《僕の姉的存在の馴染が、あきらかに僕に好意を持っている件〜》

最近、楓は私と一緒にお風呂にってくれない。

夏休みという時期の都合上、基本的にお風呂よりもシャワーの方が多いのだが、それにしたってだ。最近の楓はどこか忙しそうである。

もしかして無理矢理なスケジュールを立てて、やる事を増やしているのかな?

さりげなく本人に訊いても、答えてはくれないだろうし。

どうしよう。

改めて私からってみるべきなのかな。

「ねぇ、弟くん」

「ん? どうかした?」

「最近、一緒にお風呂とかにってくれないけど……。なにかあった?」

「別に何も…ないと思うよ」

楓は、一瞬ドキリとした表を見せたがすぐに落ち著きを取り戻し、そう答える。

なんというかとてもわかりやすい反応だ。

他のの子と一緒にデートをしてるっていうわけではなさそうだが、そんな反応を見せられたら……。それなりに心配にはなる。

「ウソはダメよ、弟くん。その顔を見たら、すぐにわかっちゃうんだから」

「いや……。ホントになにもないって──」

「なら、なんで一緒にお風呂にってくれないの? 今までなら、きちんと言うことを聞いてくれたじゃない」

「それは……。僕は『男』だし。の子と一緒にお風呂っていうのはさすがに……。ていうか、なんで香奈姉ちゃんと一緒にお風呂にることが確定っていう流れになってるの?」

「それはね。弟くんのお世話は姉である私の勤めだからだよ」

「香奈姉ちゃんは、たしかに年上のお姉ちゃんだけど……。僕の馴染だよね?」

「そうだよ。私は、弟くんのお世話をするお姉ちゃん的な馴染だよ。だから弟くんの合を確認するのも私の勤めなんだ」

「そんなムチャクチャな……」

なにやら文句を言いたいんだろうけど、楓は私の顔を改めて見て口をつぐんでしまう。

こういう時って、つい悪戯をしたくなっちゃうんだよね。

私は、さらに追い打ちをかけるかのように訊いてみる。

「さて。弟くんはどうしたいのかな?」

「それは……」

「お風呂くらい、もちろん一緒にってくれるよね?」

「う、うん……。約束したからね」

「さすが弟くん! やっぱり話のわかる人は助かるなぁ」

「ほとんど無理矢理のくせに……」

「なにか言った?」

「いえ、なんでもないです……」

楓は、消沈した様子でがっくりと肩を落としていた。

ちょっとだけ強引だったかな。

──いや。多、強引な方が楓にとってはいいのかもしれない。

「それじゃ、約束どおり、お風呂にろっか?」

「今からなの?」

楓は、家にある掛け時計を見やる。

ちなみに時間はまだ午後の14時くらいだ。

お風呂にるには、まだ早いくらい。

だけど夕方まで我慢できるかと言われたら、ちょっと難しいかも。

「うん、今からだよ。後にしちゃうと、々とめんどくさくなっちゃうし。それに──」

「それに?」

「弟くんの合が心配だから」

私は、々と恥ずかしい気持ちになり、頬を赤くする。

自分がどんな顔をしているのかわからないけど、それだけは実できた。

「僕は、香奈姉ちゃんのの方が刺激が強い気が……」

「それなら大丈夫だよ。バスタオルはしっかりとに巻くから」

「香奈姉ちゃんの『大丈夫』は、なんとも──」

「私が大丈夫って言ったら大丈夫なの! 私のことをちゃんと信じてよね」

「わかったよ。でも今の時間帯で一緒にるのはさすがにまずいと思うから、どちらかが先にっている時にもう1人がするっていうのが最もいいと思うんだ。──どうかな?」

「私は、どっちでもいいけど」

なんか楓の提案が必ずしも良いとは思えないんだけど……。私だけかな。

要はどっちが先にるかによって、信用できるかどうかが決まるっていうことかな。

順當に行けば楓が先なんだろうけど。

「それじゃ、まずは香奈姉ちゃんから先にってもらおうかな」

「どうして? こういうのは、まず男の人が優先なんじゃないの?」

私は、思案げな表になりそう訊いていた。

普通は、男の人が先にるものだと思う。

しかし楓は、そうじゃなくて私を先にらせようとしてきたのだ。

これは、絶対になにかある。

あやしいと思ったら、真っ先に訊いてみるのが解決への早道だ。

「それは……。レディファーストっていう言葉もあるし……」

「ふ~ん。そっか。なるほど……」

私は、わざとそう言ってのける。

楓には、いかにも納得したかのように見えただろう。

私は、ちっとも納得していなかった。

たしかに楓は、いつも優先的に私のことを推してくれる。

これは、彼さんにしてみれば嬉しいことなんだろう。

しかし私にとっては、これは楓からの好意には見えないのだ。

なにかを計算して言っているように見えてしまうのは私だけだろうか。

「私が先にったとしたら、弟くんは私が上がってくるまで待ってるだけだから楽だもんね」

「いや……。そんなことは……」

「そのままらないつもりでしょ?」

るつもりでいるけど……。香奈姉ちゃんは、大丈夫なのかなって──」

「なにが?」

「香奈姉ちゃんはその…僕のを見ても平気なのかなって」

今さらそんなことを訊いてくるあたり、楓はかなり慎重になっている。

たしかに楓の自慢の一品は、見るのは久しぶりになるけど。

「そんなの大丈夫に決まっているじゃない。なにを心配してるのよ?」

「う~ん……。なんとなくだけど、嫌な予がして……」

「嫌な予って……。なにもないと思うけど」

一緒にお風呂とかにったら、もちろんなにもしないっていう保証はない。

私としては、一回くらいスキンシップを──

そんなことを考えてもバチは當たらないはずだ。

もしかして楓は嫌なのかな?

「香奈姉ちゃんのことだから、なにもないっていうのも不自然な気がして──」

「なにか起きてほしいの?」

「いや……。むしろなにも起きてほしくないような……」

楓は、私の顔をじっと見てそう言った。

どうして、そんな真面目な表で私を見るの?

お互いになら、しくらいはエッチなことを考えるものだと思うけど。

「それは無理かな。多のことは覚悟してもらわないと──」

「多なんだ……」

「私と弟くんとの間になにもないっていうのは、ないんじゃないかな?」

私は、いつもの笑顔を見せてそう言った。

それと同時に楓の手を握り、安心させる。

頼むから、そんな不安そうな表はやめてほしい。

これから私たちにとって大事なことをするというのに。

そんな顔をされたら、私が困る。

「香奈姉ちゃんと一緒にるのは、やっぱり慣れないかなって──」

「それって、絶対にエッチなことをしちゃうから?」

「それもあるけど…やっぱりの子のを見るのはさすがに……」

楓は、私のに視線を向けて言う。

お風呂場だと全になるから、たぶんだけじゃない気がする。んな箇所を見てるんだろう。

私からしたら、男のアレを見るのもなかなかに慣れないんだけどなぁ。

特にも楓のあそこは、かなり立派だから。

った時の大きさは、たぶん私の想像を超えるくらい。

そんなことを言ったら、楓は絶対に怒るだろう。

「今は、誰もいないし。さっさとってしまおうよ」

私は、強引なくらいに楓の手を引っ張って、浴室へと向かっていった。

この際、嫌とは言わせない。

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