《【コミカライズ配信中】アラフォー冒険者、伝説となる ~SSランクの娘に強化されたらSSSランクになりました~》第294話 勇者との共同戦線

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本日コミカライズ最新話更新されました!

今回から再び王都舞臺にして、ヴォルフが活躍します。

BookLive!で配信されておりますので、是非よろしくお願いします。

『にゃっ!』

ミケはハッと瞼を開けた。

一時、何故自分が目を瞑っていたわからず――と言うよりは、自分が何をしていたのか忘卻していたミケは、ぼんやりと黒い空を眺める。

3秒ほど呆然とした後、ご主人が戦っていることに気づいた。

(あっちは……)

みるみると記憶が蘇ってくる。

レミニアがハシリーに斬られそうになり、咄嗟に主人と一緒に庇ったまでは覚えている。そこからの記憶が曖昧だが、斬られたは今もに殘っていた。完全に回復している今もだ。

ミケは立ち上がり、振り返る。

主人が東の方を向いて、あぐらをかいている。

側には最の娘の姿はない。背中で泣いているような主人――ヴォルフの姿を見て、ミケは何が起こったのか大理解した。

『ご主人』と聲をかけると、ヴォルフはこちらを向く。

その表はいつもの主人に見えたが、纏う空気にいつもの輝きがあまり見られなかった。

「気づいたのか、ミケ?」

『ご主人、すまねぇ。あっちがサポートできなかったばかりに、嬢ちゃんは』

「お前のせいじゃない。俺の慢心だ。あの時ハシリーを斬っていれば」

『あっちはご主人にハシリーを斬ってほしくなかった』

「ミケ……」

『あっちはご主人ほどレミニアの嬢ちゃんと長くいるわけじゃねぇ。でも、ご主人の娘だからなんとなくわかるにゃ。多分、レミニア嬢ちゃんもそれをんでたんじゃにゃいか?』

「そうかもしれない……。だが、俺はレミニアとの約束を違えてしまった。レミニアを守れなかった」

それまで普段通りだったヴォルフの表が歪む。

下を向き、握った拳に力をれた。

ミケは悲しそうに見つめる。ご主人の気持ちは痛いほどわかる。

それはヴォルフが主人で、相棒だからじゃない。ミケもまた似たような経験してきたからだ。

ミケもまた大事な人を失っていた。

『ロカロ(じいさん)が死んだ時、あっちは悔しく悔しくて仕方なかった。自棄になって挙げ句、ミランダにまで突っ張って……。それでもロカロ(じいさん)は戻ってこにゃかった』

「…………」

『悔しい気持ちも、負けたという敗北も、約束を破っちまった罪悪もあっちはよく知ってる。でも、ご主人……。これだけはあっちは言える』

レミニア嬢ちゃんは生きてる……!

冷靜に考えて、ハシリーの目的がレミニアの殺害だとすれば、とっくにヴォルフの娘は死んでいただろう。

しかし、ハシリーはレミニアを殺さなかった。もっと言えば手負いのヴォルフやミケにトドメすら刺さなかった。それどころか、彼は自分の行き先を告げて、ヴォルフの前から消えた。

『レミニア嬢ちゃんも、そしてハシリーも待ってるにゃ。ご主人を、【剣狼(ソード・ヴォルバリア)】と言われた男、ヴォルフ・ミッドレスを』

ヴォルフはおもむろに腰に差していた【カグヅチ】を抜く。

上段に構えた後、勢いよく振り下ろした。

それとともに、裂帛の気合いを吐き出す。

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」

斬撃の衝撃は風を切り裂き、聲は地鳴りのように空気を震わせる。

心に殘っていたわだかまり。ミケが言った負のを裂くと、ヴォルフは再びミケの方に振り返った。

『やっといつものご主人にゃ』

「すま――――」

『謝らなくていいにゃ。嬢ちゃんを守れなかったのは、あっちも一緒だからにゃ』

「……ありがとう、相棒」

謝するのは、あっちの方にゃ』

ミケは前肢を上げる。

ヴォルフはそれを見て、自分の拳と重ねた。

「話は済んだか?」

聲をかけたのは、【勇者】ルーハスだ。

こっちも手負いではあったが、ヴォルフが持っていた薬で回復している。

「ルーハス、大丈夫か?」

「問題ない。行くぞ、リヴァラスに」

「一緒に戦ってくれるのか?」

「リヴァラスにはルネットもいる」

「お前はルネットを……。俺はレミニアを、か」

「リヴァラスの周りには、人間の兵もいる。まずはその囲いを崩す。お前と、……俺でな」

「【勇者】との共闘か。そいつは心強い」

「勘違いするなよ、ロートル。いつぞやの借りはいつか返すつもりだ」

ルーハスはギラリと鋭い眼差しを向ける。

覇気ではない。それは本の殺意であった。

『さっきまでグースカ眠っていたくせに、生意気な【勇者(ブレイブ)】にゃ』

「お前だけには言われたくないぞ、デブ貓」

『デ――――! あっち雷獣にゃ! ちなみにデブでもないにゃ!』

獣人のルーハスと、ミケの掛け合いが続く。

それを見て、ヴォルフはクスリと笑った。

し余裕が出てきたらしい。

「いいさ、ルーハス。この戦いが終わったら、もう1度やろう。今度は命のやりとりではなく、純粋な勝負として」

「よかろう」

ヴォルフから差し出された手を、ルーハスは固く握る。

共に東を向き、ワヒト王國で鍛え上げられた刀を鞘に収めた。

気持ち良い鍔鳴りが、荒涼とした臺地に響き渡るのだった。

◆◇◆◇◆

ヴォルフたちが東へ向かった同時期。

レミニアは目を覚ました。

ミケと同じく一瞬呆然としたが、それまで起こった事態が脳に激流のように流れ込んでくると、「パパ!!」と悲鳴じみた聲を上げた。

だが、周りに最の父の姿はない。

見えるのは鬱蒼としげった森。

綺麗にき通った底の淺い池。

そして、巨大な1本の樹木だった。

「リヴァラス……」

レミニアは息を飲む。

調査で1度だけ訪れたことはあるが、何度も見てもその大きさに驚かされる。

それはもはや樹木ではなく、山に近い大きさだった。

出したが臺形上に広がっているからか、よりその姿が山らしく見えた。

聖樹リヴァラスの周りは神域。

普段は野鳥や獣の聲しか聞こえてこない靜かな場所だ。

今は違う。空は黒く汚され、遠くには火の手が見える。時々、火のが舞い降り、レミニアの赤い髪を照らしていた。

何より聖域を侵していたのは、鬨の聲だ。

おそらく森の外だろうが、兵士たちの勇ましい聲と剣戟の音が混じって聞こえてくる。

「目を覚ましましたか、レミニア」

「ハシリー……」

聖樹リヴァラスが作った大きな影から、元書であるハシリー・ウォートが現れる。

の父を斬った。それだけじゃない。

今、混沌とした狀況を演出したのは、すべてハシリーの仕業だ。

「ハシリー、いい加減にしなさい」

「何をですか?」

「すべてよ。……この天才レミニアちゃんが、あなたの考えていることをわからないわけないでしょ?」

「何をわかっているのですか?」

「簡単よ……。あなたは――――」

わたしの代わりになろうとしているんでしょ?

來月また新たなご連絡する事になるかもしれません。

お楽しみに!

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