《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》13話 拡張される高柳運送のこと

拡張される高柳運送のこと

「わふ」

「んおぉ・・・おはよう、サクラ」

「きゅん!」

サクラに頬を舐められて目を覚ます。

いかん、起こされてしまうとはな・・・昨日し頑張り過ぎたか。

なんたって久々に大暴れしたからなあ。

主に先輩が、だけど。

俺の仕事あんまなかったもん。

だだ、昨日はあれから荷を搬したり整理したりで結構疲れた。

ぐっすり寢てしまうのも仕方ない。

「くぅん、はふ」

「あ、サクラ。そっちは放っておいてやってくれ、死ぬほど疲れてる」

ソファの上にこんもりある布の山に行こうとしたサクラを、抱っこして阻止。

そこには大木くんがいる。

昨日はどう見ても自分の家まで帰れなさそうだったので、無理やり風呂に叩き込んで強制的に泊まらせたのだ。

「・・・だめだぁ、もっと、もっとしい、馬房をぉ・・・お、オオオ・・・」

「わふ!?」

どうやら夢の中でも馬たちの生活環境を整えているようで、布の中から苦し気な寢言が聞こえてくる。

地の底から響くようなそれに、サクラは怯えている。

大木くん、昨日は八面六臂の大活躍だったらしいからな・・・俺が戻った時はミイラみたいになってたし。

「サクラ、大木のにいちゃんは昨日むっちゃ頑張ったんだから晝まででも夜まででも寢かせてやろうな」

「わふ」

夜まではさすがに寢すぎで調を崩しそうだから、晝くらいに様子を見に來るけども。

それまではこのまま放置しておこう。

・・・しかし、この季節に布まみれになってるから暑いんじゃないのか?

まあ、苦しかったら自分でなんとかするか。

子供じゃないんだし。

というわけで、俺はサクラと一緒にいつもより若干遅く起きた。

「オハヨ!」

「グッモーニン!」

部屋から出ると、ちょうど向かいの會議室からキャシディさんが出てくるところだった。

「『服、著ましょうね』」

「アーン!?」

とんでもなくセクシーな下著姿だったので、なるべくを見ないようにしながら部屋に押し込んでおく。

子供の教育にすこぶる悪影響でござる。

現在、駐留軍の2人は會議室で寢てもらっている。

それにアニーさんもだ。

2階には社長室、資料室、そして會議室がある。

俺は資料室で寢泊まりし、社長室は貴重品の保管に使用している。

會議室はみんなで映畫なんかを見る時にも使っているから、まだ余裕はある。

これ以上人員が増える心配はたぶんないので、大丈夫だろう。

・・・大丈夫だよな?

子供たちは1階の休憩室で雑魚寢の狀況なので、俺が資料室か社長室を解放しようかと言ったんだが・・・みんな一緒に寢るのが楽しいとのことなので現狀はこのままである。

だけはいつの間にか先輩が最高のものを調達してきたみたいなので、睡眠の質は抜群だろうが。

ちなみに七塚原夫婦は子供たちと一緒に寢ている。

璃子ちゃんたちもそうだ。

ねえちゃんと朝霞は、オフィス部分に仕切と寢を運んでそこで寢ている。

が、朝霞は週に4日は俺のベッドに突撃してくる。

・・・最近、そこにアニーさんとかも追加されるんで朝から心臓に悪い。

後藤倫パイセンは1人が落ち著くらしいので、だいたい倉庫でソラと一緒に寢ている。

凄く高級な寢袋がお気にりらしく、いつの間にか1人でアウトドア用品を探しに行っているらしい。

そのうち駐車場でテント泊とかしても驚かんぞ、俺は。

あ、神崎さんはオフィス部分で寢泊まりしている。

社長室を提供すると何度言っても斷られるのだ。

うーん、常住戦陣ってやつなのかしら。

社長室は暫定的に客間のような扱いになっているので、今は式部さんが寢ているはずだ。

「オッハヨ!!」

「むめめ」

そんなことを考えていたら、キャシディさんが部屋から出て來てタックル・・・抱き著いてきた。

あの、朝の『挨拶』はやめてください!朝霞が真似するんで!!

「キャシーおねえちゃん、おはよ~」

「ハーイ!グッモーニン、アーオイー♪」

「きゃー♪」

騒がしさで気付いたのか、階段をあがってきた葵ちゃん。

そのかわいい挨拶を目にするなり、キャシディさんは彼を抱き上げてチュッチュと挨拶。

葵ちゃんも嬉しそうだ。

『キャシディ』という名前は子供たちにはちょっと呼びにくかったようで、気付いたらキャシーおねえちゃんになっていた。

俺がイチロータからイチローになったようなもんだろう。

「腹減ったなあ葵ちゃん、今日の朝飯はなんだろな?」

「おみそしるとごはん!私も手伝った、よー?」

キャシディさんに抱っこされたまま、葵ちゃんが手を上げる。

「そいつは朝から豪勢だなあ」

味噌と白飯、このゾンビ騒の渦中でなんと贅沢なことか。

野菜もそろそろ育ってきたし、高柳運送がどんどん有能避難所になってくるな・・・

それはいいことだけど、マジで防衛のこと考えとかないと狙われまくりそうだ。

いや、攻めてきたところで全員返り討ちにできるんだけども。

目をつけられるだけで面倒臭いもん。

あ、そういえばエマさんの姿が見えんな。

「『キャシディさん、エマさんは?』」

「ウマ!オセワ!ハヤオキ!!」

なるほどねえ。

さすが、牧場の娘さんだ。

とりあえず朝飯食って様子を見に行くか。

「グッモーニン!イチロー!」

「グッモーニン、エマさん」

「ブルル!」「ひひん」

「はいはい、お前らもおはよう」

ねえちゃん特製の朝飯を食った後、倉庫を改造した馬房までやってきた。

そこには、きやすい格好で馬たちの世話をするエマさんがいた。

もこもこに敷き詰められたおが屑の上で、ブラッシングをしている。

今はヴィルヴァルゲの方で、放っておかれた仔馬がじゃれつくのを笑顔でいなしている。

慣れてるなあ・・・

「ひん!」「わふ!わん!」「バウ!」

俺と一緒にいたサクラ。

そして俺たちを追って社屋から出てきたなーちゃん。

その2匹を見た仔馬は、すぐに柵の近くまで走ってきた。

遊びたいのかな?

仲良くなったもんだなあ。

「『出してもいいですか?』」

「オッケー!ゴハン、タベタ!」

エマさんの許可も出たので、門を開けてやる。

仔馬は嬉しそうに俺に當たりした後、サクラたちと一緒に駐車場を走り始めた。

・・・當たりの威力が犬とダンチだ、わかってたけども。

好かれてるのは嬉しいんだけど、犬と同じじでじゃれてくるとダメージがでっかい。

「まあ、子供は元気が一番だ。・・・ボウズー!いっぱい遊んで立派な馬になるんだぞ!!」

「ノー!オス、チガウ!オンナノコ!!」

「ふぁ!?」

エマさんに怒られた。

今明かされる驚愕の事実である。

え・・・?あ・・・?

てっきり子供なのでその、ナニが小さくて見えないだけかと思ってた。

マジか・・・マジかあ・・・

「高柳運送がの園になりつつある・・・!」

男が圧倒的にない不合。

いや、別に不合ではないけども。

「田中の目は節

「重々承知ですとも」

いつの間にか後藤倫先輩がいた。

毎度毎度背後に出てくるの、やめていただきたい。

「みぃい」

そして馬房の柵の上にはソラがいた。

「おはようソラ、馬には慣れたか?」

「めぉう」

『無理』とでも言うような鳴き聲と、半目が返ってきた。

ソラはヴィルヴァルゲはともかく、仔馬がちょっと苦手らしい。

向こうは好奇心まんまんで追いかけてくるから、いつも逃げている。

おかあちゃんの方は落ち著いているので、それほど苦手でもないようだが。

「ヒヒン」

ヴィルヴァルゲが、柵の上にいるソラを見ている。

見ているだけで特になにもしない。

の大きいは悠々としているなあ。

「田中田中、聞きたいことがある」

「あだだだ、なんすか先輩」

袖をくいくい引っ張るんなら可げもあるが、パイセンは小刻みな打撃を俺の肩に叩き込んできた。

衝撃が貫通するので地味に痛い。

こんなことに技を使わないでいただきたい。

「あの仔馬、名前なに?」

「え・・・?」

なん・・・だろう?

そういえば、保護してから今までそれどころじゃなかった。

おかあちゃんは押しも押されぬ名馬だからみんな知ってるだろうけど、子供の方は知らん。

「・・・何でしょう?知ってます?」

「質問に質問で返すおバカさんはこう」

「うぐ!?」

このパイセン、鳩尾に的確な貫き手を・・・!

朝ご飯が出ちゃう!!

「ぐぐぐ・・・そ、そういうのは七塚原先輩が詳しいんじゃないんです?あれ、そういえば姿が見えませんね」

あの先輩のことだから、エマさんと一緒に大喜びでお世話係にでもなってるもんだと思ったが。

昨日働きすぎてまだ寢てるんだろうか。

「ななっちとともちんは4時くらいに起きて大量の木材を運び出して行った。たぶん放牧?するとこ作ってる」

「マジか」

なお現在の時刻は朝8時である。

「屋上で寢てたら見えた」

「今日は屋外で寢てたんですか先輩・・・」

「敷地キャンプ、最高」

先輩が自由過ぎる不合。

この人はたぶんどこでも生きていけるな・・・

それにしても七塚原先輩夫婦、マジで馬好きなんだなあ。

ノンストップできすぎだろう。

「とりあえず後で先輩に聞いてみましょうか、いつまでも名無しじゃ可哀そうだし」

「なかったら私が付けてあげる」

いつになくやる気だな、先輩。

そんなに名付けとか好きだったっけ?

け継がれし偉大な名、『キンツバ』を・・・」

け継がれてもないし偉大でもない」

とんでもない名前を付けるのはやめていただきたい。

可哀そうだろ、の子なんやぞ!

・・・おかあちゃんはむっちゃ強そうな名前だけど。

「昨日カメラ小僧に聞いたけど、競走馬って面白い名前も多いからいけると思う」

「そうなんですか?」

競馬に全くれずに生きてきたから、そこら辺の知識はまるでない。

たしか、9文字以じゃないと駄目なんだっけ?

あとは馬主によって冠名とかいう決まった文字列があるってことくらいか。

「『オモチ』『ミソラーメン』『シジミジル』『オイシイパフェ』とかがいたって聞いた」

「マジすか!?攻めすぎだろ馬主・・・」

実況してるアナウンサーさん、笑わないのかな。

『ミソラーメンがぐんぐんのびる!!』とか、俺なら言いながら笑モンだぞ。

大変な仕事なんだなあ・・・

「まあ、もし名前なかったら皆で決めましょうよ。子供たちの意見も大事ですからね」

「むむむ、洗の・・・説得してくる」

先輩はそう言うと、社屋の方へ気合たっぷりに歩いて行った。

今洗脳って言いかけなかった!?

何がパイセンをそこまで駆り立てるのか・・・コレガワカラナイ。

「『はい!朝のブラッシング終わり!ん~~!やっぱりオンナはいつも綺麗でいなきゃね!』」

「ブルル」

どうやらエマさんの仕事が終わったようだ。

馬の首をポンポン叩き、使ったブラシやなんかをこちらへ持って帰ってきた。

・・・んんん!?今気付いたけどエマさんが著てるのって昨日俺が著て帰ったオレンジのツナギじゃない!?

なんで!?

・・・いや、ひょっとしたら先輩が予備を回収したのかもしれん。

決めつけはだ。

ブラシをかけ終わったヴィルヴァルゲは、朝のを浴びて彫像のように輝いている。

黒い馬が艶々していてとても綺麗だ。

競馬のことは正直よくわからんが、確かに速そうというか、強そう。

なんというか、説得力がある。

この馬なら勝てそうだなー、的な。

「『お疲れ様です、エマさん』どうぞ~」

「サンキュー!」

井戸水を詰めたペットボトルを渡すと、エマさんはそれを豪快に飲み干した。

うーん、似合う。

なんで軍隊にったんだろう、この人。

牧場仕事してる方が似合ってるのに。

まあ、そこは人それぞれか。

俺たちが気になるのか、ヴィルヴァルゲもこちらへ歩いてきた。

うーん大迫力。

「ブルル・・・ヒン」

かと思えば、柵にかかっているバケツを鼻でツンツンするのを繰り返す。

これはひょっとして、水が飲みたいってことかな?

「おっと、水か?・・・そうかそうか、ちょいと待ってろ」

俺がそう言うと、彼は『そうだそうだ』と言わんばかりに頭を上下させた。

・・・今更だけど完全に言葉が通じているような気さえする。

今更か。

サクラたちもそんなじだったからな。

おっと、そんなことより水だ水。

「一朗太さん!おはようございます!」

「・・・お、おはようございます。それは?」

「洗濯であります!」

「・・・なんか、すいません。俺の服なのに・・・」

「いいえ!いいえ!一宿一飯の恩義でありますよ!!」

倉庫の裏にある井戸まで行くと、丁度式部さんがタライで洗濯をしているのに出くわした。

昔ながらの手洗いスタイルだ・・・そして何故か俺のインナーを洗ってくれている。

ここには一応バッテリー駆の洗濯機もあるのになんで・・・?

「いや、ここは自衛隊の出張基地的なアレなんで、宿代なんて・・・」

「ふふぅふ、自分は洗濯が趣味でありますからな~!趣味と実益を兼ねて、であります!」

趣味はともかく実益って・・・なんかある?

・・・まあいいか。

とりあえず水を汲んで行こうか。

「あの、本當にありがとうございます」

「お気になさらず、であります!」

ニコニコと嬉しそうな式部さんに會釈し、バケツ一杯に井戸水を汲んだ。

これだけあれば大丈夫かな?

「靜かに飲むんだなあ」

戻って水をれると、ヴィルヴァルゲは靜かに、だが大量に水を飲み始めた。

なんかこう、ガバガバー!ってじで飲むかと思っていたが、口を付けて靜かに飲んでいる。

犬や貓とは違うんだなあ。

見る見るうちに水量は減り、バケツの底が見えてきた。

飲むねえ・・・まあ、こんだけがデッカイから當然か。

面白いのでしばらく見ていると、バケツの8割ほどを飲んで彼は顔を上げた。

もういいのだろうか。

「おっと、おかわりかい?」

そう聞くと、ヴィルヴァルゲはフルフルと顔を橫に細かく振った。

・・・もういらんってことかな?

それを裏付けるように、もうバケツに鼻をぶつけることはない。

かしこいわあ・・・

「カシコイ!イイコ!」

エマさんは嬉しそうにその首をポンポン叩いている。

昨日今日と付きっ切りでお世話されたことで警戒を解いたのか、ヴィルヴァルゲはエマさんに顔を寄せてじゃれつくような仕草をしている。

「ンフ~!ンフフ~!」

エマさんは嬉しそうに鼻面を抱きしめている。

やっぱり軍隊より牧場の方が似合うな、この人。

「ひひん!ひん!」

「おごっ!?」

その景に見とれていたら仔馬が背中にタックルしてきた。

なん・・・なんだ!?

「・・・ああ、が渇いたのね、了解」

悶える俺にを摺り寄せつつ、バケツに顔をぶつけている。

サクラたちと走り回って疲れたんだろうか。

「ぶるる!」

「はいはい、わかったよボウ・・・お姫様」

というわけで、もう一往復する羽目になったのだった。

・・・あとでバケツをもう一つ追加しておこうか。

毎回こうだと大変だしな。

「これ、朝から作ったんですか・・・?」

「正確には昨日の晩からじゃな、徹夜してもえかったんじゃけどが怒るけえ」

「だーめですっ!夜更かしはに悪いんですからっ!」

どこかドヤ顔の七塚原先輩とさん。

そんな俺たちの目の前では、馬たちが走り回っている。

先輩夫婦の作った、『放牧地』の前で。

・・・正直、もう何日かかかると思ってたんだけどな。

仔馬が水を飲み終わったあたりに夫婦で帰って來て、それからここへ連れてきたのだ。

場所は、高柳運送から出てすぐ左。

ほぼ隣接しているような場所だ。

草ぼうぼうの休耕田の外周に沿って、簡単な柵が立てられている。

これも大木くんが材木屋から回収したのだろうか?

強度はまるでなさそうだが、それでも一応の格好はついている。

「半分は昨日の時點で大木が終わらせとったけえな。強度の方も今は問題なあ」

「ヴィルちゃんはかしこいですからねっ!ウチの居心地がよければ走はしないと思いますし!」

・・・なるほど、このガバガバ柵はそういう理由か。

「加えてゾンビ共は馬を喰わんしのう。放牧中はわしが見張っとるけえ、妙な連中が來ても大丈夫じゃ」

最高のボディーガード付きじゃん。

それなら大丈夫か。

「ここは高柳運送のすぐ橫でありますし、屋上からの線も通っていますからそういう意味でも大丈夫であります!」

一緒についてきた式部さんからも太鼓判を押された。

そういえば屋上も見えるな。

急用の出口を作りゃあ、子供らあもここに來れるようになるのう。いつまでも家の中におるんは可哀そうじゃけえ」

出口?どこら辺に作るんですか?」

俺がそう聞くと、先輩は指を差した。

その先は・・・田んぼ?

「この田んぼの端を削って、水路に逃げれるようにしようと思ってのう。門の下にはスロープもあるけえ、馬でも問題なく敷地まで逃げれる」

「遠大な計畫だ・・・!もう土木工事じゃないすか」

先輩、ここを起點に大牧場でも作るつもりなんじゃないか?

高柳運送の社長さん、大丈夫なんだろうか・・・

いざとなったら花田さんに口でも利いてもらおうかな。

「わん!」「ヴァウ!」

サクラとなーちゃんも楽しそうに走っている。

仔馬はそれを追いかけている。

はは、まるで牧羊犬だ。

ここがあれば運不足も解消できるし、たちにはいい場所だな。

「先輩、そう言えばあの仔馬の名前って決まってるんです?」

さっき後藤倫先輩に聞かれたのを思い出した。

「あらっ!すっかり忘れていました!」

「ほうじゃのう・・・名前か、失念しとったわ」

どうやら2人ともそれどころじゃなかったみたいだ。

「牧場で付けてなかったんですかね?」

「・・・育牧場では名を付けるもんじゃが、生き殘りがおらんけえのう。はて、どうしたもんかのう」

あー・・・全滅したもんなあ。

返す返すも、『瀧聞會』はろくなことをしない。

「母ヴィルヴァルゲで、父シュターレバイターですよねっ、それで母父がタイムズライアンですから・・・」

「ううむ、父父のルイガーゾンタークもおるしのう・・・確か4代前にゃあオーゴンダンサー系もっとったけえ・・・」

なんか先輩夫婦が2人して呪文詠唱みたいなことを始めた。

ははちち・・・?ちちちち・・・?なあにそれえ?

「式部さん、馬には詳しいですか?」

「父方の曽祖父が競馬で家を傾けてから、式部家において競馬はタブーどころかトラウマであります!」

うわあ。

そりゃ大変だ。

・・・式部さんが仔馬から逃げてたのって、そういう苦手意識もありそうだな。

「とりあえず、名付けはしばらく難航しそうってことはわかりました」

「で、ありますな。平和でいいことだと思うであります!」

すっかり話し込んでいる先輩夫婦を見つつ、式部さんと平和を噛み締めた。

・・・が、式部さんは急に何か思いつめたように深呼吸し、俺に意を決して話しかけてきた。

「あ、そうだ一朗太さん!じ、自分とお出かけ、しませんかっ!!」

・・・おでかけ?

探索かな?

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