア⁉︎」

自分の馬の嗎と共にふわりとシルヴィアの背からティツィが飛び降りてきた。

「レオン！」

「ティツィ！」

ふわりとしたレースや、幾重にも重なったスカートが羽のように広がり、笑顔でに飛び込んでくるティツィはまるで天使、いや神のようだった。

「遅れてごめんなさい」

「ティツィ……。綺麗だ」

腕の中に閉じ込めた彼の香りをいっぱいに吸うと、「ありがとうございます」と、ティツィが小さく言う。

腕の中のティツィと目が合うと、照れくさそうに微笑んだ彼に、先程までの暗い気持ちは霧散した。

「やっとだな」

「やっとですね」

へへ、と抱きしめ返してくるティツィのらしい額にキスを落とす。

「一生君をし、守り、この命が盡きてもなお。僕の全てを君に捧ぐことを誓うよ」

彼のらかな頬を確かめるようにれ、そのまま彼のにしれる程度のキスを落とす。

「レオン。……私も貴方をして、どんな時も貴方を信じると誓うわ」

微笑みながら彼も自分のそれに羽のようなキスを返した。

「それから……これをけ取ってもらえると嬉しいんだけど……」

そう言って彼が恥ずかしそうに差し出したビロードの箱と、ティツィを互に見る。

「なんだ？」

「あ、開けて見て下さい……」

茹で上がったタコのように真っ赤になりながら、ティツィが視線を逸らした……。

手のひらサイズの箱を開けた中には金の獅子の指。

「これは…」

獅子の心臓に一つの星を抱いている。それは、レグルス家の象徴。

キラキラと輝くその星はティツィの瞳と同じチョコレートの魔石だ。

「昨日の……狩猟大會で仕留めたサンダーバードの魔石です。リタがこの魔石が一番私の目のに近いって……」

モゴモゴと話す彼があまりに可くて、彼を抱きしめた。

「いつから用意してくれていたんだ？」

「その、指は前回ベイリーツ寶飾店に行った時に注文していたんです。あとは魔石をはめるだけにしてもらえるように。なので、朝急いでルーイさんに加工してもらったので、遅れてしまいました」

そう言って顔は逸らしたまま、視線だけをこちらにチラリとやる。

だめだ！　可いが暴走している！

「ティ……」

「レオンも、私だけですからね」

耳まで真っ赤にしながらティツィが私の指にその獅子の指をはめた。

「……永遠にレオンだけを守り、全てを貴方に捧げます」

「私の心も、命も、全て君のものだよ」

そう言って彼のに自分のそれを重ねた。

「ゴホンっ‼︎」

真橫から突然聞こえた神父の大きな咳払いに、ティツィも私もはたと固まる。

「レグルス公爵様、サルヴィリオ伯爵令嬢様。私の見せ場を持っていくのは待っていただけますか？」

額に青筋を立てた齢六十の神父に、「「も、申し訳ありません」」と二人で謝罪を口にした。

この日執り行われた結婚式は、貴族の令嬢達の理想の結婚式と言われた。

フィローラ皇から友好の証として送られたドレスは誰もが結婚式で著たいドレスと憧れの的となり、エリデンブルクのみならず、

參加していた各國でも発的に流行して世界中からされるドレスとなった。

また、翼馬から飛び降りたティツィアーノ嬢は天の使いのようだと言われ、なぜかし高いところから花嫁をけ止めるという挙式の催しが増えた。

そのせいで貴族の子息達はを鍛えることを余儀なくされたという。

もうし続きますので、お付き合い頂ければ幸いです☆